連載・藤原美智子 2013年11月|ローズマリーはこんなに使える!
BEAUTY / THE EXPERTS
2015年4月3日

連載・藤原美智子 2013年11月|ローズマリーはこんなに使える!

2013年11月|適当ではなく、適量を守れば、ハーブはこんなに生活のなかで使える

「ローズマリーで入浴剤、食器洗剤、化粧水、いろいろ作ってみた!」

先月末、クルマのドアを閉めるときに、思いっきり自分の足を挟むというドジな事件(?)を起こしてしまった。病院に行ってレントゲンを撮ってもらったところ骨折はしていなくて打撲と判明して一安心したのだけど、痛みがなかなか治まらない。病院でもらってきた湿布薬は貼った直後から痛みは引くけど、あまりにも効きすぎて怖い……。「なんか自然な方法で痛みが軽減することってできないかなー」と考えていたときに、フッと思い出したことがあった。「そうだ。ローズマリーはたしか筋肉痛に効くって何かに書いてあった!」と。

Photographs&Text by FUJIWARA Michiko

ローズマリー風呂は朝にぴったり! 夜は足湯にするといいかも

ローズマリーなら週末の家の庭にたくさん茂っている。ということで早速、本やネットで調べて入浴剤を作ることに。まずはローズマリーの枝を4本くらいハサミで切って軽く洗ってから、水を入れた鍋で30分くらい煮る。そのあとザルで漉して、それをお風呂に入れる。――あら簡単、もうできちゃった。ハーブを使って何かを作るって、なんか難しいことのように思っていたけど、やってみると本当は簡単だったんだ。

さて、出来上がったローズマリーバスに浸かってみたところ、鼻孔をスッーと通り抜ける爽快感にビックリ! まるで鼻の下にメンソールを塗っているみたいだ。背筋にもメンソールを塗ったような爽快感が走る。このローズマリーバスを夜、寝る前に体験したのだが、寝てからもズーッと背中のスースーした感じがつづいたのには驚いた。それに脳にもスカッと目が覚めるような刺激感がある。そういえばローズマリーは頭の回転を良くして、記憶や集中力をアップさせるということも書いてあったっけ。「ハーブでそんな効果があるなら苦労はしないもんねー」と、たかをくくっていたが「これは本当かも……!」というほどのスカッと感である。以上の結果、ローズマリー風呂は朝に合う入浴剤という結論に。でも血行を促進する効果もあるので、冷えて眠れないという夜は足湯にするといいのかも。そうそう、肝心の鎮痛効果はあったような気もするし、そうでもないような気もするし……。でも、いわゆる自然治療だもの。気長に構えないとね(この原稿を書いている今は完治しています)。

――と、このようにスムーズに何も問題なく作れたかのように書いたが、じつは初めて作ったときにローズマリーを適当に8本ぐらい使い、濃過ぎる入浴剤を作ってしまったのだ。スースーというよりもビリビリするほどの刺激感だった。それに沸かし湯にして翌朝も使おうと、お風呂のお湯を落とさずにいたら、なんとバスタブがローズマリーの色(黄色)に染まってしまったのだ! お風呂用の漂白剤を使って掃除したら、きれいに色が取れたので助かったものの、やはり濃ければいいというものではない。適量が大事ということである。それ以来、念のためにローズマリー風呂にしたあとはお風呂のお湯は落とすことにしている。そうそう、適量で作ると爽快感も穏やかであることを書いておかなくては。

つぎに食器用洗剤と化粧水作りにもトライ!

  さて、こうしてローズマリーの入浴剤に味をしめた私は「どうせなら」と食器用洗剤と化粧水作りにもトライすることに。食器用洗剤には石鹸素地が、化粧水にはグリセリンが必要ということのなのでさっそく、ネットで取り寄せて作ってみることにした。まずは食器用洗剤。これは石鹸素地を入れる以外は入浴剤とおなじ。水とローズマリーを鍋に入れて、30分ほど煮たあとに漉して、人肌になるまで冷ます。それから石鹸素地を適量入れるというものだ。これも超簡単だ。が、うっかりしていて冷めすぎた後に入れたせいか、思うように石鹸素地が溶けない。「それならば」と、お湯を入れた鍋で湯煎をしてみたら、きれいに溶けた。だが少し時間を置いたら緩いジェル状に固まってしまった……! そういえば、熱いときに石鹸素地を入れると固まってしまうというようなことが書いてあったっけ。でも洗剤には間違いないのだからと使ってみたところ効果に問題はないようで、脂汚れはキュッキュッときれいに落ちるし、グラスもピカピカになる。泡立ちはそんなに良くはないが、考えてみたら汚れが落ちるならそれは無用であり慣れの問題ということだろう。一回で2リットル入りのペットボトル一本分を作り、2週間ほどで使うようにしている。

ローズマリーはハンガリーのエリザベス王女が愛用した化粧水の主成分とされていて、「若返りの水」と言われているんだとか。作り方をいろいろと検索した結果、グリセリンだけをプラスする一番簡単な化粧水を作ることに決定。収れん効果としっとり効果があるらしい。さて作り方は……といってもじつは、私は入浴剤も食器用洗剤も化粧水もまとめて作っているのだ。つまりローズマリーを煮だして漉した後、それぞれ用に分けているだけ。化粧水はそこに全体量の5%ほどのグリセリンを入れるだけなのである。こんなに簡単であるにもかかわらず案の定(?)、初回は失敗。

というのも出来上がった化粧水を手に塗ってみたところ、手の甲はしっとりしたのに、指はまるで紙を触りすぎて油分が抜けてしまったときのようにカサカサになってしまったのだ。原因は適当にグリセリンを入れたこと。グリセリンは15~20%以上の量をくわえてしまうと、逆に肌の水分を奪って乾燥させてしまうらしいのだ。やはり適当ではなく、適量が大事ということだ。とはいっても、もちろん濃い濃度になってしまったローズマリー化粧水を捨てはしない。指が乾燥しなくなる濃度になるまでミネラルウォーターを足して無理矢理完成させた。もちろん最初からキチンと5%濃度を守って作っていれば面倒はなかったということである。このローズマリー化粧水は体全体や踵、小鼻の毛穴の引き締め用に使っている。注意点はふたつ。なるべく早く使いきること(私は10日目安)、キチンと蓋をすること。そうしないとグリセリンの濃度が下がってしまうらしいので注意していただきたい。

2年越しで、ハーブの力は凄いことを再認識

ところで、この原稿を書いている時に、過去にハーブについて書いたことがあったことを思い出した。探してみたところ、それは2011年の3月の連載で、そこには「ハーブを生活のなかに積極的に取り入れたい」というようなことを書いていた。ローズマリーを料理に使ったり、生のレモングラスやミントをハーブティーにして飲んだりはしていたが、ハーブそのもので何かを作ったのは今回が初めて。つまり2年越しで、やっと積極的に実行したということになる。それも足の怪我がきっかけなのだから、それこそ“怪我の功名”といえるだろうか。というか、私は“転んでもただでは起きぬ”ひとといえるかも!?

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