LELABO|創始者 エディ・ロスキー氏インタビュー
BEAUTY / FEATURES
2015年1月26日

LELABO|創始者 エディ・ロスキー氏インタビュー

ルラボ創始者 エディ・ロスキー氏インタビュー

プロセス重視は、日本人の気質にぴたりとハマる(1)

2006年のデビュー以来、有名調香師とコラボレートしてつくりだす斬新な香りで、数多くのセレブリティを魅了する、ニューヨーク発のフレグランスブランド『LELABO(ルラボ)』。オーダーを受けてからその場で最終調合する“メイド・トゥ・オーダー方式”の採用など、妥協のない本物志向は注目を浴び、いまやその人気はワールドワイドに。日本においても、ファンが急増中だ。そしてこの秋、話題の銀座三越に、日本3店舗目となる売場がオープン。ますます勢いを増すルラボの魅力を探るべく、創始者 エディ・ロスキー氏に話を聞いた。

文=染谷晴美
写真=JAMANDFIX

ルラボの役割は、より多くのひとに香りの楽しさをひろめること

――今回は1年ぶりの来日とうかがいました。初来日のときと比べて、日本の印象は変わりましたか?

はじめて訪れたのは2002年でした。そのときはまったくのプライベートで、観光が目的だったこともあり、目に入るものすべてがあたらしかったという印象があります。日本についてなにも知らなかったので、本当に驚きだった。それが来日を重ねるごとに、日本人の繊細さであったり、気遣いであったり、もっと細かなところに目が向くようになって、いまは日本の文化、日本人の気質をひとつひとつ理解していくことに楽しさを感じています。

――それは具体的にどういうことですか?

日本人というのは、最終商品というところだけでなく、その商品ができるまでのプロセスや、ストーリー性に重きをおいている気がします。おそらくそれは、文化なのでしょうね。私は香道を体験しましたが、一歩一歩ステップを踏んで楽しむというスタイルに興味をもちました。華道や茶道もそう。ただ花を観る、お茶を飲むという結果だけではなくて、そこに辿り着くまでの、ステップバイステップというプロセスをすごく大事にしている。とてもいい文化だと思います。

――ではその理解が、2007年の日本初進出につながったのでしょうか。ニューヨークにつづく2店舗目の路面店がここ代官山店でした。パリやロンドンよりも先に東京を選んだのはなぜですか?

東京という街は、世界のなかでも最先端のものがひしめきあっている場所なので、そこに参入するのはきっといいことだと思いました。もちろん、それは大きなチャレンジでしたが、香水というものの舞台裏やプロセスなど、いままで隠れていた部分を学びながら楽しんでいただくというブランドコンセプトは、先ほども言ったような日本人の気質に合っているという確信はありましたね。

もちろん、日本でのパートナーとの出会いも大きなきっかけです。もともと私たちのビジョンのなかには、いつかは日本へ進出しようという考えがありましたから、これはすごくいい機会と思い決断しました。

――その後、ルラボの店舗は、伊勢丹新宿店、つい先日は銀座三越店もオープンしました。日本のフレグランスマーケットについてのお考えと、実際の手ごたえについてお聞かせください。

LELABO|ルラボ|創始者 エディ・ロスキー|インタビュー

LELABO代官山店

マーケットにかんしては、欧米に比べるとまだまだマイナーではありますが、数字は着実に上がってきています。それは百貨店のチカラも大きいと思いますね。伊勢丹や三越さんもフレグランスマーケットをもっと盛り上げようと、とてもがんばっていらっしゃる。ですからルラボも、少しずつではありますが、興味をもってくださる方が確実に増えているのを実感しています。

また、ルラボの役割はより多くのひとに、香りの楽しさを広めることだと思っています。香水ってじつはこういうものなんですよとさまざまなアプローチをすることで、マーケット全体を活性化させていく。それがこのブランドのひとつの使命でもあるのです。


ルラボ創始者 エディ・ロスキー氏インタビュー

プロセス重視は、日本人の気質にぴたりとハマる(2)

自由だからこそ、クリエイティブな香りが生まれる

――ルラボというブランドは、まずいちばんに、“メイド・トゥ・オーダー方式でつくられるフレッシュな香り”が特長として語られますが、最終調合を店舗でおこなうというのは、当初から考えていたことなのですか?

ルラボという名前は、ラボラトリー(研究所)を語源にしているので、立ち上げる時点ですでにこのコンセプトはありました。最終調合をその場でお見せするというのは、お客さまの知識を深めていただくためにも重要なことですし、なにより、トップノートというのはすごく繊細なので、より完成度の高い香りを楽しんでいただくためにも、つくりたてを提供したかった。試してみてください。どのフレグランスも、トップノートが美しく香るはずです。

――原料にも相当のこだわりがあるとか。開発費にも糸目をつけないとうかがっています。

たとえば美しい本があったとします。目につくカバーに思わず手がのびますが、購入するかどうかは結局のとこと内容次第。つまり、その商品の顔である表紙ももちろん大事だけれど、実際はやっぱり中身が重要になってきます。

ルラボの香りというのはとてもクリエイティブです。なぜなら、調香師たちが自分の感性を惜しみなくそそぎ込んでいるから。たとえば、費用はこれくらいで抑えなくてはいけないとか、こういう材料を使ってはいけないとか、開発にあたっての禁止事項が増えてしまうと、香調師たちのつくりたいものがカタチにならなくなってしまう。だから、原料費には上限をつけません。クリエイティブなものをつくるということは、“自由をあたえる”ということだと思っています。

LELABO|ルラボ|創始者 エディ・ロスキー

――シンプルなボトル。そしてネーミングも特徴的です。香水の名前についた数字は、そのまま香料の数とのことですが、数の多い少ないは、意味があるのですか?

香料の数は、それぞれの調香師の傾向です。画家にたとえると、たくさんの色を使って描くひともいれば、単色が好きなひとや、なるべく少ない色で描くひともいる。たとえば「ベチバー46」は、マーク・バクストンという調香師がつくった香りなのですが、彼はいろんな原料を使ってクリエイションするのが好きなひと。だから、46種類もの香料が使われている。いっぽう、「ベルガモット22」の調香師は、わりと少ない色で絵を描くというか、ミニマムなカタチで仕上げていくタイプのアーティスト。香料の数としては大きな開きがありますが、完成品のクオリティは変わりません。たんに個性がちがうだけであって、言うまでもなく彼らはみなプロフェッショナルです。

――なるほど、それはおもしろいですね。今まで以上に選ぶのが楽しくなります。

それが私たちの狙いです(笑)。

――「ローズ31」は、世界初の男性向けのバラの香水として大ヒット。いまではルラボを代表する香りとして知られていますが、一般的には女性向けの香りであるバラをあえて男性向けにしたのはなぜですか?

LELABO|ルラボ|創始者 エディ・ロスキー|ローズ31

世界初の男性向けのバラの香水「ローズ31」

バラやジャスミンなど、女性の代名詞に挙げられる花を、男性にまとってもらうにはどうしたらいいのだろうという思いからスタートしました。男性をもっと男らしくするためのバラやジャスミンの香りがあったら、ステキだなと。究極のフローラルも、そこにウッディなものであったりスパイシーなものを入れることによって、男性でも気軽につけられる香りになる。そもそも、18世紀にさかのぼれば、バラは王様だけがまとえる特別な香りでしたから、現代の男性にもバラの香りを楽しむという選択肢を与えたい。そんなバックグラウンドがあり「ローズ31」ができました。


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プロセス重視は、日本人の気質にぴたりとハマる(3)

東京限定の香り「ガイアック10」は、繊細で肌になじむ香り

――人気の香りといえば、「ガイアック10」もはずせません。ルラボは、店舗のある街ごとに異なる香りをつくっていて、ガイアック10は東京限定の香り。これは、東京=日本のどんなイメージを表現しているのですか?

日本といえばまず京都や香道というのが自分のなかにあるので、直球勝負でいってしまえば、お香をメインにしたブレンドになるところですが、それではあまりにもひねりがなさすぎる。そこで、別の角度からの日本の印象を探ってみたときに、先ほども言ったような繊細さや気遣いというキーワードに行きつきました。

ガイアック10は、腑香率30パーセントの濃いパフュームにもかかわらず、ひじょうに繊細で、「つけてます!」という感覚を周りにあたえません。それくらい香りが優しく肌になじむので、私たちは“スキンパフューム”と呼んでいるくらい。心地よくて複雑で、それもまた日本ぽいなと思うところ。理解するには、時間と知識も必要になってくるというのが、じつに日本らしいクリエイションだと思っています。

――この秋は、新作のニュースもありますね。間もなく発売される(欧米にて10月下旬発売予定、日本での販売分は完売)、世界限定500本生産の「アナザー13」についてお聞かせください。

アナザー13は、イギリスの人気ファッション誌『アナザーマガジン』とのコラボレート作品です。同誌の編集長 ジェファーソン・ハックさんから、オリジナルの香りをつくりたいというオファーをいただいて実現しました。もちろん、香料選びにはジェファーソンさんも参加です。単品香料をいろいろ試していくうちに、彼が“アンブロックス”の香りを気に入りました。アンブロックスは合成香料ですが、もともとはくじらの結石からとれる香り。ムスクベースはルラボの得意とするところなので、私たちも大賛成。ほか12種類の香料をブレンドして、魅惑的な香りを完成させました。感度の高い雑誌にふさわしい、特別感のある限定品です。

LELABO|ルラボ|創始者 エディ・ロスキー|インタビュー

――9月に先行発売された伊勢丹新宿店では、限定50本が2日で完売されたと聞きました。すごい反響ですね。

ありがとうございます。イベントに出したことですぐに売れてしまうというのは、それだけファンがついてきてくださっている証拠。うれしいですね。日本のみなさんは毎日香水をつけるということはしないかもしれないけれど、商品の存在価値にはとても敏感で、希少なものやプラスαのあるものには正当な評価をしてくださる。アナザー13の反響も、そういうことだと思います。

──確かに、日本人は見る目はある(笑)。でも、日本人にとっての香水はまだどこか特別な感じがあって、習慣というレベルにはいっていない気がします。ぜひこの機会に、上手な香りの取り入れ方を教えてください。

LELABO|ルラボ|創始者 エディ・ロスキー|代官山店

LELABO代官山店

欧米では、出かけるまえにシュッシュッっとするのは特別なことでもなんでもなくて、ましてアメリカのひとたちは、ちがうブランドの香水を重ねづけしたり、ちょっとオーバーボリュームのときもあるくらい、自由奔放です。それにくらべて日本のひとは、おっしゃるように香水を特別なものとみているところがありますね。だから、つけるとまずクンクンって(笑)、必要以上に香りを確認する。でもそれはこの国のひとつの文化なので、日本のみなさんが香りに対して慎重になっているところを敢えて変える必要はないと、私は思っています。無理して上級者を気取るよりも、純粋に香りを楽しんだほうが絶対にいいし、ルラボもそれを望んでいます。

――最後にひとつ、期待をもってお聞きします。日本での東京以外の都市への展開は、今後のビジョンにありますか?

そうですね、もしつぎに出店するとすれば関西方面でしょうか。いずれにしても、私たちにとっては、店舗の数よりも“質”。ブランドとしての考えをきちんとプレゼンテーションして、ひとりでも多くのひとにルラボを理解していただくことのほうが重要なので、単に店を出せばいいということではなく、クオリティ重視の店舗展開を進めていきたいと考えています。

――ぜひ実現してください。本日はありがとうございました。

Eddie Roschi|エディ・ロスキー

1972年スイス生まれ。INSEADにてMBA(経営学修士)を取得後、フィルメニッヒジュネーブ社にて、フレグランスコマーシャルディレクターとして4年間勤務。その後、ロレアル本社に転職し、エンポリオ・アルマーニとアルマーニ・エクスチェンジフレグランスのインターナショナル・マーケティング・ディレクターとして活躍。2006年、ファブリース・ペノー氏とともに、オリジナルのフレグランスブランド「ルラボ」を立ち上げる。

LELABO(ルラボ)
TEL:03-5459-2770
www.lelabofragrances.com/
ameblo.jp/lelabo0354592770/

           
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