29足目&30足目
Fashion
2015年5月19日

29足目&30足目

#29 ユナイテッドアローズ創業の年に……

SUTOR MANTELASSI/1989

photo by Jamandfix

「ストールマンテラッシ」(1912創業)のモンクストラップのメダリオンです。ユナイテッドアローズの1号店を出す前年、オープン時の品揃えに加えるために自分も履いてみようと、フィレンツェのストールマンテラッシの店で購入した一足です。
メダリオンが入っていて、ストラップ付きで、スクエアトゥと、自分の好みをかなり満たしているデザインです。イタリアの典型的なシェイプで、よく履いていましたね。履き心地は比較的良いほうだと思いますが、グッドイヤーではないので、それと比較すると地面のアタリはあります。

ユナイテッドアローズは、米・英・伊の中で我々がもっとも良いと思うものをピックアップしてスタートしました。アメリカのスーツなら「サウスウィック」、イタリアは「キートン」や「イザイア」、シャツは「ロレンチーニ」などで、イタリアの靴も既にいろいろ入っていましたが、この「ストールマンテラッシ」は、ビームス時代にポール・スチュワートが日本に入れていて、当時、良い靴だなと思っていたんです。イタリアは何といっても産地としてのクラフツマンシップの魅力ですね。それとモデリストの存在です。我々にとっても貴重な産地であるので、何か始めたいと思っているのですが‥‥。
創業の頃は、「ソブリン」のツィードの3つボタンジャケットに、グレーフランネルのパンツなどに合わせていました。3つボタン歴は長くて、アルマーニが全盛の83年頃から93年頃まで10年ほど着ていました。
(1989年/2万8000円)

#30 早すぎて、根づかない

BATES/1982

photo by Jamandfix

渋谷のファイヤーストリートにビームスの2号店があって、それが神南の郵便局跡に引っ越す(現在のBEAMS+)ので、店が空いちゃったんですね。そこで、ニューヨークのヴィンテージコレクターであるトーマス・オートマン氏のコレクションを売る「トム・オートマンショップ」というのを出したんです。
商品は50年代後半から60年代初めのオールドストックが中心で、これは「ベイツ」社製のデッドストック。グッドイヤーで、夏用の麻のスーツに合わせるような素敵な靴ですが、履いていません。コレクションとして持っています。

「トム・オートマンショップ」はたしか1年ぐらいですね。あまりに売れなくて(笑)。考えてみれば、80年代に60年代のものは売れなかったんですよ。ヴィンテージなら“リーバイスの501の何とか”というものしか売れませんでした。トーマス・オートマン氏自体はめちゃくちゃビームスみたいな人(笑)でしたね。

その後に、「スリフティーマート」という今でいうアウトレットショップを作ったんです。いわゆるお買得ショップという位置づけで。アメリカにスリフトショップ(thriftshop)という使い古したものを持ち寄って売るという形態の店があって、それがすごくいい文化だと思ったんです。でも、2、3年営業して85年頃には閉めました。早すぎて、根づかないんですよ(笑)。
(1982年/2万円)

           
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