FIAT|ファイアット|柴田文江 vs フィアット500(1) 街で目にとまった、デザインの緻密感
Vol.2 柴田文江 vs フィアット500
Chapter1 街で目にとまった、デザインの緻密感
以前から気になる存在だったという「フィアット500」。柴田文江さんの関心を集めたのは、サイズを越えた独特なデザイン感だった。
──まず率直に、フィアット500の印象をうかがいます
ちょっと前から気になっていたんです。都内だとずいぶん外国車が増えたけれど、それでも工業製品然とした日本車が多いなかで、このクルマはパッと目立ったんですよね。なんかカワイイのが動いている、みたいな目のとまり方をしました。
──柴田さんにフィアット500をご用意したのは、工業デザイナーとしての立場からはもちろん、じつは女性の観点でも語ってほしいという下心があったことを、ここで告白します
それはだいじょうぶ。ちゃんと理解していますから(笑)。イメージ的に、私に似合いそうですもんね。年令的にも仕事的にも。そういう想像はできます。なので個人的なクルマ選びの基準をお話しすると、もっとも大事なのはジーンズでもワンピースでも乗れること。カジュアルとフォーマル、どちらか一方だけのシーンに限定されるスタイリングは好みじゃありません。
──そのご意見は、どんな場面でも合う、という解釈では不正解だと思います。しかし、正解を導き出しているクルマはそう多くないでしょうね
じゃ、どんなスタイリングが好きかというと、そのカタチにアイデンティティがあること。何かを語りかけてくるカタチに興味が沸くんですね。たとえば、京都のように歴史ある町でフェラーリを見かけると、なんでこんなに似合うんだろうと思いませんか? それは、フェラーリの造形が美しいだけじゃなく、デザインに強いメッセージがあるからです。
私が都内でフィアット500を見かけて気になったのも、そういう個性を感じ取ったから。レトロだけど懐古趣味で終わっていない、独特なデザイン感。言葉を替えればデザインの緻密感にあふれていた。小さいけれど、きっと安くないだろうなあと思いましたね。
──実際に最大1.4リッターで200万円代に突入しています
価格や実用性を超えて欲しくなるものかどうか、そこも重要ですよね。おなじ価格帯の日本車ならもっと大きなクルマが買えるとか、そういう比較すら超越する存在になり得ないと、イメージモデルとしての私は、乗りたいと思わないかもしれません。
もはや暫定チャンピオンは不要なんです。ある特定のジャンルでのチャンピオンだけをもっていたい。私にとってのクルマとはそういうモノですね。