萩原輝美 連載 vol.125|デザイナー交代が話題のビッグメゾンによる新作
FASHION / WOMEN
2015年5月20日

萩原輝美 連載 vol.125|デザイナー交代が話題のビッグメゾンによる新作

パリコレクションリポート「エルメス」「メゾン・マルジェラ」

デザイナー交代が話題のビッグメゾンによる新作

ラグジュアリーブランドのデザイナー交替が今シーズンも大きな話題となりました。エルメスにメゾン・マルジェラ。片や無名の新人起用、片やお騒がせの大物起用。この秋、新風送り込む力作がずらりです。

Text by HAGIWARA Terumi

ヘリテージ辿るエルメスのモダンスタイル

ラグジュアリーブランドのデザイナー交替が続いています。
エルメスはザ・ロウのデザイナーだった30代のナダージュ・ヴァンへ・シビュルスキーを新アーティスティック・ディレクターに抜擢しました。会場に選んだのは、バスティーユ広場を臨む士官学校の室内馬場です。周囲をミラーで覆い、階段上の席からキャットウォークを見るという趣向です。

ショーは、乗馬のサドルをイメージしたライディングジャケットで始まりました。ブルーマリンの光沢をのせたカーフとしなやかなスエードをパッチワークしています。

コート、ジャケット、パンツとレザーを使いこなします。とりわけ白のタートルネックと合せたレザーのカーペンターパンツが目を引きます。カレ(エルメスの正方形のスカーフ)をかぶせたスカートや何枚も接いだドレスがしなやかに揺れます。カシミアにミンク、ムートン、上質な素材を無駄なく優雅に見せるアイラインシルエット。首もとにタートルネックを重ね着する着こなしはこの秋、話題になりそうです。合わせる40ルックすべて、ヘリテージを辿りながらモダンに仕上げたエルメススタイルです。

ガリアーノがマルジェラではじけた

昨年10月にメゾン マルジェラのクリエイティブ。ディレクターに就任したジョン・ガリアーノ。1月に行われたオートクチュールでは、ロンドンでのコレクション復帰が大きな話題になりました。

そのガリアーノのよるマルジェラプレタポルテデビュー作は小さな肩に大きな衿、マキシのウールコートの裾から艶かしい黒網タイツの足がのぞきます。レースにオーガンザ、羽やファー、エナメルを合せてコントラストを出します。シャビーでキッチュ、でもとってもエレガンス。ドキッとするこわメイクがガリアーノらしい。コサージュのチョーカーにファーシューズなど、控えめな遊びアイテムをふんだんに取り入れたコレクションになりました。

萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップのディレクションも担当。
オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/

           
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