今ここから始まる伝統

HIROCOLEDGE(ヒロコレッジ) 高橋理子インタビュー(1)

HIROCOLEDGE(ヒロコレッジ) 高橋理子インタビュー(1)

オウプナーズ連載スタートにあたって(1)HIROCOLEDGE(ヒロコレッジ) 高橋理子インタビューファッションブランドやセレクトショップの秋冬展示会も終わって、気持ちのなかではもう秋冬モノのコンテンツの準備です。オウプナーズのサイト・リニューアルを機に、ファッションカテゴリーの新しいメンバーを捜していたんですが、出会ってしまったのが、足袋とレッグアイテムの老舗である福助の展示会。「面白いデザインの足袋があるなぁ」と商品を見ていたら、独特なデザインの着物を着て説明してくれたのが、その足袋をデザインしたクリエイターの高橋理子(ひろこ)さん。「HIROCOLEDGE(ヒロコレッジ)」というプロダクトブランドを展開している女性です。そのときはじめてお会いしたんですが、経歴を見たり、立ち話をしていて、これはぜひ、オウプナーズのファッションカテゴリーに参加してもらおう! と即決、相談。 オウプナーズFASHIONに、東京藝大の博士号を取得した30歳の女性クリエイターが登場します。まずは、連載...
HIROCOLEDGE(ヒロコレッジ) 高橋理子インタビュー(2)

HIROCOLEDGE(ヒロコレッジ) 高橋理子インタビュー(2)

オウプナーズ連載スタートにあたって(2)HIROCOLEDGE(ヒロコレッジ) 高橋理子インタビュー「今年の夏は、イベントの夏なんです」と笑う『HIROCOLEDGE(ヒロコレッジ)』の高橋理子さん。現在開催中の東京ミッドタウン「HIROCOLEDGE YUKATA 2008」をはじめ、『HIROCOLEDGE』の活動拠点である台東デザイナーズビレッジでの展示販売もこれから行われる。インタビュー第2弾は、ものづくりについてうかがった。Photo by Jamandfixまとめ=梶井 誠(本誌)着物はいろんなことを伝えられる──今回は、東京ミッドタウンの「HIROCOLEDGE YUKATA 2008」の期間限定ショップを紹介しますが、ユニークなディスプレイですね余計な什器を使うことなく、梱包資材をそのまま什器として使用しています。段ボール箱のポップでカジュアルな雰囲気によって、HIROCOLEDGEが“和”のカテゴリーだけには収まらないように方向づけようとした結果です。浴衣や手ぬぐ...
# 001 Wearable Art ─身に纏う芸術─

# 001 Wearable Art ─身に纏う芸術─

# 001 Wearable Art ─身に纏う芸術─私がなぜ着物を作っているのか。そして、和服を中心に扱っている人間がなぜこのオウプナーズのファッションカテゴリーに入っているのか。興味をおもちのかたもいらっしゃるかと思います。文=高橋理子写真=川本史織私には、まだ早い幼少のころから衣服に興味をもち、これまで洋服づくりから素材づくりまでさまざまな環境で学んできました。なかでもいちばん強く影響を受けたのは、大学で学んだ日本の伝統染織文化です。日本の染織技術は、美しい着物を生み出すために発展したといっても過言ではありません。大学在籍中、洋服をつくる技術とあらたに身につけた伝統染織技術を単純に組み合わせた、「友禅染めのジャケット」や「型染めのシャツ」をつくっていた私は、卒業制作に何をつくるのかを決断するさい、自分のこれまでにつくったものを客観的に見て気づいたことがありました。それは、着物のための染織技法を安易に洋服に転用することは、私にはまだ早いということでした。その技法がなぜ生まれたの...
# 002 ISETAN LIVING×HIROCOLEDGE

# 002 ISETAN LIVING×HIROCOLEDGE

# 002 ISETAN LIVING×HIROCOLEDGE 伊勢丹「オンリー・アイ」の新商品として、「HIROCOLEDGEの世界観を反映した、多種多様なリビングアイテムを共同開発したい」とのお声がけをいただき実現したコラボレーション。これまでも、さまざまなアイテムを手がけてきましたが、機能も形状も素材も、これほど多岐にわたるものづくりを同時に行うのははじめてのことでした。文=高橋理子はじめて扱う素材や技術に出会い、なにができるだろうとわくわくと心が弾む時間このような取り組みは、伊勢丹リビングとしてもはじめてのこと。まず、お話をいただいたのが昨年の10月。販売開始まで5ヵ月もないと知ったとき、実現は難しいと思いました。しかし、バイヤーの方々の、これまでにない取り組みに対しての熱意や、ここからなにかを変えていきたいという未来を見据えた意気込みを感じ、決断しました。この取り組みは本当にはじめてのことばかりで、かかわった全員がさまざまな壁にぶつかったと思います。そもそも、つねに忙しく...
# 003 ISETAN LIVING×HIROCOLEDGE ついに開幕

# 003 ISETAN LIVING×HIROCOLEDGE ついに開幕

# 003 ISETAN LIVING×HIROCOLEDGE ついに開幕!伊勢丹新宿店 本館5階 ザ・ステージ#5にて、「ISETAN LIVING×HIROCOLEDGE」のさまざまなアイテムが一堂に会する2週間が、先週3月4日よりはじまりました。文=高橋理子写真=川本史織現在、伊勢丹新宿店5階「ステージ#5」にて展示・販売中です今回のこの取り組みは、伊勢丹リビングのバイヤーの方々が、お客さまへの新たな提案方法を模索するなかで生まれた企画です。これまで各バイヤーがアイテムごとの縦割りのなかで商品提案をするというのが通常だったそうです。しかし、これほど幅広いアイテムを扱う“リビング”というカテゴリーにおいて、それでは広がりがないということで、少しずつその壁を壊し、横のつながりをつくりはじめていました。そして、とうとう今回はじめて全バイヤーが一丸となり、お客さまに新しいご提案をするという取り組み「ISETAN LIVING×HIROCOLEDGE」が実現しました。 お客さ...
高橋理子 # 004 身にまとうこと。その行為

高橋理子 # 004 身にまとうこと。その行為

# 004 身にまとうこと。その行為オウプナーズのファッションカテゴリーに属していながら、着物の話ばかりになるのもどうかと思いつつ、私は、着物も洋服も同じくらい好きだし、それらを別のものと捉えることの方が難しいから、やっぱり着物の話。文=高橋理子写真=川本史織Takahashi Hiroko Exhibition 「transform」 開催!着物とひとことに言っても、いろいろな捉え方があるし、そこから伝わってくることもたくさんある。もちろんなにかを感じ取ろうとしなければ、それは日常とはかけ離れた民族衣装か、着るのが面倒な服でしかない。「着付けが面倒」という言葉は着物にはつきもの。たしかに、洋服のボタンやファスナーのような機能的な付属品がないから、着るのに時間はかかる。そんな洋服と着物の違いは、私にとっては、インスタントラーメンと肉じゃがのよう。インスタントラーメンは手間がかからず美味しい。一方、肉じゃがは、食材に手を加え、さまざまな調味料を加え、味加減を見ながらつくりあげる。考え...
# 005 高橋理子の意思表明

# 005 高橋理子の意思表明

#005 高橋理子の意思表明原宿・神宮前にあるgallery ROCKETのコンクリート打ちっ放しと白く高い壁、そこに展示される黒と白の着物、そして高橋理子の写真。Takahashi Hiroko Exhibition「transform」は、クリエイター高橋理子の新たな第一歩を示す彼女自身の個展となっている。文=オウプナーズ写真=川本史織自分でつくった着物を使って、どんなメッセージを発信できるかのか正面に飾られているのは、縦3メートル、横1.5メートルの巨大な額。ギャラリーのスペースに合わせて高橋理子みずから寸法を出し、額装屋もプリント、アクリル屋も「これまで手がけたなかで最大級」という額のなかに、着付けられた彼女が収まっている。──どうしてgallery ROCKETを選ばれたのですか?ROCKETのことは以前から知っていて、ここはデザイン集団CAPの藤本やすしさんが主宰しているギャラリーなんですが、ぜひここでなにかやりたくて、藤本さんからも「ぜひ」と言っていただいたので、新し...
高橋理子|# 006 HIROCOLEDGE SPECIAL STORE 2009

高橋理子|# 006 HIROCOLEDGE SPECIAL STORE 2009

# 006 HIROCOLEDGE SPECIAL STORE 20098月31日(月)まで東京ミッドタウンにオープンしている、HIROCOLEDGEの期間限定ストア。円と直線の図柄に込めた思いを多くの方に届けることができる、絶好の機会です。文=高橋理子写真=川本史織意識改革の小さなきっかけ私の手がけるプロダクトブランド「HIROCOLEDGE」は、暮らしのなかで使えるものや、そのものづくりを通して、日常のなかでいままで気づかなかったことや、考えもしなかったことに意識を向けるきっかけを生み出すためのプロジェクトでもあります。小さなきっかけが大きな気づきをもたらすことや、小さなことの積み重ねが大きな成果を生み出すということは、誰もが知っていることかもしれません。でも、そのことを忘れてしまっている時間のほうが多いのではないかと思います。 当たり前のことだと意識せずにいたら気づかなかった楽しいことが、もっと見つかるかもしれない。大きな変化を求めなくとも、意識することで、現状をも...
高橋理子|# 007  高橋理子の円と線、初めての韓国へ(前編)

高橋理子|# 007 高橋理子の円と線、初めての韓国へ(前編)

初めての韓服づくり。新鮮な驚きと発見高橋理子の円と線、初めての韓国へ(前編)昨年の秋。ソウルに新しくオープンしたギャラリーでの個展開催と同時に、そのオープニングパーティーでの和服と韓服の簡単なショーを依頼された。もちろん、私は韓服を着たこともつくったこともなく、自分の国の民族衣装について学び、それを大切に考えてきているにもかかわらず、他国の伝統に安易な気持ちで触れることなどできない、いまの私には荷が重いと悩んだ。しかし、このような機会がなければ韓服について知ることなどないだろうと考え、挑戦することを決断。文=高橋理子写真=川本史織本質を捉え、いまを生きる私の韓服をつくるまずは、韓国の服飾史や生活文化などの基本的な知識を得るところからはじめた。その上で、様々な韓服の写真を見てデザインを考えながら、実際の韓服をほどき、構造や仕立て方を調べる。さらに、モデルの方々のサイズに合わせて型紙を引くにあたり、できあがっているものだけを見ても理解できないことも多く、韓服のつくり方の本を取り寄せた。...
高橋理子|# 008 高橋理子の円と線、初めての韓国へ(後編)

高橋理子|# 008 高橋理子の円と線、初めての韓国へ(後編)

日々、小さな挑戦を積み重ねていきたいと心に誓う良い経験高橋理子の円と線、初めての韓国へ(後編)韓服に触れる機会を得て、近い国であるにもかかわらず、何も知らずにこれまで生きてきたのだと実感した。いろいろなことが似すぎているから強い興味が湧かなかったのかもしれない。文=高橋理子写真=川本史織「和服は着たくない」学生時代、アトリエではつねに韓国の留学生が一緒に学んでいた。卒業式に美しいチマチョゴリを着た彼女たちと、着物を着た私の写真が残っている。日本でも、食にかんしては馴染み深い韓国だが、そのほかの文化については、ほとんど知られていないように思う。もちろん、歴史的な問題が互いに壁をつくっているのは事実であるが、実際には、テレビドラマや音楽などにより、その壁はないようにさえ感じられるときもある。ところが、今回のショーにおいては、その壁の大きさを感じる出来事もあった。ショーのモデルとなる方々が、韓国の著名人であり、オリンピックで日本と戦うスポーツ選手も含まれていた。どのような会話のなかでその...
高橋理子|♯009 高橋理子の発信基地

高橋理子|♯009 高橋理子の発信基地

♯009 高橋理子の発信基地 JR御徒町駅と秋葉原駅のちょうど中間辺りの高架下に、クリエイターのための店舗兼アトリエ約50軒が入る集合店舗『2k540 AKI-OKA ARTISAN』の先行棟が完成。“ARTISAN=職人の街”がコンセプトの『2k540 AKI-OKA ARTISAN』に、HIROCOLEDGEが入居した。文=高橋理子写真=川本史織6月25日(金)から7月4日(日)まで、HIROCOLEDGE SHOPを期間限定オープン私の活動は、ひとがなにかを考える小さなきっかけとなる「もの」や「こと」を生み出すこと。決して、ただ美しいものを生み出すだけではなく、そのものをとおしてさまざまなことを伝えていくことが重要なのです。私は、その目的を達成するためにできることはなんでもする。ですから、つくるもののジャンルにもこだわりません。今回つくりあげたのは、私の活動拠点となる空間です。 この場所は、ジェイアール東日本都市開発が手がける、秋葉原・御徒町高架下開発プロジェクトと...
高橋理子|♯010 TAKAHASHI HIROKO EXHIBITION

高橋理子|♯010 TAKAHASHI HIROKO EXHIBITION

DESIGNTIDE 2010 TIDE Extension♯010 TAKAHASHI HIROKO EXHIBITION10月30日(土)からはじまるDESIGNTIDE 2010のエクステンション会場として参加する「TAKAHASHI HIROKO BASE」にて、展覧会を開催いたします。文=高橋理子写真=HIROCOLEDGE Co. Ltd.「あじ」や「あじわい」から考えはじめる有田焼窯元の原口陶磁苑との商品開発の取り組みから生まれた今回の作品は、陶磁器におな「じ図柄をほどこすための量産技術ともいえる転写紙を使用した有田焼のプレートです。この展覧会は、大量生産のなかにひとの存在を感じさせる試みであると同時に、「あじわい」という価値への向き合い方を再考するきっかけになればという思いから開催にいたりました。 日本には昔から、ゆがみやずれ、にじみなどを美しいと捉える感性があります。わび・さびという言葉があるように、完璧で華やかな美しさとは対極の美意識です。とくに工芸...
高橋理子|♯011 「3120」 MINO JAPANESE PAPER(前編)

高橋理子|♯011 「3120」 MINO JAPANESE PAPER(前編)

美濃和紙の新ブランド「3120」誕生#011 「3120」 MINO JAPANESE PAPER(前編)2011年1月、美濃和紙の新ブランド「3120」が誕生しました。岐阜県美濃地方は、1300年の歴史ある紙の産地です。美濃で生まれる紙の存在をより多くのひとに伝え、その価値を実感してもらうための、美濃のメーカー5社によるあらたな取り組みです。文=高橋理子写真=川本史織「3120」=「サンイチニゼロ」この「3120」は、プロデューサーに萩原修氏を迎え、私がアートディレクションおよび、デザインを手がけました。ブランドネームの「3120」は日本語でそのまま「サンイチニゼロ」と読みますが、ロゴマークでは3と2が横になり、アルファベットとしてMINOと読むこともできます。 ブランドネームに日本語や和紙というキーワードをくわえず、世界共通の数字で構成することで、国内外での日本に対するオリエンタリズムや、たんに日本製は高品質であるという先入観に頼ることなく、純粋な気持ちで「3120」...
高橋理子|♯012 「3120」 MINO JAPANESE PAPER(後編)

高橋理子|♯012 「3120」 MINO JAPANESE PAPER(後編)

「FOLIO 3120」のためにつくった新柄6種♯012 「3120」 MINO JAPANESE PAPER(後編)今年の1月21日から5日間、パリで開催されたインテリアの国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」。世界中から多くのひとが集まるこの見本市に出展することは、美濃和紙のメーカーにとって大きな挑戦でもありました。文・写真=高橋理子テーブルの内部が発光し、紙の風合いが際立つ展示“日本の紙を世界に伝えたい”という強い思いをかたちにするために、ブースデザインをプロダクト・空間デザイナーの柳原照弘氏に依頼。紙を見せるのにふさわしい、凛としながらも軽やかな展示空間をつくりあげていただきました。重みのない紙製品の展示を意識してつくられたテーブルは、1台では成立せず、2台が寄り添うことで床への接点が増え、その結果立つことができるというとても繊細な構造です。天板にはテント生地を使い、展示に耐えられる張りを保ちつつも、緩やかなたゆみが紙のやわらかさを連想させます。テーブルの内部が発光し、紙の風合...
高橋理子|♯013 『SHISEIDO THE GINZA』のための唐草模様

高橋理子|♯013 『SHISEIDO THE GINZA』のための唐草模様

外敵から身を守り、どこまでも美しくなるという思いを込めて♯013 『SHISEIDO THE GINZA』のための唐草模様5月14日、銀座7丁目にオープンした『SHISEIDO THE GINZA』。1階から3階まで、資生堂の提案するさまざまな美を体感できる場所です。その『SHISEIDO THE GINZA』とのコラボレーションにより、あたらしい唐草模様が誕生しました。文=高橋理子写真=高橋理子/川本史織寿福や長寿の意味もある、とても縁起のよい模様資生堂といえば椿。そして、さまざまなパッケージにも登場する唐草模様も印象的です。資生堂の唐草デザインの歴史は古く、1932年に「ドルックス」の商品にはじめて表現されて以来、いくつもの資生堂オリジナル唐草が誕生しました。唐草模様は、四方八方に葉や枝が伸び、絡み合いながらどこまでも伸びていくということから、永遠につづく寿福や長寿の意味があり、とても縁起のよい模様です。この『SHISEIDO THE GINZA』オープンにさいし、私が生み出し...
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