連載

2010 ミラノサローネ 最新リポート|川合将人のミラノサローネそぞろ歩き(3)

2010 ミラノサローネ 最新リポート|川合将人のミラノサローネそぞろ歩き(3)

特集|ミラノサローネ国際家具見本市 2010川合将人のミラノサローネそぞろ歩き(3)ミラノサローネ2010を振り返ってインテリアジャーナリスト&スタイリストの川合将人が、独断と偏見を多分に折り込んでお届けしているミラノサローネ・レポート。最終回は、活躍の目立った作家性の強いデザイナーたちの作品や、強烈な存在感を発揮したイタリアの巨匠らによる仕事を中心に、記憶に残った印象深い展示などを紹介する。写真・文=川合将人あらたなイベント「VENTURA LAMBRATE」毎年、圧倒的な数の新製品の発表がおこなわれるサローネ。家具の見本市という基本路線は変わらずとも、特別な企画展を見ることができ、デザイナーたちのさまざまなアウトプットの手法を体感できるなど、その年ごとの変化を肌で感じられるのは魅力である。今年はあたらしいイベントが開催されていたのだが、内容も充実していて非常に勉強になった。ミラノ市内の中心から少し外れた、Lambrateという駅を最寄りとする地区でおこなわれた「VENTURA ...
2011 ミラノサローネ 最新リポート|MOLESKINE

2011 ミラノサローネ 最新リポート|MOLESKINE

MOLESKINE|モレスキン特集|ミラノサローネ国際家具見本市 2011ジュリオ・イアケッティによる新コレクション「MOLESKINE(モレスキン)」より、Writing、Traveling、Readingの3つのコンセプトで構成される新コレクションが、4月のミラノサローネと5月にニューヨークで開催されるICFF(International Contemporary Furniture Fair)で発表される。Text by OPENERSPhoto by MOLESKINEジュリオ・イアケッティによるスケッチを公開モレスキンが提唱する“ノマド・ライフスタイル”は、オフィスや家など場所にしばられることなく自由に仕事をするノマド(遊牧民)&ワーキングのサポートがテーマ。モレスキンでは実際に、ノートブックのページがセットになっているiPhone3G/3GSのスマートフォンカバーとiPadのタブレットカバーを発売し、紙、電話、インターネットを同時に使いこなす“ポータブル・ワークステーシ...
2011 ミラノサローネ 最新リポート|ミラノサローネ期間中に東日本大震災チャリティイベント開催

2011 ミラノサローネ 最新リポート|ミラノサローネ期間中に東日本大震災チャリティイベント開催

特集|ミラノサローネ国際家具見本市 2011母国の辛い経験に胸を痛めた、ミラノ在住の日本人有志が発起人ミラノサローネ期間中にチャリティイベントを開催ミラノサローネの期間中4月15日(金)から17日(日)の3日間、ミラノ市内の『Spazio Corso Como 9』にて、ミラノ在住の日本人有志が発起人となり立ち上げられた「Charity Box EMERGENCY PROJECT FOR JAPAN」(非営利団体 リゾラ・デッラ・スペランツァ 主催、在ミラノ日本国総領事館 後援)による被災地支援のためのデザインイベントが開催される。Text by OPENERS作品展と募金活動をリンクさせたエキシビション日本の東北地方に甚大な被害を及ぼした東日本大震災。「遠く離れた故郷のためになにかをしたい」と立ち上げた「Charity Box EMERGENCY PROJECT FOR JAPAN」による被災地支援イベントは、日本の被災地に心を寄せる、国際的に活躍する日本人デザイナーと外国人デザ...
2011 ミラノサローネ 最新リポート|nendo

2011 ミラノサローネ 最新リポート|nendo

nendo|ネンド特集|ミラノサローネ国際家具見本市 2011注目の新作は“透明な木”のテーブルデザインオフィスnendoは、ミラノサローネ期間中に、ミラノ市内にあるギャラリー『Galleria Antonia Jannone』にて個展を開催し、新作テーブル「transparent table」など新作4点を発表する。Photo by Masayuki Hayashi個展以外にも新作発表や、展示会場デザインなども担当個展「textured transparencies」は、透明と不透明の狭間に存在するグラデーション状の「半透明」の存在や、透明度のちがいから生まれる「微差」を探求した家具のコレクション。透明性を帯びながらも、それぞれ特徴の異なる素材を用いることによって、あたらしい機能性や視覚効果の可能性を感じさせてくれる。木目のついた型を使って透明アクリルを成型し、張り合わせていくことで生まれた“透明な木”のテーブル「transparent table」は、木口も忠実に再現され、エッ...
TOSHIBA|TOSHIBA Milano Salone 2011<光・時・場>レポート

TOSHIBA|TOSHIBA Milano Salone 2011<光・時・場>レポート

東芝|TOSHIBAアーティストのクリエイティビティと東芝のあかりへの思いが集結した空間LEDの情緒的表現の可能性に挑戦2009年「Overture」、2010年「Lucèste」、そして今年で3度目の出展は、「Luce Tempo Luogo <光・時・場>」。ミラノで開催中のデザインの祭典ミラノサローネで、11日、東芝のインスタレーションがはじまった。プレスプレビューのこの日は、イタリア、日本をはじめ世界各国から多数のメディア関係者が訪れ、「美しさに感動した」、「ファンタスティック!」、「モルト・ベッラ(すばらしい!)」という言葉がそこここから聞こえる大好評のプレビューとなった。Text by OPENERSPhoto by TOSHIBALED照明器具を使用した光のインスタレーション3年連続3年目の出展となる今年、会場クリエイションを担当したのは、ダン・ドレル(イタリア)、リナ・ゴットメ(レバノン)、田根 剛(日本)の多国籍の3名を中心とし、パリを拠点に世界各地を舞台に活動す...
2011 ミラノサローネ 最新リポート|CANON

2011 ミラノサローネ 最新リポート|CANON

CANON|キヤノン特集|ミラノサローネ国際家具見本市 2011光の表情が空間に溶け込む映像体験2008年から3年間にわたって“あたらしい感性の世界”を意味する「NEOREAL(ネオリアル)」をテーマに出展しているキヤノン。ミラノサローネ50周年の今年は、さらにあらたな可能性を追求した「NEOREAL WONDER(ネオリアル ワンダー)」をテーマに、軽やかさと革新性が共存する映像表現の世界を創造している。Photo by Daisuke Ohki糸でつくられた立体的なスクリーンが描き出す、光の循環今年のキヤノン ミラノサローネ展覧会「NEOREAL WONDER」は、キヤノンの映像分野における総合力を背景に、メイン空間を手がけるトラフ建築設計事務所と、ビジュアルデザインスタジオWOW(ワウ)が手がける映像のコラボレーションにより、これまで体験したことのない映像空間が完成した。空間テーマ「Light Loom(光の織機)」から生まれたメイン空間には、無数の水糸(幅0.5mm、長さ1...
2011 ミラノサローネ 最新リポート|KARIMOKU NEW STANDARD

2011 ミラノサローネ 最新リポート|KARIMOKU NEW STANDARD

KARIMOKU NEW STANDARD|カリモク ニュー スタンダード特集|ミラノサローネ国際家具見本市 2011写真家 鈴木 心がとらえた“日常”今年で2度目の出展となる「KARIMOKU NEW STANDARD(カリモク ニュー スタンダード)」。今年は「日常に存在するモノの価値とはなにか?」をテーマとし、日常に寄り添う家具をつくりつづけるカリモク ニュー スタンダードと、日常を撮りつづける写真家 鈴木 心氏がコラボレーションを試みた。Text by OPENERS感性を刺激するあたらしいかたちの家具のエキシビションミラノ市内のコンテンポラリーアート・ギャラリー「SUZY SHAMMAH」を会場に、何十倍にも拡大された雑草、愛猫が爪を研いだソファの角、街中でふと目にするおかしな光景、窓の水滴、友人、家族……カリモク ニュー スタンダードの2011年の新作プロトタイプと、2010年のコレクションを取り囲むように壁面に展示された大小さまざまな写真。日に数百枚におよぶ写真を自ら...
J.M. Westonの最新作のローファー「Le Moc Weston」がデビュー|ISETAN MEN’S

J.M. Westonの最新作のローファー「Le Moc Weston」がデビュー|ISETAN MEN’S

ISETAN MEN’S|イセタンメンズ名作「モカシン180」の面影を残しながらも、履き心地の良さと軽さを重視J.M. Westonの最新作のローファー「Le Moc Weston」がデビュー「J.M. Weston(ジェイエムウエストン)」のアーティスティックディレクター、ミッシェル・ペリーがフレンチエレガンスを体現する「モカシン180」に敬意を表し、そのラインナップに新モデル「Le Moc Weston」を追加。夏の上品なスタイルを演出する、このローファーの全7色が、4月22日(水)より伊勢丹新宿店メンズ館地下1階=紳士靴売場で発売される。 Photographs by SUZUKI Shimpei Text by KAJII Makoto (OPENERS)余分なものは一切排除したシンプルなローファー新モデル「Le Moc Weston」は、クリームホワイト、アクアブルー、ブラッドレッド、ハバナブラウン、タバコブラウン、ウォーターブルー、ナイトブルーの豊富なカラーバリエーショ...
2011 ミラノサローネ 最新リポート|川合将人のミラノサローネそぞろ歩き 前編

2011 ミラノサローネ 最新リポート|川合将人のミラノサローネそぞろ歩き 前編

特集|ミラノサローネ国際家具見本市 2011川合将人のミラノサローネそぞろ歩き 前編ミラノを舞台に家具やインテリア製品の新作が一挙に発表される、世界最大の家具見本市「ミラノサローネ」。インテリアスタイリスト&ジャーナリストとして活躍する川合将人が前後編の2部構成に分け、2011年のサローネで体感したことを、昨年に引きつづき独断と偏見を多分に織り交ぜながらリポートします。写真・文=川合将人テキスタイルに焦点をあてた展示が目白押しまずは全体的な感想としてすぐに頭に浮かぶのが、椅子やソファの張り地、ラグやブランケットといったテキスタイルに特性をもたせたものだ。「TALKING TAXTILES」と題したリー・エデルコートのキュレーションによるエキシビジョンが開催されていたこともあるが、家具に使用されるテキスタイルの見本を壁面にずらりと並べて見せるブランドが、とにかく多かった。TALKING TAXTILES テキスタイルを使った革新的なデザインを集めた企画展。手前はブラジルのロドリゴ・ア...
INTERVIEW|小林聡美が長編映画のナレーションに初挑戦『アルプス 天空の交響曲』

INTERVIEW|小林聡美が長編映画のナレーションに初挑戦『アルプス 天空の交響曲』

INTERVIEW|ドキュメンタリー『アルプス 天空の交響曲』小林聡美が長編映画のナレーションに初挑戦!「実は1日で録音したんです」ヨーロッパに暮らす人びとにとって、身近にして偉大な存在がアルプス山脈である。このアルプスを最新鋭のシネフレックスカメラ(ヘリコプター用カメラ)で俯瞰し、大自然の全容と現状を伝えるドキュメンタリー『アルプス 天空の交響曲(シンフォニー)』(以下、『アルプス』)が4月18日(土)から公開される。ナレーションを務めたのは女優の小林聡美さん。ナレーションの面白さと難しさ、そして映画の魅力について話を聞いた。Photograps (portrait) by KIMURA YasuyukiStyling by MIYOSHI MarikoHair & Make by KITA IchikiText by KASE Tomoshige「もうひと味」を期待されているのかもしれない――今回のナレーションはどのくらいの期間で録音したのでしょうか。驚くべきことに……...
第1回:「ネズミの穴」って、なんだ?

第1回:「ネズミの穴」って、なんだ?

第1回:「ネズミの穴」って、なんだ?© DAIDO MORIYAMA「ネズミの穴」とは、いったい何か? まずは、そこからお話する必要があるでしょう。ネズミの穴、すなわち“ラットホール”とは、今年7月にオープンした「HYSTERIC GLAMOUR青山店」の地下に併設した、ギャラリーとヴィンテージブックを扱うスペース『RAT HALL GALLERY & BOOKS』(以下ラットホール ギャラリー)のことです。このコンテンツでは、そのラット ホール ギャラリーでおこなわれる折々のイベント紹介を軸に、参加アーティストや展示される作品のこと、あるいは彼らと僕との出会いについてなど、ラットホールを取り巻くさまざまな物語をお話していこうと考えています。第一回目の今回は、そもそも僕がなぜ、この青山店の地下にギャラリーをオープンしようと思ったかをお話します。青山店は、これから先の5年、10年を見据えて作ったお店おかげさまでヒステリックグラマーもブランド創設23年目。今年は3月に六本木店、...
第2回:森山大道との出会い、衝撃

第2回:森山大道との出会い、衝撃

第2回:森山大道との出会い、衝撃© DAIDO MORIYAMA前回のお話の中でお伝えしたとおり、去る10月13日、東京・青山の「ラットホール ギャラリー」がついにグランドオープンを迎えました。現在その第一回目のイベントとして、「森山大道写真展it」が開催されています。そこで、今回のコンテンツでは、その森山大道さんとの出会いと、そのきっかけとなったヒステリックグラマーの出版活動についてのお話をしようと思います。写真を突き抜けた音楽が、頭の中で鳴り響いたヒステリックグラマーが出版活動を開始したのは、1987年のこと。1991年からは“hysteric”というカタチで写真集の発表を始めたのですが、当初はさまざまなアーティストによるオムニバス形式を採っていました。ちょうどその頃、僕ははじめて森山さんの写真と出会います。最初に見たときは、なにか写真を突き抜けた音楽が、頭の中で鳴り響いたように感じました。衝撃を受けた僕は、彼にもぜひ、僕らの写真集に参加してもらいたいと思い、お声を掛けたのです...
第3回:僕とアートの、はじまりと吹っ切れ

第3回:僕とアートの、はじまりと吹っ切れ

第3回:僕とアートの、はじまりと吹っ切れ© DAIDO MORIYAMA森山さんのトークショーも、大盛況のうちに終了し、「森山大道写真展it」も残すところあと半分。このコンテンツも早いもので、もう3週目を迎えました。今回は、ちょっと時間を遡り、ラットホール ギャラリーの母体となった、ヒステリックグラマーのアート活動のきっかけについてお話ししたいと思います。はじまりは、ヒステリックグラマーを立ち上げて3年目の1987年。当時コム デ ギャルソンやヨウジ ヤマモトが先駆け的に作っていた、アーティスティックなカタログに触発され、ウチでもなにか始めようと思ったのが、アートや出版と関わるようになったきっかけでした。ギャルソンやヨウジのカタログに触発され、メキシコ、グァテマラへそう思い立つと、いても立ってもいられなくなるのが僕の性格。さっそくメキシコとグァテマラに行って、ウチの洋服を使ってアート作品的なモデル撮りを敢行、その後も、アメリカを横断したり、タイに行ったり、もちろん東京でも、いろいろ...
2011 ミラノサローネ 最新リポート|川合将人のミラノサローネそぞろ歩き 後編

2011 ミラノサローネ 最新リポート|川合将人のミラノサローネそぞろ歩き 後編

特集|ミラノサローネ国際家具見本市 2011川合将人のミラノサローネそぞろ歩き 後編インテリアスタイリスト&ジャーナリストとして活躍する川合将人がお届けしている、ミラノサローネ・レポート。後編となる今回は、今年特に内容が充実していたオランダのデザイン学校 DESIGN ACADEMY EINDHOVENの卒業生による展示を中心に、強く印象に残ったブランドやデザイナーの仕事をまとめて紹介する(前編はこちら)。写真・文=川合将人とくに目をひいた、オランダの「DESIGN ACADEMY EINDHOVEN」50周年という記念すべき年を迎えた本年のサローネも、約1週間の期間中に例年どおり数多くの展示が開催された。<エルメス>から家具を発表したエンツォ・マーリや、<メリタリア>で好き放題なデザインを発表しつづけるガエターノ・ペッシェなど、いわゆるイタリアの巨匠系も健在ではあったが、振り返ってみて一番強く記憶に残ったのが、市内の会場でおこなわれた「THIS WAY」と題されたDESIGN A...
第4回:森山大道氏とのトークショー その1

第4回:森山大道氏とのトークショー その1

第4回:森山大道氏とのトークショー その1今回は、10月21日にラットホールギャラリーで行われた、森山大道×北村信彦のトークショーの模様をお伝えします。Photo by FUKUDA Emikoある種、恋にも似た展覧会MC●まずこの『it』と名付けられた今回の展覧会用の写真をご覧になったとき、北村さんはどんな印象をおもちになりましたか?北村●最初、森山さんの方から四つ切りのプリントを見せていただいたんですが、見た瞬間に配置まで決まりましたね。もちろん作品ひとつひとつのイメージも強いんですが、トータルの世界観として、どこかしっとりエロティックで、モダンで、でも通して見るとロマンティックという、僕にとっての森山さんの世界が凝縮されていました。“なるほどitってそういう意味だったんだな”と思いましたね。森山さんは、この『it』というタイトルに対しては、どういう思いだったんですか?森山●子供の頃から、父が誰かを見たときに、よく「この人はitだな」というようなことを言っていたのを聞いていまし...
21,383 件