HIROCOLEDGE(ヒロコレッジ) 高橋理子インタビュー(2)
オウプナーズ連載スタートにあたって(2)
HIROCOLEDGE(ヒロコレッジ) 高橋理子インタビュー
「今年の夏は、イベントの夏なんです」と笑う『HIROCOLEDGE(ヒロコレッジ)』の高橋理子さん。現在開催中の東京ミッドタウン「HIROCOLEDGE YUKATA 2008」をはじめ、『HIROCOLEDGE』の活動拠点である台東デザイナーズビレッジでの展示販売もこれから行われる。インタビュー第2弾は、ものづくりについてうかがった。
Photo by Jamandfixまとめ=梶井 誠(本誌)
着物はいろんなことを伝えられる
──今回は、東京ミッドタウンの「HIROCOLEDGE YUKATA 2008」の期間限定ショップを紹介しますが、ユニークなディスプレイですね
余計な什器を使うことなく、梱包資材をそのまま什器として使用しています。段ボール箱のポップでカジュアルな雰囲気によって、HIROCOLEDGEが“和”のカテゴリーだけには収まらないように方向づけようとした結果です。浴衣や手ぬぐいに興味のない人もふらりと入ってくれて、和に対する固定観念など忘れて、頭のスイッチを切り替えてほしいんです。着物を知っている世代にもきちんと受け入れてもらいながら、老若男女国籍問わず、多くの人に手にとってもらえるように、見せる場所や見せ方には工夫をしていきたいですね。時間はかかるかもしれませんが、活動を重ねることで、伝統の部分と現代の感覚が共存することを感じてもらえればと思います。
──やはり日常のなかでの着物を着るということも意識されていますよね
ジーンズやTシャツとおなじように着てほしいとは思っていませんが、シャネルのジャケットのように着物を考えてくだされば……。自宅のクローゼットを開けたら特別な洋服と一緒に着物が並んでいるぐらいのものであってほしいと思います。選択肢のひとつになるとうれしいですね。そういう意味で、着物がどこまで洋服に近づけるのかというのも実験です。『HIROCOLEDGE』の風呂敷や手ぬぐいをつくっているのも、そういう楽しさに気づいてもらうためのツールとしての意味もあります。
──新しさも意識されていますか?
私は、どこにもないもの、見たことがないものというのを意識してつくったことはありません。ただ、そういうものでないと注目してもらえないだろうなとは思っています。『HIROCOLEDGE』をはじめたころは、職人さんに「こんなのは着物じゃない」とか「こんなのは染めたくない」とも言われました。でも、いまは同世代の職人さんが「挑戦したい」と手を挙げてくれます。面白そうだからやってみたいという雰囲気になってきたんですね。「こんなの売れるのかい?」と言いながら染めてくださったり、西陣の若い職人さんがすごく研究してくれて、いままで織ったことのないような帯を織ってくださったりして、職人さんが「難しいけどやってみます。」と言ってくれるようなデザインは、新しいものが生まれるきっかけになると思います。そういう意味では先の希望が見えてきた感じですね。
──コレクションに参加してほしいという依頼も多いそうですが
インド人デザイナーのマニッシュ・アローラさんも、個性を全面に押し出したデザインでパリコレに参加していますが、たとえば、私がコレクションに参加したら「日本人のデザイナーだからやっぱり着物が出てきた」と当たり前にとらえてほしいです。着物のおもしろさに気づいてもらうためには、とてもいい場だとは思いますが、半年に一度、新しいものを発表して、過去のものは捨てていくというコレクションのペースはちがうと感じています。好きなときだけ参加していいのなら、ぜひ出たいですけどね……(笑)。
──さて、連載のタイトルは、「THE BEGINNING OF A NEW TRADITION いまここからはじまる伝統」です
かつて着物にも流行があって、毎シーズン新しいものが生まれていた時代があります。でもいまは、むかしのかたちのまま守ることばかりに力を注いで、時代の流れに追いついていない気がします。伝統だって、生まれたときはその時代の最新のものだったはずです。長い時間残ってきたからこそ、伝統とよばれている。私の生み出すものも、未来の世界で伝統となってほしいという思いを込めた連載タイトルなんです。着るものをとおして、小さな気づきとたくさんの楽しさを伝えていければと思っています。
東京ミッドタウン「HIROCOLEDGE YUKATA 2008」好評につき開催期間延長!
2008年の新作浴衣をはじめ、手ぬぐいやSLEEVE BAGなど、『HIROCOLEDGE(ヒロコレッジ)』の夏のアイテムを、7月21日(月・祝)まで東京ミッドタウン ガレリアB1Fアトリウム前にて販売中。
東京ミッドタウン ガレリアB1F アトリウム前
インフォメーション│http://www.tokyo-midtown.com/
HIROCOLEDGE公式サイト│http://www.hirocoledge.com
イベント情報はこちらから
http://www.hirocoledge.com/events/