連載

Diary-T 232 セレモニー

Diary-T 232 セレモニー

Diary-TDiary-T 232 セレモニー文・アートワーク=桑原茂一その昔、comedy clubkingを製作中に知り合った漫画家兼脚本家現在イラストレーター沼田健(ぬまたたけし)君の結婚披露宴にお邪魔した。時間を勘違いしたのか本来は友人たちや身内たちだけの結婚式のセレモニーにまで私は参加することになってしまったぽつんと。しかもそこで行われているのはTHE結婚式場のいわゆるtheセレモニーである。茫然自失に陥った私はこの現実が誠に腑に落ちなかった。なぜここまでシステム化されてしまった形式的なセレモニーをこのまだまだ若い三十代のカップルは甘んじて受け入れてしまっているのだろうか?鞭で打たれ調教師の意のままに右へ左へ動かされる、まるでサーカスの動物たちのように…それらのすべてが私にはコメディのように思えた。かゆい背中のある部分に手が届かないときのように身悶えしてそこに私はいた。が、が、が、そんな幼児性丸出しのアレルギー反応は、私にはよくできたコメディであっても、そこに集合した参...
Diary-T 233 けっこう毛だらけ

Diary-T 233 けっこう毛だらけ

Diary-TDiary-T 233 けっこう毛だらけ文・アートワーク=桑原茂一泉川 純米吟醸 ふな口本生  ワン&オンリーの響きはこの日本酒にこそふさわしい。男は生がいい。男は生きと粋が生き。女は艶と愛嬌が生き。 仕事場が引っ越したことでいつの間にか足が遠のいてしまったが、それまでは週三詣でのうまい蕎麦屋が○本木にある。 しかも酒のアテ「肴」も見事なこの蕎麦屋でいただいた絶品の日本酒を超える記憶はいまのところない。と思う。たぶん。きっと…この曖昧さには理由がある。絶品には正確な記憶が伴わない。 つまり、絶品=飲み過ぎる=記憶が失われる そして呑んベイたちはこういう。”よくあることさ” Tom Jones / It's Not Unsual( よくあることさ) このお方の”よくあることさ”もすごい。 ぬいぐるみのマイクがキュート♥ このお三方のダンスにもただならぬものを感じる。 で、日本酒のうまさを正直に言えばワインを凌駕する。 といえば誤解を招くが、日本に生まれてしまった私の体質...
Diary-T 234 素敵なカップ

Diary-T 234 素敵なカップ

Diary-TDiary-T 234 素敵なカップ文・アートワーク=桑原茂一日本一早い夏フェスへ 目的はDexPistols. 噂通りの見事なパフォーマンスだった。DJMAARの律儀さと寡黙さを柱に、DJ DARUMAのカマ師とスタイルのあるダンスに煽られ、いつしか私も身体が動いていた。ダンスミュージックがいつまでも私は好きだな。それにしても誠に日本人はセンスがいい。大技の隙間に繊細さが時折顔を出す。 どうせなら、もっと過剰なステージ演出に向かってもいいのではないか…次のDJのスタイルへ向かう二人の存在に接し、ある意味DJの終焉の兆しを感じた。 で、DJはカナリヤではないか? 命の危険を誰よりの機敏に察知するカナリヤ、炭坑の闇を一番最初に突き進むカナリヤ、 突端に位置して突き進むDexPistolsに私は音楽業界のカナリヤをみた。 DJの役割はそろそろ終わるのではないか… ここでもう一度DJの成り立ちを振り返ってみる。新しい音楽を次々に紹介することで磨いた音楽の目利きは、かゆいとこ...
Diary-T 235 I've come to talk with you again

Diary-T 235 I've come to talk with you again

Diary-TDiary-T 235 I've come to talk with you again文・アートワーク=桑原茂一数日前にyoutubeで偶然この曲に出会いなんだかとても今を感じた。 after311以降、色々なことが起こっているが、なにも起こっていないように過ごしている自分も周りも怖い。どうせなにも変わらないなにもできるはずがないという無力感がこの国を覆っている。たぶん、巨大メディアの報道のあり方がこうした空気感を蔓延させているのだろう。すっかり日常に浸透しているSNS,twitterやfacebookも、そこで生まれる自分好みのサークル?ソサエティー?のなかで感じるものも、「自分好み」の、と記したように、世界の真実と繋がるというよりは、世界の真実を閉ざす方向に向かっているように思えなくもない。特にクリエーター思考の日本人は村社会を嫌っていると思っていたが、もしかしたら私は勘違いしていたのかもしれない。気のせいかもしれないが、辺をよ~く見回すと、わざわざ自分から自分...
Diary-T 236 唇に楚々ラレル男

Diary-T 236 唇に楚々ラレル男

Diary-TDiary-T 236 唇に楚々ラレル男文・アートワーク=桑原茂一結婚式披露宴でお祝いに駆けつけた方々が新郎新婦へ書く お祝いの気持ちをミニ色紙に託す。 という儀式がどうもあったようだったが。 私はどうも気が進まず、あえて書かなかった。 色紙にマジック…、それきっと私駄目である。というのも最近はiphone grapherを気取って日々アプリ三昧しているものだから、同じ遊ぶなら納得いく遊びがいい。がどうも癖になってしまったようだ。といってたいしたことが出来るわけではないのですが… 気持ちの問題ですね。 で、色紙をお預かりする事ができなっかたことに対し、○○様は大変気落ちされていらっしゃいます。 ということなので、我が侭はいかんね! よしそれなら、その昔新郎から女性の好みを聞かされたことを思い出した。なんでも女性の厚い唇に楚々ラレルとか、私の正反対かも… まそれはともかく、そんな新郎の趣味でiphone graphersして遊んでみた。 そうか、新婦の唇を撮影して遊べた...
Diary-T Vol.30 231~236|桑原茂一が毎日デザインするTシャツコレクション!

Diary-T Vol.30 231~236|桑原茂一が毎日デザインするTシャツコレクション!

Diary-T Vol.30桑原茂一が毎日デザイン!選曲家でありプロデューサーでありクラブキングの代表でもある桑原茂一氏が、ほぼ毎日Tシャツをデザインする「Diary-T」。ここでは6日分のデザインを、桑原茂一がその日の心象風景を綴ったエッセイとともにまとめて紹介していく。Diary-T 231~236Diary-T 236 唇に楚々ラレル男Diary-T 235 I've come to...Diary-T 234 素敵なカップDiary-T 233 けっこう毛だらけDiary-T 232 セレモニーDiary-T 231 きっとここが帰...桑原茂一|Moichi KUWAHARA選曲家/プロデューサー/クラブキング代表。米国『ローリングストーン』日本版を1973年の創刊号から運営、77年『スネークマンショー』をプロデュースしYMOと共演、同年『コムデギャルソン』のファッションショー選曲を開始する。82年原宿に日本で初のクラブ『ピテカントロプス』をオープン、89年フリーペーパー...
Diary-T 237 Chernobil チェルノブイリ 家族の帰る場所

Diary-T 237 Chernobil チェルノブイリ 家族の帰る場所

Diary-TDiary-T 237 Chernobil チェルノブイリ 家族の帰る場所文・アートワーク=桑原茂一チェルノブイリ――家族の帰る場所http://www.amazon.co.jp/dp/4255006385Chernobyl In 15 Minuteshttp://youtu.be/qay5-lF19_o← Diary-T 237~242購入はこちらからhttp://ckstore.shop-pro.jp/?pid=41617907
Diary-T 238 The Promise of Music

Diary-T 238 The Promise of Music

Diary-TDiary-T 238 The Promise of Music文・アートワーク=桑原茂一呼びかけられている。どこか遠くの…命の泉が沸き上がり吹き出すようなところから、そう最近私は、radioApp のお陰で、classic音楽?に夢中だ。未来を知ろうとするなら、答えは歴史の中にあるとか、ふむ。こう、つぶやいていても、どうもしっくりこないな。ここ数年私は、Gustavo Dudamelの虜だが、彼の選び出すclassic音楽は何かが違うのだ。クラッシックと呼ばれる楽曲への認識が一新するとでもいおうか、Gustavoの選び出す楽曲の目もくらむような美しさに埋没しながらも、同時に思考するのは偉大なる過去の遺産と対峙するGustavo Dudamelの姿勢だ。彼は神なのか?はたまた天才指揮者なのか?これまで味わったことのない、雷に撃たれたような(もちろん実際にはないが)、背中を突き抜けるような歓喜、青春時代のようにはもうスパークしなくなったクライマックスが私を奈落の底へ突き...
Diary-T 239 Minimal Art Rock 56

Diary-T 239 Minimal Art Rock 56

Diary-TDiary-T 239 Minimal Art Rock 56文・アートワーク=桑原茂一← Diary-T 237~242購入はこちらからhttp://ckstore.shop-pro.jp/?pid=41861621
Diary-T 240 興は狂は教は今日

Diary-T 240 興は狂は教は今日

Diary-TDiary-T 240 興は狂は教は今日文・アートワーク=桑原茂一噂の和菓子屋で今日でおしまい季節限定冬は最中に舌鼓を愛った。咲くっと香ばしい香りと上品な粒あん餡子に頬も緩む。日本人でよかった。といえば、桜だ。お花見だ。夜桜がきれいだった。うどん屋の帰り道にちらっとすれ違った目黒川の川辺に夜桜の華やいだ風情が漂っていた。ブルル、さぶ寒い。えっ?雪?温暖化の影響はあなどれない。忍び寄る人類の危機と夜桜。そんな時代が来ると私の青春時代に誰が予想しただろうか。青春時代は終わらない。が私たち?の特徴だが、あの頃良かった。は私にはない。が、若いときの一瞬の輝きにしか宿らない奇跡のような歌声というのもある。偶然youtubeで今日出会ったこの曲、バカラック&デビッド、とアレサとディオンヌ、この二人のシンガーにどれほどメロメロに入れあげたか、好きだったか。若いのがいい。というフレーズは意味はともすれば下品になりがちだが、一瞬の輝きという意味では変わり聞かない取り戻せない永遠の魅力だ...
Diary-T 241 「散れ」

Diary-T 241 「散れ」

Diary-TDiary-T 241 「散れ」文・アートワーク=桑原茂一散るを見て帰る心や桜花、むかしに変はるしるしなるらむ過去とは過ぎ去った年月であり、惜しんでも、悔やんでも、元に戻ることはない。日経春秋よりいざ今年散れと桜を語らはんなかなかさらば風や惜しむと「和歌の訳」さて、今年は散るのを惜しんだいつもの年とは違って「散れ」と桜を説得してみよう。そうしたら、かえって風が散るのを惜しんで、花を散らさないでくれるかもしれない・・・月のひかり★の部屋いつも自分の思考で噛み砕き、自分のからだの感覚で解体し、自分の言葉で語ることをやめなかった。いわば方法なき方法だったような気がする。吉本隆明氏の仕事危機と日本人 山折哲雄 詩歌・教養 Sunday Nikkei人間はなにをうれしいと感じるかより、何が恥ずかしいかでみた方が分類しやすい。私の履歴書 蜷川幸雄← Diary-T 237~242購入はこちらからhttp://ckstore.shop-pro.jp/?pid=41970405
Diary-T 242 自らを慰めていることを病という。

Diary-T 242 自らを慰めていることを病という。

Diary-TDiary-T 261 生きて文・アートワーク=桑原茂一野口晴哉bot ‏ @nharuchikabot要求のないところに生はない。 諦めは死だ。自分の為し得ない理由を自分に言いきかせ、自らを慰めていることを病という。ハッとした。暫く忘れていた。昔から何度も読み直し大切にしていていた永沢哲『野生の哲学―野口晴哉の生命宇宙』見事なタイミングで思い出させてくれた。いいこともそうでないことも、自分がそう望んでいる。ひとは自分で進んでその結果に向かって進んでいる。だからその結果に意義を申し立てるのはお門違いだ。諦めは死だ。自分の為し得ない理由を自分に言いきかせ、自らを慰めていることを病という。さて、あまり使い方を分かっていないfacebookでスゥイートなキラメキに出会った。一年に一度の恵み。目の覚めるような、蜂蜜(和蜜)が届いた。思いがけず、こうした慈しみの心に触れるとたとえ心がざらつく出来事に遭遇したとしても、ひとは明日への希望を思い出すものです。これまでの人生でいったい...
Diary-T Vol.31 237~242|桑原茂一が毎日デザインするTシャツコレクション!

Diary-T Vol.31 237~242|桑原茂一が毎日デザインするTシャツコレクション!

Diary-T Vol.31桑原茂一が毎日デザイン!選曲家でありプロデューサーでありクラブキングの代表でもある桑原茂一氏が、ほぼ毎日Tシャツをデザインする「Diary-T」。ここでは6日分のデザインを、桑原茂一がその日の心象風景を綴ったエッセイとともにまとめて紹介していく。Diary-T 237~242Diary-T 242 自らを慰めて...Diary-T 241 「散れ」Diary-T 240 興は狂は教は...Diary-T 239 Minimal Art R...Diary-T 238 The Promise o...Diary-T 237 Chernobil チ...桑原茂一|Moichi KUWAHARA選曲家/プロデューサー/クラブキング代表。米国『ローリングストーン』日本版を1973年の創刊号から運営、77年『スネークマンショー』をプロデュースしYMOと共演、同年『コムデギャルソン』のファッションショー選曲を開始する。82年原宿に日本で初のクラブ『ピテカントロプス』...
Diary-T 243 Taiwan dictionary 台北高雄の旅 その一

Diary-T 243 Taiwan dictionary 台北高雄の旅 その一

Diary-T Vol.32Diary-T 243 Taiwan dictionary 台北高雄の旅 その一文・アートワーク=桑原茂一兼ねてから準備中の台湾dictionaryの創刊が決まった。来る,七月十日である。7.11と同時に、TASM2012 after311 Rokin'Allow展覧会も七月が、高雄。九月が台北の順で開催される。また、それに併せて、ディクショナリー倶楽部 in 台湾ART SCHOOLを開催する予定だ。もし可能ならば、茂木健一郎さんとリリー・フランキーさんのトークショーで台湾を盛り上げたいものだ。乞うご期待である。で、台湾。私は好きだなぁ~。熱気と湿気と排気ガス、アジアの猥雑さにかかせないネガティブオーラーも、台湾はなぜかふわっと品がいい。国会議事堂?首相官邸?を初め、ほとんどの公共の建造物がとてもクラッシックで、そこかしこにヨーロッパの香りすら感じられるのだ。なんどか台湾を訪れているものの古くなってくすんでいる古いビルの埃っぽさと超モダン建築の対比もエ...
Diary-T 244 Taiwan dictionary 台北高雄の旅 その二の2

Diary-T 244 Taiwan dictionary 台北高雄の旅 その二の2

Diary-T Vol.32Diary-T 244 Taiwan dictionary 台北高雄の旅 その二の2文・アートワーク=桑原茂一笑った男の名は、國際藝術公益協會 秘書長周 銘志 Chouさん。artでチャリティーというのは台湾では大変盛んなようで、とんでもない数のイベントをこなしているといっていた?のだろう…と思う。たぶん彼らはアートを上手に使いこなしているのだろう?…か、地域やそれに関わる人々によってくるくると表情を変えるアートの存在を私はどう受け止めればいいのか…子供絵って素直だよね。で、九月にはTシャツの展覧会を予定している美術館にもお邪魔したが、丁度イベントの初日らしくごった返していた。台湾の人たちのあっけらかんとした視線に圧倒されながらというか、まるでうなぎのつかみどりのような気分に私はなってしまい、というのも、暫く英語を使っていない所為もあって、なんていい訳しても始まらないが、お互いに英語がデタラメだから話しているようで話していないなんともコメディな時間が続く...
21,382 件