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2023年6月26日
イスタンブールとカッパドキアで、「トルコ料理」が世界三大料理と言われる理由を探ってみた|TRAVEL
トルコ2大ディスティネーションから2023年の最新事情を食レポ。ミシュラン星付き店からストリートフードまで(2)
ミシュランガイド掲載のイスタンブール・ファインダイニングが熱い!
2022年10月にはトルコでは初となる『ミシュランガイド・イスタンブール版』が刊行され、53のレストランが選出されました。今回、筆者は、ノボテル イスタンブール ボスポラスにステイしたのですが、同ホテルの最上階にあるレストラン「ミュルヴェル」のメヴリュット・オズカヤ氏はミシュラン ヤングシェフ&サービスアワードを受賞しています。
夜は薪で調理する独特な調理スタイルの料理がいただけます。ボスポラス海峡を一望できる抜群の立地とあいまって、おめかしをした地元の人たち(多分)で賑わっていましたよ。格好のデートスポットなんじゃないでしょうか。
朝食のバラエティの豊富さにはキュンキュンします。加齢とともに食べられる量が減りつつある筆者、かなり頑張ってみたのですが、2泊(=2回)ですべて食べ尽くすのは無理でした……。
2023年2月には「ザ・ペニンシュラ イスタンブール」が開業しました。筆者が訪れた時は、まだプレオープン中だったのですが、ミーハーな筆者、夕食前のアペリティフをいただきに、出かけてきましたよ。なお、全世界のザ・ペニンシュラホテルズでは、イスタンブールの開業を記念し、“All Things Turkish”プロモーションを展開中。ザ・ペニンシュラ東京でも、6月30日(金)までホテル1階「ザ・ロビー」でトルコにちなんだ食事を提供しています。トルコ大使館監修が手がけているとか。気になりますっ!
奇石の街、カッパドキアで食べた美味しいもの
イスタンブールから飛行機で約90分の場所に位置するトルコ中部の都市・カッパドキア。独特の奇岩群は、数億年前の火山活動による火山灰や溶岩の堆積と風雨による侵食の相互作用で生み出されました。
世界でも他に類を見ない景観と、その歴史から1984年、自然遺産と文化遺産が組み合わさった「複合遺産・ギョレメ国立公園およびカッパドキアの岩石遺跡群」として世界遺産に登録されています。ほかにもアヴァノスの陶器工房やユルギュップの絨毯工場、ワイナリーなど、伝統工芸品や特産物も多く、見どころは盛りだくさんですが、カッパドキア編でも、「食」を中心にレポートします。
今回、筆者が泊まったのは、ユナク エブレリ カッパドキアという、街の中心地にある洞窟ホテル。洞窟を使った客室がなんと120室。圧巻です(笑)。オキさんによれば、「前に来た時より部屋数が増えている!」とのこと。「カッパドキアに来たら洞窟ホテルに泊まりたい」という人は多いようで(まあそりゃそうですよね)、観光の最中、建設中の洞窟ホテルも目にしました。「岩を掘るって大変なんじゃないの?」と思い、聞いてみたところ、カッパドキアの岩は軽くやわらかい凝灰岩なので加工がしやすいのだとか。
そもそもなぜホテルの話をしたのかというと、宿泊したホテルからから徒歩5分ほどの場所に、カッパドキアでも1、2を争うワインメーカーである「トラサン(TURASAN)」のショップがあるのです。ご存じのとおりトルコはイスラム圏ですが、他のイスラム諸国に比べて、アルコールへの規律がゆるやか。
そもそもトルコのワインづくりの歴史は世界でも2番目に古く(いちばん古いのはジョージア)、6000年前からワインづくりが行われていたそうです。特に夏の日照時間が長いカッパドキアはぶどうの栽培に適していて、質の高いワインをリーズナブルな価格で手に入れることができます。
そんなカッパドキアでは、いくつかのコージィーなレストランで家庭的なトルコ料理に舌鼓を打ちましたが、なかでも印象に残っているのは、「レビシア(Revithia)」。高台のホテル内にあるファインダイニングで、カッパドキアにミシュランが来たら必ず星を取るだろうと言われているお店です。
カッパドキアの食材を使い、カッパドキの古典的な伝統料理をイノベーティブにアレンジした料理が楽しめます。スプーンを使わずにいただく豆のスープや、牛肉の脊髄の煮込みなど、どの料理も洗練されていて、そしてやさしい味わいでした。
で、結局、トルコ料理の特徴ってなんなの?
改めてトルコ料理の特徴について、まとめてみます。
数日間ですが、ストリートフードから街のレストラン、ちょっとお高いレストランまで、トルコ料理を食べまくった筆者が感じた、最大の特徴は“酸味”。朝食ビュッフェには複数のヨーグルトが並びます。
塩味のヨーグルトドリンク「アイラン」なんて代物も、意外(?)とイケます。そして、トルコの皆様方、日本人の醤油レベルで、いろいろなものにヨーグルトを付けるんですね~。爽やかに味変できるのがナイスです。
さらにトルコ料理には、レモン、トマト、玉ねぎなど、酸味のある食材が頻繁に使われます。
ザクロジュースも何度か挑戦しましたが、値段も味も店によって差がありました(笑)。2023年4月私調べですが、150~400円でした。
なおトルコでは、ザクロは始まりを象徴する果物で、結婚式でゲストにザクロジュースが配られるという伝統もあるのだとか。それだけ身近で大切な食材なのですね。
あとはやっぱりスパイスかな。トルコ料理には、肉も魚も素材の味を引き立てるように、いい感じでスパイスが使われています。そりゃそうですよ、イスタンブールのエジプシャンバザール(スパイスマーケット)は、オスマン帝国時代の1660年、東南アジアやインド、エジプトから持ち運ばれた香辛料の市が集まって形成されたのだとか。
歴史が違います(笑)。
日本でもすっかりおなじみになったフムス(ひよこ豆のペースト)をはじめ、ペーストも豊富です。パンに付けたり、おかずに付けたり、あるいはワインのつまみとしていただいたり……。
そして、当然といえば当然なのですが、店によって味が異なるのも面白いところ。なんでもかんでも日本のモノに例えるのは無粋ですが、居酒屋の煮込みの味が店によって違う、という感じでしょうか。韓国でいえばキムチとか⁉ 画一化されていない味わいの文化が今なお守られているところも素晴らしいと思います。
さまざまな料理にオリーブオイルが多用されているのもトルコ料理ならでは。そしてパンの種類も豊富です。2000年には国民1人あたりの年間パン消費量が、ギネス世界記録に認定されています。
なかでもトルコ人が愛してやまないのが、ゴマをたっぷり使ったリング状の「スィミット(Simit)」。トルコの朝食に欠かせないパンで、レストランでも当たり前のように出てくるし、街角の屋台でも売られています。
数日間、滞在してみての実感は、調理法が多いのも納得ですが、とにかく種類が多いってこと。トルコの名物を食べ尽くすぞ! と気合いを入れていたのですが、とても無理でした(笑)。
ヨーグルトやパン、ペーストだけでも何種類あるんでしょう⁉ これは探求しがいがあります。食文化ひとつとっても奥深いトルコにすっかり魅了され、また早々に美味しい「研究」に出かけようと目論んでいます!