2013年お正月特集
「2013年お正月特集」に関する記事
INTERVIEW|『ブリングリング』ソフィア・コッポラ監督、来日記念インタビュー
INTERVIEW|ハリウッドのクローゼットを荒らしまくったティーン窃盗団『ブリングリング』ソフィア・コッポラ来日記念インタビュー(1)ソフィア・コッポラ3年ぶりの新作『ブリングリング』が公開される。映画化のきっかけとなったのは、インターネットを武器に、ハリウッドセレブの豪邸を次々と狙ったティーン窃盗団についてのルポタージュ『The Suspects Wore Louboutins(容疑者はルブタンを履いていた)』を、ソフィアが偶然にも目にしたこと。事件のどんな側面が彼女の心をとらえたのか。そして、映画に込めた想いとは──。グリーンカーペットでの、父親フランシス・F・コッポラとの“共演”も話題となった、東京国際映画祭参加のために来日した本人に、話を聞いた。Interview & Text by OKADA Yuka映画ではセレブに重きを置きすぎた社会を検証「実際の事件を描いた映画を作ったことがないので、ありがちな成り行きや描き方にならないように、自分のスタイルをキープしなが...
MOVIE|構想10年のユーモラスな家族ドラマ『おじいちゃんの里帰り』
MOVIE|ヨーロッパで7カ月のロングランヒットを記録笑いと涙の感動作『おじいちゃんの里帰り』ドイツへ移住した一家が、半世紀を経て再びトルコへ帰郷する様子をユーモラスに描いた家族ドラマ『おじいちゃんの里帰り』。11月30日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにてロードショーがスタートした。Text by KUROMIYA Yuzuおんぼろワゴンで故郷トルコへ家族を守るため、1960年代半ばにトルコからドイツに移り住んだイルマズ家の主フセイン。いまではすっかりおじいちゃんとなった彼の涙ぐましいまでの奮闘ぶりと、新世代へとバトンタッチをしてゆく家族の姿を綴った、笑いと涙の感動作。監督は、トルコ系ドイツ人2世のヤセミン・サムデレリ。脚本は自身と実妹ネスリンの実体験をもとに、50回以上の推敲を重ねて執筆した。完成した作品は、民族、文化、世代を越えて大きな共感を呼び、ドイツで約7カ月ものロングラン上映、150万人動員の大ヒットを記録。また、第61回ベルリン国際映画祭での上映、第7回...
ART|モザイクアート作品展『L'atelier par Impossible』
ART|iPhoneからインスタントフィルムに焼き付けるデバイスを使った、世界初の展覧会芸術家のアトリエ写真から生み出されたモザイクアート作品展『L'atelier par Impossible』ポラロイド社のインスタントフィルム撤退後に、アートに特化したインスタントフィルムづくりをおこなってきたImpossible(インポッシブル)が、あらたなデバイスを開発。iPhoneからインスタントフィルムに焼き付ける「Instant Lab(インスタント・ラブ)」の写真である。その写真を集めて巨大な立体モザイクアート作品を生み出し展示する『L'atelier par Impossible』が、中目黒のインポッシブル・プロジェクト・スペースで12月3日(火)から2014年1月13日(月・祝)まで開かれる。Text by YANAKA Tomomiダリのアトリエや“写真の父”ニエプスのアトリエをモザイクで再現 iPhoneで撮影した画像を本物のインスタントフィルムに現像するという、世界初のデ...
MOVIE|半世紀にわたる愛の軌跡『リヴ&イングマール ある愛の風景』
MOVIE|半世紀にわたる愛の軌跡を辿る真実の物語ドキュメント・ラブストーリー『リヴ&イングマール ある愛の風景』スウェーデンを代表する映画監督イングマール・ベルイマンと、そのパートナーだった女優リヴ・ウルマン。ふたりの愛と友情の軌跡を辿るドキュメント・ラブストーリー『リヴ&イングマール ある愛の風景』が、12月7日(土)よりユーロスペースほかにて全国順次ロードショーされる。Text by KUROMIYA Yuzuふたりの思い出がいま、真の愛へと昇華する『叫びとささやき』『秋のソナタ』など映画史に残る傑作を生み出してきたイングマール・ベルイマン監督と女優リヴ・ウルマン。1964年『仮面/ペルソナ』の撮影で出会い、5年間一緒に暮らし子供を一人もうける。その後、恋愛関係は破局を迎えるが、あらたな愛の形を見出し、生涯で12本の映画を共に製作している。複雑でありながらも唯一無比の関係を築きあげていくふたり。そこには芸術の真髄を目指す者だけが味わう、愛と憎しみの世界が存在した。 ...
MOVIE|20周年を迎えるFOXサーチライト・ピクチャーズが新プロジェクト始動!
MOVIE|第1弾上映は、障がい者の愛と性を描いた感動作『セッションズ』20周年を迎えるFOXサーチライト・ピクチャーズが新プロジェクト始動『ブラック・スワン』や『(500)日のサマー』など、これまで数々のクオリティ・ムービーを世に送り出してきたFOXサーチライト・ピクチャーズが来年20周年を迎える。これを記念し、あらたなプロジェクトが始動した。第一弾作品として、愛とユーモアに溢れた実話をもとにしたドラマ『セッションズ』が、サーチライト作品の常設映画館となった新宿シネマカリテほかで12月6日(金)から上映される。Text by YANAKA Tomomi異才や名匠監督を輩出した“もっともアカデミー賞に近い”スタジオ映画の製作や配給を手がけ、これまでオリジナリティ溢れる作品を生み出してきたFOXサーチライト・ピクチャーズ。いちはやく新しい才能や俳優を見出すことでも知られ、ダニー・ボイル、ダーレン・アロノフスキー、ウェス・アンダーソン、アレクサンダー・ペインら、異才、名匠と称えられる有...
MOVIE|人生のはざまで揺れ動くある女性の愛 『パリ、ただよう花』
MOVIE|“製作禁止”が解かれた中国の鬼才、ロウ・イエ監督が描く人生のはざまで揺れ動くある女性の愛 『パリ、ただよう花』異なる人種や文化、暴力と優しさ、愛とセックスのはざまで揺れ動くある女性の愛の問題を描く、『パリ、ただよう花』。12月21日(土)より渋谷アップリンク、新宿K'sシネマほかで全国順次公開される。Text by KUROMIYA Yuzu「どんなにセックスを重ねても、愛には届かない」パリと北京、ふたつの都市で居場所を求めてさまよう女性を描き出した『パリ、ただよう花』。監督は、本作をもって5年間の中国国内での映画製作の禁止が解かれたロウ・イエ。リウ・ジエの実体験をもとにした小説「裸」がベースであり、ロウ・イエ監督にとって原作のある作品は本作がはじめてとなる。この小説を映画化しようとした理由をロウ・イエ監督はこう語る。「僕が常に興味を持っている愛というテーマを、女性の視線で率直かつ正直に、人間的な視線で提示していました。愛は人間にとって日常的な問題です」 また...
INTERVIEW|『鑑定士と顔のない依頼人』ジュゼッペ・トルナトーレ監督インタビュー
INTERVIEW|イタリアの名匠によって仕掛けられた、鮮やかな罠『鑑定士と顔のない依頼人』ジュゼッペ・トルナトーレ監督インタビュー(1)ジュゼッペ・トルナトーレ監督といえば、『ニュー・シネマ・パラダイス』。その新作は、美術オークションの世界で繰り広げられる極上のミステリーで、主役は『英国王のスピーチ』のジェフリー・ラッシュだという。だがそうした事前情報は、いったん忘れた方がいい。そこから思い浮かぶ印象のすべてが、完璧なまでに覆されるからだ。天才オークション鑑定士と、決して姿を現さない依頼人との、数奇な運命。その予想だにせぬ結末に、思わず快哉を叫ぶ。これが彼の新境地なのか? いままで描き出してきた人間愛に、どんな変化があったのか? かつてない謎の物語、そこに託されたメッセージについて、トルナトーレ監督を直撃した。Photographs (portrait) by KAMIYAMA YosukeText by FUKASAWA Keita衝撃的な結末は、トルナトーレの新境地か?ジュゼ...
MOVIE|宇宙を舞台にしたSFサスペンス『ゼロ・グラビティ』
MOVIE|サンドラ・ブロック×ジョージ・クルーニーの豪華タッグが実現宇宙を舞台にしたSFサスペンス『ゼロ・グラビティ』地上60万メートルという宇宙空間に投げ出され、極限状態のなかで生き延びようと奮闘する姿を描く『ゼロ・グラビティ』。最新の映像技術による臨場感溢れるSFサスペンスが12月13日(金)より全国ロードショーされる。Text by YANAKA Tomomi息子とともに珠玉の脚本を生み出したアルフォンソ・キュアロン監督気圧もなく、酸素もなく、生命が存在することが許されない無限に広がる宇宙。そこに突如として放り出されてしまうという絶体絶命の試練に立ち向かう女性宇宙飛行士。圧倒的な映像体験とともに繰り広げられるスペクタクルムービーがまもなく公開される。注目すべきは映像美だけではない。主演は、ともにオスカー常連俳優のサンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーのコンビで、物語に深みを与えている。また、メガホンを取ったのは『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』などで知られるアルフォン...
MOVIE|サウジアラビア初の女性監督、鮮烈デビュー『少女は自転車にのって』
MOVIE|ガールズパワーに世界が喝采サウジアラビア初の女性監督、鮮烈デビュー『少女は自転車にのって』因習を重んじる世界でまっすぐに生きる少女の姿を通して、未来への希望を描いた感動作『少女は自転車にのって』。12月14日(土)より岩波ホールほかにて全国順次ロードショーされる。Text by KUROMIYA Yuzu監督自身の実体験から生まれた勇気の物語映画館の設置が法律で禁じられている国サウジアラビアから、奇跡の傑作が誕生した。サウジアラビアと言えば、女性のひとり歩きや車の運転を禁じる国。『少女は自転車にのって』では、この国で少女が直面する、女性として生きることの厳しさを直視しつつ、それでも前向きに生きる少女ワジダの日常をストレートに映し出す。監督はサウジアラビア初の女性監督となったハイファ・アル=マンスール。また、すべての撮影をサウジアラビア国内でおこない、すべて自国の俳優を起用した初の長編映画という点も注目だ。少女の日常をみずみずしく描く10歳の少女ワジダは、男の子の友達アブ...
ART|東京都写真美術館で『高谷史郎 明るい部屋』展
ART│高谷芸術の原点となる写真と映像作品を紹介東京都写真美術館で『高谷史郎 明るい部屋』展 開催最先端の技術を駆使し、パフォーマンスの可能性を追求してきた映像作家の高谷史郎(たかたに・しろう)氏。彼の展覧会『高谷史郎 明るい部屋』が12月10日(火)から2014年1月26日(日)まで、渋谷区・恵比寿の東京都写真美術館で開かれる。活動の原点となる写真と映像コレクションを、東京都写真美術館の映像コレクションと連動させ、その足跡を紹介する。Text by YANAKA Tomomi坂本龍一氏、浅田彰氏も登場する豪華アーティスト・トーク 高谷史郎氏は1963年、奈良県生まれ。京都市立芸術大学環境デザイン科を卒業した1984年に、建築や美術、デザイン、音楽、ダンスなど異なる表現手段をもつ同大学の学生を中心にしたアーティストグループ「ダムタイプ」の創設に携わり、ビジュアルワークを担当するなど、個人での制作とともにさまざまな活動を展開してきた。近年では、最新技術をもちいたインスタレーションや...
MOVIE|1頭の馬を追うドキュメンタリー『祭の馬』
MOVIE|震災直後の福島県相馬地方から雪の北海道、そして再び相馬の夏へ1頭の馬を追うドキュメンタリー『祭の馬』いずれは食用馬となるはずだった馬。『祭の馬』は、競走馬を引退して福島県南相馬市に移されたミラーズクエストが、勇壮な神事「相馬野馬追」に参加するまでを追ったドキュメンタリー。12月14日(土)より、シアター・イメージフォーラムほかにて全国順次公開される。Text by KUROMIYA Yuzu馬たちの瞳を通して映し出す人間の姿2007年の春、まだ雪の残る青森の牧場で生まれた黒鹿毛の牡馬は、ミラーズクエストと名づけられた。2010年9月18日、中山競馬場でデビューするが、結果は16頭中16着。その後1勝もできず、2011年1月2日の水沢競馬場でも9頭中9着。翌日、地方競走馬登録を抹消された。通算成績は、4戦0勝・獲得賞金0円。未勝利馬は食肉用として福島県南相馬町の業者に引き取られ、余生を送ることになった。そして、震災の3月11日を迎える。激しい津波が彼の馬房を襲い、ミラーズ...
ART|故郷宮崎県で『永瀬正敏写真展Memories of M ~Mの記憶~』
ART│俳優生活30周年を記念故郷宮崎県で開催『永瀬正敏写真展Memories of M ~Mの記憶~』国内外での高い評価を得る俳優 永瀬正敏(ながせ・まさとし)は、写真家としても実に20年以上のキャリアを誇る。そして、彼の俳優生活30周年を記念した『永瀬正敏写真展Memories of M ~Mの記憶~』が、故郷宮崎のみやざきアートセンターで12月14日(土)から2014年1月19日(日)まで開かれる。Text by YANAKA Tomomi宮崎にちなんだ多彩な作品映画などでの独特の存在感を見せる永瀬正敏にはもうひとつ、写真家としての顔がある。祖父は写真師。戦後の混乱期にカメラを騙し取られ、写真師の道を断念せざるを得なかったその祖父の意思を継ぐべく、写真家としても精力的な活動をみせてきた。今回は、宮崎の風景写真や宮崎の伝統工芸職人を撮影した作品から、宮崎出身のモデルやスタッフを起用し撮られたという天照大神など、神話にゆかりのある宮崎県ならではのモチーフを扱った、幻想的な写真が展...
ART|『日本の新進作家VOL.12:路上から世界を変えていく』展
ART│現代を代表する大森克己、糸崎公朗、鍛冶谷直記、林ナツミ、津田隆志の5人に注目東京都写真美術館で『日本の新進作家VOL.12:路上から世界を変えていく』展東京都写真美術館が毎年テーマを変えて開催している日本の新進作家展を今年も開催。今年は“路上”という場所に焦点を当てた『日本の新進作家VOL.12:路上から世界を変えていく』展として、12月7日(土)~2014年1月26日(日)まで開かれる。Text by YANAKA Tomomi展示室をはみだし、来場者の視点を路上へといざなうダイナミックな展示構成 写真の歴史のなかでも多くの写真家たちがストリート写真というかたちで優れた作品を多く生み出してきた「路上」。東京都写真美術館では「路上から世界を変えていく」をテーマに1960~80年代に生まれた5人の写真家に注目。彼らの作品からこの時代の空気感や意識のありようをあぶりだすような写真作品が展開される。出展するのは、平成の日本を代表する作家の一人であり、公立美術館企画展には初参加と...
MOVIE|クリスチャン・ルブタンが演出したショーを映画化『ファイアbyルブタン』
MOVIE|ブルノ・ユラン監督がみせるこれまでにない臨場感クリスチャン・ルブタンが演出した伝説のショーを映画化!ファイアbyルブタン』シューズデザイナーのクリスチャン・ルブタンが演出し、パリの老舗ナイトクラブ「クレイジー・ホース」で、80日間のみ上演された舞台。この伝説のショーを映像化した『ファイアbyルブタン』が、12月21日(土)から日本でも公開される。Text by YANAKA Tomomiモダンカルチャーの頂点を極めたショー1951年に創立されて以来、半世紀以上にわたりパリカルチャーの中心に君臨しつづけるナイトクラブ「クレイジー・ホース」。ただエロティックなだけではなく、革新的な芸術作品ともいえるショーはセレブリティをはじめ、多くの人を魅了してやまない。「アートは変化しつづけることだ」と発信してきた「クレイジー・ホース」が2012年、史上初のゲスト・アーティストとしてクリスチャン・ルブタンを招聘。「クレイジー・ホース」のダンサーたちの美しさにインスパイアされて、ハイヒール...
ART|銀座メゾンエルメスフォーラムで『クリスチャン・ボヌフォワ展』
ART│フランスを代表する画家の日本初個展銀座メゾンエルメスフォーラムで『クリスチャン・ボヌフォワ展』フランスを代表する画家として知られるクリスチャン・ボヌフォワ(Christian Bonnefoi)。彼の日本初個展となる『クリスチャン・ボヌフォワ展』が、来年2月28日(金)まで銀座メゾンエルメス フォーラムで開かれている。Text by YANAKA Tomomi会場構成は気鋭の建築家、中山英之氏が担当クリスチャン・ボヌフォワは1948年、フランス生まれ。美術史家としてそのキャリアをスタートさせたが、1970年に観たアンリ・マティス展で出合ったレリーフ状の彫刻『Dos(背中)』に衝撃を受け、画家を志すようになる。以来、絵画の物質的側面に着眼し、透過性のある素材を使いながら、自立したオブジェとなることを目指して重ねられてきた彼の創作活動。ミニマリズムの文脈にもつながるストイックな作品は、伝統的な絵画への問いを物理的かつ哲学的に追求し、フランスや世界各地のパブリックコレクションにも...