イラストレーターとパリの五月(3)=フランスに来た理由
「イラストレーターとパリの五月」(3)
九重加奈子さんにフランスに来た理由を聞く
interview&text by SUZUKI Fumihiko
イラストレーターとパリの五月(2)=フィンランドとハワイの話
ご飯が美味しくて、歴史と文化がある重い国へ
― それからフランスへきたわけですね。
「ええ。フランスっていうのは消去法でワーキング・ホリデー・ビザが使える国を探したんです。」
― ニュージーランドとかオーストラリアとか、そういうところはすごくビザが取りやすいっていいますけれど、それは選択肢にはいらなかったんですか。
「フィンランド、ハワイといて、どっちものぺっとしたところで、今度はご飯が美味しくて、歴史と文化がある重い国がいいなとおもったんです。だからオーストラリアとかニュージーランドは選択肢に入らなかったですね。」
― ほかに候補に挙がった国はありましたか。
「そうするとヨーロッパって思ったんですけれど、イギリスはもう年齢制限を越えていて、ドイツは……ご飯の点でちょっと。フランスの方が楽しそうだったし。」
― フランスはパリって決めていたんですか。
「それはちょっと迷ったんです。パリには来たことがなかったけれど、南仏には行ったことがあって、やっぱり暖かくて海があるところがいいなと思ったんですけれど、仕事のことを考えるとやっぱりパリの方がいいかなと。郵便事情なんかもよさそうだし、人との繋がりもパリの方がいいだろうし。人口も多いから。」
― 日本はどこ出身ですか。
「東京です。」
― 東京と比べると小さくないですか。パリは。
「小さいですね。世田谷区くらいらしいですね。東京にいるときは必要なものに手が届くのにすごく時間がかかったんですけれど、パリだとそれがわっと手が届く。自分に仕事くれる人とか自分と同じような仕事をしている人とか。去年、小さな展覧会をやったんですけれど、それもやろうと思って探したわけじゃなくて、そういう話が来たんです。」
― ところで、言葉はどうしているんですか。フィンランドはフィンランド語ですよね。
「フィンランド語はまるでヒントの無い言葉で、学校にいって勉強したんですけれど取り付く島もない感じで。英語が、本当におじいさんにも通じる国なので、英語を勉強しました。フランス語はまっさらな状態で来たから、苦労してます。」
― フランスに住みだすときは大変だったんじゃないですか。フランス語が分からない状態でやったんですか。
「ええ。大家さんが英語の喋れる、すごくいい人だったので、それがラッキーでした。大家さんが銀行開設なんかも全部手伝ってくれて。最初はだまされてるんじゃないかなと少し心配しました。」
― ワーホリで来る人って、言葉を喋れないで来る人も多いですけれど、大家さんがすごく親切で助かった、という話はほかでも聞いたことがあります。その大家さんとはどうやって知り合ったんですか。
「在仏日本人会のホームページの掲示板にお知らせが出ていて。でも、あとで大家さんにその話をしたら、そんなところに掲示を出した覚えはないって。フランスの新聞に出した覚えはあるけれど。誰かが勝手に翻訳してのっけたんでしょうかね。日本人ばっかり部屋を見に来るから不思議がってたみたいです。でも私の場合は仕事が日本と同じように出来たので、その部分ではストレスは少なかったです。」
※九重加奈子さんのホームページ
http://www.geocities.com/kanakoinhawaii/