RAT HOLE GALLERY|北島敬三の新作写真展「ISOLATED PLACES」
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2015年4月17日

RAT HOLE GALLERY|北島敬三の新作写真展「ISOLATED PLACES」

履歴を忘れ、行く先を見失った風景

北島敬三の新作写真展「ISOLATED PLACES」

写真家北島敬三氏の新作展覧会「ISOLATED PLACES」が4月6日(金)から5月13日(日)まで、南青山のRAT HOLE GALLERY(ラットホールギャラリー)で開かれる。

Text by YANAKA Tomomi

kあたらしい写真集も刊行

1970年代後半から90年代初頭にかけて、国内外の都市でストリートスナップを撮影し、81年には「NEW YORK」で木村伊兵衛賞を受賞、現在も国内外で活躍する北島氏。92年からは白いシャツ姿の人物を継続的に撮影する「PORTRAITS」と、無人の風景を撮影する「PLACES」という新シリーズをスタート、同時並行で制作を続けている。

初期の「PLACES」では東京やロンドン、ニューヨーク、香港など世界の大都市が中心的な撮影地に選ばれるとともに、どの都市にも共通しているような都市風景が映し出され、都市をグローバリズムのスペクタクルとして捉えようとする作家の姿が見て取れた。しかし、90年代終盤からは国内の都市で撮影された写真が多くを占めるようになり、さらに近年では山村や離島など、都市と対極にあるような場所も多くふくまれるようになっている。

北島敬三の新作写真展『ISOLATED PLACES』 01

北島敬三の新作写真展『ISOLATED PLACES』 02

09年の「PORTRAITS」展以来、ラットホールギャラリーでは北島氏2度目の開催となる「ISOLATED PLACES」では、92年から12年に日本各地で撮影した風景写真24点を展示。北島氏が「いまの日本のどこにでもある風景だが、私たちがその場所に気づくことは少ない。そこは履歴を忘れ、行く先を見失った「ISOLATED PLACES」だといえる」とコメントするように「顔と名前を失った風景」を切り取った写真が並ぶ。

また、ラットホールギャラリーでは、展覧会にあわせ、展示作を含む87点の作品を掲載した写真集『ISOLATED PLACES』を刊行。初日の4月6日にあわせて発売される。

どこかで見たことがあるような、なかったような、心に引っかかることがなかった無表情な風景。しかし、その景色は確実に存在していたものなのだ。そのような風景からつむぎ出される北島氏の写真世界にぜひ足を踏み入れてほしい。

北島敬三展『ISOLATED PLACES』
期間│4月6日(金)~5月13日(日)
定休日|月曜日
時間│12:00~20:00
会場│ラットホールギャラリー
東京都港区南青山5-5-3 B1
Tel. 03-6419-3581

北島敬三写真集『ISOLATED PLACES』
サイズ│A4変型 96ページ
発売日│4月6日(金)
発行│ラットホールギャラリー

           
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