万象理法学が提唱する「運は良い方向にデザインできます」
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2025年7月25日

万象理法学が提唱する「運は良い方向にデザインできます」

LOUNGE|万象理法学

占いは“当てるもの”だと思ってはいないだろうか。「万象理法学」はまったくその逆の考え方の易学だ。生年月日から割り出す九星と「生まれた方角=向示律」を掛け合わせ、吉方位を先に読んで行動を設計する実践学だ。理論を築いた祖父から学びを継いだ齋藤哲楼さんは、運気も体力と同じく “鍛えれば貯まる” と語る。今回は、その理論の実践で運をデザインした三つのリアルケースを紹介。ややこしい易や風水の専門用語は抜きにして、まずは週末にスマホのコンパスを開いてみたくなる、そんな“運を動かす”人生への入り口をご案内。

Text by TSUZUMI Aoyama|Photography by TAKAYANAGI Ken

万象理法学で「運をデザインする」本意とは

まずは土台の話をしておこう。九星気学は、明治末〜大正期に日本で整理された方位学で、生年月日を九つの星(一白水星〜九紫火星)に割り当て、年・月・日の気の流れと吉凶方位を読むものだ。目的は、運を好転させる行動指針を得ること。昭和初期に大衆化し、昭和30年代には引っ越しや開業日の定番指標として定着した。
そこに独自のギアを噛ませたのが万象理法学である。戦後の哲学博士である佐々木晧有(1914-1993)が「星だけでは粒度が粗すぎる」と考え、出生時に割り振られた八方位を向示律(こうじりつ)と名付けて掛け合わせた。九星(9)×向示律(8)=72タイプ。これが「長所と短所の真芯を突く」と評判を呼び、1979年刊『暗剣殺入門』(祥伝社)で一般にも広がった。晧有の孫である齋藤哲楼先生は2013年から講座とコンサルを本格化し、政財界の要人や経営者、アスリートまで延べ17,000人を気学鑑定・指導をしている。
九星気学が“気象庁の週間予報”だとすれば、万象理法学は“ピンポイント天気”に近い。星だけの吉方位が「西」で止まっていたものが、向示律を重ねると「西南西・11月は北東も可」といった具合に絞り込めるというわけだ。
そんな万象理法学は、現代的に説明するなら「運をデザインするための実践理論」。使いこなすための3つの原則はこのとおり。
1.己を知る
生年月日で決まる九星は“エンジン”、生まれた方角=向示律は“ハンドル”。二つを掛け合わせた72タイプが、自分のアクセルとブレーキの位置を教えてくれる。「自分の長所と短所を把握することから運のチューニングは始まります」と齋藤先生。
2.相手を知る
上司が西向示律、パートナーが東南向示律なら、求めるスピードもゴールも違う。星と向示律を照合すれば、いつ歩み寄り、いつ距離を置くかが見えてくる。「人との相性は調整できるもの。合わないなら合わせればいいだけです」。
3.流れを読む
九星には年・月・日の天気図があり、高気圧(吉)も低気圧(凶)も周期で動く。凶を恐れて立ち止まるより、追い風の時期に一歩先へ滑り込む方が簡単だ。吉方への移動(吉方取り)も大きく運気を好転させる。追い風で稼いだ“吉方位貯金”があれば、向かい風の日も大きく失速しない。吉方取りについては後段で詳細に解説する。
まずは、この三原則が腹に落ちれば、残りの記事で紹介するハックが「なぜ効くのか」スッと理解できるはずだ。

まずは自分の星と向示律を知る

まずは自分の「向示律」を知ろう。やり方は拍子抜けするほど簡単だ。齋藤先生が提供するウェブサイトにアクセスし、生年月日を入力。すぐに「あなたは東南向示律」などと判定が出る。それだけで、九星というエンジンに合う“ハンドルの切れ角”が分かる仕組みだ。
なお、九星の早見表はこちらで参照できるのであわせて確認を。
下は八方位の性格キーワードをざっくり並べた早見表。細かいニュアンスは診断結果を読んでもらえば十分なので、ここでは「得意技」と「つまずきやすい石」をイメージしてほしい。
「自分は東向示律=毒舌気味」と分かれば、会議で最後に話すよう意識するなど対策が立てやすい。裏を返せば、短所は長所の使い過ぎとも見ることができる。北向示律の無表情は「決断前の温度管理」として活かせるし、西向示律の“巻かれ上手”はトレンドを掴むアンテナとして活用することができる。
ここまでで、自分の星(エンジン)と向示律(ハンドル)が判明した。次は、実際にハンドルを切ってみた三人のケーススタディへ進もう。

運をデザインした実例3選

「うまくいかないときっていうのは、アクセルとハンドルが噛み合っていないだけなんです。星はエンジン、向示律はハンドル。噛み合わせを1ミリ調整するだけで、クルマはまっすぐ進み始めるんです」(齋藤先生)
実際に齋藤先生の指導により人生を好転させた例を2つ、そしてもう一つは万象理法学で読み解く成功者の実例、あわせて3つのケーススタディをご紹介。
まずは「俺について来い」型の社長が離職率を30%から5%にまで減らした例。
この経営者の本命星は「二黒土星」で向示律は「北」。縁の下で采配を振ることで本領を発揮できるタイプだが、優秀な彼は自力である程度の成功を収めた。その結果、若い頃の武勇伝に頼り、朝礼で号令を飛ばす“前線司令官”になってしまっていた。
「北向自律の方は本来〈無言の安定装置〉なのです。持ち味を最も発揮できるのは、しゃべり過ぎないこと」。そんな齋藤先生の助言通り、部下への指示はチャットで要点を伝えるだけに変更した。
結果、半年で退職ゼロ、粗利は1.4倍に伸びたという。「指揮より調整へと改めるにはご自身もかなり努力されたと思いますが、愚直に取り組んでいただいた結果が現れた好例です」(齋藤先生)
続いて、「大規模案件を射止めた」クリエイティブ・ディレクターの実話。
本命星「九紫火星」で、向示律が「東南」。光を浴びる星に、“八方受け入れ体質”のハンドルという気質の持ち主。ところが本人は「苦手な人とは組まない」主義で人脈を狭く保ち、その結果、仕事の単価が伸び悩んでいた。
「東南向示律は〈来る者拒まず〉が武器なのですが、好き嫌いで門を閉じた瞬間、追い風が止まります」(齋藤先生)
半年間、持ち込まれた案件は一度形にするというルールを設けて懐を開放。大手鉄道系デベロッパーが開発する商業施設の全体ディレクション(年間約5億円)を獲得し、単価は4倍に。
「九紫火星は〈光の当て方〉がすべて。間口を広げてから取捨選択すれば、光は必ず返ってくるんです」と齋藤先生は話す。
さらに、誰もが知る有名人のエピソード。あの大谷翔平だ。
本命星「六白金星」で向示律「南」。理想を貫く星と「見られて伸びる」ハンドルの持ち主。
「六白は“王道”しか選ばない星。南向示律は“舞台のど真ん中”でこそ花開く。二刀流を貫けたのは星と向示律のバックアップがあったからです」(齋藤先生)
2024 年のオフシーズン、“碧が伸びる”三碧木星の年に、ブルーが象徴色のドジャースへ移籍し、チームは優勝。
2024年の六白金星は東北に在位。それは変化の宮に入ることを示す。この追い風を受けた大谷自身も、開幕2か月で OPS1.050 超え。リーグ屈指の強打者とみなされる数字を叩き出した。
「環境ごと追い風に変えた好例。星と向示律、年のサイクルが三重に噛み合うと“努力が結果に直結する感覚”になるんです」と齋藤先生は分析する。
この3人に共通するのは、星(エンジン)と向示律(ハンドル)で自分の“クセ”を把握し、行動をわずかにずらしただけで追い風を最大化したことだ。あなたもまずはコンパスを開き、吉方へとハンドルを切ってみてほしい。

幸運がたまる「吉方取り」

ケーススタディで見たとおり、万象理法学は「星×向示律」で自分の“クセ”を掴んだうえで、行動をほんの少しずらして追い風を取り込む、その繰り返しで運を底上げしていく。ここでもう一つ、万象理法学の核心になる考え方を押さえておきたい。それが「吉方取り」だ。
吉方取りとは、「いま氣が集まっている方角へ一度動き、良い氣を身体に入れてから戻る」というシンプルな行動術。その移動距離が長いほど強く作用するとするのが九星気学では昔からある考え方だが、万象理法学では距離を極端に伸ばさずとも、生活圏内で充分積み立てることができるとする。
「吉方位取りは、都内においての電車で二駅以上先に行けば最短距離で吉方位取りが出来ます。現地に到着してから最低2時間以上滞在すると現地の気を身体に取り入れることになり吉方位取りが成立します。ただし、遠ければ遠いほど、長く滞在すればするほど、強く運気が好転していきます」(齋藤先生)
九星気学では、毎年「九つの星」を方位盤に配置した“年盤”が発表され、同じ要領で各月にも“月盤”、そして“日盤”がある。星の並びが吉か凶かを示す年間天気図と月間天気図、と考えてほしい。
さらに月盤と日盤の二枚を重ね、吉と重なった方位が、その数日だけ現れる吉方位。いわば特別ボーナスの方角だ。反対に、その年だけ凶作用が集中する「暗剣殺」の方位もある。
「ちなみに、“大吉方位”というものがある。年盤と月盤と日盤の3つが吉と重なる日のことです。これは引っ越しの際に活用すると強い効力を発揮します」と齋藤先生。星によって違うが年に数回あるとのこと。
もし暗剣殺の方向に出張などでどうしても動く必要があったなら、その前後で吉方位に一泊し“プラス残高”を作れば負債を相殺するというやり方もある。行き先と日付を手帳に一行〈6月20日 西南西 自宅から20kmで3時間滞在〉のようにメモをしておくと、貯金と成果の相関が自然と見えてくる。
齋藤先生によれば「現地での楽しみ方ですが、まずはその方位の神社に行く事をお勧めしています。理由は数百年にわたり先人達が清く整えている、その方位で1番気が濃い場所だからです。最初にその気を身体に浴びた後は、その方位の中で好きに行動して下さい。美味しいものを食べて気を身体にいれる、カフェでゆっくりする、その方位でお仕事をしても構いません。特にお水には気が多く含まれているので、吉方位でお風呂に入ることはとてもおすすめです」とのこと。
九星でエンジン音を聞き、向示律でハンドルを合わせ、年・月盤で追い風を読む――万象理法学は占いというより行動設計の技術だ。吉方位の貯金を増やしておけば、凶という借金は怖くない。
まずは自宅から離れた吉方へ、スマホのコンパスを頼りに訪れて2時間以上滞在してみること。その一歩が、運をデザインする最初の行動になる。さらに理解を深めたければ、齋藤哲楼先生の講座で実践例を学ぶのも近道だ。
齋藤哲楼
万象理法学気学指導者/気学指導者で哲学博士 故佐々木晧有(ささき こうゆう)を祖父に持つ。小学校3年生より晧有から気学と哲学の教えを受け育つ。20歳でメディアコミュニティケーションを勉強するため渡米。帰国後、政治家、スポーツ選手などの通訳業を経て、2013年、気学指導者として独り立ちする。政治家、上場企業会長、芸能人、オリンピック選手から一般の主婦まで幅広く気学指導を行っており、2024年3月現在、対面気学指導者数8583人、気学鑑定者数17000人を超える。
                      
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