萩原輝美のファッション・デイズ
「萩原輝美のファッション・デイズ」に関する記事
萩原輝美 連載 vol.130|ディオール、フェンディによる華麗なオートクチュール
「ディオール」「フェンディ」の最新コレクションメゾンのDNAを秘めたオートクチュール絶妙のバランスダウンで新しさを出したディオール。はじめてのクチュールファーに挑んだフェンディの“オートフリュール”。2015-16年秋冬オートクチュール、今シーズンも話題満載でした。Text by Terumi Hagiwaraアイコンのバージャケットを蘇らせたディオール2015-16年秋冬パリ・オートクチュールコレクションです。ディオールは極彩色のガラスで組み立てた「快楽の園」を作りました。床には紫の芝生カーペットを敷き詰めています。はじめに登場した白いシフォンドレスは、抜けるような透明感でイノセントなイメージを出しています。そのシフォンドレスに片方だけ量感あるファー袖をつけたマントを重ねます。巨大フラップ、大きくAラインを描くマントでバランスダウンさせています。大きな衿、アシンメトリーなヘム、ミンクやチンチラにカシミアを合わせてボリュームを出します。ケープの裏はドレスに使われる、クレープデシンに...
萩原輝美|来日したアントニオ・ベラルディと対談!
萩原輝美のファッション・デイズ vol.70来日デザイナーにインタビューアントニオ・ベラルディと対談!アントニオ・ベラルディ。1994年、ロンドンのセントマーチンンズ カレッジを卒業と同時に話題を呼び、ガリアーノ、マックイーンに続く期待のデザイナーがベラルディでした。デビューから18年。ミラノからロンドンにコレクションを戻し、来春からは東京でブリッジライン「BERARDI」を発売します。そのプレゼンテーションのため来日したアントニオ・ベラルディに聞きました。Text by HAGIWARA TerumiPhotographs by HORIBA Toshitaka“あたらしいものを作るのは簡単。クラシックを作る方が難しいんだ”萩原輝美(以下、萩原) とてもフラジールなんだけれど、芯は強い。ベラルディさんが女性の服を作るうえで一番大切にしていることは何ですか?アントニオ・ベラルディ(以下、ベラルディ) 「コントラスト」。両親はシシリア生まれの生粋のイタリア人。でも僕はイギリスで生まれ...
萩原輝美|ヴィクター&ロルフと対談
萩原輝美のファッションデイズ vol.108オートクチュールはモードの実験場ヴィクター&ロルフと対談ヴィクター&ロルフは1998年オートクチュ-ルコレクションでデビューしました。3年目に発表の場をプレタに移しましたが、昨年からまたクチュールを復活。クチュールにカムバックしたヴィクター&ロルフに、そのデザイン活動の心境を聞きました。Photographs by MATSUNAGA ManabuText by HAGIWARA Terumiクチュールを愛するヴィクター&ロルフ現在クチュール、プレタ、メンズと年6回のコレクションを発表しているヴィクター&ロルフ。こうしたカムバックデザイナーも含めて、クチュールコレクションが活気づいている。ショー前日、コーディネイトチェックをしているホテルの現場にデザイナーのふたり、ヴィクター・ホルスティンとロルフ・スノエレンを訪ねました。――1998年のデビューコレクション、ボンブ(爆弾)は今でもはっきり覚えています。オーガンジーで膨らんだ大きな衿は、し...
萩原輝美 連載 vol.129|ヴィクター&ロルフによる“ウェアラブルアート”のオートクチュール
服と絵画を行ったり来たりヴィクター&ロルフが堂々のアーティスト宣言勢いづくパリオートクチュールコレクションがまたひとつ新しい可能性を見せてくれました。「着られるか、着られないか。売れるか、売れないか。そんな小さなことどうでもいいでしょ。問題はそれを作りたいと思うか、思わないか。それがすべてです」。ヴィクター&ロルフがアーティスト宣言。オートクチュールのステージをぐっと広げてくれました。Text by Terumi Hagiwaraファッションとアートを織り交ぜた、“ウェアラブルアート”ヴィクター&ロルフは今年3月でプレタポルテの活動をレディス、メンズとも中止し世界中のショップを閉めることにしました。今後は「思うままに作りたいものを作る」と宣言。オートクチュールコレクションだけに力を注ぐことになりました。その初めてのコレクションが、7月に2015-16年秋冬パリオートクチュールコレクションで発表されました。会場は大きな正方形のステージ、壁は一面白です。最初に登場したのは、デニムのチュ...
萩原輝美 連載 vol.128|ローマで披露したヴァレンティノの最新オートクチュールショー
“ミラビリア・ロマーエ”古代ローマ甦らせたローマで披露したヴァレンティノの最新オートクチュールショーヴァレンティノの2015-16秋冬コレクションは、ブランドのルーツを探るファッションの旅となりました。オートクチュールコレクション最終日の朝7時にシャルル・ドゴール空港に集まりチャーター便でローマへ。取材陣が乗り込んだ車が向かったのは、19世紀ローマの富豪メディチ家の別荘です。パリではなく、なぜわざわざローマまで?その答えはコレクションにありました。Text by Terumi Hagiwaraメゾンのルーツである、古代ローマを探訪する旅2015-16秋冬パリ、オートクチュールコレクションです。とは言え、ヴァレンティノはパリを飛び出してブランドのルーツであるローマで発表しました。パリ、オートクチュール最終日の朝、チャーター便でローマに直行しました。今シーズンのコレクションテーマは「MIRABILIA ROMAE」(古代ローマ探訪)。クリエイティブディレクターのマリア、グラツィア・キウ...
萩原輝美|トレンドスタイルを完成させる秋の靴
萩原輝美のファッション・デイズ vol.83トレンドスタイルを完成させる秋の靴この秋のトレンドキーワードのひとつ、“クロスジェンダー”なスタイルを完成させる鍵は、足元のこなしにある。ここでRoger Vivier(ロジェ ヴィヴィエ)とBALLY(バリー)の秋冬コレクションに注目したい。Text by HAGIWARA Terumiフェミニン×マニッシュ、大胆なミックスを楽しむ秋のファッショントレンドは、クロスジェンダー(男女合体)です。フェミニンなドレスにマニッシュな紐靴、パジャマパンツにピンヒールを合わせます。ロジェ ヴィヴィエは“コンマ”ヒールというユニークなパンプスを復活させました。まさに「,(コンマ)」のかかとです。これは1965年にムッシュ・ロジェ・ヴィヴィエが発表したもの。ロジェ ヴィヴィエのクリエイティブ・ディレクター、ブルーノ・フリゾーニがイメージしたのは女優のティルダ・スウィントンです。ボーイッシュでセクシー、文字通りクロスジェンダーな女性です。他にも、ヒールの...
萩原輝美 連載 vol.127|フェンディ、マルニ、グッチ…高まる毛皮人気
秋、もこもこファーが大登場フェンディ、マルニ、グッチ…高まる毛皮人気ファーと言えばフェンディ。フェンディがひとひねりのファーデザインを発表。グッチ、ヴァレンティノ、マルニなどラグジュアリーブランドが続々ファーの新作を発表して毛皮の人気をあおっています。この秋もひと技加えたファーアイテムが注目されることになるでしょう。Text by HAGIWARA Terumiさまざまな表情で登場する秋のファーピースこの秋も、ファーのもこもこアイテムがたくさん登場します。グッチのファーサンダルは足からファーがはみ出てカジュアルなのにゴージャス。ヴァレンティノの象嵌(ぞうがん)コートにディオールのパッチワークミニドレスは、丁ねいなクチュリエ仕立てなのにリアルです。グッチヴァレンティノディオールラグジュアリーファーブランド、フェンディのボンボンチャームもバリエーションが増えてぐっとポピュラーになりました。デザイナー、カール・ラガフェルドモチーフも人気です。コレクションではノースリーブのブラックドレスに...
萩原輝美 連載 vol.126|コレクションのルーツに迫るメゾンの展覧会
コレクションリポート「ランバン」「ルイ・ヴィトン」パリのトップブランドが相次ぎ展覧会メゾンの過去とアートからコレクションのルーツに迫るランバンとルイ・ヴィトン。パリコレを代表する二つのブランドがそれぞれ美術館で展覧会を仕掛けています。トレンド先取りの目新しさより、変わらぬスタイルを全面におし立てたブランドストーリー。そんな流れが強まる中での展覧会がパリのファッショニスタたちの注目を集めています。Text by HAGIWARA Terumiジャンヌ・ランバンとアルベール・エルバス毎シーズン大きく変わるわけではないのにいつも新鮮なコレクション。そんなスタイルを持ったデザイナーのひとりがランバンのアルベール・エルバスです。2月パリコレクション期間中にパレ・ガリエラ(服飾美術館)でランバンの創始者“ジャンヌ・ランバン展”が始まりました。1868年パリで生まれたジャンヌは1946年78才で亡くなる前年まで作品を発表しつづけます。そんな元祖キャリアウーマンの姿が白黒フィルムに収められています...
萩原輝美|2011-12年秋冬オートクチュールコレクションから速報 Part3
連載|萩原輝美のファッション・デイズ vol.37ゴルチエ・パリ、オノラ・テュ・ブ、アレクサンドル・ヴォーチェ、アレクシー・マビーユ/h2>2011-12年秋冬オートクチュールコレクションより速報 Part37月におこなわれたパリ、オートクチュールコレクションから、ニュースをお届け。プレタポルテとはちがった表現で私たちを魅了するブランドを、ファッションディレクターの萩原輝美さんがここでピックアップ。Text by HAGIWARA Terumi“女の内面をえぐり出す”ゴルチエ・パリJ・P・ゴルチエのクチュールライン、ゴルチエ・パリが絶好調だ。ナタリー・ポートマン主演『ブラックスワン』をイメージした白と黒で相反する女の内面をえぐり出した。ペプラムジャケットの内側に見え隠れするシフォンの優しいチュチュ。大胆に広がるスカートの裾からは羽がいっぱいのぞいている。濡れたような黒い羽が随所に使われた、燃えるようなドレス。私のお気に入りは、チルドセーターに羽を刺繍したコーディネイトだ。ロン...
萩原輝美|この秋冬、リアルに欲しいブランドは?
連載|萩原輝美のファッション・デイズ vol.38ヌメロ ヴェントゥーノ、カルバン、サカイこの秋冬、リアルに欲しいブランドをピックアップ!パリ、ミラノ、ニューヨーク、世界のランウェイショーを取材し、トレンド最先端を目にするファッションディレクター 萩原輝美さん。そんな萩原さんが、この秋冬、リアルに着たいと思っているブランドは?Text by HAGIWARA Terumiこの秋のおしゃれはレングスがポイント足早に駈けていった酷暑。店頭にも秋物が並び、早くも長袖気分です。というわけで、リアルに欲しい秋のブランドを紹介します。いち押しは、アレキサンドル・デラックアがデザインするヌメロ ヴェントゥーノ(No.21)。以前、発表していたオリジナルブランドほどアグレッシブではなく、構築的なシルエットは残しつつもフェミニンな仕上がりです。「センシュアル(官能的)な美しさを表現したい」とデラックアさん。白シャツの背中が全面透けるレース、たおやかに流れるプリーツ……。はっとする魅力がいっぱいです。...
萩原輝美|オートクチュール期間中に発表されたクルーズラインを紹介!
連載|萩原輝美のファッション・デイズ vol.39ランバン、ニナ・リッチオートクチュール期間中に発表されたクルーズラインをいち早く紹介オートクチュールコレクション期間中、ファッションディレクター 萩原輝美さんが見た、ランバンとニナ・リッチのクルーズコレクション。この秋挑戦したい着こなしとは?Text by HAGIWARA Terumiクラシックスタイルをモダンに崩して7月のオートクチュールコレクション期間中は、いち早くプレタポルテの’12-13クルーズライン(日本で言う梅春もの)の展示会が発表されます。ランバンのクルーズラインはグリーン、オレンジなどシルクツィードのチュニックが新鮮でした。LANVINLANVINLANVINこの秋冬はクチュールテクニックをふんだんに使ったドレスやボリュームのあるスカートが主役です。白、黒、そしてブルーネイビーがベーシックカラーとして活躍しそうです。ひざにかかる丈なので、カラータイツにブーティを合わせたい。カラータイツならボルドーやモスグリーン、ト...
ジル・サンダー、ボッテガ・ヴェネタ|萩原輝美|ミラノコレクションから速報リポート!
連載|萩原輝美のファッション・デイズ vol.40ジル・サンダー、ボッテガ・ヴェネタいよいよコレクションサーキットがスタート!毎シーズン、ミラノやパリでおこなわれるコレクションの常連であるファッションディレクター萩原輝美さん。連載40回を迎えるこのたびは、はじまったばかりのミラノコレクションから、気になったトレンドトピックをピックアップ!Text by HAGIWARA Terumiクチュールテイストで新境地を開いているジル・サンダー2012 S/Sミラノコレクションがはじまりました。この秋冬は1960年代の影響が色濃く出ていましたが……。さて来年の春夏は?クチュールテイストで新境地を開いているジル・サンダー。ブランドのアイコン、白シャツをテーマに、シャツドレスからウエディングドレスまで、ピュアなコレクションを発表しました。JIL SANDERJIL SANDERJIL SANDERコットンポプリンのシャツドレスは、横タックを重ねて白の透け感に強弱をつけます。内側に付けた衿は、トロ...
萩原輝美 連載 vol.125|デザイナー交代が話題のビッグメゾンによる新作
パリコレクションリポート「エルメス」「メゾン・マルジェラ」デザイナー交代が話題のビッグメゾンによる新作ラグジュアリーブランドのデザイナー交替が今シーズンも大きな話題となりました。エルメスにメゾン・マルジェラ。片や無名の新人起用、片やお騒がせの大物起用。この秋、新風送り込む力作がずらりです。Text by HAGIWARA Terumiヘリテージ辿るエルメスのモダンスタイルラグジュアリーブランドのデザイナー交替が続いています。エルメスはザ・ロウのデザイナーだった30代のナダージュ・ヴァンへ・シビュルスキーを新アーティスティック・ディレクターに抜擢しました。会場に選んだのは、バスティーユ広場を臨む士官学校の室内馬場です。周囲をミラーで覆い、階段上の席からキャットウォークを見るという趣向です。ショーは、乗馬のサドルをイメージしたライディングジャケットで始まりました。ブルーマリンの光沢をのせたカーフとしなやかなスエードをパッチワークしています。Hermès|エルメス 2015-16年秋冬 ...