連載

リー・フリードランダー写真展『桜狩』(その2)

リー・フリードランダー写真展『桜狩』(その2)

第31回 リー・フリードランダー写真展『桜狩 -Cherry Blossom Time in Japan-』(その2)前回に引き続き、リー・フリードランダーについてのお話を。昨年の個展のときのような彼の作品しか知らない人にとって、今回の『桜狩』展はもしかしたら少々意外なかんじを受けるかもしれません。しかし実は、どんなに被写体が変ろうとも、そこにははっきりとリー・フリードランダーという写真家を感じることができるのです。北村信彦/HYSTERIC GLAMOURPhoto by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)印画紙に焼き付けられたリーという名の粒子前回の個展で展示された彼の写真は、ひとことでいえば日本で育った僕らにとっては一種の憧れの風景でした。それに対し今回の「桜」は、日本人にとって非常に見慣れた風景。だから、見た人の中には一見地味だと感じる人もいるかもしれません。しかし、彼の作品に共通する本当にすごい点は、テーマで...
Chapter 1 New BMW Z4のすべて

Chapter 1 New BMW Z4のすべて

Chapter 1 New BMW Z4のすべてAestheticという名のロードスターつねに時代を切り開く存在としてありつづけたBMWのロードスター。その血統をいまに受け継ぐニューZ4が、デビューを果たした。歴代のBMWロードスターがそうであったように、なによりもその美しい意匠が最大の特長である。新しい時代の美長く延びたエンジンフード、短いオーバーハング、そしてボディ後方寄りにレイアウトされたシートポジション──それらのデザインファクターが描き出すシルエットは、なるほど、歴代のBMWロードスターの流れを汲む、トラディショナルで優美なたたずまいを実現している。しかし、ニューZ4を目の当たりにすれば、誰しもそれが“新しい時代の美”をたたえていることを、一瞬にして感じとるだろう。凹面と凸面が巧みに溶け込んだ流麗な曲面や、ボディ先端からダイナミックな線を描きながら流れるようにリアに収束していくショルダーライン、そしてホイールハウスの上の伸びやかなエンジンフード……。伝統的なロードスターの...
リー・フリードランダー写真展『桜狩』(その3・最終回)

リー・フリードランダー写真展『桜狩』(その3・最終回)

第32回 リー・フリードランダー写真展『桜狩 -Cherry Blossom Time in Japan-』(その3・最終回)前回、前々回と、現在ラットホールギャラリーで個展を開催しているリー・フリードランダーについてのお話をしてきました。その中でも触れましたが、今回の個展では、4月11日のオープニングレセプションにリー本人が駆けつけてくれました。その際、普段なかなか目にすることのできない貴重な光景を見ることができましたので、今回はそのときの話をしようと思います。北村信彦/HYSTERIC GLAMOURPhoto by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)プロの写真家が、高校生のように目を輝かせていた今回のオープニングレセプションは、巨匠リー・フリードランダーの来日ということもあり、同業者である写真家の人たちがいつもよりたくさん来てくれました。みんな彼をひと目見ようと、まるで高校生みたいに目を輝かせていたのが印象的でし...
ロニ・ホーン写真展『This is Me, This is You』(その1)

ロニ・ホーン写真展『This is Me, This is You』(その1)

第33回 ロニ・ホーン写真展『This is Me, This is You』(その1)ニューヨークを拠点に活躍する現代美術作家ロニ・ホーン。ラットホールギャラリーでは6月20日~8月10日(日)の日程で、彼女の日本における初の個展『This is Me, This is You』を開催しています。彼女のことをあえて“現代美術作家”と呼んだのは、その表現が写真だけにとどまらず、立体作品やドローイング、インスタレーション、テキストと、非常に多岐にわたっているからです。実際、彼女のキャリアは、ミニマリズムに影響を受けたコンセプチュアルな立体作品からはじまっています。また今回の個展も表現手法そのものは写真ですが、そこには、かねてから「言葉を通じてヴィジュアルにたどり着く」と語る彼女にしか表現できない一種独特の世界が展開されているのです。北村信彦/HYSTERIC GLAMOURPhoto by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Write...
CHANEL|シャネル独自の新セラミック素材を採用したJ12コレクションの新ラインナップ

CHANEL|シャネル独自の新セラミック素材を採用したJ12コレクションの新ラインナップ

CHANEL|シャネルシャネル独自の新セラミック素材を採用J12コレクションの新ラインナップが誕生!2000年に発表したJ12コレクションで、ハイテクセラミック素材を腕時計の世界に本格導入し、その魅力と可能性を時計界に知らしめたシャネル。2011年は従来からのブラック、ホワイトカラーのセラミックにくわえ、ハイテクセラミックにチタンをブレンドした新素材が登場。J12コレクションの偉大な歴史にあらたな1ページがくわえられた。取材・文=渋谷康人チタン セラミック新素材の特別な煌きシャネルの「J12(ジェイトゥエルブ)」コレクションは、現代のスポーツウォッチを代表する存在だ。ハイテクセラミック素材のもつクールな輝きを全体にまとったこのスポーツウォッチは、性別や世代を問わず世界中で、リゾートはもちろん毎日着けられるデイリーウォッチとしても広く愛用されている。誕生10周年を迎えた昨年はこれを記念して本格ダイバーズモデルや、時計愛好家を唸らせるコンプリケーションモデルとエポックメーキングな新作が...
ロニ・ホーン写真展『This is Me, This is You』(その2)

ロニ・ホーン写真展『This is Me, This is You』(その2)

第34回 ロニ・ホーン写真展『This is Me, This is You』(その2)前回に引きつづき、現在ラットホールギャラリーで個展を開催中のロニ・ホーンについてのお話を。今回は、彼女の作品全体に共通する独特の世界観を、作品そのものや、彼女と交わした会話のなかから僕なりに分析し、この作品展の見方、そしてより深く楽しむためのちょっとしたアドバイスなどをお話ししようと思います。北村信彦/HYSTERIC GLAMOURPhoto by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)彼女にとっては、写真も表現のためのひとつの道具今回ラットホールに足を運んでくれるファンの人に対するアドバイスとしては、まず彼女を一写真家として見てしまうのはもったいない、ということがあります。個展開催中ラットホールでは、いままでの彼女の作品集なども置いていますので、過去の立体作品やドローイングなども見て、彼女の世界観を感じてほしいと思います。ふつう、自...
第37回 森山大道個展『北海道』(その1)

第37回 森山大道個展『北海道』(その1)

ラットホールギャラリー第37回 森山大道個展『北海道』(その1)ラットホールギャラリーでは、2009年2月8日(日)までの日程で、森山大道個展『北海道』を開催しています。今回の作品群は、今からちょうど30年前の1978年に撮られたものを中心とした未発表作品約70点から構成されています。当時森山さんは、日々の生活への一種の肉離れを起こし、次第に“ここではないどこか”へ逃れたいと感じるようになっていたといいます。そこで北海道行きを決意した彼は、札幌に3ヵ月間アパートを借り、北海道中を撮影してまわりました。しかし、そのとき撮影された膨大なネガはその後、ほとんどプリントされることなく眠りつづけていたのです。今回、そのネガをあらためて発掘、660ページを超える写真集『北海道』の出版とともに本個展の開催となりました。また、個展のオープニングに際し森山さん本人から、当時の思いや、いま発表することの意味など、興味深いお話の数かずを聞くことができました。「ネズミの穴」では、今回から4回にわたり、オウ...
第38回 森山大道個展『北海道』(その2)

第38回 森山大道個展『北海道』(その2)

ラットホールギャラリー第38回 森山大道個展『北海道』(その2)前回に引きつづき、『北海道』展のオープニングに際しておこなった、森山大道さんとの対談の模様をお伝えします。いまだからこそ語られる森山さんの言葉から、今回の個展と写真集が、このタイミングで出るべくして出たものだということがわかってきました。(北村信彦)北村信彦/HYSTERIC GLAMOURPhoto by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)30年経って、ようやく積極的に見ようと思えた写真たち北村 10数年前には実現しなかった「北海道」の発表ですが、考えてみるとこの10年、森山さんは国内、海外ふくめ相当いろいろ撮られてますよね。森山 そうですね。新宿を撮り、大阪を撮り、ブエノスアイレスを撮り、ハワイも撮りました。でも、そういう精力的に動きまわった10年間があったからこそ、いまあらためて北海道だと思えたんでしょうね。いまなら、積極的に見返して、いま思うカタチ...
第39回 森山大道個展『北海道』(その3)

第39回 森山大道個展『北海道』(その3)

ラットホールギャラリー第39回 森山大道個展『北海道』(その3)森山大道さんとの対談も、いよいよ3回目に突入します。森山さん自身の口から語られる当時の思い。それにより、この写真たちがなぜ30年ものあいだ封印されていたかを知ったのと同時に、封印しなければならなかったものだからこそ、いまあらためて胸に刺さるのだということを理解しました。(北村信彦)北村信彦/HYSTERIC GLAMOURPhoto by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)来る日も来る日も足を引きずりながら、ただ撮りつづけた日々北村 森山さんの写真はよく、犬の目線にたとえられますが、この北海道の写真は、犬の行動範囲をはるかに超えてますよね。もっとオン・ザ・ロード的なイメージをグサグサと感じます。森山 北海道って、犬なり猫なりの嗅覚を効かせて撮るという場所じゃないんですよね。ある意味、もうちょっとドライな感じなんです。北村 札幌を中心にいろんな場所に行かれた...
第40回 森山大道個展『北海道』(その4・最終回)

第40回 森山大道個展『北海道』(その4・最終回)

ラットホールギャラリー第40回 森山大道個展『北海道』(その4・最終回)これまで3回にわたってお伝えしてきた森山大道さんとの対談も、今回が最終回。個展のほうも、いよいよ最終日の2月8日が迫ってきました。これまでもお伝えしてきたとおり、今回の北海道の写真が撮られたのはたしかに30年前です。しかし、セレクトもプリントも2008年に、2008年の森山さんによっておこなわれたということを考えると、明らかに作品としては過去のものではありません。まだ、見ていないという人は、ぜひそんな不思議な時間の感覚をも期待しつつ、足を運んでみてください。とにかく“ヤバい”ですから。(北村信彦)北村信彦/HYSTERIC GLAMOURPhoto by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)僕のなかで北海道はパリやニューヨークとおなじ異国だった北村 それにしても、たまったものを、長い時間を経てあらためて見直すという作業は、不思議な作用をもたらしますね...
Chapter 5 New BMW Z4 × ISETAN MEN'S

Chapter 5 New BMW Z4 × ISETAN MEN'S

NEW BMW Z4 が伊勢丹新宿店メンズ館にて展示開催中つねに時代を切り開く存在としてあり続けてきたBMWロードスターに、4月23日、待望のニューモデルが誕生した。その名は「ニュー BMW Z4」。すべてが新しく、美しく生まれ変わった新世代のロードスターだ。今回、その容姿が伊勢丹新宿店メンズ館でいち早くお披露目となった。Photo by Jamandfix8F レジデンス ギャラリーでの操上和美氏の写真展示8F レジデンスでのBMWグッズ販売スペース機能美と造形美の究極の調和「ニュー BMW Z4」長く伸びたエンジン・フード、ショート・オーバーハング、そしてボディ後方にレイアウトされたシートポジッション……。歴代モデルの系譜である特徴はそのままに、新たなオープンドライビングの在り方を現代の感性でデザインしたという「ニュー BMW Z4」。よりスポーティな走りとエレガンスを高い次元で融合した究極のロードスターだ。BMWの自転車、ゴルフアイテムが販売されている7F スポーツグッズコー...
第41回 ロー・アスリッジ個展『グッドナイトフラワーズ』(その1)

第41回 ロー・アスリッジ個展『グッドナイトフラワーズ』(その1)

RAT HOLE GALLERY│ラットホールギャラリー第42回 ロー・アスリッジ個展『グッドナイトフラワーズ』(その1)ラットホールギャラリーでは現在、2009年4月26日(日)までの日程で、ロー・アスリッジ氏個展『グッドナイトフラワーズ』が開催されています。彼はニューヨークを拠点に活動する写真家で、本展が日本初の個展。「Horses」と「Flowers」というふたつのシリーズを中心に約18点の作品が展示されています。 オウプナーズでは、そのオープニングに際し、アスリッジ氏本人にインタビューをおこなう機会に恵まれ、個展直前の生の声を聞くことができました。そこで今回から2回にわたり、その模様をお伝えしようと思います。 Photo by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)目的に辿り着く途中途中で撮ったものが作品になっていく──まず、今回の個展ではどういうものを見せようとお考えですか?アスリッジ ひとはしばしば私のことを...
第42回 ロー・アスリッジ個展『グッドナイトフラワーズ』(その2)

第42回 ロー・アスリッジ個展『グッドナイトフラワーズ』(その2)

RAT HOLE GALLERY│ラットホールギャラリー第42回 ロー・アスリッジ個展『グッドナイトフラワーズ』(その2)前回に引きつづき、ロー・アスリッジ氏におこなったインタビューの模様をお伝えします。アスリッジ氏は、大判カメラを使い、風景や生物、ポートレートなど古典的なモチーフを撮った作品で評価の高い作家ですが、その美しい写真は、フォトジェニックでありながら二重三重の意味を内包しており、見る者になんども写真の前に立ち返ることを要求する力をもっています。その不思議な力はどこからやってくるのか? そうしたことを探るべく、彼の写真に対する姿勢や手法、彼の抱く写真観などを聞いてみました。 Photo by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)私の写真はシャッターを切った瞬間に完結するものではない──先ほど(※前回)花の写真についてはもともとカラーで撮ったものを、今回あえてモノクロで焼いたとおっしゃいましたが、はじめからモノク...
ラットホールギャラリー|第43回 北島敬三個展『PORTRAITS』 (1)

ラットホールギャラリー|第43回 北島敬三個展『PORTRAITS』 (1)

ラットホールギャラリー│第45回 北島敬三個展『PORTRAITS』 (1)「見る」という行為の精度の限界ラットホールギャラリーでは7月5日(日)まで、北島敬三氏個展『PORTRAITS』が開催されています。このシリーズはその名のとおり、1992年より現在まで、じつに17年間にわたり撮りつづけられたポートレート作品群。ランダムではあるものの約1年に1度撮影がおこなわれ、モデル数300人以上、作品総数は2000点を超えるという膨大な作品群です。今回の個展は、そのなかから3名のモデルを抜粋、計14点の作品で構成されています。オウプナーズではそのオープニングに際し、開催直前の北島氏ご本人をキャッチ。個展開催の経緯や本シリーズへの思いなどをうかがうことができました。3回にわたり、インタビューの模様をお伝えします。Photo by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)“面白い写真”、“いい写真”のなかに感じた予定調和──まず、今回...
ラットホールギャラリー|第44回 北島敬三個展「PORTRAITS」 (2)

ラットホールギャラリー|第44回 北島敬三個展「PORTRAITS」 (2)

ラットホールギャラリー│第45回 北島敬三個展『PORTRAITS』 (2)絶対に不思議なものができるという確信前回に引きつづき、「PORTRAITS」展のオープニングに際しておこなった、北島敬三氏へのインタビューの模様をお伝えします。世界の都市でのスナップに対する限界を感じ、1992年を境に街からスタジオへと、その撮影スタイルを大きく変えた北島氏。彼は、そこでなぜポートレイトという手法を選択したのか。今回は、気になるその真相へと話を切り込んでいきます。Photo by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)私にとっての面白い街もなくなってしまった──一見新鮮に見える写真でも、必ず元になるイメージがどこかにある。そこに「見る」という行為の精度の限界を感じたということですが、そう思われたことがスタジオで撮るきっかけになったんですね。それがもっとも大きな要因ですが、もうひとつ、街自体も私にとって面白くなくなってきたという理由が...
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