連載
「連載」に関する記事

イラストレーターとパリの五月(6)=パリの話
「イラストレーターとパリの五月」(6)九重加奈子さんにパリの話を聞くinterview&text by SUZUKI Fumihikoイラストレーターとパリの五月(5)=美術の話加奈子さんの部屋南向きの、日当たりのいい部屋― これから、どれくらいの時間をパリにいるつもりなんですか。「ワーホリで来た人はフランスにまた戻ってくるっていうのが定説だとか……」― 今、5月じゃないですか。この季節がパリは一番いいっていいますよね。「この季節をもう一度見たくて、パリに戻ってきちゃったみたいなところがあります。」― 今年は季節がちょっと前倒しっぽいですけれど。「前倒しっぽい。どうなっちゃうんだろう、これから。このまま暑くなるとちょっときつい。」九重加奈子さん― 花粉症みたいな人も今年は多いなと思うんです。「私も今年おかしいんですよ。日本にいたときほどひどくはないんですけれど。」― アカシアにやられたりする人、結構いるみたいですよ。「でもクーラーがなくて窓を開けないわけにはいかない生活だから大変で...

イラストレーターとパリの五月(5)=美術の話
「イラストレーターとパリの五月」(5)九重加奈子さんに美術の話を聞くinterview&text by SUZUKI Fumihikoイラストレーターとパリの五月(4)=フランスでの仕事と生活重厚な絵より、イラストレーションに近いようなものが好き― 日本って東京ですよね。「ええ、自由が丘っていう町で、可愛いお店が沢山あって、そういうところはフランスを出来るだけコピーするっていうスタイルのところが多くて。私もハガキをもっていって売り込んでみたりしたんですけれど、……フランスに行ったことがない人もたくさんいると思うのに、みんなフランスの空気をもっている。すごいインパクトだなと思いました。」― 絵葉書の話は上手くいったんですか?「うーん。単価が小さいので商売にするのは色々と難しいらしいです。みんな、ハガキを書かないようになりましたよね。フランスに来て、やっぱり美術館にちょっといくと、すぐにすごい絵がいつでも見られるように掛かっているのも、こういうことなんだなぁって思いました。あ、ルーブル...

イラストレーターとパリの五月(4)=フランスでの仕事と生活
「イラストレーターとパリの五月」(4)九重加奈子さんにフランスでの仕事と生活の話を聞くinterview&text by SUZUKI Fumihikoイラストレーターとパリの五月(3)=フランスに来た理由フランスは最初の想像通り、重い国でしたか?― お仕事は、ホームページを見ると、本の挿絵が多いみたいですね。「最初にやった仕事が語学参考書の挿絵だったので、芋づる式にそういう仕事が入ってきて、今も多いですね。子供向けの実用書とか、参考書とか、広告も時々やったり。」― 広告というのは?「新聞の折り込みのアパートの広告とか、食品の広告とか漢方薬のパッケージとか。」― それは依頼してきた側から細かく指示があるんですか。「向こうからかなり細かい指示が来る場合もあって。でも、ずっとクリエイティブなものをやっていくのもしんどいとおもって。時々、大まかなテーマがあっても自由にできるのがあって。例えば表紙の絵とか。」― フランスで仕事を貰うっていうことはあるんですか。「今、フランスの作家の人が書い...

イラストレーターとパリの五月(3)=フランスに来た理由
「イラストレーターとパリの五月」(3)九重加奈子さんにフランスに来た理由を聞くinterview&text by SUZUKI Fumihikoイラストレーターとパリの五月(2)=フィンランドとハワイの話ご飯が美味しくて、歴史と文化がある重い国へ― それからフランスへきたわけですね。「ええ。フランスっていうのは消去法でワーキング・ホリデー・ビザが使える国を探したんです。」― ニュージーランドとかオーストラリアとか、そういうところはすごくビザが取りやすいっていいますけれど、それは選択肢にはいらなかったんですか。「フィンランド、ハワイといて、どっちものぺっとしたところで、今度はご飯が美味しくて、歴史と文化がある重い国がいいなとおもったんです。だからオーストラリアとかニュージーランドは選択肢に入らなかったですね。」― ほかに候補に挙がった国はありましたか。「そうするとヨーロッパって思ったんですけれど、イギリスはもう年齢制限を越えていて、ドイツは……ご飯の点でちょっと。フランスの方が楽しそ...

イラストレーターとパリの五月(2)=フィンランドとハワイの話
「イラストレーターとパリの五月」(2)九重加奈子さんにフィンランドとハワイの話を聞くinterview&text by SUZUKI Fumihikoイラストレーターとパリの五月(1)=フィンランドの話ハワイの絵は、ハワイ的フィンランドで有名な画家っていますか?ロッタちゃんがその辺だったような……「ロッタちゃんは隣のスウェーデンですね。ムーミンがフィンランドです。ムーミンの原画の美術館があって。あの人はムーミンを描く前に政治新聞の風刺漫画なんかをやっていたらしいんです。それがすごくよかったです。」― 冬の間はみんな何をしているんですか。「クロスカントリースキーとか、あとは……映画いったり、友達のうちにいったり。」― スキー、やりましたか。「やりました。海も全部凍っちゃうので、海の上でも出来るんです。毎週いってましたね。」― そんなにいつも雪が降っているんですか。「はい。でも寒すぎてあんまり積もらないんです。飛ばされちゃって。少し暖かくなると積もるんです。」― 夏はどうなんですか。「...

MOVIE│アカデミー賞最多4部門受賞作が日本上陸『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
MOVIE│アカデミー賞で作品賞や監督賞など最多4部門受賞作が日本上陸『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』アレハンドロ・G・イニャリトゥの最新作『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』。本年度のアカデミー賞®で作品賞や監督賞など最多4部門に輝いたダークコメディが4月10日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショーされる。Text by YANAKA Tomomiまるでワンカットかと見まごう、これまでにない映像世界を実現『バベル』でカンヌ国際映画祭監督賞を受賞し、スリリングな人間ドラマで類稀なる才能を発揮してきたアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督。そんな彼が最新作のテーマに選んだのは、往年のヒーローをモチーフにしたダークコメディ。しかも、『ゼロ・グラビティ』でアカデミー賞®撮影賞を獲得したカメラマン、エマニュエル・ルベツキとタッグを組み、1本の映画をまるでワンカットかと見まごう、流れるようなカメラワークで捉えるという、これまでにない取り...

ART FILE 34|20世紀前半の名作アートがずらりと並ぶ『Keys to a Passion』
ART FILE 34|フランス・パリ|「フォンダシオン ルイ・ヴィトン」20世紀前半の名作アートがずらりと並ぶ『Keys to a Passion』昨年10月、パリ・ブローニュの森にルイ・ヴィトンにより設立された現代アートの美術館「フォンダシオン ルイ・ヴィトン」でオープニングプログラムの第3弾となる『Keys to a Passion』が開催。7月6日(月)まで開かれている。Text by YANAKA Tomomi展示方法を工夫し、より独創的な空間を実現現代アートのあらたな発信地として昨年10月に華々しくオープンした「フォンダシオン ルイ・ヴィトン」。近代建築の奇才としても知られるフランク・ゲーリーが手掛ける建物にも注目が集まったことも記憶にあたらしい。4月1日からスタートした『Keys to a Passion』は、美術館の創立理念でもある「フォンダシオンの芸術活動全般への取り組み」を再認識するエキシビション。本展のために、ロシアのエルミタージュ美術館やニューヨーク近代美術...

アフリカをルーツにもつ「LORITA LORENZO」クラッチバッグが日本初上陸|LAILA TOKIO
LAILA TOKIO|ライラ・トウキョウカーニバルの“喜び”と“愛”を表現したデザインに注目アフリカをルーツにもつ「LORITA LORENZO」クラッチバッグが日本初上陸2013年に設立し、アフリカ系アメリカ人のデザイナーCarol Oyekunleが手がけるブランド、「LORITA LORENZO(ロリータ・ロレンゾ)」の2015年春夏「Carnival collection」を、コンセプトショップ「LAILA TOKIO(ライラ・トウキョウ)」がチョイス。日本初上陸のクラッチバッグが4月18日(土)より発売される。Text by KAJII Makoto (OPENERS)パリで大人気のラグジュアリーなデザインデザイナーのキャロルのふたりの娘、LOLAとLORENZAにちなんで名づけられたブランド「LORITA LORENZO」。自身のルーツであるアフリカの文化や色鮮やかな町並みからインスピレーションを得て生み出されるキャロルの作品は、ラグジュアリーでタイムレス、スタイリッ...

特集|中村孝則氏特別寄稿、「アジアベストレストラン50」にアジアの美食トレンドを読み解く
コラムニスト、中村孝則氏特別寄稿注目の「アジアベストレストラン50」2015年の最新ランキングに、アジアの美食トレンドを読み解く(1)日本でも知名度をあげてきた「世界ベストレストラン50(以下、ワールズ50)」。そのアジア版が2013年にスタートした「アジアベストレストラン50(以下、アジア50)」である。守備範囲こそちがえど、アワードが目指す方向性はおなじ。いまアジアでもっともおいしい店を選び出すことだ。特に3回目を迎えた今年は、ルールや体制を一新して、さらにワールズ50のクオリティに近づけてきた。当然、例年以上の盛り上がりを見せたそうだ。授賞式がおこなわれたシンガポールに飛び、その熱気を間近に感じてきたのは、ワールズ50評議委員の日本代表を務める中村孝則さん。さっそく中村さんとともに、アジアの最新食事情を見ていくことにしよう。Text by NAKAMURA TakanoriEdited by TANAKA Junko (OPENERS)アジアの住人によるアジアのランキング20...

1930年代のフランスの政治家に捧ぐ2015春夏コレクション|MONSIEUR LACENAIRE
MONSIEUR LACENAIRE|ムッシュー・ラスネール友人と楽しく過ごす “アウトドアアクティビティ” ルックに注目1930年代のフランスの政治家に捧ぐ2015春夏コレクションメンズのパリ・コレクション期間中に、20人のモデルが自転車でパリ市内を走るという斬新な発表形式でも話題になった「MONSIEUR LACENAIRE(ムッシュー・ラスネール)」の2015春夏コレクションが到着。“Merci M. Lagrange” をテーマに、ユニークなアイテムを展開している。Text by KAJII Makoto (OPENERS)“Merci M. Lagrange=レオ・ラグランジュに感謝”エレガントで遊びの効いたニットアイテムで人気を博しているパリのブランド「ムッシュー・ラスネール」の今季のテーマは、1930年代に有給休暇制度を設けたフランスの政治家Léo Lagrange(レオ・ラグランジュ)。生粋のパリジェンヌ&パリジャンであるデザイナーのガランス・ブローカとブランドマネ...