ROLLS-ROYCE GHOST|新世代ロールス、日本上陸
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2015年3月11日

ROLLS-ROYCE GHOST|新世代ロールス、日本上陸

ROLLS-ROYCE GHOST|ロールス・ロイス ゴースト

新世代ロールス、日本上陸

これまでのモデルのなかでもっともパワフル、かつ自分でハンドルを握るひとのために作られたクルマ、と謳われるロールスロイスの新型車「ゴースト」が10月1日、東京でお披露目された。570馬力のエンジンを搭載するこのモデル、受注はすでに始まっており、デリバリーは2010年第2四半期からという。

文=小川フミオ写真=ロールス・ロイス・モーター・カーズ

ファントムより400mm短い全長

ロールス・ロイスの新型車「ゴースト」は、570馬力ものハイパワーV12エンジンを搭載する4ドアセダン。「格式張らない雰囲気のなかに洗練された現代性が見事に調和し、ロール・ロイスの魅力を大きく広げています」と、ロールス・ロイス・モーターカーズのアジアパシフィック担当リージョナルディレクター、コリン・ケリー氏は発表会の席上で報道陣を前にして語った。

ゴーストのエンジンは新開発の6.6リッターV型12気筒でターボチャージャーを2基装着。570psの最高出力と780Nmの最大トルクを発生する。ZF製8段オートマチックギアボックスが組み合わされ、後輪駆動となる。3295mmという余裕あるホイールベースをもち、モノコック形式が採用されたボディの外寸は、全長×全幅×全高=5399×1949×1550mmとなる。ファントムに比較すると全長で400mmも短くなっている。「コーチドア」とロールス・ロイスでは呼ぶ後席ドアは開閉用のヒンジを後ろにもち、83度まで大きく開くのが特徴だ。

4輪にエアサスペンションシステムが採用されていて、ダンパーを例にとれば2.5ミリセコンドごとに演算をおこなって、最適の乗り心地とハンドリングのバランスをとっているという。さらにセンサーも敏感に調整されていて、「たとえば後席乗員が横へ移動したことも感知して前後左右のサスペンションを調整」とロールス・ロイスの広報資料にある。

日本製高級車のように豊富な安全装備

電子制御は安全装備の拡大にも使われている。夜間の走行をより安全にするナイトビジョンシステム、自車のポジションを鳥の目から見たようにモニター表示し縦列駐車を容易にするシステム、交差点で左右からのクルマの接近を感知するシステム、意図しない車線からの逸脱を感知してドライバーに警告を与えるシステムなど、まるで日本製高級車のような装備が豊富に用意されている。

先進のテクノロジーと伝統的なデザイン要素が組み合わされているのも、ゴーストの魅力にあげられる。内装は高品質の皮革とウッドで構成されており、視覚的なアクセントの役目もはたすクロームのスイッチ類は、ロールス・ロイス伝統の「バイオリン・ペグ」型となっていて、あたたかみを感じさせる。いっぽうキャビンは静粛性の高さとともに、4ゾーンの空調と、16個のスピーカーを使用する600ワットのオーディオシステムなど、快適性の高さが謳われている。

記者会見では、さきのケリー氏に同席したサウス&イーストアジア・パシフィック担当ゼネラルマネージャーのブレンダ・ペック氏が「(ゴーストの導入で)2つのモデルラインを展開することになります」と語ったとおりで、これまでわが国でもロールス・ロイスは、ファントムシリーズのみだった。ファントムのベーシックグレードが4725万円することを考えると、2900万円のゴーストはだいぶこなれた価格となる。

BRAND HISTORY

ヘンリー・ロイスとチャールズ・ロールスが初めて会ったのは1904年のこと。イギリスでモーターなどを手がけていたロイス社が、新しいビジネスとして自動車を試作したところ、評判を聞きつけたロールスがこのクルマを試乗に訪れる。その仕上がりの良さに感銘を受けたロールスが、ロイスがつくるクルマの販売を申し入れたのがロールス・ロイスのスタートになった。

高級車ブランドとしてその名を知らしめたのは、1906年に生産を開始した「40/50HPシリーズ」。6気筒エンジンを搭載したこのモデルは、後に「シルバー・ゴースト」と呼ばれるのだが、そのエンジンの滑らかさや静粛性、クルマとしての高い信頼性、そして、質の高い素材による仕立の良さから、上流階級から大きな支持を得ることとなった。ロールス・ロイスのマスコットとして知られる“スピリット・オブ・エクスタシー”が生まれたのもこの時代だった。

その後、1929年には「ファントム」を世に送り出し、1931年には同じイギリスのベントレーを買収するなど順調な歩みを進めた同社。第二次世界大戦中は航空機エンジンなどに専念する時期もあったが、1947年から自動車の生産を再開。ファントムシリーズをはじめ、「シルバークラウド」「シルバーシャドウ」といった名車をつくりだしていく。しかし、1971年に航空機エンジン部門の不振から会社が倒産。この際、航空機エンジン部門は切り離され、残された自動車部門は一時政府の管理下へ。そして1980年にはヴィッカーズ社の傘下となった。

さらに1990年代後半にはフォルクスワーゲン(VW)とBMWによる買収劇が巻き起こる。混乱の末、工場とベントレーのブランドはVWの手に渡り、一方、BMWはロールス・ロイスの名前だけを手に入れる。そして2003年、新体制のもとで開発が進められてきたファントムにより、ロールス・ロイスは新しい歴史を踏み出すことになった。

           
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