アートと伝統が交差するエイレンのパイロット・クロノグラフ「Up in the Air」
WATCH & JEWELRY / WATCH NEWS
2025年7月16日

アートと伝統が交差するエイレンのパイロット・クロノグラフ「Up in the Air」

Airain|エイレン アップ・イン・ジ・エアー

フランスの時計ブランドAirain(エイレン)が、ユーモアと風刺を利かせたヴィンテージウオッチの再解釈で知られるフランス人アーティスト、ロマリック・アンドレ氏率いる「seconde/seconde/」とコラボレーション。限定モデル「Type 20 Up in the Air(タイプ トウェンティ アップ・イン・ジ・エアー)」が誕生した。クラシックなパイロット・ウォッチに現代アートの息吹を吹き込むユニークなモデルだ。

Text by WASEDA Kosaku

空への憧れを象徴するアートウォッチ

本モデルは、フランス空軍向けに開発された名作「Type 20」の系譜に新たな解釈を加え、航空とフランス文化へのオマージュを込めた意欲作。「Up in the Air」という名のとおり、空との深い結びつきをテーマとしたデザインが特徴だ。
ダイヤルには、飛行機の舷窓から見える風景を想起させる演出が施されており、サブダイヤル上には8ビット風に描かれた雲が広がる。ロジウムポリッシュ仕上げのエッジと相まって、クラシカルなフェイスに遊び心と視覚的インパクトが与えられている。
左側のサブダイヤルからは、さりげなくパリの象徴であるエッフェル塔の先端が垣間見える。このディテールが、フランスの航空史とその文化的背景を物語る、まさに"空に浮かぶ芸術作品"と言えるだろう。
ケースバックには、ロマリック・アンドレによる意図が綴られており、「Type 20を空とフランスという本来の文脈へと立ち返らせる」というコンセプトが表現されている。エッフェル塔のモチーフも単なる装飾ではなく、フランス人パイロットたちと、この時計の絆を想起させるシンボルなのだ。
このモデルの芸術性を高めているのが、ロマリック・アンドレならではのピクセルアートが施されている点だろう。1980年代のデジタルカルチャーを彷彿とさせる8ビットの雲は、どこか懐かしく、それでいて非常にモダンな仕上がり。クラシックな時計デザインに現代アートの語法を持ち込むことで、新旧の美学を軽やかにミックスさせている。
ロマリック・アンドレ氏はこれまでも、ヴィンテージウオッチを題材に大胆で風刺的な再解釈を試みてきたアーティストだ。彼の作品は、伝統的な時計製造に新たな視点を投げかけ、時計そのものを「会話のきっかけ」として機能させる力を持つ。
エイレンを擁するCDMLECのCEO、トム・ヴァン・ウィジリック氏はこのプロジェクトについて「私は、『Up in the Air』を単なる限定モデルにしたくなかった。この時計は、Type 20というアイコニックなタイムピースのアイデンティティを保ちながら、人々の会話を生む存在であってほしかったのです。ロマリックはその願いに完璧に応えてくれました。彼は、この時計の航空技術的遺産と、フランスに根ざした物語を見事に表現してくれたと思います」とコメントした。
「Type 20 Up in the Air」は、ただ時間を示すだけではない。フランス時計の伝統、アヴィエーションの歴史、そして現代アートの哲学が交差する象徴として存在するのだ。
UP IN THE AIR
ムーブメント|AM-2(マニュファクチャーAMT) 手巻、フライバック機能付きコラムホイールクロノグラフ
パワーリザーブ|60時間
ケース素材|ステンレススチール
ケースサイズ|直径39.5mm 厚さ10.85mm
風防|内側無反射コートドーム型サファイア
防水|50m
ストラップ|スエード調レザー NATOストラップ付属
限定数|88本世界限定
価格|79万2000円(税込)
問い合わせ先

Airain
http://www.europassion.co.jp/airain/

                      
Photo Gallery