ヘンリー・ロイスとチャールズ・ロールスが初めて会ったのは1904年のこと。イギリスでモーターなどを手がけていたロイス社が、新しいビジネスとして自動車を試作したところ、評判を聞きつけたロールスがこのクルマを試乗に訪れる。その仕上がりの良さに感銘を受けたロールスが、ロイスがつくるクルマの販売を申し入れたのがロールス・ロイスのスタートになった。 高級車ブランドとしてその名を知らしめたのは、1906年に生産を開始した「40/50HPシリーズ」。6気筒エンジンを搭載したこのモデルは、後に「シルバー・ゴースト」と呼ばれるのだが、そのエンジンの滑らかさや静粛性、クルマとしての高い信頼性、そして、質の高い素材による仕立の良さから、上流階級から大きな支持を得ることとなった。ロールス・ロイスのマスコットとして知られる“スピリット・オブ・エクスタシー”が生まれたのもこの時代だった。 その後、1929年には「ファントム」を世に送り出し、1931年には同じイギリスのベントレーを買収するなど順調な歩みを進めた同社。第二次世界大戦中は航空機エンジンなどに専念する時期もあったが、1947年から自動車の生産を再開。ファントムシリーズをはじめ、「シルバークラウド」「シルバーシャドウ」といった名車をつくりだしていく。しかし、1971年に航空機エンジン部門の不振から会社が倒産。この際、航空機エンジン部門は切り離され、残された自動車部門は一時政府の管理下へ。そして1980年にはヴィッカーズ社の傘下となった。 さらに1990年代後半にはフォルクスワーゲン(VW)とBMWによる買収劇が巻き起こる。混乱の末、工場とベントレーのブランドはVWの手に渡り、一方、BMWはロールス・ロイスの名前だけを手に入れる。そして2003年、新体制のもとで開発が進められてきたファントムにより、ロールス・ロイスは新しい歴史を踏み出すことになった。
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Rolls-Royce|ロールス・ロイスロールス・ロイス、新型モデルの開発を公表ロールス・ロイス モーター カーズは、2月18日、全世界に向けて、どんな路面でも走破できる性能をもつ新型車の開発を表明した。Text by HORIGUCHI Yoshihiro(OPENERS)いままでにない新型モデルへのマニフェストラグジュアリーカーブランドとして世界に広く浸透しているロールス・ロイス。現在は4ドアサルーン「ファントム」をフラッグシップとし、その2ドアモデル「ファントム クーペ」とオープンモデル「ファントム ドロップヘッドクーペ」、先日マイナーチェンジを果たしたサルーン「ゴースト」、ファストバックスタイルの2ドアモデル「レイス」の計5モデルをラインナップしている。そのロールス・ロイスがブランド創立111周年を迎える今年、イギリスのデービッド・キャメロン首相がグッドウッドの工場見学に訪れたさい、あらたなモデルの開発に取り組んでいることをあきらかにした。創始者であるヘンリー・ロイス卿の有...
Rolls-Royce Ghost Majestic Horse collection|ロールス・ロイス ゴースト マジェスティック ホース コレクション午年をモチーフにしたビスポークのゴーストロールス・ロイス・モーター・カーズは、中国伝統美術にインスピレーションを得た馬のモチーフが表現された「ゴースト」の限定ビスポークモデル「マジェスティック・ホース・コレクション」を発表した。 Text by YANAKA Tomomi「甲午(きのえうま)」を表現来年の2014年は、十二支でいうと午(うま)、十干では「木」の元素を意味する「甲」になる「甲午(きのえうま)」の年。これを記念し、ロールス・ロイスの誇るクラフツマンたちが匠の腕をふるい、「木」と「馬」を重ね合わせて福運とするモチーフをあしらったビスポークの「ゴースト」が「マジェスティック・ホース・コレクション」として発表された。室内のダッシュボードには、さまざまな色調の木材をはめ合わせる熟練の技、木象嵌細工をもちいて馬の絵をモダン...
Rolls-Royce Celestial Phantom|ロールス・ロイス セレッシャル ファントムRolls-Royce Alpine Trial Centenary Collectioni|アルペン トライアル センテナリー コレクションRolls-Royce Chicane Phantom Coupe|ファントム クーペ シケイン446個のダイヤモンドをちりばめた贅沢なロールス・ロイスロールス・ロイスは、特別仕様の「セレッシャル ファントム」と「アルペン トライアル センテナリー コレクション」、そして「ファントム クーペ シケイン」を11月5日に開幕したドバイ・モーターショーで発表した。 Text by SAKURAI Kenichi豪華絢爛さは、さすが中東向け中東はドバイ モーターショー。20世紀後半からいまに至るまで、ここは世界の富が集中するまるで別世界のような場所だ。数年前に景気の落ち込みを経験したものの、リーマンショックも欧州経済危機も何するものぞ、ピークこ...
Rolls-Royce Ghost EWB "FAB 1 Million" ロールス・ロイス ゴースト EWB “FAB 1ミリオン”チャリティのために活動する、現代の“ペネロープ号”ロールス・ロイスは、バーミンガムで開催されるクラシックモーターショーで、ロールス・ロイス エンスージアスト クラブに協賛し、「ファントム」のスペースフレーム骨格とV12エンジンのカットモデル、そしてピンクの「ゴースト エクステンディッド ホイールベース」を展示する。 Text by HORIGUCHI Yoshihiro(OPENERS)乳がんと闘うためのチャリティロールス・ロイスは、今年が、2003年1月1日の0時1分に「ファントム」の第1号車が納車されてから10年という節目の年ということもあり、愛好家と協力してクラシックモーターショーに展示をおこなう。だが、そのなかで、ひときわ目を惹くのはファントムではなく、内外装ともにピンクをまとった「ゴースト エクステンディッド ホイールベース」だ。この...
ROLLS-ROYCE|ロールス・ロイス輝かしい伝統に追加された極上の仕様ロールス・ロイスはパリモーターショーにおいて、オーダーメイドプログラムによって仕上げられた、5台の特別モデルを展示する発表をした。文=ジラフ5台のクルマにビスポークを採用シャツや靴をオーダーメイドするさいにもつかわれる「ビスポーク」(BESPOKE)という言葉は、まさにテイラーとも言えるロールス・ロイス社のオーダーメイドプログラムにおける伝統のことをさしていると言っても過言ではない。ノーマルであったとしてもスペシャルなブランドとして確固たる地位を築くロールス・ロイスのクルマを、顧客の要望におうじて内外装をさらにラグジュアリー化させるという最高に贅たくなプログラムなのだ。今回は、「ファントム エクステンデッド ホイールベース(EWB)」「ファントムクーペ」「ファントム ドロップヘッドクーペ」、そして2台の「ゴースト」の計5台をビスポーク仕様として展示。世界中のセレブリティの視線を釘つけにすることはまちがいないだ...
ROLLS-ROYCE PHANTOM COUPEロールス・ロイス ファントム クーペオーナードライバー待望のグラントゥーリズモ2006年のジュネーブショーにおいて、ロールス・ロイスが披露したクーペのスタディモデルが「101EX」。同社の「ファントム」同様、アルミスペースフレーム構造をもつこのクルマは、ファントムに比べて短い全長と低いルーフからわかるとおり、ロールスきってのドライバーズカーを目指したものだ。最高級クーペを熱望するファンからは、101EXの市販化を求める声が強く、そんな声に応えるべく、ロールスは2年後のジュネーブショーでこの「ファントム クーペ」を発表するにいたった。ファントム、ファントムEWB、ファントム ドロップヘッドクーペに続くシリーズ第4弾は、ドロップヘッドクーペ同様、うしろヒンジの“コーチドア”を採用し、ファントム・ファミリーの一員であることを主張。インテリアは、最高級クーペならではの贅沢な素材とシンプルなデザインが心地良い。101EXで話題になった室内のイ...
ROLLS-ROYCE|ロールス・ロイス ファントムスピリット・オブ・エクスタシー100周年記念パレードロールス・ロイス・モーター・カーズは、スピリット・オブ・エクスタシー誕生 100周年を記念し、2月6日ロンドンでロールス・ロイス100台によるパレードを開催した。文=松尾 大1911年2月6日にはじまった伝統ロールス・ロイスは世界的に知られるマスコット、スピリット・オブ・エクスタシーの誕生100周年を記念し、100台のロールス・ロイスによるパレードをロンドンで開催した。このマスコットは、フライング・レディとも呼ばれ、1911年に車両に取りつけられてから、ちょうど100年目にあたるのが、パレードがおこなわれた2011年2月6日である。トルステン・ミュラー・エトヴェシュ CEOは、「ロールス・ロイスのフロントグリルを優雅に飾ってきたマスコット、スピリット・オブ・エクスタシーは、超高級ブランドの象徴であるとともに、ロールス・ロイス・モーター・カーズで働く人びとのインスピレーションの源で...
Rolls-Royce 102EX|ロールス・ロイス 102EXついにロールス・ロイスからもEVが誕生!ロールス・ロイス・モーター・カーズは、102EXのコードネームで試験的に開発しているEVモデルのテスト車両を3月1日に開幕するジュネーブモーターショーで公表する。文=松尾 大ファントムベースのEVロールス・ロイスが開発中のEVは、フラッグシップモデルであるファントムをベースにしたもの。同社は、「ファントム・エクスペリメンタル・エレクトリック」とも呼ばれるこの102EXにたいする意見、反応をつのり、今後のロールス・ロイス車のあり方を慎重に検討するとしている。ショーの終了後には、ヨーロッパ、中東、アジア、北米をめぐるグローバルツアーを開催。一部顧客やメディアの試乗用に提供される。いまのところ製品化は計画されていないものの、100EXや101EXがそれぞれ市販モデルとなったことからみても、たんなるコンセプトカーではなく、ロールス・ロイス車のあらたな展開と捉えてもいいだろう。ロールス・ロ...
ROLLS-ROYCE 102EX|ロールス・ロイス 102EXロールス・ロイスがファントムEEの詳細を発表ロールス・ロイス・モーター・カーズは、ジュネーブショーで公開した「102EX」のコードネームをもつファントムのEVモデルについて詳細を発表した。文=松尾 大102EX、ザ・キャピトルホテル東京をベースに開催された試乗会の模様はこちら!ファントムベースのEVロールス・ロイスは「ファントム・エクスペリメンタル・エレクトリック=ファントムEE」ともよばれるEVコンセプト102EXをジュネーブショーで公開しているが、その詳細は思いのほか現実的な内容となっている。近年では、100EXや101EXがそれぞれ市販モデルとなったように、ロールス・ロイスのエクスペリメンタルモデルは、1919年の1EXにはじまる伝統を受け継ぎ、つねに将来的な製品開発につながる、あらたなテクノロジーとそのアプリケーションについて評価、検討することを目的にしている。エクスペリメンタルモデルは、いわゆるコンセプトカー...
ROLLS-ROYCE GHOST|ロールス・ロイス ゴースト新世代ロールス、日本上陸これまでのモデルのなかでもっともパワフル、かつ自分でハンドルを握るひとのために作られたクルマ、と謳われるロールスロイスの新型車「ゴースト」が10月1日、東京でお披露目された。570馬力のエンジンを搭載するこのモデル、受注はすでに始まっており、デリバリーは2010年第2四半期からという。文=小川フミオ写真=ロールス・ロイス・モーター・カーズファントムより400mm短い全長ロールス・ロイスの新型車「ゴースト」は、570馬力ものハイパワーV12エンジンを搭載する4ドアセダン。「格式張らない雰囲気のなかに洗練された現代性が見事に調和し、ロール・ロイスの魅力を大きく広げています」と、ロールス・ロイス・モーターカーズのアジアパシフィック担当リージョナルディレクター、コリン・ケリー氏は発表会の席上で報道陣を前にして語った。ゴーストのエンジンは新開発の6.6リッターV型12気筒でターボチャージャーを2基装着。57...
ROLLS-ROYCE Ghost Extended Wheelbase| ロールス・ロイス ゴースト エクステンディット ホイールベースさらなる居住性を得たゴーストのニューモデル、日本上陸!ロールス・ロイスは、2009年に誕生したロールス・ロイス史上もっともパワフルで、ドライバーのためのサルーンと謳われる「ゴースト」のホイールベースを延長し、居住性をさらに高めた「ゴースト エクステンディット ホイールベース」を日本で発表した。Text by OPENERSベースモデルより、ホイールベースを170mm延長「洗練されたデザインと他の追随を許さない高級感、最高水準のエンジニアリングによる乗り心地とハンドリング性能をあわせもつゴースト。そんなゴーストのホイールベースを延長することで、さらに居住性を高めた、妥協のない一台」と、ロールス・ロイス・モーター・カーズ CEO トルステン・ミュラー・エトヴェシュは、今回日本上陸を果たした最新モデル「ゴースト エクステンディット ホイールベース」につ...
ROLLS-ROYCE PHANTOM EXPERIMENTAL ELECTRIC|ロールス・ロイス ファントム エクスペリメンタル エレクトリックもっとも大型でもっとも豪華なロールス製EVに試乗(1)ロールス・ロイス・モーター・カーズでは、さきごろ「102EX」別名「ファントムEE(エクスペリメンタル エレクトリック)」という、電気自動車の実証実験用モデルを発表。日本においても2011年9月30日に、東京・キャピトル 東急ホテルにおいて報道陣にお披露目された。文=小川フミオ写真=荒川正幸ロールスにとって電気自動車とは相容れる概念なのか?ファントムEEの特徴は、従来の6.75リッターV12エンジンに代わり、電気モーターとバッテリーパックを搭載していること。 「超高級セグメントにおける世界初のバッテリー駆動電気自動車です」と、ロールス・ロイス・モーター・カーズ(以下RR)でコーポレートコミュニーケーション マネージャーを務めるハル・セルディン氏は、誇らしげに語る。「RRは自動車の世...
Rolls-Royce Serenity|ロールス・ロイス セレニティ和服の柄もモチーフに豪華をきわめたロールス・ロイスのビスポークモデルロールス・ロイスは3月に開催されるジュネーブモーターショーにおいて、豪華絢爛なインテリアをほどこしたビスポークモデル「セレニティ」を展示すると予告した。Text by HORIGUCHI Yoshihiro(OPENERS)ビロードにつつまれてジュネーブモーターショーでロールス・ロイスが展示するのは、同社のビスポーク デザインチームが手掛けた特別な一台。静粛、安寧などを意味する“セレニティ”と呼ばれるこのクルマは、ビロード(織物)などにみられるように、歴史的に王侯貴族たちがその力の象徴として愛してきたシルクに着目したという。セレニティはあらたなラグジュアリーモデルのベンチマークとしてふさわしい、もっとも豪華絢爛なインテリアを目指したというワンオフモデルとなる。そのために、最高級のシルク織物、すぐれたクラフツマンシップ、クリエイティビティが注ぎ込ま...