ALDENの魅力を語る(2)
Fashion
2015年5月19日

ALDENの魅力を語る(2)

ALDENとの出会いとその魅力を語る(2)

#32 全部なくなって、オールデンだけが残った
ALDEN/1979~

1957年、オールデン社はブルックス ブラザーズのために特別に“かかと部にデコレーションを施した”タッセルローファーをつくったという。いまでいうコラボレーションの嚆矢といえよう。

構成=梶井 誠写真=Jamandfix

ビームス時代に愛用していたタッセルシューズ

「オールデン」は小売店とのコラボでもダブルネームでしかつくらない、完全OEM(Original Equipment Manufacturer=相手先ブランド製造)は一切やらない希有なブランドです。

当時オールデンは、パリのセレクトショップのエミスフェールが扱って有名になって、フレンチアイビーの人たちがこぞって履いていたんですね。それがビームスの品揃えと客層に共通していたんですよ。

ある靴屋の社長がオールデンのことを話していて印象に残った言葉が「うまヘタ」なんですよ。――美しくもあり醜くもあり。

「うまい」というのは、製法と履き心地のよさでしょうね。アメリカのいちばんいい時代のときの技術が残っている最後のシューメーカーです。

「ヘタ」というのは、ヨーロッパの細身の靴と比べると、けっしてきれいなバランスじゃない。アグリーなかたちなのでしょう。

でも、土踏まずを大胆にシェイプした独特な“モディファイド・ラスト”や、均整回復など矯正用の靴であること、独特の空豆のようなかたちというのは、靴好きにはものすごく新鮮だった。コードバン(馬の尻革)のスーパー実用靴ですよ。アメリカのビジネスマン、政治家の靴です。

固くて履きにくかったというペニーローファー

オールデンの先代の社長の頃に、ボストンの工場によく行きましたね。先代の社長は、50、60年代のアメリカの靴のよいところを残したいという強い意志をもっていて、靴が大好きな人で、おじいさんと一緒にオールデンを買収したんですよ。

その後もオールデンのいちばんいいときの技術とテイストを変えなかったんですね。そして、いまの息子さんが“変えないこと”を戦略としてやっています。

ジョンストン&マーフィーもフローシャイムもアラン・エドモンドも、50年代から60年代の隆盛時はつくりもよかったんですが、ほかに技術移転するなど、なにもできないまま衰退していってしまった。全部なくなって、オールデンだけ残りました。

ALDENとの出会いとその魅力を語る(3)に続く
           
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