修復
「修復」に関する記事
短期連載|Missing Trace〜ロンドンの記憶と記録のあいだ〜 第1回
アーティスト・久保田沙耶がロンドンで見たもの、感じたもの第1回「とろける小さな遺跡たち」芸術が生活に根ざした街、ロンドン。日々、あたらしい表現が生み出される「創出」の場所であるいっぽうで、いたるところに埋葬された過去の遺産を掘り出して、いまによみがえらせる「蘇生」の場所でもある。後者の行為は、たとえるなら過去から現在への伝言ゲーム。そんな時代を超えた“壮大な遊び”に心躍らない表現者がいるだろうか? 2015年4月から10月まで、修復とファインアートを学ぶために彼の地へ留学中の久保田沙耶もその魅力に惹きつけられたひとり。ロンドンの記憶と記録のあいだを漂う日々のなかで、琴線に触れたヒト・モノ・コトを綴る。Text & Photographs by KUBOTA SayaEdited by TANAKA Junko (OPENERS)修復の学生が一生懸命掘り出していたものこの春から滞在制作をしている「City & Guilds of London Art School」と...
短期連載|Missing Trace〜ロンドンの記憶と記録のあいだ〜
2015年6月から10月までの期間限定アート連載アーティスト・久保田沙耶がロンドンで見たもの、感じたもの芸術が生活に根ざした街、ロンドン。日々、あたらしい表現が生み出される「創出」の場所であるいっぽうで、いたるところに埋葬された過去の遺産を掘り出して、いまによみがえらせる「蘇生」の場所でもある。後者の行為は、たとえるなら過去から現在への伝言ゲーム。そんな時代を超えた“壮大な遊び”に心躍らない表現者がいるだろうか? 2015年4月から10月まで、修復とファインアートを学ぶために彼の地へ留学中の久保田沙耶もその魅力に惹きつけられたひとり。ロンドンの記憶と記録のあいだを漂う日々のなかで、琴線に触れたヒト・モノ・コトを綴る。※写真はプロジェクト「漂流郵便局」の一環で制作された『漂流物たち(Missing Trace)』(2013年)。プロジェクトの舞台、粟島の波打ち際で拾った漂流物たちに久保田沙耶が手をくわえたもの。連載期間中、その貴重な作品群を毎週月曜にひとつずつ紹介。Text by K...
Missing Trace〜ロンドンの記憶と記録のあいだ〜 第3回|連載
アーティスト・久保田沙耶がロンドンで見たもの、感じたもの第3回「かわいた記憶にお湯を注いで」芸術が生活に根ざした街、ロンドン。日々、あたらしい表現が生み出される「創出」の場所である一方で、至るところに埋葬された過去の遺産を掘り出して、いまに蘇らせる「蘇生」の場所でもある。後者の行為は、たとえるなら過去から現在への伝言ゲーム。そんな時代を超えた“壮大な遊び”に心躍らない表現者がいるだろうか? 2015年4月か10月まで、修復とファインアートを学ぶために彼の地へ留学中の久保田沙耶もその魅力に惹きつけられたひとり。ロンドンの記憶と記憶のあいだを漂う日々のなかで、琴線に触れたヒト・モノ・コトを綴ります。Text by KUBOTA SayaEdited by TANAKA Junko (OPENERS)ものとひととの関係性を楽しみ、活かすロンドンに来て一番はじめに驚いたことは、季節の香りがしないことだった。公園やお庭が多くても、植物や土地の匂いがしないのはなぜだろう、と考えてみると、日本と...
連載|スイスで活躍する日本人時計師
ラ・ショー・ド・フォン国際時計博物館の時計修復師〜金澤真樹さん〜金曜日の昼下がり。訪れる人のほとんどいないひっそりとした博物館。 静けさの中響く時計のチクタクの音。数世紀の歴史を刻んできた音だ。ここはスイス ラ・ショー・ド・フォンの国際時計博物館。その一角にある工房で、金澤真樹さんは、4000点にのぼる館の収蔵品の修復、研究・調査に取り組んでいる。Text by SANO PERRET Tomoko有能な時計師は不足しないはずのスイスで日本人が抜擢ラ・ショー・ド・フォンは隣接するル・ロックルとともに、古くから計画的な都市計画がされた時計製造都市として、ユネスコの世界遺産として登録されるほど歴史ある街だ。そのラ・ショー・ド・フォンの国際時計博物館は、歴史的な時計の宝庫であり、スイス時計製造の歴史博物館のような役割も担っている。運営はラ・ショー・ド・フォンのコミューン(スイスの自治体)によって営まれており、金澤さんはスイスの公務員として働いている。有能な時計師には不足しないはずの機械式...
連載|Missing Trace〜ロンドンの記憶と記録のあいだ〜 第2回
アーティスト・久保田沙耶がロンドンで見たもの、感じたもの第2回「ローマで遺跡を握る」芸術が生活に根ざした街、ロンドン。日々、あたらしい表現が生み出される「創出」の場所であるいっぽうで、いたるところに埋葬された過去の遺産を掘り出して、いまによみがえらせる「蘇生」の場所でもある。後者の行為は、たとえるなら過去から現在への伝言ゲーム。そんな時代を超えた“壮大な遊び”に心躍らない表現者がいるだろうか? 2015年4月から10月まで、修復とファインアートを学ぶために彼の地へ留学中の久保田沙耶もその魅力に惹きつけられたひとり。ロンドンの記憶と記録のあいだを漂う日々のなかで、琴線に触れたヒト・モノ・コトを綴る。Text, Photographs & Illustrations by KUBOTA SayaEdited by TANAKA Junko (OPENERS)そこらじゅうに遺跡がゴロゴロローマの暑い日照りの道を歩いている最中、遠くに小さく「コロッセオ」(ローマ帝政期につくられた円...
MOVIE|リー・ユー監督による感動作『ブッダ・マウンテン~希望と祈りの旅』
MOVIE|地震で息子を亡くした女性が、若者との交流をとおして立ち直ってゆく様子を描くリー・ユー監督による感動作『ブッダ・マウンテン~希望と祈りの旅』『ロスト・イン・北京』(2007年)で世界センセーショナルを巻き起こしたリー・ユー監督の最新作、中国のトップ女優ファン・ビンビンを主演に迎えた人間ドラマ『ブッダ・マウンテン~希望と祈りの旅』が日本に到着。9月28日(土)よりユーロスペース、K's sinemaほか全国順次ロードショーされる。Text by YANAKA Tomomi主演のファン・ビンビンは、東京国際映画祭で最優秀女優賞を受賞四川大地震で息子を亡くした京劇女優が、若者3人との交流をとおして立ち直ってゆく様子を描いた『ブッダ・マウンテン~希望と祈りの旅』。2010年の第23回東京国際映画祭で、最優秀芸術貢献賞と主演のファン・ビンビンが最優秀女優賞を受賞した話題作がいよいよ公開される。女性監督のリー・ユーは、本作同様にファン・ビンビンを主演に迎え、ブラックな笑いと現代の中国...
MOVIE|ドキュメンタリー『みんなのアムステルダム国立美術館へ』
MOVIE|世界でも人気の美術館が10年間も閉ざされた“事件”の顛末を追うドキュメンタリー『みんなのアムステルダム国立美術館へ』 オランダのアムステルダム国立美術館の大規模な改修工事を巡る騒動の顛末を描いた、ウケ・ホーヘンダイク監督によるドキュメンタリー『みんなのアムステルダム国立美術館へ』。12月20日(土)より、渋谷・ユーロスペースで公開。その後順次全国公開される。Text by YANAKA Tomomi2008年の『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』の続編として誕生レンブラントの『夜警』やフェルメールの『牛乳を注ぐ女』など、数多くの有名美術作品の収蔵でも知られるアムステルダム国立美術館。2004年に開館以来最大の全面的な改修がおこなわれることになったものの、市民からの反対やさまざまなトラブルにより、当初の2008年の開館予定が大幅に延期。ようやく2013年に開館を迎えた。足掛け10年にも及ぶ騒動の行方をウケ・ホーヘンダイク監督が描いたドキュメンタリー『みんなのアムステル...
ACTUS|アクタス青山店で「手仕事の家具展」開催
ACTUS|アクタスアクタスが考える、永く愛したい手仕事の逸品が集結アクタス青山店で「手仕事の家具展」開催今年9月、「都市で穏やかに暮らすための手仕事の家具」をテーマにアクタス新宿店で開催された「手仕事の家具展」が、東京デザイナーズウィーク期間中のメインイベントとしてさらにスケールアップ。10月25日(土)からアクタス青山店で、「永く使いつづけたい逸品、手仕事の家具展」が開催される。Text by KAJII Makoto (OPENERS)アクタスのフィロソフィーを体現した丁寧な手仕事の逸品「永く使いつづけたい逸品、手仕事の家具展」では、アクタスとマルニ木工による深澤直人氏デザインの「AOYAMA」、良質なマホガニー材を使用した北欧デザインの「HORSE SHOE」、古き良き北欧の技を現代に受け継ぐ「H.W.F」、丹精込めて修復したデンマーク製のユーズド家具などをラインナップする。日々の暮らしの豊かさを感じることができる家具との出合い深澤直人氏デザインの「AOYAMA」シリーズの...
MOVIE│巨匠フレデリック・ワイズマン最新作『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』
MOVIE│巨匠フレデリック・ワイズマンが“世界最高峰の美術館”の秘密を解き明かすドキュメンタリー『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』イギリスを代表するナショナル・ギャラリー。この美術館でもカメラが立ち入ったことのない領域に、84歳にして踏み込んだフレデリック・ワイズマン監督によるドキュメンタリー『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』。1月17日(土)より、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショーされる。 Text by YANAKA Tomomiベネチア国際映画祭の栄誉金獅子賞を受賞『クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち』や『パリ・オペラ座のすべて』などで知られるフレデリック・ワイズマン監督。ドキュメンタリーの巨匠として知られる彼が30年間にわたって「いつか撮影したい」と切望していたのが、イギリスの国立美術館ナショナル・ギャラリーを舞台にした映画の撮影だった。ついにその願いが叶い、ワイズマン監督は3カ月間にわたり、ナショナル・ギャラリーに密着。通常は入ることの...
ARQUISTE|建築家が手がけるNY発の新進フレグランス日本初上陸
ARQUISTE|アーキスト建築家が手がけるNY発のフレグランスブランド、日本初上陸まるでタイムカプセルのように、あの場所へ、想いが蘇る(1)2011年のデビュー以来、世界展開を進めるニューヨーク発のフレグランス「ARQUISTE(アーキスト)」。建築家として、歴史的建造物の修復・保存に携わってきたCarlos Huber(カルロス・フーバー)氏が手がける香りは、各国のフレグランス市場で高い評価を得ている。そんな話題のブランドが、ついに日本初上陸。この春、都内4店舗での販売をスタートさせた。“時、場所、感覚”に訴える斬新な香りはどのように生まれたのか──初来日を果たしたカルロス氏に聞いた。Photograph by JAMANDFIXText by SOMEYA Harumi歴史を現在に蘇らせる建築家と、売れっ子パフューマーの出会いもともとは建築家であり、歴史的建造物の修復・保存を専門に活動をつづけてきたカルロス・フーバー氏によるフレグランス「アーキスト」は、まさに歴史と現代が交差...
さる山|“修復”をテーマに、金沢の金工、竹俣勇壱展「繕い」開催
ものを大事にする精神と、直すことにも美を見出す日本人特有の感覚金沢の金工、竹俣勇壱展「繕い」開催再び「繕い」の企画です。今回は“修復”をテーマに、金沢の金工、竹俣勇壱さんにお願いしました。古陶磁から照明器具まで、直しを口実に少々余計な手を入れていただいています。あわせて、彼個人の仕事もご紹介します。ぜひお出かけください。文=猿山 修(さる山)修理の要素と美的な要素「繕い」というと、主に陶磁器にほどこす「金継」を思い浮かべるかもしれない。割れたり欠けたりしてしまったところを漆や接着剤で継ぎ、その線に合わせて金や銀をほどこす。すると継いだ部分が繊細な模様のように現れ、完品のものとはまたちがった魅力が生まれる。ものを大事にする精神と、直すことにも美を見出す日本人特有の感覚だろう。修理の要素と美的な要素。古い陶器や硝子容器にあわせて銀製の蓋を「繕う」というテーマでおこなってきた展覧会の4回目である今回は、金沢の金工、竹俣勇壱さんにお願いした。竹俣さんの「繕い」は、よい意味での余計な手をくわ...
ACME FURNITURE|陶器の修復方法にインスパイアされた家具
ACME FURNITURE|アクメ ファニチャー陶器の修復方法にインスパイアされた家具作り長𣘺亮エキシビション 開催ACME FURNITUREのニューコンセプトライン「SPITRIP ACME FURNITURE」 は、 “ECO” “GREEN” “SURF” “SKATE” “ART”をキーワードに、定期的に作品を発表している。9月27日(金)よりACME FURNITURE 目黒通り店にて、新進気鋭の木工作家・長𣘺亮(ちょうはし・りょう)氏のエキシビションを開催。陶器の伝統的な修復方法を家具作りに活かした、長𣘺氏ならではの家具が披露される。 Text by OPENERS DESIGNエキシビションにあわせ新作家具を発表長𣘺氏が手がける「yobitsugi」シリーズは、「呼び継ぎ」という陶器の伝統的な修復方法がベースとなっている。異なる器の陶片を継いで作った器のように、時代や様式の異なる古材や新材を組み合わせ、一つの家具にしているのだ。さまざまなパーツを織りなすことで豊か...
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