現代に活躍する独立時計師の中で最も成功を収めた一人、フランク・ミュラーが1992年に創業したブランド。彼は、ジュネーブの時計学校にて本来は3年かかる技術を1年で修得し、主席で卒業するほどの天才だった。 1986年に製作した初のオリジナル・ウォッチでは、自動振動(フリー・オシレーション)という特許取得の新機構を組み込んだ独創的なトゥールビヨンを開発。その翌年にはミニッツリピーター付きトゥールビヨン、89年には永久カレンダーを組み込むなど、多数の複雑時計を個人として手掛けてきた。 ブランドを興してからも、ダブル・ジャンピングアワーやレトロ・グラードセコンド、ダブルフェイス・クロノグラフなど、時計界を激震させる新機構を数多く開発する。また創業年には、現在のフランク・ミュラーの代名詞でもある流麗なトノー型ケースを採用した「トノウ・カーヴェックス」を発表し、意匠面でも他ブランドとは一線を画した魅力を放つ。 こうして独立独歩の道を進み続けるフランク・ミュラーだが、1995年には若手育成を目的として、ジュネーブ郊外に新工房「ウォッチランド」を設立。また、同地にてW.P.H.H.と称するフェアを毎年開催し、複数のブランドと新作を合同発表するようになる。 さらに2001年には、隣接する土地に2棟の建物も完成させ、2007年には同グループのブランド数を大幅に増やすなど、現在も時計界のリーダーとして快進撃を続けている。 【創業年】1992年 【創業地】スイス、ジュネーブ 【主なシリーズ名】トノウ・カーベックス、ロングアイランド、カサブランカ、ヴェガス、クレイジーアワーズ、レボリューション 【問い合わせ先】フランク・ミュラー東京(フランク・ミュラー ジャパン) Tel. 03-3549-1949 公式サイト:http://www.watchland.jp
FRANCK MULLER
FRANCK MULLER|フランク・ミュラートノウ・カーベックス クレイジー・アワーズText by OPENERS2003年にデビューした「クレイジー・アワーズ」は、世界中の時計ファンに大きな衝撃を与えた作品だ。なにせ時を表示するためのインデックスが、1〜12まで規則正しく並ばず、バラバラに配置されているのだから。常識的な時間表示の概念をくつがえす、まさしくフランク・ミュラーらしい大胆奇抜な時の表現方法といえるだろう。しかし、一見するとイレギュラーなインデックスの並びだが、よくよく注意してみると、そこには明確な配列があることに気づく。たとえば、12時位置の“8時”を起点とするならば、時計周りに1、6、11、4を飛ばすと、次に“9時”が来る。さらに9時の次には、2、7、12、5を飛ばして、“10時”が来る。つまり、正しいインデックスの並びは、4つおきにレイアウトされているというわけだ。時針は、まさしくこの配列に従って、4つのインデックスを飛び越えながら、規則正しく時間を表示してい...
FRANCK MULLER|フランク・ミュラーCASABLANCA|カサブランカText by OPENERS1994年に誕生した「カサブランカ」は、フランク・ミュラー初のSSケースを採用したコレクションで、現在も同ブランドを代表する人気モデルである。モデル名は往年の傑作映画『カサブランカ』から名付けられている。1940年代の仏領モロッコを舞台に繰り広げられるストーリーからインスピレーション得て、サハラ砂漠の砂塵から“ステンレススティール”を、街頭すらない夜道から“夜光ダイヤル”を、うだるような熱さからタフな“カーフベルト”を着想。また、クラシカルなトノーケースも大きな魅力で、風防や文字盤自体もゆるやかな丸みを帯びており、非常にエレガントなデザインに仕上がっている。文字盤は写真のブラック、コパーのほかに、ホワイトも用意。さらに、カサブランカのユニークな点は、ダイヤルの日焼けなどの経年変化を、“エイジング”としてポジティブに受け入れているところだ。そのために、文字盤やインデックスには...
フランク・ミュラーグループ「ウォッチランド」が東京に集結フランク・ミュラーに東京で出会える場所『フランク・ミュラー東京』が今春、『フランク・ミュラー ウォッチランド東京』として新たに生まれ変わった。フランク・ミュラーの世界観をそのまま凝縮し、ラグジュアリー感をさらに極めたブティックの誕生だ。文=野上亜紀Photo by Jamandfix今回、店名にくわえられた「ウォッチランド」とは、フランク・ミュラーが率いるブランドを集めたグループ名のこと。その数はいまや、ピエール・クンツや、ECW、ロドルフ、バルトレー、バックス&ストラウスなど、総計8ブランドにもわたる。昨年末は本国のスイスでも、ジュネーブ市街中心部にフランク・ミュラーグループすべてのブランドを集結させたブティック『FRANCK MULLER WATCHLAND BOUTIQUE』をオープンしたばかり。日本でも大阪・心斎橋のブティックをはじめ、フランク・ミュラーブティックのウォッチランド化が着々と進められてきた。この東京ブティ...
パイオニア精神が生んだ ヴェガス・ジョーカーフランク・ミュラーが年に1回、6月に発表する「スペシャル・ジューン」の限定モデルがもうすぐお目見えする。勝負に勝つための最後の切り札を意味する“ジョーカー”と銘打たれた限定モデルは、昨年はダイナミックな顔立ちの「コンキスタドール」で評判を得たが、今年は10周年を迎えるルーレット文字盤の「ヴェガス」が選ばれた。構成・文=野上亜紀Photo by Jamandfixフランク・ミュラーの限定コレクション「ジューン・スペシャル」。今年の顔は1999年に生まれた「ヴェガス」コレクションだ。遊び心から生まれた時計、その深い魅力を知る。限定モデル「ヴェガス・ジョーカー」。3次元曲線のトノウ・カーベックスケースとダイヤモンドの美しい旬の顔を集めた、フォトギャラリーコレクション。フランク・ミュラーに東京で出会える場所「フランク・ミュラー東京」が今春、「フランク・ミュラー ウォッチランド東京」として新たに生まれ変わった。いまや総計8ブランドを抱えるフランク・...
Rodolphe|ロドルフデザインから発想する独創的な時計作り「ロドルフ」は、スイス人時計デザイナーであるロドルフ カタンがデザインを手がけるブランドだ。“時計の審美家”とも呼ばれるロドルフの時計作りはムーブメントから開発するのではなく、時計の目に見える部分、つまりケースと文字盤、針、リューズやストラップをデザインすることから始まる。デザインを立体的に造形するための機械的要素として捉え、最終的に時計の美的要素に合わせてムーブメントを考えていく方法だ。ピュアでありながら官能的な曲線、力強いけれども奇抜ではなく、全体にまとまりを持つのがロドルフのスタイルだ。その建築物をも思わせるスタイルは、幾度となくル・コルビュジエの建築と比較されてきた。またロドルフには、眠っているブランドを目覚めさせてきたという実績がある。イタリアで人気の誇る「ブレイル」やファッションブランドの「エスプリ」など、ロドルフの才能は他ブランドにおいても裏付けられていく。新天地を切り開くという意志と、優れた美的感性は新た...
フランク・ミュラーグループ『ウォッチランド』が東京に集結いまや総計8ブランドを抱えるフランク・ミュラーグループ。定番はもちろん2009年の新作までもが現在、各店舗に続々と入荷中だ。フランク・ミュラーグループの魅力的な世界に、実際に見て触れることのできるチャンスが到来している。構成・文=野上亜紀Photo by Jamandfix「レトログラードの魔術師」と呼ばれるピエール・クンツは、レトログラードに独自のセンスを反映させた、モダンなデザイン力が評価されている。フランク・ミュラーの技術者であったが、2003年にフランク・ミュラーグループからデビュー。瞬く間にグループの“顔”となった。今年注目の的となったダイバーズウォッチも、近々フランク・ミュラー ウォッチランド東京への入荷が予定されている。“時計のためのダイヤモンド”ではなく“ダイヤモンドを美しく見せるための時計づくり”を指針とするブランド。1789年にロンドンで創業されたダイヤモンド会社を母体とする。ハイジュエリーウォッチを始め、...
CVSTOS|クストス未来をつくる“時の先駆者”クストスは、サスーン・シルマケスとアントニオ・テラノヴァのふたりが手がけるブランドだ。ブランド名の「クストス」は、ラテン語の“タイムキーパー”を意味する。クストスは最高の腕時計を作りたいと願う彼らの、強いパートナシップから誕生した。スイス腕時計の伝統に精通したクストスの時計製作は、「性能」「効率性」「上品さ」「希少性」という、4つの重大な価値観を基盤とする。希少性と美しさのバランスクストスはスケルトン仕様のクロノグラフをはじめ、最先端のテクノロジーと機械式時計の伝統を融合させた、大胆な発想の時計づくりに定評がある。パラジウムにグレード5の耐久性の高いチタンを組み合わせることでローターの効率性を上げた高性能ムーブメントなど、彼らは機能性を追求するばかりでなく、各部品の“希少性”や“美しさ”にも着目してきた。技術の精巧性とデザインの巧みさとを同レベルに考えることで、“視認性とハイテクデザインが融合した”独自のスタイルを培ってきたのである。...
Franck Muller|フランク・ミュラー冒険心を喚起する新たな顔のカサブランカ今年はフランク・ミュラーの定番コレクションである「カサブランカ」が誕生して15周年を迎える。今月の10月1日、初のリミテッドモデルとなる「カサブランカ カモフラージュ」が登場した。Text by NOGAMI AkiPhoto by JamandfixStyling by SAKURAI Masayuki旅への憧憬をいざなうエレガントなタフ・ウォッチ1940年代、モロッコはヨーロッパの人々がヴァカンスを過ごす場所であり、彼らにとっては“旅への憧れ”を誘う土地でもあった。そんなモロッコを舞台とした映画『カサブランカ』に触発され、フランク・ミュラーは1994年、初の“トラベラーズ・ウォッチ”のコレクションを展開する。それが今も定番モデルとして愛されている「カサブランカ」コレクションの始まりだ。「カサブランカ」は3次元曲線によるトノウ・カーベックスの、クラシカルなアール・デコスタイルが美しい時計。また、彼...
Franck Muller|フランク・ミュラーあらたなる挑戦への道標“タフ”な表情を見せる時計フランク・ミュラーによる新作「コンキスタドール・グランプリ」。ダイナミックな「コンキスタドール」コレクションから誕生したスポーツモデルは最高の耐久性を誇る。写真=奥山栄一スタイリング=壽村太一モデル=MYCHAEL文=野上亜紀強固かつ軽量な素材を用いたスポーツウォッチ「コンキスタドール・グランプリ」、そして「コンキスタドール・グランプリ クロノグラフ」──この時計にふさわしい言葉を探すとすれば、それはまさしく“タフ”という一語に尽きるであろう。ブランドを語る優美な3次元曲線のトノウ・カーベックスケースの改良を重ね、「征服者」の名のもとに“ダイナミズム”を探究してきた「コンキスタドール」コレクション。その最新作となる「コンキスタドール・グランプリ」のシリーズでは、ハイテク素材を用いることで、スポーツウォッチに必要とされる強靭な一面があらたに導き出されている。「コンキスタドール・グランプリ」は...
逆転の発想で実現した超高速トゥールビヨンモデル革新の「サンダーボルト™トゥールビヨン」1991年に創業し、またたくまに時計業界屈指のマニュファクチュールとなった「フランク・ミュラー」。トゥールビヨンに代表される複雑時計技術は常に進化し続け、ついに今年、これまでの常識を覆す革新のマスターピースが誕生した。Text by SHIBUYA Yasuhito常識破りのフランク・ミュラー調速機構を強制的に回転させることで、地球の重力が調速機構に及ぼす影響を平均化し、時間精度を向上させるトゥールビヨン。秒針車の上に脱進機機構を収めたキャリッジをセットして、1分間に1回転させるのが常識的な構造である。 だが、新作「サンダーボルト™トゥールビヨン」は、1分間に12回転する脱進機(がんぎ車)上にキャリッジを配置するという、逆転の発想でこの常識を打ち破った。通常の12倍の速さとなる、5秒で1回転するトゥールビヨンムーブメント、キャリバー2025Tを本作で初めて搭載した。なお、高速回転のために増えるエネ...
Roberto Cavalli|ロベルト・カヴァリフランク・ミュラーとコラボレートしたウォッチコレクション「ロベルト・カヴァリ バイ フランク・ミュラー」発表Roberto Cavalli(ロベルト・カヴァリ)とFranck Muller(フランク・ミュラー)のコラボレーションがついに実現。先日おこなわれたパリ・オートクチュールコレクション展にて、ウォッチコレクション「ロベルト・カヴァリ バイ フランク・ミュラー」を発表した。Text by FUJITA Mayu(OPENERS)一流ファッションデザイナーと天才時計職人のデュオイタリアを代表するファッションブランド、ロベルト カヴァリ グループと、最高級時計の第一人者であるフランク・ミュラー グループによるパートナーシップ契約が発表されたのは2012年1月。先日おこなわれたパリ・オートクチュール ファッション ウイーク期間中に、待望のウォッチコレクションが披露された。それぞれの際立ったDNAを受け継ぎ、完成された新ウォッチコレクシ...
W.P.H.H. World Presentation of Haute HorlogerieW.P.H.H. フランク・ミュラー ウォッチ ランド文=渋谷康人時計学校在籍中の10代から天才ぶりを讃えられ歴史に名を残す偉大な時計師たちの遺志を継承・発展し、芸術的な複雑時計を創造してきたフランク・ミュラー。彼をリーダーに、フランク・ミュラー ウォッチランドグループはコンセプトでもメカニズムでもデザインでも、つねに「新しい腕時計」の世界を提示してきた。2010年はフランク・ミュラーから2009年秋にF1シンガポールグランプリを記念して限定モデルとして発表された、ケースに新素材を採用した本格スポーツウォッチ「コンキスタドール・グランプリ」がレギュラーモデルとしてお披露目。また、グループ傘下のクストスから超絶的なコンプリケーションモデルが登場するなど、とくにスポーツウォッチの分野で魅力的な新製品が登場した。Franck Muller|フランク・ミュラーファン待望のスポーツクロノグラフF1マ...
Franck Muller|フランク・ミュラーレリーフ コレクション、2010年の新作はピンクゴールドText by OPENERS時計のケース素材に同色のインデックスをあしらった「レリーフ コレクション」。 レリーフ コレクションは、従来のアップライトやペイントのインデックスとは違い、文字盤の裏側から型押しする“レリーフ”で仕上げられたインデックスを特徴とする。熟練した職人のバランス感覚を必要とするこの仕上げで、インデックスの12個の数字をより立体的に表現。独特の質感と陰影を楽しむことができるレリーフ コレクションでは、丸みのあるラインが躍動的な美しさを見せるビザン数字も、よりいきいきとした表情を見せている。新作ではレリーフ状に浮き上がるインデックスに、ピンクゴールドを使用したモデルがあらたに登場。やさしい味わいのピンクゴールドに、文字盤中央にさりげなくあしらったダイヤモンドが、よりエレガントな輝きを導く。「トノウ・カーベックス」と「ロングアイランド」の2種から選べるのもうれしい...
W.P.H.H. Franck Muller|W.P.H.H. フランク・ミュラーファン待望のスポーツクロノグラフコンキスタドール クロノグラフ・グランプリ 文=渋谷康人 F1マシンや航空宇宙分野で使用される、マグネシウムを主成分にチタン、アルミニウム、銀、銅、ジルコニウムを含んだ軽量で強靱な合金「エルガ」をブラックチタニウムとともにケースに採用したスポーツクロノグラフ。精悍なブラックベゼルや、ケースと一体化するようにデザインされたクロノグラフのプッシュボタンなど、これまでのコレクションにはない雰囲気が新鮮だ。また9時位置のリュウズでワンタッチで日付変更ができるのもユニーク。フランク・ミュラーファン待望の本格スポーツモデルがついに登場した。同じデザインのデイト付き3針モデルもある。ともに自動巻き、H57.4×W38.2mm、今秋発売予定。右:ピンクゴールド×チタンケース×クロコダイルストラップ、294万円(予価)左:エルガ×ブラックチタンケース×クロコダイルストラップ、115万50...
初の自社製造7日間パワーリザーブモデル新作「ヴィンテージ・セブンデイズ・パワーリザーブ」 機械式時計の古典的なスタイルをフランク・ミュラー流に新解釈。自社開発ムーブメントとして、初の7日間ロングリザーブムーブメントを搭載した点も見逃せないポイント。Text by SHIBUYA Yasuhito伝統的技術とモダンデザインの融合ビザン数字やブレゲ数字など、クラシカルな要素と現代的なセンスを見事に融合させた、ラッカーダイヤルのクラシックなデザインが特徴の「ヴィンテージ・セブンデイズ・パワーリザーブ」。 一度フルにゼンマイを巻き上げたら7日間動き続ける、ロングリザーブムーブメント、キャリバーFM1700を搭載する意欲作。フランク・ミュラーの古典時計の知識と高い機械式時計技術が融合して生まれた、時計愛好家必見の新作だ。Vintage 7-Days Power Reserve|ヴィンテージ・セブンデイズ・パワーリザーブケース│縦48.5☓横35mm、18KPGまたは18KWGケースムーブメン...