萩原輝美|デザイナー、オランピア・ル・タンを知る7つの質問
萩原輝美のファッション・デイズ vol.103
ブランドの代名詞“ブッククラッチ”新作とともに来日
デザイナー、オランピア・ル・タンを知る7つの質問
“本”を模したデザインが特徴の代表作「ブッククラッチ」で知られるパリ発のブランド「Olympia Le-Tan(オランピア ル タン)」のデザイナーが来日。あの独創的な世界観はいかにして生まれたのか、親日家でもある彼女の素顔にファーカスする。
Photographs by JAMANDFIXText by HAGIWARA Terumi
イラストレーターの父、刺しゅうが趣味の祖母、創作の原点は家族
2012年、彗星のようにパリコレクションに登場したバッグデザイナーがいます。オランピア・ル・タン。デビューしてまだ2年、09年にアクセサリーブランドとして発表した“ブッククラッチ”はすでに、不動の人気を固めています。ティルダ・スウィントンやナタリー・ポートマンなどのセレブが持ち、世界中のセレクトショップに置かれています。父親は有名なイラストレーター、ピエール・ル・タン。4月、来日したオランピアにインタビューしました。
──ブッククラッチが人気ですね。作ったきっかけは?
父の書斎にはたくさんの古い本があります。その古本の表紙の装丁が本当に素敵! そんな素敵な本をいつも持ち歩くことができたらうれしい、これがブッククラッチを作ったキッカケです。
──美しい刺しゅうは古本から発想されたものだったんですか。
祖母は、いつも刺しゅうをしていました。その影響でしょう。私も刺しゅうが大好きです。
──お父さまからの影響も大きいと聞いています。
最初に入ったメゾンはシャネル。シャネルのデザイナー、カール・ラガフェルトは父の友人で、イラストの仕事も受けていました。それでいつも家に来ていました。その度に仕事していない私に、シャネルに入るように勧めてくれたんです。
──ファッションの学校には行っていないんですよね。学生のときはなにになりたかったのですか?
母のように普通のお母さん。子供産んで、ご飯のしたくする、そんな母はとても幸せそうでした。
──毎シーズン、おもしろいテーマが登場しますね。
2014-15年秋冬コレクションはマジシャンをテーマにしました。バニーガールが登場し、トランプカード(イラストは父のピエールが描いたもの)プリントのスペンサージャケット、ドレスを並べました。私のテーマはいつも“ピンナップガール”! 春夏はセイラー・ピンナップガールで秋冬はマジック・ピンナップガールです。日本語の“kawaii”とフランスのフェミニンを併せ持つ女性をイメージしたものです。
──日本が大好きとか。もう何回も来日しているのですよね。
はじめて来日したのが2000年。その後もう50回は来ています。
──日本で好きな場所は?
桜の咲いている目黒川。先日も見てきました。青森の青荷温泉も忘れられません。
ホテルのロビーで待ち合わせたオランピアはブラウンのロングヘアーをくるりと巻き、ピンクのギャザースカートで現れました。どこにでもいるかわいいお嬢さんといったイメージです。好きな食べ物はフランス家庭料理のポテトグラタンにプロフィッテロール(アイスクリームケーキ)。コレクションの作品に見られるドキッとするようなセクシーデザインからはおよそ遠いイメージです。愛情をいっぱい受けて育った女性がこれから、作品と一緒に大人になってゆくのが楽しみです。