INTERVIEW|DJ KAWASAKIがディスコミュージックを新解釈! ニューアルバム『BLACK&GOLD』
Lounge
2015年5月14日

INTERVIEW|DJ KAWASAKIがディスコミュージックを新解釈! ニューアルバム『BLACK&GOLD』

INTERVIEW|DJ KAWASAKIがディスコミュージックを新解釈

ニューアルバム『BLACK&GOLD』リリース!

前作『PARADAISE』にてデトロイト・テクノというあらたな一面を聴かせたDJ KAWASAKIが今回フォーカスしたのは、なんとディスコミュージック! アナログシーンで注目を集めつつあるディスコのリエディットのムーブメントに挑んだ。クリエイティブでスタイリッシュ、DJ KAWASAKIによるディスコの新解釈とははたして? ニューアルバム『BLACK&GOLD』について聞いた。

Text by FUJITA Mayu(OPENERS)

「ディスコは今後さらに進化する、楽しみなシーン」

──ディスコというジャンルはいつ頃から注目されるようになったのでしょう?

Theo ParishやMoodymannをはじめとするデトロイト・テクノのDJによってエディットされたディスコや、Joey NegroやGramophonedzieといったクリエイターたちがつくるディスコのサンプリングを元に構築されたあたらしい楽曲の大ヒットにより、いま1970年代後半のディスコが再評価されています。ファッションシーンでも、グッチのデザイナーであるフリーダ・ジャンニーニが2011年春夏コレクションにて“70’sディスコ”というテーマを掲げていたり、トレンドとしても注目されています。音楽的には“EDIT”されることにより原曲とはちがう、あたらしい解釈で楽しめますし、ディスコシーンはさらに進化する可能性があると思います。いまは本当に大変な時代ですから、社会的にもフラストレーションや不安を抱えていることもあるでしょう。ディスコという言葉のもつ華やかできらびやかなイメージを、ひとは自然に求めているかもしれませんね。

DJ KAWASAKIがディスコミュージックを新解釈! ニューアルバム『BLACK&GOLD』リリース 01

DJ KAWASAKI

──なぜ“ディスコ”にフォーカスしようと?

前作『Paradise』では“ロマンティック”をテーマに、デトロイト・テクノの要素とドラマチックな世界観の融合を試みました。そのさい、あらためてデトロイト・テクノの代表的アーティストでもあるTheo ParrishのDJを聴きに足を運んだのですが、ソウルフルでファンキーな“黒い”ディスコや、ジャズ・ファンクといった生音を中心としたプレイスタイルが印象的でした。また、Carl Craigも僕が聴いたセットでは、70年代後半のエレクトリックなディスコをうまくテクノに混ぜ込んでプレイしていました。ワンフレーズ・ループを繰り返すエディットされた昔の音源と、テクノとのマッチングがあまりにスムーズだったことに衝撃を受けました。彼らのセットから得たインスピレーションや、前作からの流れもあり、“Black Disco”と呼べる楽曲をセレクトし、僕なりの解釈で表現してみようと思ったんです。タイトルの“BLACK&GOLD”は、テーマであるソウルフルでファンキーな“黒い”ディスコのBlack。Goldはディスコという言葉のもつ華やかさをイメージしました。

──DJとして感じるディスコのおもしろさとは?

人間によって生演奏されているものには、セッションで生まれるマジックのような輝きがあると思います。演奏者の感情の高ぶりがみえたり、ハイレベルな演奏のぶつかり合いによって打ち込みでは出せない化学変化が生まれ、曲に魂が入るんです。まだまだ知らない隠れた名曲たちとの出会いもあると思うので、今後がますます楽しみですね。

──カバーする名盤のセレクトはどのように?

デトロイト・テクノのDJがプレイする楽曲の中から、僕なりの解釈で“Black Disco”と呼べるものを選びました。なかにはThe Roomのクラシックスになっている楽曲もあります。

美しい女性たちが“ディスコ”ならではのきらめきを演出!

──ヨヒさんをボーカルに迎えたオリジナル曲「Let The Music Play」は、『BLACK&GOLD』のためにつくられたものですか?

アルバムには僕が作る新世代ディスコを1曲入れたいと思っていました。それに僕のつくったメロディで既存の名曲たちに勝負したかった。ヨヒさんの起用は、じつは沖野修也さんにYoutubeで歌っている彼女のことを教えていただいたのがきっかけなんです。実際歌っている彼女の姿も観たうえで、その才能とビジュアルに惚れ込みオファーしました。

韓国人シンガー Yeo Hee(ヨヒ)

韓国人シンガー Yeo Hee(ヨヒ)

まず英語が完璧、そしてルックスもキレイ。レコーディングはとても丁寧だけど挑戦的でしたね。まだ若いのですが、プロ意識がしっかりとあり、シンガーやタレントとしてもその才能を開花させ、今後サクセスする可能性のある女性だと思います。

──ヴァイオリン、トロンボーンと、生の楽器を取り入れた狙いとは?

今回はディスコ、ブギー感を色濃く出すために、THE ROOMのスタッフとして長年一緒に働いてきた池田憲一(ROOT SOUL)くんを共同プロデューサーに迎えました。じつは彼が弾くファンキーな生のベースがアルバムの肝になっています。流行のシンセを使うのではなく、生楽器を使用してもパターンであたらしさを表現したかったんです。ヴァイオリンとトロンボーンには、今回初コラボレートとなるMei Segevさんと藤村美緒さんに参加してもらいました。美しい女性の存在により、“ディスコ”のもつきらめきと、機械には出せない官能を引き出せたのではないでしょうか。

前作『Paradise』のジャケット

前作『Paradise』のジャケット

──今回のジャケットは江口寿史さんのイラストですね。

今回はカバー・アルバムという企画色の強い内容ということもあり、写真家 米原康正さんが撮影する従来のオリジナル・アルバムのイメージとは差別化を計りたかったんです。江口さんの『ストップ!!ひばりくん!』は大好きだし、代表作『すすめ!!パイレーツ』はディスコ全盛期(77~81年)に大ヒットした作品でもあります。それに江口さん自身、クラフトワークやディーヴォ、トーキング・ヘッズといった当時ディスコでかかっていたニューウェーブ系の音楽がとても好きな方だったということも理由のひとつです。女性のイメージについては、ひばりくんみたいな“江口さんらしさ”のある女性をリクエストさせていただきました。ひばりくんは男性ですけどね……(笑)。

ある意味とても実験的なアルバム

──アルバムをより楽しむ聴き方とは?

どれも名曲ばかりなのでオリジナルとまったくちがうアレンジを考えるのは正直大変でしたが、池田憲一くんとともに作業を進めていくにつれ、あたらしい発見もありました。しっかりと計算してパターンをひねり出す時もあれば、まるでセッションのように曲ができ上がる瞬間もあり、ある意味とても実験的なアルバムになったと思います。機会があれば原曲も聴いていただいて、僕のヴァージョンではどこがどう変わっているのかを聴き比べてみるのも楽しいと思いますよ。このアルバムをきっかけに僕のルーツ・ミュージックでもあるディスコやジャズ・ファンクといった、昔の優れた名曲達にも興味を持ってもらえたらとてもうれしいですね。

──ハウス、デトロイトテクノ、ディスコ……つぎはどんな音楽を?

いままでもこれからもハウス、デトロイトテクノ、ディスコ、ジャズといった音楽への興味が失せることはありませんし、パワーと勇気をもらい続けると思います。DJでは大きな会場でのパーティも最高ですが、いまは本当にやりたいことはなにか? と、あらためて自分を見つめ直し、自分が培ってきたThe Roomという場所での素直なプレイが大切だと考えています。

DJ KAWASAKI

DJ KAWASAKI ニューアルバム『BLACK & GOLD』

ハウス+テクノ+ディスコの融合による圧倒的な高揚感!
DJ KAWASAKIが考える新世代ディスコが誕生

DJ KAWASAKI ニューアルバム
『BLACK & GOLD』
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2500円

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4/27(金) 代官山 AIR 、4/28(土) 大阪 NOON ほか
その他各都市の日程、アルバム収録曲などの詳細は以下よりチェック!
www.extra-freedom.co.jp/release/black_and_gold/

           
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