RAT HOLE GALLERY|Wilhelm Sasnal展 「16mm films」
Lounge
2015年4月17日

RAT HOLE GALLERY|Wilhelm Sasnal展 「16mm films」

RAT HOLE GALLERY|ポーランド出身のアーティスト

Wilhelm Sasnal展「16mm films」

4月2日(金)より6月6日(日)まで、ポーランド出身のアーティスト ヴィルヘルム・サスナルの日本初となる個展「16mm films」が開催される。

Text by OPENERS

ポーランド人アーティスト日本初の個展

Wilhelm Sasnal(ヴィルヘルム・サスナル)は1972年、ポーランド・タルノフ生まれ。クラクフ芸術アカデミーの絵画科を卒業し、雑誌のイラストレーターとして仕事をする傍ら制作活動をつづけ、2000年ごろから国際的にも注目を集めるようになった。以降ポーランド国内外の多くの展覧会でその作品が知られることとなる。

画家としてのキャリアが先行している印象のあるサスナルだが、その一方で写真、ドローイング、ビデオ、そして今回のおもな展示となる16mmフィルムなど、さまざまなメディアを使った作品を発表している。

客観性が映しだすリアリティ

制作活動の中心である絵画制作におけるテーマは、写真を基にしたもの、身近にあるオブジェ、友人たちなどさまざまで、またその手法も、具象、抽象と多岐にわたる。数日、時には一日で一点を描き上げるという極めて多作の作家でありながら、主題や手法を固定せず、ある一定の距離感を保ち、主題を客観的に捉えた制作をおこなっている。時に政治的および社会的なテーマをとりあげ、見るものに現実社会がはらむ問題を喚起しつつも、その表現方法はあくまでも主観を排した形であることがサスナルのユニークな作風といえるだろう。

Wilhelm Sasnal|Love songs

Wilhelm Sasnal|Centre

フィルム、音楽、絵画

こうした姿勢は今回上映する彼の16mmフィルム作品でも同様に見られる。母国のポーランドが社会主義から民主主義に転換するという大きな変革期に青春時代を送り、現在も同国クラクフで制作をつづけていることから、いわゆる東欧美術の文脈から語られることの多い彼の作品であるが、実際にはポーランドだけでなく、より地理的にも広範囲で制作されていることが映像作品から見てとれる。また、一方で日常生活のなかにある、身の回りのものを映した作品、言語テキストを使った映像などは、彼の絵画作品の源泉となっている。

ドキュメンタリー的要素をもつものも多く、絵画同様に客観性を保持しながら撮影対象をリアルに捉える。さらに映像の特性として、彼自身も作品制作へ大いに影響を与えていると公言する音楽要素が多分にふくまれていることが挙げられるが、それによって撮影対象との距離の振幅が増進され、あるいは音楽自体がもつ意味が具現されるといった効果があらわれている。

今回は、16mmフィルム作品3本と、アーティスト自身がフィルム作品を意識して選んだ絵画が並ぶ。フィルムと絵画を見較べることで、彼の絵画作品でしばしば指摘される「映像的フレーミング」が、より具体的なかたちで理解できることだろう。

Wilhelm Sasnal|Untitled

Wilhelm Sasnal展「16mm films」
会期|2010年4月 2日(金)~6月6日(日)
時間|12:00~20:00(月休)

RAT HOLE GALLERY
東京都港区南青山5-5-3 B1F
Tel. 03-6419-3583
www.ratholegallery.com

           
Photo Gallery