Amazing Tales of RAT HOLE
「Amazing Tales of RAT HOLE」に関する記事
第38回 森山大道個展『北海道』(その2)
ラットホールギャラリー第38回 森山大道個展『北海道』(その2)前回に引きつづき、『北海道』展のオープニングに際しておこなった、森山大道さんとの対談の模様をお伝えします。いまだからこそ語られる森山さんの言葉から、今回の個展と写真集が、このタイミングで出るべくして出たものだということがわかってきました。(北村信彦)北村信彦/HYSTERIC GLAMOURPhoto by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)30年経って、ようやく積極的に見ようと思えた写真たち北村 10数年前には実現しなかった「北海道」の発表ですが、考えてみるとこの10年、森山さんは国内、海外ふくめ相当いろいろ撮られてますよね。森山 そうですね。新宿を撮り、大阪を撮り、ブエノスアイレスを撮り、ハワイも撮りました。でも、そういう精力的に動きまわった10年間があったからこそ、いまあらためて北海道だと思えたんでしょうね。いまなら、積極的に見返して、いま思うカタチ...
第39回 森山大道個展『北海道』(その3)
ラットホールギャラリー第39回 森山大道個展『北海道』(その3)森山大道さんとの対談も、いよいよ3回目に突入します。森山さん自身の口から語られる当時の思い。それにより、この写真たちがなぜ30年ものあいだ封印されていたかを知ったのと同時に、封印しなければならなかったものだからこそ、いまあらためて胸に刺さるのだということを理解しました。(北村信彦)北村信彦/HYSTERIC GLAMOURPhoto by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)来る日も来る日も足を引きずりながら、ただ撮りつづけた日々北村 森山さんの写真はよく、犬の目線にたとえられますが、この北海道の写真は、犬の行動範囲をはるかに超えてますよね。もっとオン・ザ・ロード的なイメージをグサグサと感じます。森山 北海道って、犬なり猫なりの嗅覚を効かせて撮るという場所じゃないんですよね。ある意味、もうちょっとドライな感じなんです。北村 札幌を中心にいろんな場所に行かれた...
第40回 森山大道個展『北海道』(その4・最終回)
ラットホールギャラリー第40回 森山大道個展『北海道』(その4・最終回)これまで3回にわたってお伝えしてきた森山大道さんとの対談も、今回が最終回。個展のほうも、いよいよ最終日の2月8日が迫ってきました。これまでもお伝えしてきたとおり、今回の北海道の写真が撮られたのはたしかに30年前です。しかし、セレクトもプリントも2008年に、2008年の森山さんによっておこなわれたということを考えると、明らかに作品としては過去のものではありません。まだ、見ていないという人は、ぜひそんな不思議な時間の感覚をも期待しつつ、足を運んでみてください。とにかく“ヤバい”ですから。(北村信彦)北村信彦/HYSTERIC GLAMOURPhoto by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)僕のなかで北海道はパリやニューヨークとおなじ異国だった北村 それにしても、たまったものを、長い時間を経てあらためて見直すという作業は、不思議な作用をもたらしますね...
第41回 ロー・アスリッジ個展『グッドナイトフラワーズ』(その1)
RAT HOLE GALLERY│ラットホールギャラリー第42回 ロー・アスリッジ個展『グッドナイトフラワーズ』(その1)ラットホールギャラリーでは現在、2009年4月26日(日)までの日程で、ロー・アスリッジ氏個展『グッドナイトフラワーズ』が開催されています。彼はニューヨークを拠点に活動する写真家で、本展が日本初の個展。「Horses」と「Flowers」というふたつのシリーズを中心に約18点の作品が展示されています。 オウプナーズでは、そのオープニングに際し、アスリッジ氏本人にインタビューをおこなう機会に恵まれ、個展直前の生の声を聞くことができました。そこで今回から2回にわたり、その模様をお伝えしようと思います。 Photo by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)目的に辿り着く途中途中で撮ったものが作品になっていく──まず、今回の個展ではどういうものを見せようとお考えですか?アスリッジ ひとはしばしば私のことを...
第42回 ロー・アスリッジ個展『グッドナイトフラワーズ』(その2)
RAT HOLE GALLERY│ラットホールギャラリー第42回 ロー・アスリッジ個展『グッドナイトフラワーズ』(その2)前回に引きつづき、ロー・アスリッジ氏におこなったインタビューの模様をお伝えします。アスリッジ氏は、大判カメラを使い、風景や生物、ポートレートなど古典的なモチーフを撮った作品で評価の高い作家ですが、その美しい写真は、フォトジェニックでありながら二重三重の意味を内包しており、見る者になんども写真の前に立ち返ることを要求する力をもっています。その不思議な力はどこからやってくるのか? そうしたことを探るべく、彼の写真に対する姿勢や手法、彼の抱く写真観などを聞いてみました。 Photo by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)私の写真はシャッターを切った瞬間に完結するものではない──先ほど(※前回)花の写真についてはもともとカラーで撮ったものを、今回あえてモノクロで焼いたとおっしゃいましたが、はじめからモノク...
ラットホールギャラリー|第43回 北島敬三個展『PORTRAITS』 (1)
ラットホールギャラリー│第45回 北島敬三個展『PORTRAITS』 (1)「見る」という行為の精度の限界ラットホールギャラリーでは7月5日(日)まで、北島敬三氏個展『PORTRAITS』が開催されています。このシリーズはその名のとおり、1992年より現在まで、じつに17年間にわたり撮りつづけられたポートレート作品群。ランダムではあるものの約1年に1度撮影がおこなわれ、モデル数300人以上、作品総数は2000点を超えるという膨大な作品群です。今回の個展は、そのなかから3名のモデルを抜粋、計14点の作品で構成されています。オウプナーズではそのオープニングに際し、開催直前の北島氏ご本人をキャッチ。個展開催の経緯や本シリーズへの思いなどをうかがうことができました。3回にわたり、インタビューの模様をお伝えします。Photo by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)“面白い写真”、“いい写真”のなかに感じた予定調和──まず、今回...
ラットホールギャラリー|第44回 北島敬三個展「PORTRAITS」 (2)
ラットホールギャラリー│第45回 北島敬三個展『PORTRAITS』 (2)絶対に不思議なものができるという確信前回に引きつづき、「PORTRAITS」展のオープニングに際しておこなった、北島敬三氏へのインタビューの模様をお伝えします。世界の都市でのスナップに対する限界を感じ、1992年を境に街からスタジオへと、その撮影スタイルを大きく変えた北島氏。彼は、そこでなぜポートレイトという手法を選択したのか。今回は、気になるその真相へと話を切り込んでいきます。Photo by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)私にとっての面白い街もなくなってしまった──一見新鮮に見える写真でも、必ず元になるイメージがどこかにある。そこに「見る」という行為の精度の限界を感じたということですが、そう思われたことがスタジオで撮るきっかけになったんですね。それがもっとも大きな要因ですが、もうひとつ、街自体も私にとって面白くなくなってきたという理由が...
ラットホールギャラリー|第45回 北島敬三個展『PORTRAITS』 (3)
ラットホールギャラリー│第45回 北島敬三個展『PORTRAITS』 (3・最終回)もっと直接的に顔が現れてくるような撮り方はないか北島敬三氏へのインタビューも、いよいよ今回が最終回。話は、「PORTRAITS」発表までの試行錯誤から、この作品群をとおして北島氏が伝えたかった真の意味へと展開します。インタビューをおこなった私自身、彼の話を聞く前と後では、このシリーズ、そしてこれまでのすべての作品への見方、感じ方が大きく変わるような、非常に興味深い内容でした。Photo by Jamandfixedit by TAKEUCHI Toranosuke(City Writes)この方法にすれば、システム上“ボツ”はないんです──「PORTRAITS」は、いわば単独性の面白さ、不可思議さを発見するための実験。結果、見事に不思議なものができましたねでも、それを実証するために最低6年は発表するのをやめようと思いました。6枚ぐらい揃わなければ、私の確信が正解だったかどうかわからないと思いましたか...
RAT HOLE GALLERY|イザ・ゲンツケン(Isa Genzken)日本初の個展「OIL XV / XVI」
RAT HOLL GALLERY|イザ・ゲンツケン日本初の個展「OIL XV / XVI」展10月2日(金)より12月27日(日)までの約3ヵ月間、Isa Genzken(イザ・ゲンツケン)による日本初の個展「OIL XV / XVI」がラットホールギャラリーにて開催される。造形美からの脱却、作品にこめられる哲学とメッセージIsa Genzken|イザ・ゲンツケンIsa Genzken(イザ・ゲンツケン)による日本ではじめてのインスタレーション「OIL XV / XVI」が10月2日(金)より12月27日(日)までラットホールギャラリーにておこなわれる。ゲンツケンは1976年、その当時おもにミニマリズムやポストミニマリズムのアーティストをあつかっていたデュッセルドルフの「コンラッド・フィッシャー・ギャラリー」でデビューし、『Ellipsoid(楕円)』『Hyperbolo(双曲線)』からなる作品群でその名を世間にひろめた。5メートルから6メートルにもおよぶ細長い流線型のこの作品は、...
RAT HOLE GALLERY|やなぎみわ展 「Lullaby」
RAT HOLL GALLERY|現実と想像が入り乱れる、終わりのない日常やなぎみわ展「Lullaby」“老婆と少女”をモチーフに、これまでに多くの作品を発表しいるやなぎみわ、彼女の最新作からなる個展「Lullaby」が1月 29日(金)~3月21日(日)の期間中開催される。同化し、入り乱れ、からみあい、もつれあう老女と少女2009年6月、第53回ヴェネチアビエンナーレ美術展にて日本館への出品作家に選ばれたやなぎみわ。その際発表された「Windswept Women」では、これまで彼女の写真作品に内包されていた演劇性が、より物理的な形をともなったインスタレーションとして具現化された作品となった。なにより目を引いたのは会場となった日本館の異様な姿だろう。作品展示にあたり、彼女は真っ白な日本館を真っ黒いテントで包んでしまったという。それだけでもかなりのインパクトだが、そこに飾られていたのは巨大フレームにおさめられた現実では考えられない奇怪な身体で嵐のなか猛り狂うひとりの女の姿。それはや...
RAT HOLE GALLERY|Wilhelm Sasnal展 「16mm films」
RAT HOLE GALLERY|ポーランド出身のアーティストWilhelm Sasnal展「16mm films」4月2日(金)より6月6日(日)まで、ポーランド出身のアーティスト ヴィルヘルム・サスナルの日本初となる個展「16mm films」が開催される。Text by OPENERSポーランド人アーティスト日本初の個展Wilhelm Sasnal(ヴィルヘルム・サスナル)は1972年、ポーランド・タルノフ生まれ。クラクフ芸術アカデミーの絵画科を卒業し、雑誌のイラストレーターとして仕事をする傍ら制作活動をつづけ、2000年ごろから国際的にも注目を集めるようになった。以降ポーランド国内外の多くの展覧会でその作品が知られることとなる。画家としてのキャリアが先行している印象のあるサスナルだが、その一方で写真、ドローイング、ビデオ、そして今回のおもな展示となる16mmフィルムなど、さまざまなメディアを使った作品を発表している。客観性が映しだすリアリティ制作活動の中心である絵画制作にお...
ジャック・ゴールドスタイン展覧会
初期のポストモダニズムアートを彩ったジャック・ゴールドスタインの日本初となる展覧会1970年代後期から80年代初期にかけての作品で、ポストモダニズムの初期段階を決定づける役割を果たしたジャック・ゴールドスタイン(1945-2003年)。彼の日本初となる展覧会が1月25日(水)から3月25日(日)まで、東京・青山のRAT HOLE GALLERY(ラットホールギャラリー)で開かれる。Text by YANAKA Tomomi16mmショートフィルム10本の作品も上映表象批判に主眼を置く美術へとパラダイムシフトをもたらした「ピクチャー・ジェネレーション」のひとりとして、今なお多くのアーティストに影響を与えているジャック・ゴールドスタイン。パフォーマンス、フィルム作品、ペインティング、音響作品と幅広く活躍し、アートの価値観に新風を吹き込んだポストモダニズムの旗手ともいえるアーティストだ。1945年、カナダ・モントリオールに生まれたゴールドスタインは、カリフォルニア芸術大学で学び、キャリア...
RAT HOLE GALLERY|綿谷 修新作展「Juvenile」
RAT HOLE GALLERY│ラットホールギャラリー綿谷 修新作展「Juvenile」ラットホールギャラリーでは7月23日(金)から8月25日(水)までの期間中、綿谷 修の新作による個展「Juvenile」を開催する。夏のウクライナで4000kmもの旅の果てに偶然出会ったティーンエイジャーたちを数年にわたって撮影したカラー写真約30点が展示される。Text by OPENERS“Juvenile”少年から大人へと変わるつかの間の輝き2010年3月、『CHILDHOOD』と冠した写真集を刊行した綿谷 修が、つづく本展で発表する新作「Juvenile」では、幼年期から成人期へと成長するつかの間に見てとれる少年・少女たちの複雑な表情を写し出している。大人になることを待ち焦がれながらも無邪気に川辺で遊ぶ子どもたちには、純真さ、そして闊達さといった思春期特有の振舞いと同時に、大人に眼差されていることへの自覚を見出すことができる。彼らの瞳は仲間たちとふざけ、笑いあうときも、憂いた目でまっす...
ラットホールギャラリー|「Roni Horn」開催
RAT HOLE GALLERY|ラットホールギャラリー「Roni Horn」開催言葉と出会い、そして対峙することからうまれたミニマリズムラットホールギャラリーにて、2010年9月7日から12月5日まで(月曜休)ロニ・ホーンの展覧会「Roni Horn」が開催されている。今回が、世界中で活動するロニ・ホーンの立体作品とドローイングを日本で紹介する初の機会となる。Text by OPENERSエミリー・ディッキンソン×ロニ・ホーン「Roni Horn」では、「White Dickinson」シリーズから4点の立体作品と、最新シリーズ「Else」からの1点をふくむ3点のドローイングが展示されている。ラットホールギャラリーで開催される展覧会としては、2008年の「This is Me, This is You」につづき2度目となる。ロニ・ホーンは、最近ではブレゲンツ現代美術館(オーストリア)で個展「Well and Truly」が開催され、昨年2月から今年6月にわたっては、ホーンの作品を...
RAT HOLE GALLERY|北島敬三の新作写真展「ISOLATED PLACES」
履歴を忘れ、行く先を見失った風景北島敬三の新作写真展「ISOLATED PLACES」写真家北島敬三氏の新作展覧会「ISOLATED PLACES」が4月6日(金)から5月13日(日)まで、南青山のRAT HOLE GALLERY(ラットホールギャラリー)で開かれる。Text by YANAKA Tomomikあたらしい写真集も刊行1970年代後半から90年代初頭にかけて、国内外の都市でストリートスナップを撮影し、81年には「NEW YORK」で木村伊兵衛賞を受賞、現在も国内外で活躍する北島氏。92年からは白いシャツ姿の人物を継続的に撮影する「PORTRAITS」と、無人の風景を撮影する「PLACES」という新シリーズをスタート、同時並行で制作を続けている。初期の「PLACES」では東京やロンドン、ニューヨーク、香港など世界の大都市が中心的な撮影地に選ばれるとともに、どの都市にも共通しているような都市風景が映し出され、都市をグローバリズムのスペクタクルとして捉えようとする作家の姿が...