第41回 ロー・アスリッジ個展『グッドナイトフラワーズ』(その1)
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2015年4月17日

第41回 ロー・アスリッジ個展『グッドナイトフラワーズ』(その1)

RAT HOLE GALLERY│ラットホールギャラリー

第42回 ロー・アスリッジ個展『グッドナイトフラワーズ』(その1)

ラットホールギャラリーでは現在、2009年4月26日(日)までの日程で、ロー・アスリッジ氏個展『グッドナイトフラワーズ』が開催されています。彼はニューヨークを拠点に活動する写真家で、本展が日本初の個展。「Horses」と「Flowers」というふたつのシリーズを中心に約18点の作品が展示されています。 オウプナーズでは、そのオープニングに際し、アスリッジ氏本人にインタビューをおこなう機会に恵まれ、個展直前の生の声を聞くことができました。そこで今回から2回にわたり、その模様をお伝えしようと思います。

Photo by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)

目的に辿り着く途中途中で撮ったものが作品になっていく

──まず、今回の個展ではどういうものを見せようとお考えですか?

アスリッジ ひとはしばしば私のことを“アメリカンフォトグラファー”のひとりと呼びますが、私自身はそう呼ばれることが必ずしも好きではありません。ですが、それが私の一面であることは事実であり、今回お見せする作品の一面でもあると思います。でも本当は、風景や花や夕日のような日常的な対象物を、写真の歴史そのものの延長線としてみせることが私の狙いです。ただし、そのような写真の歴史や私の思いは、観る人にとっては必ずしも知っている必要のあることではありません。

──もし見るひとが写真の歴史を知っているひとだったら、なにが見えてくるんでしょう?

アスリッジ ……わかりませんね。写真の歴史を知っているひとに対しても“だからなにを見せたい”ということではないんです。

第41回 ロー・アスリッジ個展『グッドナイトフラワーズ』(その1)

──では、ここでちょっと、これまでの活動を簡単にご紹介いただけませんでしょうか?

アスリッジ 1997年にニューヨークに出てきて以来、ニューヨークを拠点に活動をしています。雑誌や広告のコマーシャル写真を撮ったり、旅をしながら、あるいはコマーシャル写真の合間合間に作品を撮ったりしています。作品の制作に関しては、1冊の写真集やひとつの個展になるまでに長い時間をかけて、日常の一瞬一瞬を切り取ったような写真を集積するというやり方でおこなってきました。たとえば今回の個展にも出展している馬の写真「Horses」に関しても、最初は『トラベル&レジャー』という雑誌のために8カ月の時間をかけて撮影したものです。

──写真はいつも、テーマをもって撮りに行くんですか?

アスリッジ コマーシャル写真の場合はもちろんそうですが、どんな撮影でも、まず意図があって撮りに行きます。でも、たいてい目的にたどり着く途中で、あれもいい、これもいい、という具合に撮ってしまい、その継続的な流れが結果的に作品になっていきますね。今日もこのあと、ラットホールのひとたちが新宿に誘ってくれているんですが、きっとそこで写真を撮るだろうと思います。私の写真はそういう風にでき上がっていくんです。

自分が正直に現れているという意味で“真実”に近い個展

──作品とコマーシャル写真とどちらを先に撮りはじめたんですか?

アスリッジ 作品のほうが先でした。1995年にアトランタのアートスクールを卒業したんですが、1997年にニューヨークに行くまではコマーシャルな仕事はしていませんでした。今回出展している花の作品群「Flowers」は、もともとはそのあいだに撮った作品群のひとつです。

──それを今回あらためて出展したということですね。

アスリッジ いえ、そうではありません。この写真たちは、もともとはカラーだったんです。で、今回ラットホールでの展示にこれを出そうと決めたとき、どうやって新しいものに変えていこうかと考えました。そこで色を抜くということを思いついたんです。私はよく、昔のストック写真などを使って、なにか新しいものを生み出すことを試みるんですが、この作品もそうした試みのひとつです。

第41回 ロー・アスリッジ個展『グッドナイトフラワーズ』(その1)

──今回の個展では、いろいろなテイストのものが混じっているようにも感じますが、どのような展示を目指したのですか?

アスリッジ 今回の展示については、言ってしまえば自然な流れです。こういうカタチにすることが自分にとって一番しっくりくる、とでもいいましょうか。私にとっては常に写真のセレクションや編集のプロセスが創造的なことであって、結果的にどういう展示になるかは、じつはさほど重要ではありません。しかし、今回の個展は、そういう創造的なプロセスを経て、自分が正直に現れているという意味で“真実”に近いと思います。

ロー・アスリッジ個展『グッドナイトフラワーズ』
2009年4月26日(日)まで開催中
ラットホールギャラリー
12:00-20:00(月曜休)

RAT HOLE GALLERY & BOOKS
東京都港区南青山5-5-3-B1
Tel. 03-6419-3581
http://www.ratholegallery.com

           
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