萩原輝美のファッション・デイズ
「萩原輝美のファッション・デイズ」に関する記事
萩原輝美|絵画を着る色柄の競演「ヴァレンティノ」「プラダ」「ドリス ヴァン ノッテン」
萩原輝美のファッション・デイズ vol.102「ヴァレンティノ」「プラダ」「ドリス ヴァン ノッテン」絵画を着る 色柄の競演リアルモードにはクチュールの伝統技を。おすまし着には大胆な色柄を。2014秋冬コレクションはクチュールの技で作るリアルモードと、大胆にアートを取り入れて色柄を遊ぶファッションのふたつが注目されます。Text by HAGIWARA Terumiグラフィカルなモダンドレス「ヴァレンティノ」ヴァレンティノは赤、フュ-シャ、白、黒といった色を配したグラフィカルなドレスで始まりました。シンプルなドレスにはグラフィカル柄を入れたブーツを合わせています。大胆な色、柄のスタイリングがモダンです。バイアスのブロック柄をカシミアのインターシャニット、レザーのスカートなど様々な生地にのせました。ウエストからたっぷりとギャザーをよせたロングドレスが鮮やかです。クチュール技を駆使したチュールのエンブロイダリードレスは、花と蝶を絵画のように描き上げました。VALENTINO|ヴァレンテ...
萩原輝美|ブリティッシュを装うビューティフル・ピープル、クールなミントデザインズ
萩原輝美のファッション・デイズ vol.105ビートルズの歌を生演奏、ブリティッシュを装うビューティフル・ピープルぐっとクールに大人になったミントデザインズ奇想天外なアイデアや子供っぽいストリートファッションになりがちな東京コレクションで、モードな等身大の服と向き合っているのがビューティフル・ピープルとミントデザインズ。惑わされずに我が道を行く二つのリアルブランドをクローズアップ。Text by HAGIWARA Terumi秋、ひとひねりのチェックに注目この秋はタータンチェックやウインドウペーンなどクラシック柄が大登場です。チェックと言えばイギリス。ビューティフル・ピープルは“ビートルズ”をテーマに、ユニオンジャックを掲げてメンバーがビートルズ曲を演奏し歌うというキャットウォークです。これはデザイナー、熊切さんのかねてよりの念願だったとか。ダッフルコートやピーコートの下にウールチェックのくるぶしパンツを合わせ、お揃いのストールを巻き付けます。バイカラーのダブルフェイスカシミアコー...
萩原輝美|ロンドンに発表の場を移したトーガ、パリに根付いたサカイ
萩原輝美のファッション・デイズ vol.106ロンドンに発表の場を移したトーガパリに根付いたサカイパワフルになったロンドンコレクション。ストリートとパンクの街に飛び出したトーガ。パリエレガンスの常連サカイ。ヨーロッパで人気の日本ブランドをレポートします。Text by HAGIWARA Terumiアンバランスを重ねるスタイリングに注目ロンドンが活気づいています。コレクションデビューする若手デザイナーが増え、街やショップも生き生きです。というわけで、トーガは今シーズンから発表の場をパリからロンドンに移します。公式会場(テートギャラリー)からほど近いスペースでの2014秋冬のプレゼンテーションです。「機能性のある服をタフにラフに。がテーマです」。とデザイナーの古田泰子さん。クレリックのシャツに台形スカート。重ねるビスチュエやハーフパンツ。どのアイテムも見慣れているのに、PVCやトランスペアレンスを合わせたコーディネイトはモード感たっぷり。ソックスに合わせたポルトガル製の男靴は、ハービ...
萩原輝美|過去に遡ることが未来を築くこと―ディオールのラフ・シモンズ
萩原輝美のファッションデイズ vol.107過去に遡ることが未来を築くこと―ディオールのラフ・シモンズ2014年秋冬パリ・オートクチュールコレクションは、参加デザイナーが増えスケジュールも過密になりました。ハイジュエリーの発表も加わったラグジュアリーな6日間です。Text by HAGIWARA Terumi真っ白な胡蝶蘭の会場で、花のドレスで始まったディオール2014秋冬パリ・オートクチュールコレクションです。ディオールはロダン美術館の中庭に、真っ白な丸いテントを設えました。室内は壁一面重なるように、白い胡蝶蘭が飾られています。最初に登場したのは腰から大きく膨らませたドレスやバッスルスタイルです。クラシックなシルエットなのに、コンビネゾンに見えるスカート、袖には宇宙飛行士のユニフォームにつけられるワッペンが刺しゅうされています。「未来は過去の上に築かれる。ドラマチックで大袈裟ととられかねないものに、簡潔と無造作をもたらす、これがチャレンジでした」とアーティスティック・ディレクター...
連載|萩原輝美のファッション・デイズ 「モードではなくスタイル」
萩原輝美のファッション・デイズ vol.79モードではなくスタイルひとりのデザイナーにより、ファッションスタイルが劇的に変化してから100年。これまで多くのクリエイターによってさまざまなスタイルが提案されてきた。“いま”求められるスタイルとは? ここで注目したいのがDRIES VAN NOTEN(ドリス ヴァン ノッテン)のコレクションだ。Text by HAGIWARA Terumi着継ぐ服「私が作りたいのは、モードではなくスタイルよ」と、宣言したのはココ・シャネル。リトルブラックドレスにシャネルスーツとシャネルスタイルは100年の時を経てなお新鮮です。1年で変わるトレンドアイテムではなく、永遠のスタイルを残したい。今あらためてデザイナーがそう思う時代になりました。DRIES VAN NOTENドリス ヴァン ノッテンはスタイルを確立しているデザイナーです。パリコレでは、エスニックな要素をとり入れながらラグジュアリーブランドに負けない存在感を見せつけています。リアルなのにモダン。...
連載|萩原輝美のファッション・デイズ 「セリーヌの結ぶ服」
萩原輝美のファッション・デイズ vol.80セリーヌの結ぶ服めまぐるしく変わるトレンドのサイクルに捉われることなく、独自のスタイルを確立するCÉLINE(セリーヌ)のフィービー・ファイロのクリエイションに注目。あらたな時代を牽引するデザイナーのひとりである。Text by HAGIWARA Terumi新しいミニマリズムの確立ファッションはリアクションとリピート。この反作用で進化していくものです。ミニの次はロング、ビッグシルエットの次はボディ・コンシャス。マスキュリンの次はフェミニンなシルエットというわけです。しかし今、そのサイクルはゆったりと緩慢になって80年代や90年代とはずいぶん違ってきました。目まぐるしく変わるトレンドよりもブランドを大切にしようと思うデザイナーが増えているのです。CÉLINE(セリーヌ)2013-14年秋冬コレクション新しいミニマリズムを確立したのは、フィービー・ファイロのセリーヌです。シンプルなだけではありません。今シーズンは、トルソーラインに“結ぶ”と...
連載|萩原輝美のファッション・デイズ vol.47
連載|萩原輝美のファッション・デイズ vol.47フィレンツェ発! 「Inspiration and Vision」展で見たクリエイション1927年の創業以来、靴の歴史において数々のエポックメイキングとなったアイテムを生み出してきたサルヴァトーレ フェラガモ。ファッションディレクター萩原輝美さんが今回、そのアーカイブを辿る旅へ出かけた。Text by HAGIWARA Terumiつねに革新的でありつづけたフェラガモの貴重なアーカイブ2012年春。この春夏はスウィングしたくなるような軽やかな1920年代のドレススタイルが街に溢れそうです。20年代から靴をデザインしていたサルヴァトーレ フェラガモ。フィレンツェのスピーニ・フェローニ宮殿内にあるサルヴァトーレ フェラガモ博物館を訪れました。フェラガモのアーカイブシューズや資料等が約1万点保存されています。そのなかでテーマに合わせてセレクトされたものが企画展として展示されています。今回のテーマは、「インスピレーション・アンド・ヴィジョン...
萩原輝美|老舗ブランドが見せたデザインの魅力!
連載|萩原輝美のファッション・デイズ vol.48バリーとロジェ ヴィヴィエ、ふたつの老舗ブランドが見せた春夏シーズンの新作!長い歴史をもつふたつの老舗ブランド、バリーとロジェ ヴィヴィエ。これまで受け継がれ、培われてきた技術と、斬新なデザインとがミックスされると……? 春夏の気分が見えてきた!Text by HAGIWARA Terumiクチュールの技をもつメゾンならではの意匠160周年を迎えたバリー。1851年にスイスで誕生したラグジュアリー・レザーグッズブランドです。メンズのイメージが強いのですが、レディスのオーダー靴も多く作られていました。昨年9月のミラノコレクション期間中に、160周年を記念した展示会が開かれました。アーカイブの靴や、広告に使われたモダンなイラストなど、いまでも新鮮なアイデアがいっぱいです。2011年春夏コレクションで発表された新作は、1951年制作された綾取りをイメージした復刻版赤いサンダルは、ヌーディーな軽さが今年らしい逸品です。スイスといえば、当時は...
萩原輝美|ディオール2014SSコレクション「本物と偽物」未来を旅するミステリアスウーマン
萩原輝美のファッション・デイズ vol.91ラフ・シモンズのディオール2014SSコレクション「本物と偽物」未来を旅するミステリアスウーマンロダン美術館に建てられた温室を飾ったのは、生花と造花が入りまじるつる花。ミステリアスな雰囲気の会場でコレクションが発表された。Text by HAGIWARA Terumiひねり加えて、じわりラフ色ディオールのクリエイティブ・ディレクターに就任して3シーズン目のプレタに挑んだラフ・シモンズ。ムッシュー・ディオールの遺産であるバージャケットやエイトラインをベースにしながらも徐々にラフ色を強めているようです。布を交差させるようにボディにフィットさせたバージャケット。その下から花柄プリントのキュロットスカートが風に揺れます。ランダムにたたまれ、バイアスに流れるプリーツは16バリエーション。そのすべてにクチュールの技が潜みます。ラフが今シーズンイメージした女性は、未来を旅するミステリアスウーマンです。Dior|ディオール 2014年春夏コレクション空港...
萩原輝美|2012年春夏オートクチュールコレクション vol.2
連載|萩原輝美のファッション・デイズ vol.502012年春夏オートクチュールコレクションで見た華麗なる世界!2012年春夏オートクチュールコレクションリポートの第2弾! 前回のジバンシィ オートクチュール バイ リカルド ティッシ、ヴァレンティノにつづき、ファッションディレクター萩原輝美さんが注目したブランドは……?Text by HAGIWARA Terumi非常に手の込んだ仕事は、もはや芸術の域!ヴェルサーチが9年ぶりに、オートクチュールコレクションを発表しました。ミラノでのコレクションが軽くなっている分、オートクチュールでは繊細かつ大胆なセクシードレスが並びました。シャンパンゴールドにオレンジやグリーンなどのシャーベットカラーにスワロスキーをのせます。コルセットから伸びるマーメイドドレスはヴェルサーチの真骨頂です。VERSACEVERSACEVERSACEコルセットと言えば、ゴルチエ パリです。テーラードコートやジャケットから覗く、ブラトップやビスチュエ。つんとした肩に、...
萩原輝美|デザイナー、オランピア・ル・タンを知る7つの質問
萩原輝美のファッション・デイズ vol.103ブランドの代名詞“ブッククラッチ”新作とともに来日デザイナー、オランピア・ル・タンを知る7つの質問“本”を模したデザインが特徴の代表作「ブッククラッチ」で知られるパリ発のブランド「Olympia Le-Tan(オランピア ル タン)」のデザイナーが来日。あの独創的な世界観はいかにして生まれたのか、親日家でもある彼女の素顔にファーカスする。Photographs by JAMANDFIXText by HAGIWARA Terumiイラストレーターの父、刺しゅうが趣味の祖母、創作の原点は家族2012年、彗星のようにパリコレクションに登場したバッグデザイナーがいます。オランピア・ル・タン。デビューしてまだ2年、09年にアクセサリーブランドとして発表した“ブッククラッチ”はすでに、不動の人気を固めています。ティルダ・スウィントンやナタリー・ポートマンなどのセレブが持ち、世界中のセレクトショップに置かれています。父親は有名なイラストレーター、ピ...
萩原輝美|オートクチュールが挑む21世紀エレガンス
萩原輝美のファッションデイズ vol.109「シャネル」「ヴァレンティノ」「アルマーニ・プリヴェ」「アトリエ・ヴェルサーチ」オートクチュールが挑む21世紀エレガンスシャネルが、ヴァレンティノが、ヴェルサーチが挑んだのは全く新しいエレガンスドレス。失敗おそれず次々繰り出すクチュリエたちの新冒険服!秋、オートクチュールが完全復活です。Text by HAGIWARA Terumiコンクリート×スパンコール「シャネル」2014年秋冬オートクチュールコレクション。シャネルは20世紀パリのアパルトマンをイメージした一室でした。モノトーンのドレスは、コンクリートで作ったモチーフを、スパンコールやクリスタルと一緒に飾り付けています。リトルドレスにはひざから見えるサイクリングショーツを合わせ、靴はトング。20世紀ココ・シャネルの業績を21世紀のエレガンスにつなげました。CHANEL|シャネル 2014年秋冬オートクチュールコレクションフラットシューズで着こなすリアルクチュール「ヴァレンティノ」ヴァ...
萩原輝美|あたらしい服の表現をクチュール作品に込める
萩原輝美のファッションデイズ vol.110あたらしい服のカタチに挑むクチュリエたちマルジェラ・アーティザナル、ブシュラ・ジャラールなど、オートクチュールに巾と奥行きを与える中堅、若手デザイナーの新作コレクションをクローズアップ。Text by HAGIWARA Terumi渾身の解体―マルジェラ・アーティザナルパリオートクチュールコレクションに参加しているのは、老舗ブランドばかりではありません。マルジェラ・アーティザナルは、コレクションをプレゼンテーションからショー形式で発表して4年。古着を解体して再生する服はまさに1点ものです。白シャツに白パンツで始まったコレクション。重厚なゴブラン織やビーズ刺しゅうのチュニックには白のニーハイブーツを合わせています。モザイクのようにパッチワークしたビーズドレス、スタジアムジャンバーにサテンスカートを付けたドレスはこれまでにない新しいソワレです。同時に発表されたファインジュエリーのテーマは「ヘリテージ」(遺産)。受け継がれるジュエリーを繊細でモ...
萩原輝美|ストリートとモードのバランスで作る東京デザイナーたち
萩原輝美のファッション・デイズ vol.104好調のファセッタズム、安定のサポート サーフェスに注目ストリートとモードのバランスで作る東京デザイナーたち海外からのバイヤーも増え、東京コレクションが元気だ。今注目デザイナーのコレクション。Text by HAGIWARA Terumiストリートなのにこの質感、FACETASM(ファセッタズム)が凄い東京コレクションが元気です。パリコレに続いての10日間。14-15年秋冬コレクションではメンズ、レディス合わせて約60人のデザイナーが新作を発表しました。メンズでデビューしたファセッタズムは先シーズンからレディスラインも加わり注目ブランドです。昨年11月には毎日ファッション大賞新人賞に選ばれました。デザイナーは落合宏理さん。オーバーサイズのニットにベストやライダースジャケットを合わせ、ボトムスはプリーツスカートの下にシガレットパンツやデニムを重ねています。ストリートテイストなのに上等なクオリティを丁寧に紡ぎ出しています。FACETASM|フ...