連載
「連載」に関する記事

FIAT|フィアット|柴田文江 vs フィアット500 デザインの力はヒエラルキーを越える TOP
Vol.2 柴田文江 vs フィアット500デザインのちからはヒエラルキーを越える各界で活躍するクリエイターが最新のクルマに対峙し、かつてない創造的な自動車論を展開。第2回目は、工業デザイナーの柴田文江氏が登場。ゆるぎない道具論をもつ職業的立場と、インスピレーションを大事にする女性の感覚、その両面から、歴史的な先代をモチーフに生まれ変わった「フィアット500」を語る。構成・文=田村十七男写真=六本木泰彦以前から気になる存在だったという「フィアット500」。柴田文江さんの関心を集めたのは、サイズを越えた独特なデザイン感だった……。(2008.07.16)「フィアット500」でもっとも感心したのは、工業製品として現代レベルをクリアしていること――。柴田文江さんが語る、このクルマの頑張りどころとは?(2008.07.23)工業デザイナーとしてクルマのエクステリアに挑みたいという柴田文江さん。カー・デザインの真髄とその期待に触れる、インタビュー三部作、いよいよ総論。(2008.07.30)...

FIAT|ファイアット|柴田文江 vs フィアット500(1) 街で目にとまった、デザインの緻密感
Vol.2 柴田文江 vs フィアット500Chapter1 街で目にとまった、デザインの緻密感以前から気になる存在だったという「フィアット500」。柴田文江さんの関心を集めたのは、サイズを越えた独特なデザイン感だった。──まず率直に、フィアット500の印象をうかがいますちょっと前から気になっていたんです。都内だとずいぶん外国車が増えたけれど、それでも工業製品然とした日本車が多いなかで、このクルマはパッと目立ったんですよね。なんかカワイイのが動いている、みたいな目のとまり方をしました。──柴田さんにフィアット500をご用意したのは、工業デザイナーとしての立場からはもちろん、じつは女性の観点でも語ってほしいという下心があったことを、ここで告白しますそれはだいじょうぶ。ちゃんと理解していますから(笑)。イメージ的に、私に似合いそうですもんね。年令的にも仕事的にも。そういう想像はできます。なので個人的なクルマ選びの基準をお話しすると、もっとも大事なのはジーンズでもワンピースでも乗れること...

FIAT|フィアット|柴田文江 vs フィアット500(2) 機能とデザインが情景をイメージさせる
Vol.2 柴田文江 vs フィアット500Chapter2 機能とデザインが、素敵な情景をイメージさせる「フィアット500」でもっとも感心したのは、工業製品として現代レベルをクリアしていること――柴田文江さんが語る、このクルマの頑張りどころとは?──街で目にとまったというフィアット500ですが、目の当たりにされて印象は変わりましたか?柴田 造形によるイメージはそのままですね。正面斜め横からながめると、昔のフィアット500のラインを上手に出していて、よく頑張っているなあという発見はありました。私の事務所のスタッフにクルマ好きがいて、今日ここに来る前、いろんな情報を吹き込んでくれたんです。初代のフィアット500がどういうクルマだったかとか、「ミニ」もまたおなじような流れでリニューアルを果たしたとか、それはもう熱心に(笑)。彼は実際に古いミニに乗っているんです。──それはたいそうなクルマ好きで(笑)柴田 そうした名車への思い入れがこのクルマにいろんな影響を及ぼしたことは、細部をながめて...

FIAT|フィアット|柴田文江 vs フィアット500(3) 動くものはデザイナーの自己表現の領域にある
Vol.2 柴田文江 vs フィアット500Chapter3 動くものはデザイナーの自己表現の領域にある工業デザイナーとしてクルマのエクステリアに挑みたいという柴田文江さん。カー・デザインの真髄とその期待に触れる、インタビュー三部作、いよいよ総論。柴田文江さんの代表的作品「オムロン けんおんくん」(左)――代表的なお仕事にオムロンの電子体温計があります。ゆえに家庭的な製品に携わるイメージがありますが、クルマのデザインには興味がありますか?チャンスがあるなら、ぜひエクステリアをやってみたいです。――そのチャンスが巡ってきたとき、フィアット500のようなクルマならどういうアプローチをしますか?私はデザイナーですから、できたらまったく新しいクルマをつくりたいと思います。もちろんフィアット500のようなケースにも意義は感じます。そうですね、私なら過去のストーリーはまったく関係ないものとして試みるかもしれません。ただ、やはりクルマは特殊です。動くものに対するデザインのアプローチは、究極的には...

Jaguar XF|ジャガーXF|山中俊治 vs ジャガーXF クルマは立ち方で決まる TOP
Vol.3 山中俊治 vs ジャガーXFクルマは立ち方で決まる各界で活躍するクリエイターが最新のクルマと向き合い、これまでになかった創造的な自動車論を展開。第3回目は、プロダクトデザイナーの山中俊治さんが登場。クルマのエクステリアデザインからキャリアをスタートさせたデザイナーだからこそ語れる、自動車デザインの本質論。構成・文=田村十七男写真=岡村昌宏1972年型「ジャガーXJ12」を所有したこともある山中さんは、30年を隔てた新しいジャガーに対峙して何を想うのか。(2008.09.26)「ジャガーXF」に郷愁をおぼえたという山中さん。その感覚の源泉と、ブランドが抱える問題点に迫る。(2008.10.01)自動車デザイン経験のある山中さんが語る、ひとが美しいと感じるクルマとは? 「ジャガーXF」をめぐる自動車デザイン論、いよいよ大詰め。(2008.10.08)山中俊治(やまなか しゅんじ)1957年愛媛県生まれ。1982年、東京大学工学部産業機械工学科卒業後、日産自動車に入社しエクス...

Jaguar XF|ジャガーXF|山中俊治 vs ジャガーXF(3)神様のクルマのデザイン
Vol.3 山中俊治 vs ジャガーXFChapter3 神様のクルマのデザイン自動車デザイン経験のある山中さんが語る、ひとが美しいと感じるクルマとは? 「ジャガーXF」をめぐる自動車デザイン論、いよいよ大詰め。──おそらくジャガーにしてみれば、「XF」は新しいチャレンジなのだと思います。そうして伝統的なブランドが変わっていこうとするとき、どういう道筋なら成功にたどり着けるのでしょうか?実はかなりの確率で、トラディショナルなスタイルを維持するだけでは、ブランドは長生きできないんです。──それは意外ですね。多くの人はトラディショナルを愛でるんじゃないですか?伝統を残そうというときに、多くの企業が新しい機能やレイアウトを、古いスタイルで包もうとします。しかし、それではカタチだけのブランドになってしまう。最新の機能じゃなきゃ競争できない、でもブランドの伝統が……という迷いがそうさせてしまうのでしょう。ではどうすれば古いブランドが生き残れるかといえば、仕組みは伝統的なままで、表面的には思い...

Jaguar XF|ジャガーXF|山中俊治 vs ジャガーXF(2)もはや背徳が許された時代には戻れない
Vol.3 山中俊治 vs ジャガーXFChapter2もはや背徳が許された時代には戻れない最新のジャガー「XF」に郷愁をおぼえたという山中さん。その感覚の源泉と、ブランドが抱える問題点に迫る。──山中さんが「XF」に対して郷愁を抱いてしまうというのは、果たして感覚なのでしょうか?全体の印象はかなりマッシブで、伝統的なジャガーからは遠いものです。ボディパネルのボリュームを増して、トランクの位置も高くしてウィンドウを狭くするというのは、実は流行のレイアウト。レクサスが典型ですね。運転してみても、剛性感の高さはすばらしく、少しカタめの乗り心地や音などのフィーリングなども、僕が知っているジャガーのものではなく、とても現代的に仕上がっています。そういう意味ではジャガーらしいクルマとはもはやいえないのですが、表面的には伝統的な様式がいろいろと残されています。──今回は、XFのセールスポイントでもあるセンターコンソール上の「ジャガードライブ・セレクター」をはじめとした、インターフェイスについて...

Jaguar XF|ジャガーXF|山中俊治 vs ジャガーXF(1)クルマはまず、立ち方を見る
Vol.3 山中俊治 vs ジャガーXFChapter1 クルマはまず、立ち方を見る1972年型「ジャガーXJ12」を所有したこともある山中さんは、30年を隔てた新しいジャガーに対峙して何を想うのか。──長い時間をかけて外観をご覧になっていましたね。自動車デザインの経験がある山中さんの場合、クルマをどうやって見るのですか?立ち方ですね。──立ち方?タイヤを足に見立てて、どう立っているか。重心はどこにかかっているか。うずくまっているのか、跳ねているのか。その立ち方からクルマの性格をうかがうんです。それは、若いころ身につけたクセですね。有名なカーデザイナーの作品を正確に模写したり、そういうことをずいぶんやりました。──そこから何がつかめるんですか?自動車デザインの在り方はもちろん、デザイナーの個性も明確になります。たとえば「ランボルギーニ・カウンタック」をつくったガンディーニは、前足も後ろ足も伸びきった、疾走する動物のイメージなんです。対してジウジアーロは、後ろ足に重心があって、首をぎ...

PORSCHE|ポルシェ|第1回 「ポルシェ911」を買いに
第1回 「ポルシェ911」を買いにあこがれのクルマ、ポルシェのオーナーになるため、ディーラーを訪れた。「ボクスター」をはじめ居並ぶ多くのポルシェたち。そのなかでもお目当ては、スポーツカーの頂点ともいうべき「911」だ。文=生方聡取材協力=ポルシェ ジャパン、ポルシェセンター目黒ポルシェ911カレラポルシェといえばここは都内にあるポルシェのショウルーム。いつもの通りからショウウインドー越しに眺めていた最新モデルが、きょうは手を伸ばせば届く距離にある。「ボクスター」の登場を皮切りに、SUV「カイエン」、2シータークーペ「ケイマン」とラインナップを拡大してきたポルシェ。選択肢が広がり、最初の一歩も踏み出しやすくなったおかげで、確実にユーザー層は広がりを見せている。しかし今回のお目当ては、40年以上の長きにわたりスポーツカーの理想を追い求めてきた「911」だ。おなじスポーツカーのボクスターやケイマンと比較すると値段は張るけれど、ポルシェはやはり911なのだ。ひとしきり911を熟視したところ...

PORSCHE|ポルシェ|第2回 残価設定ローンとは
第2回 残価設定ローンとは「911カレラ」の見積もりを前に、最近気になっている“あのローン”について、セールススタッフに聞いてみた。文=生方聡取材協力=ポルシェ ジャパン、ポルシェセンター目黒従来型の自動車ローンでは、対象全額でローンを組んでいたが、残価設定ローンでは、将来の下取り価格(残価または据え置き価格)を差し引いた額でローンを組むため、月々の支払い額を抑えることが可能。月々の支払い額を抑える月々18万円強の5年ローンで新車の「911カレラ」を手に入れるというプラン。悪くはないが、セールススタッフに、最近気になっている残価設定ローンについてたずねてみた。「はい、『ポルシェ パワーローン』ですね」最近、日本車でも積極的に導入している残価設定ローンは、据え置き型ローンとも呼ばれる比較的新しいタイプのプログラムだ。ローン終了時点の下取り価格を残価(据え置き価格)として設定し、この金額を最終回に支払うかわりに、月々の支払い額を抑えようというのがその特徴なのだ。実際、弾き出された数字を...

ART|ジム・ランビー展『Sun Rise Sun Ra Sun Set』をラットホールギャラリーで開催
ART|身近な日用品を使った新作インスタレーションなどを紹介ジム・ランビー展『Sun Rise Sun Ra Sun Set』をラットホールギャラリーで開催スコットランド出身で身近な日用品を用い、色鮮やかなインスタレーションを生み出すことで知られるジム・ランビー(Jim Lambie)の新作展『Sun Rise Sun Ra Sun Set』が11日、南青山のラットホールギャラリーではじまった。6月21日(日)まで開かれる。Text by YANAKA Tomomi観る者の知覚に刺激を与え、身体感覚を丸ごと巻き込むようなインスタレーションジム・ランビーは1964年、スコットランド・グラスゴー生まれ。2003年にはヴェネチア・ビエンナーレのスコットランド代表に選ばれたほか、2005年には英国でもっとも権威ある賞のひとつといわれるターナー賞にノミネートされるなど、世界的にも高い評価を受ける現代アートの表現者のひとりだ。日本では2008年に原美術館での個展をはじめ、多くの美術館で作品が展...

BOOK|レストラン「ロオジエ」の真髄を記した書籍『THE STORY OF L’OSIER』
BOOK|内装からカトラリーにいたるまで、ひとつひとつに込められた驚きの物語『THE STORY OF L’OSIER 最高のレストラン「ロオジエ」 最上のおもてなしの秘密』資生堂が経営するフレンチレストラン「ロオジエ」。そこにかかわる人びとのインタビューを通し、いかにしてロオジエという特別な存在が作られているのか、驚きの物語とともにその真髄を記した書籍『THE STORY OF L’OSIER 最高のレストラン「ロオジエ」 最上のおもてなしの秘密』が、マガジンハウスより発売中だ。Text by ENOMOTO Kozue (OPENERS)「ロオジエ」を形作る無形有形の物語1973年のオープン以来、40年もの長きにわたり王道のフレンチレストランという揺るぎないイメージを保ちつづけているロオジエ。本書では、レストランを構成する“もの”を通してロオジエがもつ固有の文化を検証。料理だけにとどまらず、エントランスや内装、インテリア、カトラリー、おもてなしの心にいたるまで、どのようにしてロ...

MOVIE|ポール・トーマス・アンダーソン監督とホアキン・フェニックスが再タッグ
MOVIE|ポール・トーマス・アンダーソン監督とホアキン・フェニックスが再タッグ破天荒な登場人物たちが繰り広げる“探偵物語”『インヒアレント・ヴァイス』小説家トマス・ピンチョンが1970年代のロサンゼルスを舞台に描いた『LAヴァイス』を、鬼才ポール・トーマス・アンダーソン監督が映画化。ホアキン・フェニックスを主演に迎えた探偵サスペンス『インヒアレント・ヴァイス』が、4月18日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田ほかで全国公開公開される。Text by YANAKA Tomomiアンダーソン監督の貴重な独占インタビューはこちらから豪華キャストがブッ飛びキャラクターで登場わずか7作の長編小説と寡作ながら、ノーベル文学賞候補の常連であり、謎に満ちた覆面作家トマス・ピンチョン。彼が自身の小説で初の映画化を許した相手は、深い人間ドラマと独特の映像美で世界的に熱狂的なファンをもち、カンヌ、ベルリン、ベネチアの三大映画祭のすべてで監督賞に輝くという、こちらも天才と名高きポー...