イスタンブールとカッパドキアで、「トルコ料理」が世界三大料理と言われる理由を探ってみた|TRAVEL
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2023年6月26日

イスタンブールとカッパドキアで、「トルコ料理」が世界三大料理と言われる理由を探ってみた|TRAVEL

TRAVEL|トルコの食旅

トルコ2大ディスティネーションから2023年の最新事情を食レポ。ミシュラン星付き店からストリートフードまで(1)

「世界三大料理」といえば、フランス料理、中国料理、そして、トルコ料理です。フランス料理と中国料理はわかるけど、なぜトルコ料理が……? と疑問に思う人も多いんじゃないでしょうか。はい、正直、私もですが、まあそれはトルコ料理のクオリティがどうのこうのっていうより、トルコ料理のことをあまりよく知らないというのが大きな理由かもしれません。そこで、今回、初めてトルコに行く機会を得た、トルコ料理初心者の筆者が、トルコ料理が「世界三大料理」のひとつである理由を探ります!

Text by HASEGAWA Aya

トルコ……、それは東西文化の交流地

イスタンブール旧市街の地下には、東ローマ帝国時代の4~6世紀にかけて造られた大貯水槽があり、見学ができます。内部は336本のコリント様式の列柱で支えられていて、それがライトに照らされて貯水面に妖しく浮かあがる様子はなんとも幻想的。映画『007ロシアより愛を込めて』のロケにも使われたことがあるのだとか。
トルコ料理と聞いて何を思い浮かべます? やっぱりケバブでしょうか。それともトルコの伝統菓子バクラヴァでしょうか。
バクラヴァとは、パイ生地に、ピスタチオやくるみなどのナッツ類を挟んで何層にも重ね、バターをたっぷりかけて焼き上げ、さらにシロップをかけたお菓子のこと。そうです、ものすごーく甘いです。カロリーを考えると身震いしますが、これが不思議とやみつきになるのです! 
なかに入る具材はさまざまですが、定番はピスタチオ。トルコには“ガーズィアンテップ”というピスタチオの名産地があるのです。パイ生地やシロップの味も店によって違うので、探求心が刺激され、トルコ滞在中、気づけば毎日食べていました(笑)。
さて今回のトルコ訪問は、イスタンブール、カッパドキアそれぞれ2泊ずつという旅程で、日本語を話すトルコ人ガイドのオキさんが全行程をサポートしてくれました。オキさん、奥様が日本人とあって日本語はネイティブレベル! しかも食通です。頼りになります!
早速、オキさんに、「なぜトルコ料理が世界3大料理なのか」と聞いてみると、「トルコは、多様な要素が混ざりあい豊かな文化を形成してきました。食も例外ではありません。非常に複数の調理法を持つのも、トルコ料理の特徴であり、強みです」と即答。
6世紀の初めに建造されたアヤソフィアは、世界でも珍しいイスラム教とキリスト教の混合寺院。ビザンチン帝国ギリシャ正教の大本山として君臨していましたが、1453年、イスタンブールがイスラムのオスマン朝によって陥落すると、イスラム教のモスクとして使われるようになります。
なるほど地中海沿岸に位置するトルコは、古くから東西文化の交流地となっていた場所。なかでもイスタンブールは、ボスポラス海峡をはさんで、ヨーロッパとアジアにまたがっているのですが、街の中心部にあるガラタ橋の展望桟橋で、「あちらに見えるのはアジア大陸ですよ~」と教えてもらった時は、さすがに、「……!」となりました(笑)。
そんなスケールの大きな海と、大地が育くむ四季折々の食材もトルコという国が持つ魅力です。農作物の自給率が高いというのも納得! さらにイスタンブールは、かつてビザンツ帝国(東ローマ帝国)やオスマン帝国の首都が置かれていたことも。オスマン帝国の最盛期には3大陸(アジア・アフリカ・ヨーロッパ)にまで国土を広げていたこともあり、さまざまな地域の調理法が混ざり合い、独特の食文化を形成しています。
イスタンブール新市街のベイオール地区にあるホテルの屋上レストランからの眺め。

イスタンブールで、トルコのストリートフードを食べ尽くせ!

オキさんにトルコの食文化に興味津々であることを伝えると、「イスタンブールを訪れたからには、やはりストリートフードを体験していただかないと!」と、早速、ストリートフードツアーに案内してくれました。
ドネル(=回転)ケバブを焼く回転式縦型グリルが発明されたのは19世紀末オスマン・トルコ帝国の時代にさかのぼります。
まず連れていってもらったのは、トルコの人々のソウルフードともいえるケバブの店。ケバブというと、六本木でよく見かける肉の塊をイメージしますが、ケバブって、トルコとその周辺地域で主に食べられている肉・野菜・魚などをローストして調理する料理の総称なんですって。
といってもイスタンブールの繁華街で見かけるケバブはやはり肉を使ったものが中心。トルコでは羊肉が使われることが多いのですが、鶏肉や牛肉が使われることも。複数の種類の肉を使ったミックスケバブと呼ばれるものもあります。
オキさん曰く「回転率のいい、繁盛している店がいいですよ。肉がぱさつかず、ほどよく脂がまわっています」。今回は、羊肉のケバブと、羊肉と牛肉を混ぜたケバブをいただきましたよ! 
ところで、串刺しにした肉塊を横に寝かせて回転させるジャーケバブって、ご存じですか? 日本ではあまり見かけませんが、そもそもはこちらが、現在、主体となっているドネル(=回転)ケバブの元祖なのだとか。
イタリア料理のピザの原型ともなったと言われるトルコ風ピザもぜひ食したいところ。トルコ風ピザにもいくつか種類がありますが、今回いただいたのは、ピデという、船を彷彿とさせる形をしたもの。薄く伸ばした生地に野菜や肉などを中に挟み、細長い筒状にして焼き上げています。今回は、ストリートフードファイターと化していたため、シンプルなチーズのピザをいただきましたが、干肉や挽き肉、サラミ、溶き卵など具材のバリエーションも豊富です。
筆者がもっとも衝撃を受けたのは、ミディエ・ドルマス。ムール貝にご飯を詰めたものです。オキさんは「トルコ風寿司」と言っていましたが、それはちょっと違うと異論を唱えたいところ(笑)。貝の出汁がしみ込んだご飯にレモンを絞っていただきます。これ、エンドレスで食べられそう。海辺の屋台では定番のメニューなのだそう。
 
バルック・エクメーイは多くの日本人の心を捉えること間違いなしのファストフード。わかりやすく言えば、トルコ風さばサンドです。バケット風のパンに、こんがり塩焼きしたサバとレタスやたまねぎ、ニンジンなどの生野菜をはさみ、レモン汁を絞っていただきます。映えはしませんが、さっぱりいただけます。トルコの方は、ピクルスジュース(!)と合わせるのが定番だそうですよ。
こんがり焼かれたサバをたっぷりの生野菜と共にいただきまーす!
ほかにも、伸びるトルコのアイス、ドンドゥルマ(伸びるのはトルコで自生するラン科のサーレップという植物の塊根を乾燥して粉砕した液を使っているから)、日本の寒天菓子みたいな感じのお菓子ロクムなど、ストリートフードやB級グルメだけに絞っても1週間程度の滞在ではとても食べきれません(笑)。
左/6世紀から作られているというトルコの伝統的菓子「ロクム」。砂糖にデンプンと水を加えて作ったもので(ナッツを加える場合もあり)、日本の「ゆべし」に似ています。右/トルコのアイス、ドンドゥルマ。
ついストリートフードの紹介に夢中になってしまいましたが(だって楽しいんですもの♡)、おしゃれなレストランやファインダイニングも充実しています。
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