RAT HOLE GALLERY|綿谷 修新作展「Juvenile」
FASHION / WOMEN
2015年4月17日

RAT HOLE GALLERY|綿谷 修新作展「Juvenile」

RAT HOLE GALLERY│ラットホールギャラリー

綿谷 修新作展「Juvenile」

ラットホールギャラリーでは7月23日(金)から8月25日(水)までの期間中、綿谷 修の新作による個展「Juvenile」を開催する。夏のウクライナで4000kmもの旅の果てに偶然出会ったティーンエイジャーたちを数年にわたって撮影したカラー写真約30点が展示される。

Text by OPENERS

“Juvenile”少年から大人へと変わるつかの間の輝き

2010年3月、『CHILDHOOD』と冠した写真集を刊行した綿谷 修が、つづく本展で発表する新作「Juvenile」では、幼年期から成人期へと成長するつかの間に見てとれる少年・少女たちの複雑な表情を写し出している。大人になることを待ち焦がれながらも無邪気に川辺で遊ぶ子どもたちには、純真さ、そして闊達さといった思春期特有の振舞いと同時に、大人に眼差されていることへの自覚を見出すことができる。彼らの瞳は仲間たちとふざけ、笑いあうときも、憂いた目でまっすぐこちらを見つめるときにも、完全な成熟を迎える直前の若さが発する未来への期待に満ちた輝きと、大人の世界に裏切られることへの恐れとを持ち合わせていた。

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幼年期を過ぎたジュヴナイル(年少)の時代を生きる彼らを、綿谷は“外”からやってきた観察者としてときにユーモアや憂愁を交えながらとらえている。彼らと出会い、「無条件にいいと思えた」と語る綿谷が心に抱いたのは、彼らが生きる時代への憧憬でも、自身の少年時代への追憶でもなく、その存在に対する畏敬にほかならない。川辺での遊びを真剣に生きる彼らの姿は、遠く離れた場所に見える蜃気楼のように感じられるかもしれない。しかしそれは作者にとって、また私たちにとっても密接な存在であることを、その澄んだまなざしが思いださせてくれることだろう。

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本展に先立ち発表した写真集『CHILDHOOD』では、過去の作品を鮮やかに再編集・構成し、また近作「Capability」(『CHILDHOOD』所収)や「Drowning in flame」(2010年、photographers’gallery)を発表するなど、その手法や被写体をつぎつぎと変えながら意欲的に制作をつづけている。2007年「Rumor/Pond」以来、3年ぶりとなるラットホールギャラリーでの綿谷 修展「Juvenile」へ、短い夏が終わる前にあのはかない輝きを探しに行こう。

『Juvenile』

綿谷 修写真展「Juvenile」
開館時間|12:00~20:00(月休)

展覧会に合わせラットホールギャラリーより写真集『Juvenile』が刊行される。綿谷 修の新作を写真批評家 倉石信乃氏のテキストとともに収めた126ページ。何度でも振り返りたくなる思春期のもどかしさを手のなかに。

綿谷修写真集 『Juvenile』
発売日|7月23日(金)
定価|4200円
発行|RAT HOLE GALLERY

綿谷 修|WATAYA Osamu
1963年北海道生まれ、東京都在住。89年よりアートディレクターとしてヒステリックグラマーおよびラットホールギャラリー発行の写真集ディレクションを数多く手がける。2006年、第22回東川賞特別賞を受賞。おもな個展に「Rumor/pond」(08年/ RAT HOLE GALLERY)、おもな写真集に『River Bed』(96年/Hysteric Glamour)、『遠軽』(96年/Taka Ishii Gallery)、『Renoir 』(98年/Hysteric Glamour)、『昼顔』(04年/蒼穹舎)、『Rumor』(07年/RAT HOLE)、『CHILDHOOD』(10年/RAT HOLE GALLERY)など。

           
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