萩原輝美|2011-12年秋冬オートクチュールコレクションから速報 Part3
連載|萩原輝美のファッション・デイズ vol.37
ゴルチエ・パリ、オノラ・テュ・ブ、アレクサンドル・ヴォーチェ、アレクシー・マビーユ/h2>
2011-12年秋冬オートクチュールコレクションより速報 Part3
7月におこなわれたパリ、オートクチュールコレクションから、ニュースをお届け。プレタポルテとはちがった表現で私たちを魅了するブランドを、ファッションディレクターの萩原輝美さんがここでピックアップ。
Text by HAGIWARA Terumi
“女の内面をえぐり出す”ゴルチエ・パリ
J・P・ゴルチエのクチュールライン、ゴルチエ・パリが絶好調だ。ナタリー・ポートマン主演『ブラックスワン』をイメージした白と黒で相反する女の内面をえぐり出した。ペプラムジャケットの内側に見え隠れするシフォンの優しいチュチュ。大胆に広がるスカートの裾からは羽がいっぱいのぞいている。濡れたような黒い羽が随所に使われた、燃えるようなドレス。私のお気に入りは、チルドセーターに羽を刺繍したコーディネイトだ。ロングスカートでリアルに着られそう……。今シーズンのサプライズモデルはイヴだった。1990年代、スキンヘッドで活躍したモデルだ。フィナーレ、いつものようにゴルチエが腕を振って駆け抜けた。
デビューして10年以上になるオノラ・トゥ・ヴュは夏の光いっぱいの空の下、パレロワイヤルの木立の中でショーをおこなった。ユーモアたっぷりのアイデアドレスで話題を集めるデザイナー、今シーズンは、京都のテキスタイルメーカーひなやの織生地を使った作品を発表した。
プレタポルテからクチュールへと発表の場を移す若手たち
アレキサンドル・ヴォーチェは暗いライブラリーで真っ赤なドレスを並べた。アレクシ・マビーユはシャトレ劇場でエレガントなロングドレスを披露して、プレタとのちがいを際立たせた。プレタからクチュールに舞台を移す若手が目立つ。
萩原輝美|HAGIWARA Terumi
ファッションディレクター
毎シーズン、ニューヨーク、ミラノ、パリ・プレタポルテ、パリ・オートクチュールコレクションを巡る。モード誌や新聞各誌に記事・コラムを多数寄稿。セレクトショップ「デザインワークス」のレディスのディレクションも担当。オフィシャルブログ http://hagiwaraterumi-bemode.com/