連載・柳本浩市|第24回 橋詰 宗氏に「デザインと教育」をきく(後編)

連載・柳本浩市|第24回 橋詰 宗氏に「デザインと教育」をきく(後編)

第24回 橋詰 宗氏に 「デザインと教育 」をきく (後編)グラフィックデザイナーの橋詰 宗(はしづめそう)さんをお迎えして、3回にわたった対談の最終回は、いまの時代のコミュニケーションと、今後の活動についてうかがいます。Text by 柳本浩市オープンソースの仕組みをつくりたい──柳本柳本 いきなりですが……、橋詰さんは「営業活動」はしていますか?橋詰 営業活動はとくにしていないですね。以前、Åbäke(ロンドンを拠点に活躍中のデザインスタジオ、橋詰氏RCA在籍時のチューター)が僕たちが企画したレクチャーのなかで「これまでかかわってきたプロジェクトの多くは、RCAをふくめてこれまでの長い時間で培われた関係性から派生してきている」と発言していたのですが、それに強い共感をもちました。と同時にいま「場」をつくることに念頭をおきながら活動をしているなかであたらしく出会ったひとたちとプロジェクトをおこなう機会が日に日に増えていることを考えると、日々の出会いがあたらしい仕事への架け橋になって...
連載・柳本浩市|第25回 植木明日子さんに「アイデアとプロダクトデザイン」をきく(前編)

連載・柳本浩市|第25回 植木明日子さんに「アイデアとプロダクトデザイン」をきく(前編)

第25回 植木明日子さんに 「アイデアとプロダクトデザイン」 をきく (前編)今回のゲストはプロダクトデザイナーの植木明日子さんです。大学院まで建築を学びながら、卒業後は文具ブランド「水縞」を立ち上げました。ある意味まったくちがう畑のようでいて、彼女のなかでどこが繋がっているのでしょうか? 建築的な思考がほかの分野へ展開が可能なのでしょうか? そんなことを考えながら、彼女との対話のなかで答えを探ってみたいと思います。Text by 柳本浩市「建築をやっていたらなんでもできるよ」というアドバイス柳本 もともと建築を学んでいらっしゃった植木さんが、ステーショナリーの世界へと足を踏み入れた経緯と、さらにさかのぼって幼少のころのエピソードもふくめてお話いただけますか?植木 父が建築を生業にしていまして、それにまつわる道具がかたわらにあるという環境で育ちました。当時の私にとっては父の道具は玩具同然で、物心ついたころには「ゆくゆくはなにかモノづくりの仕事に就きたい」と漠然と考えていました。しか...
連載・柳本浩市|第26回 植木明日子さんに「アイデアとプロダクトデザイン」をきく(後編)

連載・柳本浩市|第26回 植木明日子さんに「アイデアとプロダクトデザイン」をきく(後編)

第26回 植木明日子さんに 「アイデアとプロダクトデザイン」 をきく (後編)-1ゲストにプロダクトデザイナーの植木明日子さんを迎えた後編は、建築的な考え方をもってプロダクトをデザインしている彼女のモノづくりへのアプローチや、実際の生産背景、さらに今後の展望まで語っていただいた。Text by 柳本浩市いまは自分が手に触れることができる、1分の1のモノをつくっている柳本 大学時代に「すべてを包括するのが建築」という考え方を周囲の方々から聞かされてきたという植木さんですが、現在、ご自身でモノづくりをしていて、建築の考え方が応用できたところと、できなかったところ、そのふたつについて教えていただけますか?植木 いまでもモノづくりにおける「考え方の行程」は建築的だと思います。全体像をつくってから順を追ってつくっていく……自分のやり方になっていますね。いまの仕事に応用できなかったというか、あきらかにちがうなと感じるのは「スケール感」です。私が建築学生のとき、もっとも苦手だったのが縮尺の考え方...
MOVIE|映画『種まく旅人~みのりの茶~』田中麗奈インタビュー

MOVIE|映画『種まく旅人~みのりの茶~』田中麗奈インタビュー

映画『種まく旅人~みのりの茶~』 3月17日公開田中麗奈インタビュー風光明媚な大分県臼杵市を舞台に、お茶の有機栽培を営む人びとの姿を描いた映画『種まく旅人~みのりの茶~』。2012年3月3日(土)の大分・福岡での先行上映を経て、3月17日(土)より全国公開が決定した。映画主演は16年ぶりの陣内孝則(官僚でありながら現場に足を運んで皆と汗を流す人間味溢れる役人、大宮金次郎役)とともに、病に倒れた祖父役の柄本 明の茶畑を守る孫、みのりを演じた田中麗奈に直撃インタビューした。Text by OPENERSあたりまえの毎日にある幸せに気づくとき、人は満ち足りた気持ちになるデザイナーとしての職を失い、自分の居場所が見えなくなりながらも、お茶の栽培を通じてあらたな人生を歩みはじめるみのりを演じた田中麗奈さん。自分たちでつくったおいしいごはんを食べて、笑いあって、日が沈んだら眠りにつく。ときどき、星空を見上げて泣く。そんなシンプルな暮らしの大切さを描いた映画が、『種まく旅人~みのりの茶~』である...
ASA-CHANG インタビュー 初のプロデュース作品集『蒐集』をリリース

ASA-CHANG インタビュー 初のプロデュース作品集『蒐集』をリリース

ASA-CHANG インタビュー初のプロデュース作品集『蒐集』をリリース東京スカパラダイスオーケストラの創設メンバーとしても知られる、音楽プロデューサーでパーカニッショニストのASA-CHANGが、初の作品集をリリースした。広瀬香美、小泉今日子から暴力温泉芸者まで、幅広く手がけた作品が詰まった『蒐集』。制作の裏話や現在の自身の音楽性を聞いて際立ったのは、音楽に対するきわめてニュートラルな姿勢だ。 Text by SUGIURA Shu(OPENERS)Photos by SAITO Seiichi「ジャンルってなに?」ニュートラルに音楽を愛する“音の職人”──初の作品集ですが、何かきっかけがあったのでしょうか?とくにないですね、なんて言っちゃうとドラマチックじゃないですね(笑)。でも前々から、なぜ作品集がないのかと聞かれることもあって、今回ようやくという感じです。僕の場合フロントマンじゃないので、かかわる音楽が多岐にわたってしまう。そこが逆におもしろいんじゃないかと周囲のひとが言っ...
LOUIS XIII Chapter 9 アンバサダー 谷尻 誠

LOUIS XIII Chapter 9 アンバサダー 谷尻 誠

LOUIS XIII|ルイ 13世アンバサダーインタビュー6谷尻 誠(建築家)六本木グランド ハイアット 東京のバー「マデュロ」に期間限定オープンした「メゾン ルイ 13世」。その特別な酒と同じ、13人からなるアンバサダーが、ルイ13世という最高のブランデーの妥協を許さない酒づくりに共感。ルイ13世が持つ魅力を発信するプロジェクトがはじまった。そのアンバサダーへのインタビュー、第6回目は、注目の若手建築家、谷尻誠さん。Text by MATSUO DaiPhotographs by IGARASHI Takahiro飲めばわかる酒作りわたしは基本的に求められると応えたいと思う性格です。わたしたち建築家は、自分の価値というものは求められてこそ初めて価値があると思っています。今回、アンバサダーのお話をいただいたときも、わたしが求められているんだと思い、それに応えたいと考えました。とくに、このルイ13世というお酒は特別なブランデーですからなおさらです。 時間をかけてモノを作るということは...
LOUIS XIII Chapter 10 アンバサダー クリス・ペプラー

LOUIS XIII Chapter 10 アンバサダー クリス・ペプラー

LOUIS XIII|ルイ 13世アンバサダーインタビュー7クリス・ペプラー(TV・ラジオ パーソナリティー)ルイ13世。他にはない、その唯一無二のブランデーづくりに共感した、13人からなるアンバサダーが、自らのルイ13世への思いとともに、最高のブランデーだけが持つ魅力を発信するプロジェクト。六本木グランド ハイアット 東京のバー「マデュロ」に期間限定オープンした「メゾン ルイ 13世」から毎回インタビューをおとどけするプログラム。第7回目は、TV、ラジオなどで幅広く活躍するパーソナリティー、クリス・ペプラーさん。 Text by MATSUO DaiPhotographs by IGARASHI Takahiroフランスの伝統がカタチにルイ13世とは非常に高級で、まさにコニャックの王様というイメージがあります。フランスの伝統がそのままカタチになったものといえるでしょうか。フランスにはさまざまなカルチャーがありますけれど、このルイ13世というブランデーはそのなかでもサラブレッド。実...
『ソーシャルメディアの夜明け』著者・平野友康氏インタビュー

『ソーシャルメディアの夜明け』著者・平野友康氏インタビュー

『ソーシャルメディアの夜明け』著者・平野友康氏インタビュー(1)「ビジネスとIT」ジャンルでAmazon 1位獲得「ITといえど“ラブ度”なんですよ」メディアクリエイターである平野友康氏は、2010年からTwitterやfacebook、Ustreamなどの「ソーシャルメディア」を駆使したメディアデザインを行う活動を展開している。そして昨年末には、『ソーシャルメディアの夜明け』という一冊の本を上梓するにいたった。ソーシャルメディアとはいったいなにか。その答えは、万人が解するだろう平易な内容で整えられたこの本を読めばわかる。そうではなく、平野氏がなぜそこまでソーシャルメディアに惚れ込んだのかを、訊きたかったのだ。Text by KASE Tomoshige(OPENERS)Photographs by NISHIMURA Saiko(SELF:PSY'S)それぞれの幸せがあるはずこの『ソーシャルメディアの夜明け』はたしかにITの本である。ソーシャルメディアを実践してきた著者によるビジ...
INTERVIEW|DJ KAWASAKIがディスコミュージックを新解釈! ニューアルバム『BLACK&GOLD』

INTERVIEW|DJ KAWASAKIがディスコミュージックを新解釈! ニューアルバム『BLACK&GOLD』

INTERVIEW|DJ KAWASAKIがディスコミュージックを新解釈ニューアルバム『BLACK&GOLD』リリース!前作『PARADAISE』にてデトロイト・テクノというあらたな一面を聴かせたDJ KAWASAKIが今回フォーカスしたのは、なんとディスコミュージック! アナログシーンで注目を集めつつあるディスコのリエディットのムーブメントに挑んだ。クリエイティブでスタイリッシュ、DJ KAWASAKIによるディスコの新解釈とははたして? ニューアルバム『BLACK&GOLD』について聞いた。Text by FUJITA Mayu(OPENERS)「ディスコは今後さらに進化する、楽しみなシーン」──ディスコというジャンルはいつ頃から注目されるようになったのでしょう?Theo ParishやMoodymannをはじめとするデトロイト・テクノのDJによってエディットされたディスコや、Joey NegroやGramophonedzieといったクリエイターたちがつくるディスコのサンプリン...
JOHN LAWRENCE SULLIVAN|世界を魅了する“日本のモノ作り”とは

JOHN LAWRENCE SULLIVAN|世界を魅了する“日本のモノ作り”とは

こだわりのプロダクトで世界を魅了するデザイナー、柳川荒士が登場クリエイションの背景にある“日本のモノ作り”(1)現代の、強く美しい男性像を描き出す、「JOHN LAWRENCE SULLIVAN(ジョン ローレンス サリバン)」。発表の場をパリに移してからも、世界のバイヤーやファッショニスタから高い評価を得ている。今回はデザイナーである柳川荒士氏に、ショーだけでは伝わらない、プロダクトにたいするこだわりを2014年春夏の代表作を通じて語ってもらった。Photographs by JAMANDFIXText by KAWASE Takuro光を得ることであらたな魅力を見せるコレクション名だたるラグジュアリーブランドが気鋭のデザイナーを起用して、華々しいランウェイで新作を披露するパリのランウェイショー。その舞台で、インディペンデントな姿勢を貫きながら、東京発のクリエイションで勝負しているブランドが、ジョン ローレンス サリバンだ。デザイナー柳川氏が影響を受けたテーラリングを軸に、モダン...
INTERVIEW|fabric創設者 キース・ライリー インタビュー

INTERVIEW|fabric創設者 キース・ライリー インタビュー

INTERVIEW|「fabric」創設者 キース・ライリーロンドンから東京へ、キース・ライリーのあらたなる挑戦(1)ロンドン中心部から少し外れた場所にあるクラブ、「fabric(ファブリック)」。連日深夜から朝まであらゆる音楽が鳴り響き、イギリスはもとより、世界各国からその研ぎすまされた音や空間を求めて、多くの人が訪れている。その「ファブリック」創設者、キース・ライリー氏がこれまで守りつづけてきた、ロンドンのみでの活動が拡大。東京を第二の拠点とするという。彼が考えるネクスト・ステージのビジョンとは?EnglishPhotographs by JAMANDFIXText by TOYODA Koji(OPENERS)世界でもっとも注目されるロンドンのクラブイーストロンドンのスミスフィールド市場近くに、夜になるとたくさんの若者で溢れかえっている場所がある。深夜12時前にパブやバーが閉まってしまうロンドン。そこで閉め出された飲み足りない者たちや、音楽を渇望する者たちが吸い寄せられるよう...
INTERVIEW | fabric founder Keith Reilly

INTERVIEW | fabric founder Keith Reilly

INTERVIEW | fabric founder Keith ReillyFrom London to Tokyo...Keith Reilly Takes on a New Journey(1)fabric is a London club found in the heart of the city. Not only Londoners but people from around the world come to this place, craving its cutting edge sound and space. Although the club has become quite notorious for never expanding from its London location, this seems to be changing now. fabric founder Keith Reilly speaks to us about his next...
NOOKA|連載・マシュー・ワォルドマン|Vol.29 「注目のミュージシャンTEEELL(Jim Smith)にインタビュー」

NOOKA|連載・マシュー・ワォルドマン|Vol.29 「注目のミュージシャンTEEELL(Jim Smith)にインタビュー」

セカンドアルバム「University Heights」が、彼自身のレーベルSynthemescよりリリースVol.29 TEEEL(Jim Smith)にインタビューTEEEL(Jim Smith)は、ニュージャージーの作曲家、プロデューサーであり、エレクトロの音楽レーベル「Synthemesc Recordings」のオーナーでもある。シンセサイザーと80年代のニューウェーブに影響を受け、TEEELは自身の音楽を、まるで長い映画を観るかのように捉え、そして執拗に聴く者の頭から離させない。シンセサイザーとギターが据えつけられた、古いモーグ(シンセサイザー)の広告に囲まれた、ブルーグリーンの小さな部屋で音楽を創り出し、催眠的なシンセポップから、幻想的なディスコミュージック、陰鬱なエレクトロニカまで、広い範囲の音を紡ぎだす。※NOOZIKトラックは無料ダウンロードOK!Text by Matthew Waldman技術進歩主義者にとって完璧なポップ・サウンドトラック彼が決定的に認知さ...
MOVIE|村上 淳が語る、園 子温監督作品『希望の国』

MOVIE|村上 淳が語る、園 子温監督作品『希望の国』

「原発問題は、今後ずっと日本と世界に問いつづけるものです」映画『希望の国』 村上 淳インタビュー(1)映画『ヒミズ』で東日本大震災の被災地に踏み込んだ映画監督、園 子温が、『希望の国』では原発事故に直面した家族を描いた。観る者一人ひとりにとってあまりにリアルな体験である原発事故を題材にしているため、フィクションでありながら、心の奥深くを捉えて離さない。今なお放射能におびえ、怒り、戦う私たちにとって、希望の国とは──村上 淳さんに、この家族の物語の話をうかがった。映画『希望の国』は、10月20日(土)から、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー公開される。Text by KAJII Makoto (OPENERS)Photographs by HARA Emiko 園監督からは「ムラジュンの良さを引き出したい」と言われました<ストーリー>東日本大震災から数年後の日本のとある町。小野家と鈴木家は隣り合い、つつましくも幸せに暮らしていた。ある日、大震災が発生、...
NOOKA|連載・マシュー・ワォルドマン|Vol.30 「ジュエリーブランド「Bijules」デザイナー、Jules Kimにインタビュー」

NOOKA|連載・マシュー・ワォルドマン|Vol.30 「ジュエリーブランド「Bijules」デザイナー、Jules Kimにインタビュー」

視覚と思考の限界を超える能力を発揮する希有な芸術家Vol.30 「Bijules」デザイナー、Jules Kimにインタビュー「Bijules(ビジュールズ)」のデザイナー、Jules Kim(ジュールズ・キム)は、ジュエリーにおける芸術と美学のバランスを平然と支配しているクリエイターです。すべてのユーモア、悲劇、両面性、愛や憎しみ……、こうしたわれわれの生きる、美しくも混沌とした世界を映し出すようなオブジェを作り出す能力を秘める、希有な芸術家の一人です。Text by Matthew Waldman“体験”も作り出す、ジュエリーデザイナーJulesとともに歩むということは、先見の明をもった存在となるでしょう。思想家とは、今までにない方法で、思想や表現によって、静かにこの世界の謎を描写します。いつの時代でも芸術から芸術家を分離することは困難です。女神の美しさに圧倒されることで、ファンタジーはより身近なものに映り、あなたは、自身のなかに物語を見つけることができるでしょう。また、彼女が...
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