Memories of 400 pair of shoes

ALDENの魅力を語る(3)

ALDENの魅力を語る(3)

ALDENとの出会いとその魅力を語る(3)靴好きは、革好きなんですよ。コードバン(馬の尻革)が優れているのは、頑丈でかつやわらかい。かたちの好みはスポーツカーを見るのと同じ。横から見て流線型のきれいなものがいい。構成=梶井 誠(本誌)#33 一日中靴を履いて生活している民族の靴ALDEN/1990~ユナイテッドアローズ(UA)での出張時の靴はオールデンでした。1日8時間から10時間歩いても疲れない。こんなに重たいのに疲れない。それはグッドイヤーウェルトの“自分の足型に沈んでいく”という特性がもたらすものです。アタリがないというすごい靴だと思いますよ。ウェルトの出方もいいし、ラウンドスクェアトゥの木型の良さも抜群です。素材のコードバンは、最高級シェルコードバンを供給する「ホーウィン社」から過去20年ほどはAグレードはすべてオールデンが買い占めるんですね。UAでも仕様をちょっと変えたり、革をのせ替えたりした、ダブルネームのエクスクルーシブモデルはかなり扱いました。90年から93年ぐらい...
イギリスの最高峰、EDWARD GREEN

イギリスの最高峰、EDWARD GREEN

イギリスの最高峰、EDWARD GREENなにごとも「進化」するときには「変化」を求めるだろう。前回まで取り上げたアメリカのシューメーカー、オールデンは、「変えないこと」で生き残りをはかった。逆に、トム・フォードを迎えたグッチは、「変え続けること」を選択して、鮮やかに蘇った。“進化する老舗”ユナイテッドアローズ会長兼CEOが語るエドワード・グリーン。写真=Jamandfix#34 エレガントだが、華奢な履き心地ではない靴EDWARD GREEN/1990~ユナイテッドアローズ(UA)創業時から、私たちが考えるいちばんいい靴の回答は、ビスポーク以外では、オールデンと『エドワード・グリーン』でした。僕がグリーンをはじめて見たのは、たぶんニューヨークのポール・スチュアートに置いてあった靴ですね。日本のポール・スチュアートが輸入していて、紹介してもらって、ビームスFに仕入れました。当時でも高かったですね、8万円以上しました。オールデンの履き心地は素晴らしいですが、そのオールデンとおなじくら...
日本人が手がけた靴

日本人が手がけた靴

日本人が手がけた靴photo by Jamandfix#35 斎藤久夫さんが手がける『TUBE』の名品TUBE/1982上の『TUBE』のチャッカブーツは、木型が良くて、履き心地もいい名品です。このタイプは本当に気に入っていて何足か持っています。斎藤久夫さんはビームス開店の1ヵ月めぐらいにお客さんとして来られてからの知り合いです。当時、たしかポール・スチュアートの顧問をされていて、よくアメリカに出張していて、いろんな情報をもらっていました。その後『TUBE』を設立されて、展示会をやるようになって、インターナショナルギャラリー ビームスのほか、東京以外のセレクトショップに卸していました。#36 いまは残念ながら履けませんHIDETAKA FUKAYA/2000これはフィレンツェで活躍されている日本人靴デザイナーの深谷秀隆さんの手によるものです。深谷さんは、1999年に自らのブランド『il micio(イル・ミーチョ)』を立ち上げて、2005年にはビスポーク(注文靴)のショップもオープ...
フレッド・アステアのように‥‥

フレッド・アステアのように‥‥

フレッド・アステアのように‥‥Photo by Jamandfix#38 伝説の「トム・オートマンショップ」コレクションANTIQUE SHOES/1982この連載の“30足め”でご紹介した、渋谷にあった「トム・オートマンショップ」の在庫(笑)たちです。トーマス・オートマン氏から仕入れて店に並べていましたが、まずこういう靴は売れなかったですね。売れるのはヴィンテージの501とかそういうものばかりで。上で紹介しているメッシュのアンティークはロサンジェルス(LA)で購入したものですが、「トム・オートマンクラブ」のものも含めて、もったいなくて履いていません。 これはLAの「カウボーイ&プードル」で購入 #39 雨の日は、カンパニーレを履いてCampanile ローマに本拠地のあるカンパニーレ社は、イタリアの既製靴の大手で、細くて長いいい木型できれいな靴をつくっていました。当時イタリアで3万8000円ぐらいでしたね。気に入ったのを買って、ソールにゴムを貼って雨...
1980年代前半のロンドン・ファッション事情

1980年代前半のロンドン・ファッション事情

1980年代前半のロンドン・ファッション事情Photo by Jamandfix#40 ロンドン&ヴァンプCROLLAこれらはロンドンで1982、83年ごろに4、5万円ぐらいでしたね。「クローラ」は、キッチュでエキセントリックでオーセンティックな英国の植民地のファッションを取り入れた希有なブランドでした。ロンドンでもめずらしいテイストで、面白い存在でしたね。当時のシティのファッションの匂いは、いま身近なところではポール・スミスがそれに近いでしょう。イギリスは日本が近代化を進めるときにすべての面で見習ってきた国なので、ものづくりなども伝統を重視しながら新しさを取り入れていく感覚など非常に身近な部分を感じます。#41 ロンドンでのバイイングGRENSONビームス時代のロンドンでの買い付けはオーセンティックなものが多かったですね。靴ならイギリスの靴の歴史に登場するグレンソンからエドワードグリーンに至るまで、シャツもオーソドックスなもので、ジョン ロブの本店がある通りのいわゆる町のシャツ屋...
1980年代のファッション情報の入手先

1980年代のファッション情報の入手先

1980年代、ファッション情報の入手先Photo by Jamandfix#42 1980年代の街往く人を見ていたころGRANELLO上のグラネロは82年にイタリアで購入しました。当時、ビームスのバイイングは年4回ほどで、アメリカの東・西海岸、ロンドン、パリ、ミラノ、フィレンツェをまわり、バルセロナやアントワープはその少しあとからです。当時のファッショントレンド情報は、展示会と街のショップの品ぞろえをウォッチングすることから得ていて、コレクションはほとんど行っていませんね。85、86年ぐらいからコレクションも観たかな?いまは、コレクションの“ランウェイ”を軸としたマーチャンダイズが重要ですが、当時、セレクトショップにはランウェイは関係ありませんでした。バイヤーとしての競合は、百貨店のインポートコーナーのバイヤーで、とくに西武は先鋭的でした。伊勢丹は非常にトラッドでしたね。それとシップスは競合していて、いかに情報を早く仕入れるかに力を入れていました。#43 きれいで、気に入った別注た...
連載・重松 理|「週刊 重松 理」第13回 「Crockett&Jones」と「Edward Green」のこと

連載・重松 理|「週刊 重松 理」第13回 「Crockett&Jones」と「Edward Green」のこと

名言・明言・迷言「週刊 重松 理」第13回 「Crockett&Jones」と「Edward Green」のことユナイテッドアローズの代表取締役社長、重松さんが実際に履いてきた靴400余の一部を紹介しながら、“いまを語る”「週刊 重松 理」。連載第13回で紹介するのは、英国の名靴クロケット&ジョーンズ。エドワード・グリーンへの思いも語る。また、10月上旬から、ユナイテッドアローズでクロケット&ジョーンズのトランクショーを開催!語り=重松 理文=OPENERS写真=JAMANDFIX 故・ジョン・フルスティック氏への思いユナイテッドアローズを創業して、1991年以降は、ユナイテッドアローズ別注など、「Edward Green(エドワード・グリーン)」をずっと取り扱っていました。靴はもちろんすばらしかったのですが、当時、エドワード・グリーンにはジョン・フルスティックという先鋭的な社長がいたんですね。カッコイイし、コレクションもとてもいいものを出していたんですが、残念なことに急死...
連載・重松 理|名言・明言・迷言「週刊 重松 理」スタート!

連載・重松 理|名言・明言・迷言「週刊 重松 理」スタート!

名言・明言・迷言「週刊 重松 理」スタート!第1回 最短での復興を、みんなで考えるOPENERSスタートの2007年から21回連載したユナイテッドアローズ代表取締役社長 重松 理氏が語る、自分の400足の靴。今回から、重松さんが実際に履いてきた靴400余の一部を紹介しながら、“いまを語る”「週刊 重松 理」をスタート。タイムリーな名言、業界人注目の明言、ちょっとソフトな迷言(?)まで、語り尽くしていただきます。語り=重松 理文=OPENERS写真=JAMANDFIXファッションは、心のすきまを満たすモノ3月11日、14時46分。品川駅の新幹線ホームにいました。奥さんが東京駅2時50分発に乗ってきて、品川で合流する予定でしたが、地震が起きて、そのまま品川駅で3時間半待っていました。それから、東京駅まで奥さんを迎えに2時間半かかって歩いて行き、東京駅からクルマをとりに本部まで歩いて、自宅に着いたのは夜中の2時でした。品川駅で地震を感じたときは、“とうとう地震が来た”と思いました。 ...
連載・重松 理|「週刊 重松 理」第2回 クロムハーツ─本気ほど強いものはない

連載・重松 理|「週刊 重松 理」第2回 クロムハーツ─本気ほど強いものはない

名言・明言・迷言「週刊 重松 理」第2回 クロムハーツ──本気ほど強いものはない重松さんが実際に履いてきた靴400余の一部を紹介しながら、“いまを語る”「週刊 重松 理」。先週の震災復興のお話からガラッと変わって、今週はクロムハーツについて。語り=重松 理文=OPENERS写真=JAMANDFIX「本気でやろう、仕事じゃないんだ」いま一番重要なキーワードは「本気」です。「本気」があって、エネルギーや才能が溢れているといえば、クロムハーツですね。彼らは、自分がつくりたいものを、自分の手でつくりたいと、本気で思っている。クロムハーツは、リチャードが自分の目が届く範囲の、ヘッドオフィスの半径500メートル以内でメガネなどを除くほとんどの商品をつくっています。私はクロムハーツの最初のオフィスから知っているので、あの体制は、まさにモノづくりの理想です。 日本には多くの老舗がありますが、創業者が本気でつくったものを、2代目、3代目がビジネスとして受け継いでいる。だから、時代の節々で本...
連載・重松 理|「週刊 重松 理」第3回 尊敬する人物

連載・重松 理|「週刊 重松 理」第3回 尊敬する人物

名言・明言・迷言「週刊 重松 理」第3回 尊敬する人物重松さんが実際に履いてきた靴400余の一部を紹介しながら、“いまを語る”「週刊 重松 理」。再開後の反響も大きく、第3回目も快調に名言!語り=重松 理文=OPENERS写真=JAMANDFIX重松さんが“尊敬するひと”とは?尊敬する人物はあまりいないんですよ。そのなかでも、私は“街づくり”が夢なので、阪急グループの創業者の小林一三さんや、西武グループの堤康次郎さん、東急グループの五島慶太さんなどには憧れますね。戦後の焼け野原にグランドデザインした先人たち──とくに小林さんは、鉄道から宝塚歌劇団のエンターテインメントまで手がけてすばらしい功績を残しています。 私たちの事業も生活文化の提案ですが、それがいかに難しいことかを痛感しています。時代のちがいはもちろんありますが、彼らには相当なエネルギーと、優秀なブレーンがいたんでしょうね。あと、イサムノグチ氏はとてもうらやましい存在です。これからは環境づくりにも視野を広げたいと思...
連載・重松 理|「週刊 重松 理」第4回 好きな街、京都

連載・重松 理|「週刊 重松 理」第4回 好きな街、京都

名言・明言・迷言「週刊 重松 理」第4回 好きな街、京都重松さんが実際に履いてきた靴400余の一部を紹介しながら、“いまを語る”「週刊 重松 理」。第4回で紹介する靴は、現在ではデッドストックでとくに人気の高いアメリカブランドの「STAR BRAND SHOES」。1940~60年代に隆盛を誇り、上の写真のような良コンディションで残存しているモデルは貴重です。語り=重松 理文=OPENERS写真=JAMANDFIX京都は、不思議な街プライベートではあまり旅行は行っていませんが、最近は週末、京都で過ごすことが多いです。なぜ京都?京都の水のそばが好きなんですよ。街の真ん中に川が流れていて、川縁の環境がとてもいい。骨董屋が多くて、神道と仏教の宗教が身近にあって、歴史のまま暮らしている、文化がちゃんとあるのもいい。東京で育っていると、歴史の上にいる感じがしないんですよ。 「STAR BRAND SHOES」 「TRICKER’S for MAURO VOLPONI」 食べものも本当に...
連載・重松 理|「週刊 重松 理」第5回 就活

連載・重松 理|「週刊 重松 理」第5回 就活

名言・明言・迷言「週刊 重松 理」第5回 就活重松さんが実際に履いてきた靴400余の一部を紹介しながら、“いまを語る”「週刊 重松 理」。第5回で紹介する靴は、「GUCCI」のビット。過去の連載のなかでも何度も登場している愛用アイテムでした。こちらに過去のエピソードがあります。語り=重松 理文=OPENERS写真=JAMANDFIX煩悩がひとを成長させる!リクルートには、いまは全然タッチしていませんが、学生は、就活慣れしているので、本人の本質がなかなか見極められない。本当に就職活動はきっちり真面目にやりますよね。若い世代や新入社員を見ていると、豊かな時代に育ってきたなと思います。 がつがつしていない、上昇志向がない、草食で、いいクルマが欲しいとか、海外へ行きたいとか、いい女性とつきあたいとか、欲が少ない。不足感や渇望感が少ないんでしょうね。夢がないとういうこと。“煩悩がひとを成長させる”ので、それはあまりいい傾向じゃない。不足感を充足させることで価値が生まれるので、価値創...
連載・重松 理|「週刊 重松 理」第6回 アイドル

連載・重松 理|「週刊 重松 理」第6回 アイドル

名言・明言・迷言「週刊 重松 理」第6回 アイドル重松 理さんが実際に履いてきた靴400余の一部を紹介しながら、“いまを語る”「週刊 重松 理」。第6回で紹介する靴は、「CONVERSE ALL STAR」の星条旗柄ローカット。1990年代中期のメイド・イン・USAで、星条旗柄(スター&バーズ)は現在では生産されていないもので、デッドストックは高値で売買されている。語り=重松 理文=OPENERS写真=JAMANDFIXAKB48? まったく興味がないですね私たちの世代のアイドルといえば、吉永小百合さん。当時はアイドルグループなんてなかったし、AKBのなかには好きなタイプもいませんね。まだ、韓流グループのほうが色っぽいし、きれいだし。佐々木希さんはいいね。テレビはニュース以外ほとんど見なくて、ドラマなども日曜日に見るぐらいです。『仁』は面白かったですね。前回も全部見ました。 「CONVERSE ALLSTAR CANVAS OX“STAR&BARS”」 「J.&...
連載・重松 理|「週刊 重松 理」第7回 ひらめき

連載・重松 理|「週刊 重松 理」第7回 ひらめき

名言・明言・迷言「週刊 重松 理」第7回 ひらめき重松さんが実際に履いてきた靴400余の一部を紹介しながら、“いまを語る”「週刊 重松 理」。第7回で紹介する靴は、重松さんがビームス時代に履くというイギリスの「Hawkins ASTRONAUTS」。語り=重松 理文=OPENERS写真=JAMANDFIX“おでこ靴”の原型です上の靴は懐かしいですね。ビームス時代の1985~86年ごろによく履いていたイギリスの「Hawkins ASTRONAUTS」です。イギリスでは狩りに行くときに履くという文化があって、Barbour(バブア)を着て、これを履くのが定番のスタイル。当時日本にサプライヤーがあったはずで、ビームスでもよく売れました。この中に空気の入った生ゴムのエアーソールの靴のあとに、通称“おでこ靴”が出てきて、一大ブームになりました。このエアーソールの靴のつま先にスチールが入っているタイプの作業用の安全靴が、ファッションとして取り上げられて、みんなこぞって履いていた時代です。 ...
連載・重松 理|「週刊 重松 理」第9回 クルマは、フロントグリルで買う

連載・重松 理|「週刊 重松 理」第9回 クルマは、フロントグリルで買う

名言・明言・迷言「週刊 重松 理」第9回 クルマは、フロントグリルで買う重松さんが実際に履いてきた靴400余の一部を紹介しながら、“いまを語る”「週刊 重松 理」。第9回で紹介する靴は、重松さんがビームス時代、アメリカ出張でよく買っていたというアメリカの「FLORSHEIM(フローシャイム)」。アメ車好きの重松さんのクルマ論もどうぞ。語り=重松 理文=OPENERS写真=JAMANDFIX学生時代から履いていた、お気に入りの“おかめ”これは、アメリカの老舗ブランド「FLORSHEIM(フローシャイム)」の高級ライン“Imperial(インペリアル)”シリーズの一足ですね。アメリカに出張に行くとしょっちゅう買っていて、当時たしか3万8000円ぐらいでした。アメリカの靴としてはとても高価で、ブルックス ブラザーズのオールデンのコードバンの靴と、このフローシャイムが高かった。このコードバンの“おかめ”は気に入って履いていましたね。学生のときから履いていて、ビームス時代もジーンズに合わせた...
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