萩原輝美 連載 vol.128|ローマで披露したヴァレンティノの最新オートクチュールショー
FASHION / WOMEN
2015年7月17日

萩原輝美 連載 vol.128|ローマで披露したヴァレンティノの最新オートクチュールショー

“ミラビリア・ロマーエ”古代ローマ甦らせた

ローマで披露したヴァレンティノの最新オートクチュールショー

ヴァレンティノの2015-16秋冬コレクションは、ブランドのルーツを探るファッションの旅となりました。オートクチュールコレクション最終日の朝7時にシャルル・ドゴール空港に集まりチャーター便でローマへ。取材陣が乗り込んだ車が向かったのは、19世紀ローマの富豪メディチ家の別荘です。パリではなく、なぜわざわざローマまで?その答えはコレクションにありました。

Text by Terumi Hagiwara

メゾンのルーツである、古代ローマを探訪する旅

2015-16秋冬パリ、オートクチュールコレクションです。とは言え、ヴァレンティノはパリを飛び出してブランドのルーツであるローマで発表しました。パリ、オートクチュール最終日の朝、チャーター便でローマに直行しました。今シーズンのコレクションテーマは「MIRABILIA ROMAE」(古代ローマ探訪)。

クリエイティブディレクターのマリア、グラツィア・キウリと、ピエールパオロ・ピッチョーリがデザイン源としているのはローマの歴史と街。1000年の歴史が築いたローマが紡ぐ神秘的なうつくしさをそのままファッションとして表現しようというものです。ローマに到着してすぐに向かったのは、19世紀この一帯を収めたメディチ家のヴィラ。そこに保存されたフレスコ画は、ヴァレンティノのアーカイブとして今に継がれています。メディチ家のプライベートヴィラ、ヴィンテージの本が並んだ図書館、オペラの小道具を作るアトリエ、密教の礼拝堂だった地下室など。その壁や天井には彼らが影響を受けたビザンティンのモチーフが並びます。2015-16秋冬ヴァレンティノコレクションは、ヴァレンティノのブランドストーリー、そのすべてを見せようというものだったのです。

萩原輝美 連載 vol.128|ローマで披露したヴァレンティノの最新オートクチュールショー

萩原輝美 連載 vol.128|ローマで披露したヴァレンティノの最新オートクチュールショー

夕方8時にはじまったショーはスペイン階段に程近い、ヴァレンティノ本社前に屋外ステージを設えました。そのとなりは新しいブティックがオープンしました。昨年おこなわれたニューヨークの白、中国の赤に続き今シーズンは黒です。夕日を透かせ黒いシフォンやレースにシルエットが浮かぶロングドレス。いぶした金細工の細いベルトやカチューシャが繊細です。ベルベットやゴールドのミニドレスに象嵌ケープ。クラシックなのに新しい。ローマとモダンヴァレンティノを重ねたコレクションです。

古いヴィラの中庭に用意されたディナー会場の入口ではひとりひとりに挨拶を交わすマリアさんとピッチョーリさん。ヴァレンティノドレスをまとうゲストたちが夜遅くまで「MIRABILIA ROMAE」に酔った1日でした。

萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/

           
Photo Gallery