中原慎一郎の工藝ニュース

also craft #04 『エドワード・S・ウールのカッティングボード』

also craft #04 『エドワード・S・ウールのカッティングボード』

#04 THINGS FOR BREAD――朝食の楽しみを教えてくれるものランドスケープ プロダクツ中原慎一郎による工藝をテーマとしたさまざまな出会いを紹介する "also craft" 。第4回めは「エドワード・S・ウールのカッティングボード」を紹介します。海外の知人宅での楽しみのひとつが、朝食。その準備の仕方も様々ですが、日本とちがいご飯が出てくるわけではないので、やはりパンの出し方が日本人の自分にとってはとても興味深い。かわいい丸みを帯びたかたちのカッティングボードの上でカットされたパンは、本当に美味しそうにみえる。キズの入ったそのカッティングボードも、テーブルの上にあるだけでも絵になる。一枚の木の板が朝食の時間を豊かにしてくれる。自作のカッティングボードをつくるも良いが、近年出会ったアメリカの木工作家エドワード・S.ウォールのカッティングボードは本当にすばらしい。素材にもちいられているバーズアイメープルは、ハードメープルのなかでも500本に1本の確率で発生するという大変貴重...
also craft #01 『F-style』

also craft #01 『F-style』

五十嵐恵美と星野若菜によるユニット「F-style」ランドスケープ プロダクツ中原慎一郎による工藝をテーマとした様々な出会いを紹介する "also craft" 。第一回目は新潟で活躍する二人組、五十嵐恵美と星野若菜によるユニット「F-style」を紹介します。 F-styleとの出会いは新しい新潟との出会い会おうと思えばいつでも会えたのかもしれないが、ちゃんとF-styleの二人、五十嵐さんと星野さんに出会ったのは比較的最近のこと。彼女らはともに新潟生まれ。2001年に東北芸術工科大学卒業後、新潟市にてデザイン事務所「エフスタイル」を開設。日本の地場産業を中心とした デザイン提案から販路の開拓までを一貫して行っている。こんな風に出会いを焦らせることが最近できるようになった気がする。というよりも一番ベストなタイミングで会いたい人たちであったからこそそうしたのだと思う。人よりも物からの出会いの方がよい出会いがあるように思うことが最近多い。 僕の店であるプレイマウン...
also craft #02 『KIDS DESIGN AWARD 2007』

also craft #02 『KIDS DESIGN AWARD 2007』

#02 KIDS DESIGN AWARD 2007ランドスケープ プロダクツ中原慎一郎による工藝をテーマとしたさまざまな出会いを紹介する "also craft" 。第2回めは神宮のTEPIAにて行われた"KIDS DESIGN博"を紹介します。第1回KIDS DESIGN賞が決定今年よりKIDS DESIGN賞を決定するKIDS DESIGN博が開催されることになり、8月9日より3日間、東京・北青山のTEPIAで行われた。GOOD DESIGN賞を(Gマーク)の子ども版といったほうがわかりやすいだろう。第1回を迎えたこのKIDS DESIGN博の特徴はプロダクトに対しての賞だけでなく、施設や自治体の取り組みプログラム、企業など多岐にわたって選定された。子どもの危険回避選定された作品は全部で121点で、さらにこの開催とともに8月8日を経済産業省はKIDS DESIGNの日と定めた。気になる選定されたものであるが、おおむね企業の活動や製品が主で、告知の方法がどういった方法であったか...
also craft #03 『ヴィンテージオーディオがもたらすもの』

also craft #03 『ヴィンテージオーディオがもたらすもの』

#03 ヴィンテージオーディオがもたらすもの。ランドスケープ プロダクツ中原慎一郎による工藝をテーマとしたさまざまな出会いを紹介する "also craft" 。第3回めは「現代におけるヴィンテージ・オーディオの魅力とは」と題しておくりします。現代におけるヴィンテージ・オーディオの魅力とは?現代におけるヴィンテージオーディオの魅力とは。1950年代に活躍したデザイナー、チャールズ・イームズらがつぎつぎと発表した、スピーカーなどの「音」に関するプロダクトがあったのをみなさんはご存知だろうか。現在ヴィンテージ・オーディオとよばれているそれは、発売当時、インテリアと拮抗しながらもその空間と独特の協調性を発揮し存在した。そのカタチも家具のデザインに合わせた素材でつくられたり、その機能も家具の内部に隠されていたりと、さまざまな工夫がなされていた。もちろんその音も、その生まれでた国の音楽性にも深く影響されながら独自のすばらしい音質を体現することができた。そのヴィンテージ・オーディオはフォルムや...
also craft #06 『TAGAのストローラー』

also craft #06 『TAGAのストローラー』

also craft #06 『TAGAのストローラー』オランダのキッズデザインオランダのベビーカー(ストローラー)ってすごいですね。色もポップかつフォルムもすごくミニマル。ぼくもアメリカで格安で販売していた同じくオランダ「のbugaboo」を購入しましたが、デザイン面、機能面どちらをとっても良いです。ただし、日本では歩道も狭いし、人ごみの中を歩くような場合や、電車に乗る時に大きさが問題になりますね(あとはやはり価格面でしょうかね)。でも砂利道など不安定な場所ではぐっと威力発揮します。こどもも安心感があるのではと思わせるくらい"すやすや"と寝てくれます。 今回注目するこの「TAGA」のストローラーはなんと自転車にもなったり、双子の子供も乗せられたりするオプション機能まであるすぐれもの。今年2008年のEUROBIKEで賞も受賞している逸品です。ブレーキや装備品として「SHIMANO」のものを採用していますし、「高いな」って思わせられていた輸入ベビーカーですが、自転車にもなるん...
中原慎一郎のalso craft 12│盛永省治のつくる木の器

中原慎一郎のalso craft 12│盛永省治のつくる木の器

also craft #12 「Crate」盛永省治のつくる木の器──ターニング・ウッドの世界日本ではまだまだ“ターニング・ウッド”という分野は知名度が低いのが現状ですが、アメリカやヨーロッパなどでは工芸のなかではしっかりとしたひとつの分野として確立されています。文=中原慎一郎木そのものの良さを活かしたターニング・ウッドの世界とはとくにアメリカではミッドセンチュリーといわれる蜜時期に優れた工芸家がすばらしい作品を生み出していました。ジェームス・プリスティーニや、ボブ・ストックスデール、デビッド・エルスウォルス、アレクサンドル・ノルなどその当時を象徴するフォルムをつぎつぎと生み出したのです。日本では“挽き物”と呼ばれるのがそれにあたるのですが、なにかその響きからはひとつの技術にしか聞こえず、その工芸としての良さが理解されづらい感じさえあります。日本においてはより手間をかけることが評価を受けやすいのもあると思います。たとえば機械で削ることよりも手で削るとか、漆を塗るとか、磨くとか。もち...
中原慎一郎のalso craft 09│成田博昭氏と語る

中原慎一郎のalso craft 09│成田博昭氏と語る

also craft #09 「アーキテクチュラルポテリー」カリフォルニアモダンデザイン──成田博昭氏と語るついにというか近年のガーデニングのブームもあってか、カリフォルニアから「アーキテクチュラルポテリー」を輸入するひとがあらわれてくれた。日本においてモダンデザインのヴィンテージファニチャーを長年紹介してきたエルモ・ルイスの成田博昭氏だ。Text by NAKAHARA Shinichiroまさか「アーキテクチュラルポテリー」を日本で展開するひとがあらわれてくるとは建築にかんしては近年だいぶ個性的な建物が増えつつあるけれども、ことガーデニング(ないしはランドスケープ)の分野においては、日本ではモダンな解釈のツールや器は皆無に等しかった。僕もおなじヴィンテージの業界にいたから、この「アーキテクチュラルポテリー」の存在は知っていたが、まさかこれを日本において展開するひとがあらわれてくるとは思わなかった。ぼくはその復刻されたシリーズを今回の対談まで見たことがなく、楽しみにしていた。実際...
also craft #05 『ACHILLE CASTIGLIONIの仕事』

also craft #05 『ACHILLE CASTIGLIONIの仕事』

#05 ACHILLE CASTIGLIONIの仕事――故カスティリオーニのスタジオ探訪ランドスケープ プロダクツ中原慎一郎による工藝をテーマとしたさまざまな出会いを紹介する "also craft" 。第5回めは「ACHILLE CASTIGLIONIの仕事」を紹介します。 文=中原慎一郎発想の源はいまもなおスタジオのなかに存在する。イタリア、ミラノ中心に現在も存在する、故カスティリオーニのスタジオを訪ねた。近代のモダンデザインの巨匠であったアキッレ・カスティリオーニ氏が亡くなったのは2002年。アキッレだけが名が知られているように思えるがじつは3人兄弟(リヴィオ 1911-79、ピエル・ジャコモ1913-68、アキッレ1918-2002)で設計事務所を営んでいた。彼らの残した功績は本当にすばらしく、コンパッソドーロを7回受賞したことだけではなく、彼らの目線、発想は現在も僕も含め多くの人々に影響を与えつづけている。そんななか今年、念願の彼等のスタジオ訪問がようやく実現した。かねて...
中原慎一郎のalso craft 10│ピエト・ストックマンの作品

中原慎一郎のalso craft 10│ピエト・ストックマンの作品

also craft #10 「PIETER STOCKMANS」その歪みからくる新しい印象──ピエト・ストックマンPIETER STOCKMANS(ピエト・ストックマン)の作品は、その薄さから感じ取れる繊細な手触感と形へのこだわりからくる厳格さが共存した磁器である。Text by NAKAHARA ShinichiroPhoto by JamandfixPIETER STOCKMANSの“青の釉薬”日本においても、カップのエッジに釉薬をぐるっと装飾したいわゆる「皮くじら」と呼ばれる作品を見かけるが、このピエト・ストックマンの作品はそれが青い釉薬でほどこされている。PIETER STOCKMANS「LA MAR」プレートPIETER STOCKMANS「LA MAR」プレートPIETER STOCKMANS「LA MAR」プレート一見すごくミニマルにも見えてるのだけど、その歪みからくる印象(いくつか並べるとさらに)は、逆にデコラティブでもある。ぼくはデコラティブなもののなかに秘める...
中原慎一郎のalso craft 11│藤城成貴「eiffel」

中原慎一郎のalso craft 11│藤城成貴「eiffel」

also craft #11 「eiffel」藤城成貴が生み出すインダストリアル──スツール「eiffel」「バルカナイズド・ファイバーに惹かれたのが、eiffel製作へのきっかけでした」と語るデザイナーの藤城成貴さん。絶妙な安定感を生み出す三本脚のスツールは、完成された工業製品を想起させる。文=中原慎一郎偶然にも同時期に「バルカナイズド・ファイバー」でモノづくりをしていたふたり友人から見せてもらった古いアメリカのホテルのキーホルダーの素材が、紙と樹脂繊維を混ぜたようなすごく硬いもので、バルカナイズド・ファイバーというものらしい。それ以来、その素材が気に入っていたのだけれど、デザイナーの藤城成貴くんに会った際には彼はすでにその素材のことを知っていて、かなりその素材に近い硬質パルプ材でつくったスツール「eiffel」を見せてくれた。紙なんだけれども、すごくインダストリアルなイメージをもつ素材感。それらにビスが加わることによってさらにインダストリアルなイメージになる。まるでエッフェル塔...
中原慎一郎のalso craft 07│KORBOのワイヤーバスケットの魅力

中原慎一郎のalso craft 07│KORBOのワイヤーバスケットの魅力

also craft #07 変わらないカタチと輝きKORBOのワイヤーバスケットの魅力1920年代にスウェーデンでつくられはじめたKORBO(コルボ)のワイヤーバスケットは、すべて創業時からまったくかわらず手作業にてつくられています。漁師や園芸家のハードな使用にも耐えうる頑丈なつくりで、そう簡単に形が崩れることのないバスケットです。Text by NAKAHARA ShinichiroPhoto by Jamandfixあなたなら、どんな使い方を想像しますか?僕は魚が入っているこのバスケットをはじめてみて、このバスケットのかっこよさを痛感しました。使い込まれた雰囲気のなかでそのワイヤーバスケットはなんの歪みもなく、輝いているようにさえ見えるのです。その強度はいったいどうなっているのだろうと最初は思ったのです。普通錆びるでしょうから。つまりはこのKORBOのワイヤーバスケットに使われている素材は、錆にくいスチールなのです。このスチールの素材として2種類をKORBOは採用しています。...
中原慎一郎のalso craft 08│大治将典の仕事

中原慎一郎のalso craft 08│大治将典の仕事

also craft #08 Hand to Handつくる側から使う側の手へ──大治将典の仕事掃除道具に興味をもちはじめていろいろとリサーチしているなかで出会った「掃印(そうじるし)」。ぼくがはじめてみた大治将典くんのデザインです。まるでイタリアのデザイナーのカスティリーニのような発想だなあと感心させられたのを覚えています。その後気になるデザインのものが大治将典デザインであることに度々遭遇することがあって、今回ぜひお会いしたいということもあり、対談形式で取り上げさせていただくことになりました。Text by NAKAHARA Shinichiroそのデザインが自分のものと気づいてくれることがたいへんうれしい(大治)中原慎一郎以前から個人的にいいな、と思うものが大治くんのデザインだったりすることが多くて、ずっと気になるデザイナーだったんです。つくられているものがカスティリオーニ(アッキーレ・カスティリオーニ/イタリアの建築家・デザイナー)的なイメージがありまして、一度お会いしたくて...
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