OPENERS的ニッポンの若手建築家
「OPENERS的ニッポンの若手建築家」に関する記事
特集|OPENERS的ニッポンの若手建築家 PARTII Vol.3 吉村靖孝インタビュー
Vol.3 吉村靖孝インタビュー(1)社会における建築のあり方を変える社会や、暮らしのあり方を考えることは、同時に建築の現状を考えることでもある。建築家 吉村靖孝氏は、社会における建築のあり方を変えたいと言う。それはとりもなおさず、建築が社会やひとに対して優しくあるべきだという考え方に繋がっているのではないだろうか。震災による強烈なインパクトをまえに、建築や都市は、もろくもはかない姿を露呈した。建築のオリジナリティを意識したうえで、それを他者と共有し、かつあたらしい価値を創造すること。震災以後の取り組みを中心に、吉村氏の建築へのスタンスを聞いた。インタビュー、まとめ=加藤孝司いま何を手がかりに都市をつくるか――吉村さんは大学院修了後にオランダに渡ったと聞きました。当時のオランダの建築家たちの都市への立ち向かい方や、情報化社会における先験的な取り組みは、現在においてなお有効的な方法論たり得ていると思います。日本でも震災以後、都市が抱える問題や街づくりは、社会問題として議論されています...
特集|OPENERS的ニッポンの若手建築家 PARTII Vol.4 南後由和インタビュー
Vol.4 南後由和インタビュー(1)いま必要とされる建築家像をめぐって建築は都市を覆い尽くし、われわれの身体のなかを流れる血や肉とおなじように、生活のすみずみにまで浸透しているものだ。だがこれまで一体どれだけのひとが、社会における建築の在り方や、そのつくり手である建築家像について、体系だて研究し、横断的に考察を重ねてきただろうか? 社会学者の南後由和氏は独自の視点から都市と建築の両方を、歴史を根拠に考察する。いま求められているのは、時代も場所も越境する広範な視点をもち、社会と建築を取り結ぶ存在だろう。今回は社会学者の南後由和氏に、いま求められる建築家像について聞いた。インタビュアー、まとめ=加藤孝司自分であると同時に個人を超えた視点──南後さんの社会学者としての建築家や建築への同時代的な視点について、今回ぜひお話をうかがいたいと思いました。社会学が扱うものとして歴史、ひと、経済などがあると思うのですが、南後さんにとってなぜ建築であり、建築家だったのでしょうか?最初から建築や建築家...
いま、世界が注目するニッポンの若手建築家たち|Vol.6 石上 純也
Vol.6 石上 純也インタビュー建築という、なによりも力強いものを建築がもつ力強さを自身のイメージや確たる理念でかたちにしていく石上純也氏。その一見はかなくて美しい建築は日本の美にも通底していて、世界中が注目する日本の建築の急先鋒です。先ごろイタリアで行われたヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展で各国メディアから高い評価を得たことも記憶に新しい。今回のインタヴューでは「空間」や「建築がもつリアリティ」の問題、石上純也氏が今考えていること、そしてそこから生み出される建築の本質的な部分について一気に語っていただきました。インタビュアー、まとめ=加藤孝司──石上さんにとってリアリティとは何ですかさまざまなものが、混ざり合っていく現象そのものです。完全に独立したものというのはこの世の中にはないと思っています。もちろん、想像のなかでは、独立したものは考えられるかもしれないけれど、結局、僕らの住む世界にそれを落とし込んでいったときに、あるところで、破綻が生じてしまうように思うのです。様々なもの...
Vol.3 岡田 栄造 インタビュー
Vol.3 岡田 栄造インタビューデザインという視点から、建築とアートをつなぐ、現代建築のキーパーソン建築、デザイン、アートに関する最新情報を毎日更新するバイリンガルのウェブサイトdezain.netを主宰。またリボンを使ったプロダクト、リボンプロジェクトをディレクションする岡田栄造氏。昨年、自ら出資しディレクターをつとめる『DEROLL Commissions Series 1:box』では若手建築家たちがデザインを手がけたプロダクトを発表し話題になった。大学でデザインプロセスを教える准教授でありながら、現在の建築、アート、デザインをつなぐキーパーソンである岡田栄造氏にお話をうかがいました。インタビュアー、まとめ=加藤孝司──現在、大学でされていることを教えてくださいもともと私の博士論文は日本の椅子の研究なんです。なぜそれをしたかといえば、ひと昔前まで日本人は椅子を使っていなかったじゃないですか。それで現在では当たりまえに椅子に座って暮らしている。それってすごいことだなって思った...
Vol.2 中山 英之 インタビュー
Vol.2 中山英之インタビュー夢見る建築の未来多様な価値観が共存する現代において、建築家のたち位置とはどこにあるのか? 中山英之氏が手がける、感覚的にとぎ澄まされたその建築は、人間の感性という"はかないもの"を、人が暮らすための住宅に落とし込んだ、繊細さといきいきとしたファンタジーに満ちている。インタビュアー、まとめ=加藤孝司──建築との出会いを教えてください『遊びの博物誌』というすごく好きな本があります。坂根厳夫さんという方が新聞に連載していた、古今東西の不思議なおもちゃとか、ちょっと科学的なトリックを使ったアートを紹介する記事をまとめられた、1970年代の本です。はじめはたしか、親が図書館で借りて来てくれたんです。それをすごく気に入ってしまって、結局買ってもらいました。小学生の頃です。──どのようなことが書かれている本なのですか?たとえば天板が「スーパー楕円」という形をしたテーブルの写真が載っているのですが、このテーブルを使うと「レストランの面積が15%節約できる」と書いてあ...
Vol.1 藤村 龍至 インタビュー
Vol.1 藤村龍至インタビュー都市へ、そして風景を超えて──「批判的工学主義」と「超線形設計プロセス」いうふたつの建築家としての思想を軸に、自身の考え方を提唱することによって、建築界の内側に議論を生み出している藤村龍至氏。自作である高円寺にある集合住宅BUILDING Kにて話をうかがった。インタビュアー、まとめ=加藤孝司──建築との出会いを聞かせてくださいもともと都市計画に興味がありました。父の出身が神戸で、小さい頃はよく行っていたのですが、当時の神戸は須磨ニュータウン(六甲山脈西部の丘陵地域にあたる)とポートアイランド(港湾の人工島)の開発の最中でした。丘陵地の開発で発生した土砂をベルトコンベアーで海まで運び埋め立てに使い、山と海を繋ぐトンネルを開発が終わったあとで下水道に使う、という一石三鳥の開発手法は、当時の神戸市長である原口忠次郎さん(1949年から20年間在任)のアイデアだときいたんです。原口市長は政治家であり同時に工学博士でもあったという人で、政治と工学の交点という...
Vol.5 山口 誠 インタビュー
Vol.5 山口 誠インタビュー最善に近づくための建築「軽井沢の別荘」や「狛江の住宅」などの作品で海外での評価も高い山口誠氏。一見あたりまえななにげない建築のディテールに、見過ごされてしまうようなデザインの多様さが潜んでいることがある。建築家山口誠がつくり出す空間は、時間の経過とともに日常が深みを増すような気づきの建築であるともいえる。建築とプロダクトをおなじ方法でデザインするということ。豊かさとデザインはおなじ方向をむきながら建築の未来を作り続けている。インタビュアー、まとめ=加藤孝司──山口さんがはじめて建築を意識したのはいつ、どのようなときでしたか?父親が職人なんです。大工なのですが、それで小さい頃から現場に行く機会があって、最初に建築現場に行ったのは幼稚園の頃でした。自分が入学する予定の小学校のプールをつくっていたんです。まだパイプが組まれたままのコンクリートを打設して間もない状態で、コンクリートってアルカリ性なのですがそのアルカリっぽい匂いというのが印象に残っています。だ...
特集|OPENERS的ニッポンの若手建築家 PARTII Vol.5 アラキ+ササキアーキテクツ インタビュー
Vol.5 アラキ+ササキアーキテクツ(1)セルフビルドという設計手法建築はつくるものではなく、大多数のひとにとって、買うものになって久しい。そこでは有名建築家に家を設計してもらうことが目的になり、その場所で誰とどのような暮らしをしたいのかといった生活本来の目的があとまわしになっている印象がある。荒木源希氏、佐々木高之氏、佐々木珠穂氏の3名によるアラキ+ササキアーキテクツ(A+Sa)は、デザインスタディとしてのセルフビルドを設計理念に、デザインを頭で考えるだけでなく、実際に手を動かし手で思考することを大切にしている建築家グループだ。ユーザーとともに建築について考えつくるという、設計者の手の内をみせることをいとわず、修辞なき建築を目指す彼らに、その設計手法について聞いた。インタビュアー、まとめ=加藤孝司手をつかい、自ら構築すること──3人の出会いをおしえてください。佐々木高之 3人とも大学の同級生で、それ以来の付き合いになります。そもそも40人しかいないクラスだったので、いまでもほぼ...
特集|OPENERS的ニッポンの若手建築家 PARTII Vol.2 中村竜治インタビュー
Vol.2 中村竜治インタビュー(1)自立することで快適さをめざす建築当たり前なかたちの繰り返しが、誰も見たことのない椅子になり、オブジェクトになり、そして空間になる。中村竜治氏のつくり出すものは、建築やオブジェクトがもつ規定の枠組みの内と外とを行き来しながら、その規模や概念を拡張していく。徹底的に自立することを考えることから成立するそれらの作品には、我われの、互いが関係を結びつつ自立する、未来の都市のイメージが見え隠れする。登下校の道すがら、少しずつ変わっていく家々のある風景を毎日飽きずに見ていたという幼少期から、建築という大きなスケールでものごとを考えるようになった現在まで、中村氏がとらえる風景と空間への視点にはぶれがない。インタビュアー、まとめ=加藤孝司建築のあった原風景──中村さんが建築に興味をもったきっかけを教えてください。出身は長野県の伊那市というところなのですが、小学生のころ学校の行き帰り路で、家々を見比べるのが好きでした。地元の工務店が建てたおなじような形をした家が...
特集|OPENERS的ニッポンの若手建築家 PARTII Vol.1 長坂 常インタビュー
Vol.1 長坂 常インタビュー(1)AとCのあいだにある宙ぶらりんなものあたらしい価値と古いものがもつ価値。長坂氏のつくるものにはそのどちらにも属さない、素の状態がもつ美しさや生真面目さが同居する。マンションや住宅のリノベーション、傷痕の残るテーブルの表面にエポキシ樹脂を流しこみあたらしく生まれ変わったテーブルも、ものづくりとデザインすることの原点回帰といもいえる清々しさがある。普段とは異なる視点から対象を見ることは、それに先行する形態を発見し、そこに未来への道筋をひくことでもある。3・11以後の世界をふまえ、それ以前と以後でゆらぐ現代の価値を、ユニークな視点から建築と都市をとらえる長坂 常氏にうかがった。インタビュアー、まとめ=加藤孝司おおらかに都市を整理するための方法論──長坂さんの最近の興味である“誤用”について教えてください。昨年開催した「LLOVE」(2011年秋に代官山でおこなわれた日本人とオランダ人デザイナーの混成による、泊まれるホテルのエキシビション。長坂氏が日本...
特集|OPENERS的ニッポンの若手建築家 PARTII Vol.6 石上純也インタビュー
Vol.6 石上純也(1)震災以後に考えていること2011年はこれまで当たり前に思っていた私たちの生活が、根底から揺さぶられる大きな出来事に遭遇した年となった。人びとの暮らしや、日々の営みが大自然の前では無力で、いかに儚いものであったのか2011年ほど実感した年はなかっただろう。石上純也氏は大きなものと小さなもの、建築のスケールから宇宙のスケールまで、あたらしい尺度をもった建築を考えつづけている建築家だ。震災以後の暮らしとは? 未来の生活のリアリティとは? ――石上純也氏が震災以後どのようなことを思い、建築について考えているのか話を聞いた。インタビュアー、まとめ=加藤孝司現代建築を超えていくもの――震災のあと東北に足を運ばれたそうですが、そこで何を感じましたか?想像を絶する状況でした。見渡すかぎり、ほとんど家がないこともそうですし、いま僕らが歩いているこの下にひとが埋まっているかもしれないという凄まじい状況が目の前に実際にありました。正直、なにをするべきかということがまったくわかり...
CASA特集|オウプナーズ的ニッポンの若手建築家
建築というジャンルにとどまらず、デザイン、アート、文学といったさまざまカルチャーに刺激をあたえているニッポンの建築家たち。そのなかで現在その活躍がめざましいのが30代の若手建築家。彼らが手がける建築は、「住む」という機能はもちろん、そこに住まう人の日常の感覚を刺激し、アーティスティックな感性をよびさます。オウプナーズでは6回にわたって、そんなニッポンの若手建築家たちをフィーチャー。最大のリスペクトをこめてご紹介します。取材・文=加藤孝司1976年 東京生まれ2000年 東京工業大学工学部社会工学科卒業2002年 東京工業大学大学院理工学研究科建築学専攻修士課程修了2002年~2003年 ベルラーへ・インスティテュート(オランダ)2005年 藤村龍至建築設計事務所設立(2008.12.12)1972年 福岡生まれ1998年 東京芸術大学建築学科卒業2000年 東京芸術大学建築学科大学院修了2000年 伊東豊雄建築設計事務所勤務2006年 hideyuki nakayama archi...
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