連載
「連載」に関する記事

Diary-T 220 久保田由希&細越豊子
Diary-TDiary-T 220 久保田由希&細越豊子文・アートワーク=桑原茂一久保田由希LE CAFE DU BONBONhttp://blog.bonbon.cc/about/細越豊子ル・キャバレー (Le cabaret)Le cabarethttp://r.tabelog.com/tokyo/A1318/A131810/13014486/SHIPS MAGのお手伝いで始めたshipsMAGhttp://www.shipsmag.jp/「桑原茂一選」の第一回目にリスペクトしたのは、代々木上原にある魅力的なふたつのお店の女性オーナー。おふたりを結ぶキーワードはずばり「駄々っ子」。本当に自分らしく生きるためにお店を教室をお二人は決断した。そんな強い精神のおふたりも、やりたい。の初動や発露は想像に反し高尚で論理的な計画ではなかった。もちろん、色々寄り道したり、迷路に迷い込んだり、きっとたくさんたくさん悩まれたことでしょう。しかし最後の結論はシンプルで率直、どうしてもワタシはこれ...

Diary-T 221 「成熟した大人」
Diary-TDiary-T 221 「成熟した大人」文・アートワーク=桑原茂一”呆れるほどみたい映画があらわれた。”たえず「ゆらいでいること」、それが生物の本態である。私たちのうちには、気高さと卑しさ、寛容と狭量、熟慮と軽率が絡み合い、入り交じっている。私たちはそのような複雑な構造物としてのおのれを受け容れ、それらの要素を折り合わせ、共生をはかろうと努めている。そのようにして、たくみに「ゆらいでいる」人のことを私たちは伝統的に「成熟した大人」とみなしてきた。社会制度もその点では生物と変わらない。変化に応じられるためには複雑な構成を保っていなければならない。内田樹の研究室http://blog.tatsuru.com/”あぁ~大人になりたいなぁ~”毎回内田樹さんの書かれたものは常に語彙が豊富で毎回舌を巻くのだが、今回もそのグルーヴにすっかり酔ってしまった。賦活され…、ふかつと読むのか…活力を与えること。物質の機能・作用を活発化すること。日本のメディアの成熟度は低い。全国紙は「立派な...

Diary-T 222 春4恋
Diary-TDiary-T 222 春4恋文・アートワーク=桑原茂一春4恋1×1=1 毎日2×2=4日置き。3×3=9日置き。4×4=16日置き。5×5=25日置き。6×6=36日置き。これは東洋医学での年代別射精頻度の目安だそうです。東洋医学では射精と同時に“精気”も放出されると考え、年を取って頻繁に射精することは「大いに害がある」と警告している。なるほど、だから、「接して漏らさず」という教えがあるのか。つまり射精はさせないという意味だそうです。精気とは、腎に貯蔵される生命力の源。腎の精気が不足すると“腎虚(じんきょ)になる。ps.備忘録 = 一口メモ禿茶瓶で脂ぎった人はアレが好き。は分かりやすい見かけですが、禿でなくとも髪の毛の薄い人も同じく“精気を漏らす(射精)”回数の多い方だそうです。頭隠して尻隠さずの類いでしょうか。215)飲食・色慾をほしゐまヽにして、其はじめ少(し)の間、わが心に快き事は、後に必身をそこなひ、ながきわざはひとなる。後にわざはひなからん事を求めば、初...

Diary-T 223 屋敷豪太の誕生日の夜
Diary-TDiary-T 223 屋敷豪太の誕生日の夜文・アートワーク=桑原茂一ひとりのロックミュージッシャン?一人のドラマーの半生?を一夜で俯瞰するというと大げさだが、出会った頃の二十代の前半から三十代辺まで仕事も絡んでいたこともあって、そういえば彼の最初の結婚に繋がるプライベートでも関係があったといえばあったか…、ま、彼の人柄には裏表を感じなかった。もちろん、成功したあとの四十代も五十代も付き合いがなかったので彼の本当のことは分からないが、少し前に食事を共にした印象では最初に出会ったときの飾らない自然体は今も変わらない気がする。ようするに懐が器が大きいというのだろうか、細かいことはどうでもいい、やるときはやるタイプだ。でなければイギリスマンチェスター出身の世界的な有名バンドSimply Redのメンバーとして世界ツアーをこなすという偉業は、私の知る限り、フリーおよびフェイセズのメンバーだった山内 テツを除いて日本人ロックミュージシャンではこれまで存在しなかったのではないだろ...

Diary-T 224 「求む楽園」
Diary-TDiary-T 224 「求む楽園」文・アートワーク=桑原茂一人の手助けを借り手自分の作品を作る時代の幸福さを私は心ゆくまでご随意に満喫したい。人様のアイデアや作品を素材にして、しかも、道具もアプリやソフトの力をありったけ借りて、自分の想像する空想する気持ちの良い納得感のあるなにか=作品もどきを描くつくる喜びを悔いなく満喫したい。手が上手に動く、修練の賜物として巧みな絵が描ける、本来ならそれが作品と呼ばれた、もちろんいまもそうした方法こそ「作品」と呼ばれてしかるべきものなのかもしれない。きっとそうだ。しかし、そんなアーティストでも、仮に事故にあって手が消えたとしても、沸き上がるイメージまでも消えることは無論ないはずだ。もしその消えてしまった手助けをアプリやソフトやテクノロジーが叶えてくれるのなら存分に利用しようじゃないか。と私は満喫道楽新しいもの数奇だ。でも、なんだかんだいって、やっぱり手の描くものには叶わないよな…。そんな気持ちを、「ほら、これみて!」と肯定してくれ...

Diary-T 225 1963 for PIRATE RADIO
Diary-TDiary-T 225 1963 for PIRATE RADIO文・アートワーク=文・アートワーク=桑原茂一この二週間の土日を二回潰し、平日も時間を見つけてはPIRATE RADIOの編集をしている。お陰でこのブログも暫く間が空いてしまった。 今回のテーマは1963 &… 連続三日目の夕方、昨夜のことだ、まさかの七回目のバウンスへ突入のまま…。 パリコレのコムデギャルソンの選曲仕事で絶壁に立った記憶が蘇る。三桁のギャラが吹っ飛ぶほど音源を買いあさりそれでも納得のいく楽曲に出会えない悪夢から抜け出せず、終わったと思えば細部が気にかかり、必死に細部をクリアーすれば今度は全体が凡庸に感じるという終わりなき迷宮。 しかも川久保さんの選曲は常に革新的なファッションショーの為だから同じ手は使えない。もう手に入る楽曲はすべて聞いた、それでも、と…がそんな無意味な弁解を自問したところで、目の前にある現実は変わらない。川久保さんのコレクションとの二十年間の選曲も、終局に向かう...

Diary-T 226 決意の日曜日だと思う。
Diary-TDiary-T 226 決意の日曜日だと思う。文・アートワーク=桑原茂一今後の世界は、 米帝国の衰退→新興国を中心に11カ国(G11)が台頭する多極世界→国家の力を超える市場が牛耳る世界→国家の衰退に伴う紛争の続発→世界の人々が調和を目指す超民主主義の出現…という過程をたどると予測する。 礼儀正しく、他人の幸せを自分の幸福のように願う日本社会の特性は、私が予測する超民主主義の基本思想に近い。超民主主義の出現は早くても数十年後になるだろうが、そのときに日本人が必ず重要な役割を果たすと信じている。 ジャック・アタリ氏 経済学者・思想家 ジャック・アタリ 日経新聞3.11朝刊 震災一年 日本再生の道標より 朝から上空が騒がしい。 否が応でも特別な日曜日であることをその騒音が知らせてくれる。 考えることを止めない。決意の日曜日だと思う。 私の命がどの程度残っているか定かではないが、考えることを止めない人生を歩みたいと今日痛切に思う。この決意を自分の守備範囲のなかに留めておく...

Diary-T 227 芽吹く
Diary-TDiary-T 227 芽吹く文・アートワーク=桑原茂一JAM HOME MADE の増井元紀君から美しい皮のケースが届いた。 そして五日が経過した。実に使い心地が良い。 これは私が普段から持ち歩いている「iPhoneG」用ケースの試作品だ。 もう二年近くになるだろうか、普段私が持ち歩くiphoneにはTurtleJacket /Model:TJ01を装備しているので時代の軽さに歯向かうような重厚な黒い鉄の塊に私のiphoneは変身しているのだ。でこの黒い鉄の塊だが最初の半年程はカメラストラップも手に入らなかったので仕方なくポッケに入れていたが重くかさばり根を上げた。 でようやく見つけたクラッシックな太めの皮のカメラストラップで昭和の親父風に首からぶら下げていたが、装着の部分が細く弱く、よって重い鉄の塊とは相性が悪く、もう数えきれない忘れたいほど携帯ストラップが切れ付け替えている。お陰で何度も落下させてしまい。ある時はレンズのフィルターにひび入りビビりほとほと難儀し...

戸田恵子|大作『嵐が丘』公演間近。2015年は苦手なものにもチャレンジします!
戸田恵子|大作『嵐が丘』公演間近2015年は苦手なものにもチャレンジします!(1)桜の季節が終わり、早くも今年の三分の一が終わろうとしています。早いですねぇ。OPENERSも少しご無沙汰になってしまい、久々にペンを走らせております。その間、いろいろなことがありましたが、まずは昨年暮れに訪れたオランダのお話からはじめましょうか。Text by TODA Keiko幼少のころからの憧れの地、オランダへ!昨年10月に「キンダーフィルムフェスティバル」のお仕事で、人生初のオランダに行って参りました。子どものころ、行きたい場所を聞かれたら一番にあげていた国です。その理由は、単純にチューリップが好きだから(笑)。残念ながら、今回はチューリップ咲き誇る有名な公園には行けませんでした。遠かったし、なによりお仕事で行きましたのでね。オランダの映画館(シネキッド)で何本か映画を観て現地スタッフの人と懇談したり、ワークショップにも招かれ、子どもたちと過ごしました。去年、日本での映画祭に来てくれた、映画『...

Diary-T 229 「透けて見える服」
Diary-TDiary-T 229 「透けて見える服」文・アートワーク=桑原茂一オノ・ヨーコがユートピア・パークウェイに、 「透けて見える服」でやってきて、 その日のうちに、 レノンとふたりで十点のコラージュを買っていったことを コーネルが興奮気味に話していたのを記憶している。 「コーネルはひとつだけ条件があると彼らに言いました」 「それは、ヨーコに頬にキスしてもらうというものでした」。 彼女は喜んで応じ、契約成立となった。 コーネルはほどなく、1960年代の美術界でおそらくもっとも風変わりで自己顕示欲の強い人物と親密になる。才能ある日本人アーティストの草間彌生は、当時二十代半ば、小柄で黒い目をし、長い黒髪を腰まで伸ばしていた。コーネルのファンだった彼女は、スケッチする彼のために喜んで地下の仕事場で服を脱いだ。 とりわけ目を引くのは、肥沃を象徴する古代の聖像に似たしゃがむ女性のヌードだ。それはびくびくするような、ほとんど見えないくらいの線で描かれており、コーネルがモデルに興奮する...

Diary-T 230 1963で分かったこと。
Diary-TDiary-T 230 1963で分かったこと。文・アートワーク=桑原茂一1963で分かったこと。 戦いから愛へ、ですね。その愛そのものが音楽なのです。 今読んでるジャック・アタリの文章にこんなのがあります。 気持ちいいので書きますね。 音楽、つまり感覚がなかったら、残るのは雑音と静寂だけだ。 そして雑音と静寂しかなかったら、もはや生命は存在しない。 音楽がなくなったら、人類は消えてしまうのだ。 音楽とは、 危険を告げさせるために鉱山に連れて行くカナリアのようなものだ。 音楽が途絶えてしまったら、危険がやってくる。 音楽の多様性が消えるとき、人類の多様性も消滅する。 音楽の世界化とともに、商業的な画一化を乗り越えてきわめて多彩な世界が我々の前に出現した。 数えきれないほどの音楽ジャンルが現れてきては、消え去ることなく互いに混じり合っている。 人類は、あらゆる音楽を聴く機会を通じて、放浪を繰り返してきたそのルーツを再発見しているのだ。 音楽は未来に現れるはずの社会の構造...

Diary-T 228 常軌を逸した人
Diary-TDiary-T 228 常軌を逸した人文・アートワーク=桑原茂一川村記念美術館所蔵 巨匠と出会う名画展モイーズ・キスリング:姉妹(1950) この傾いた首を見て下さい。 常軌を逸している。と私が感じても不思議ではないでしょう。 絵画のタイトルは「姉妹」 ちょっとどうかと思うこの傾いた首の絵画の奇妙さに怖いほど惹かれて、画家、モイズ・キスリングを検索してみた。 モイズ・キスリング(Moïse Kisling、1891年1月22日 - 1953年4月29日)は、エコール・ド・パリ(パリ派)のポーランド人画家。本名はモイジェシュ・キスリング(Mojżesz Kisling)。キスリングは、20代後半には画家として成功し、パリ派の陽気で面倒見の良いリーダーだった。「モンパルナスの帝王」とも呼ばれた。自殺したパスキン、アルコール中毒のモディリアーニ、ユトリロなど破滅型のイメージの強いエコール・ド・パリの画家たちの中では珍しく幸福な生涯を送った画家である。 本当にそうなのか? 確...

Diary-T Vol.29 225~230|桑原茂一が毎日デザインするTシャツコレクション!
Diary-T Vol.29桑原茂一が毎日デザイン!選曲家でありプロデューサーでありクラブキングの代表でもある桑原茂一氏が、ほぼ毎日Tシャツをデザインする「Diary-T」。ここでは6日分のデザインを、桑原茂一がその日の心象風景を綴ったエッセイとともにまとめて紹介していく。Diary-T 225~230Diary-T 230 1963で分かった...Diary-T 229 透けて見える...Diary-T 228 常軌を逸した人Diary-T 227 芽吹くDiary-T 226 決意の日曜...Diary-T 225 1963 for PIR...桑原茂一|Moichi KUWAHARA選曲家/プロデューサー/クラブキング代表。米国『ローリングストーン』日本版を1973年の創刊号から運営、77年『スネークマンショー』をプロデュースしYMOと共演、同年『コムデギャルソン』のファッションショー選曲を開始する。82年原宿に日本で初のクラブ『ピテカントロプス』をオープン、89年フリー...

Diary-T 231 きっとここが帰る場所
Diary-TDiary-T 231 きっとここが帰る場所文・アートワーク=桑原茂一THIS MUST BE THE PLACE 歳とともに美しくなる人。 その筆頭が私の場合は川久保玲さんである。もちろん、川久保さんの美しさは、革新の美とか、反逆の美とか、渾身の一撃の美とか、を同時に想起する強靭な精神の美でもあるから、目に見える美として語ることは容易ではないが、八頭身の美、若さの美、真っ白な美…物心ついた頃から消費優先文化の国日本で暮らし白人至上主義を真綿で首を絞めるように洗脳されつづけてきた私に新しい価値を生み出す現場をみせてくれたのも川久保さんであった。 そういえば、女性の目尻の皺に目が向くようになったのは、いつの頃からだったろうか。 目尻の皺を首筋の皺を老齢の証と見なし、恥ずかしいから隠す。タートルネックを年がら年中身に纏う。私もその一人だが。付け加えるのなら、崩れてゆく美、廃墟の美、つまり美へ走ることを目的としない行きずりの美とでもいおうか、もちろん、不慮の美でも、めぐり合...