Wine&Liquor特集|フランスシャンパーニュ紀行
「Wine&Liquor特集|フランスシャンパーニュ紀行」に関する記事
Chapter 5 ルイナール|くらくらするようなフェミニティ
Ruinart|ルイナールくらくらするようなフェミニティルイナールは1729年に創業された最古のシャンパーニュ・メゾンである。生産量の多くが国内で消費されているため、日本では通以外に知られることは少なかったが、2001年に透明な瓶のブラン・ド・ブランが発表されると、輸入される本数がそう多くないにもかかわらず、その優雅で繊細な風味にくらくらするようなフェミニティを感じたシャンパーニュ・ラバーの間で、瞬く間に「ルイナール、飲んだ?」と噂されるようになった。Photo&Cooperation by Kenichi SaitoEdit&Text by Yumiko Akita美しいミネラリティを与えるチョーク質の土壌かくして、その味覚のナゾを解くため、まず最初に案内されたのは、地下深く掘られたクレイエール(チョーク質)のカーヴである。このカーヴはすでに2、3世紀のガロ・ローマ時代から存在し、何世紀もかけて石切り場として石を切り出しながら掘られていった。他のカーヴより地下深く、振動も...
フランス シャンパーニュ紀行|Chapter 1|Introduction & Bollinger ボランジェ
Chapter1|Introduction & Bollinger ボランジェ幸福な時、悲しい時、シャンパーニュを口にします。寂しい時に飲むこともあります。誰かと一緒の時には欠かせない存在です。お腹がすいていない時はちょっぴりたしなみ、空腹の時にはのむのです。それ以外には、シャンパーニュには手を触れません。のどが渇いていない限り。――「マダム・リリー」ことボランジェ夫人(1961年10月17日、ロンドン・デイリー・メール紙)Photo&Cooperation by Kenichi SaitoEdit&Text by Yumiko Akita世界遺産ランスのノートル・ダム大聖堂シャガールのステンドグラス7つのメゾンをめぐる旅11月初旬、パリから東へ150kmに位置する晩秋のシャンパーニュ地方はすでに枯葉色に染められていた。各メゾンによって違いはあるが、この時期は、今年収穫されたぶどうを発酵させる重要なプロセスを経て、ワインの質を見極める第一段階のテイスティングへの準備がすすめ...
フランス シャンパーニュ紀行|Cahpter 2|通が好むスタイルにうちのめされて
Jacquesson|ジャクソン通が好むスタイルにうちのめされてシャンパーニュを飲むという快楽的な行為の最中に、「この泡にどんな哲学が込められているか?」などとストイックな考えは浮かばないものだ。浮かんだとしても口にするのは野暮というもの。もし、それほどのシャンパーニュに出会ってしまったら、快楽主義たるフランス人がするように「マニフィック!(スバラシイ)」と、それも抑えた声で目を見開いて言うしかない。言葉もない味わい、なぜこんな味になるのか? 一体どんなコンセプトで? など、ものの見事に想像を超えてしまうジャクソンのシャンパーニュ。最初のひと口で、「ジャクソン哲学」ともいえるちょっと出会えないような独創的なスタイルにうちのめされてしまうのだ。事実、試飲では「美味しいんだけど何て言ったらいいかわからないほど強烈なインパクト」という初体験の静かな空気で一杯、やや緊張してしまったほどである。Photo&Cooperation by Kenichi SaitoEdit&Text b...
Chapter 3 ドラピエ|柔らかくてきれいな味は唯一無二の個性
Drappier|ドラピエ柔らかくてきれいな味は唯一無二の個性ルチアーノ・パヴァロッティ。その天高く魂をゆさぶる声で世界中を魅了した偉大な歌手が「ノドにいい」とうがい薬のように好んだと言われるドラピエのシャンパーニュ。そうしたセレブリティにまつわる逸話はシャンパーニュにはあまた存在するが、「なるほど」と思わせるのが、SO2(二酸化硫黄/酸化防止の亜硫酸)をほとんど入れない(キュヴェによってはゼロもある)製法にある。よくワインを飲んで頭が痛くなるのはこの亜硫酸のせいだと悪者にされているが、ワインの品質を維持するために添加の必要性を否定できないのも事実で、これをなくしてなお高品質のシャンパーニュを維持するには、ぶどう栽培から醸造プロセスにおいて数々の条件を満たす事が必要になってくる。Photo&Cooperation by Kenichi SaitoEdit&Text by Yumiko AkitaSO2を極力排し“自然”であることを追求する気概ぶどうの風味を損なわない為にSO...
Chapter 4 ルイ・ロデレール|エレガンスを極めた華やかさと気品
ルイ・ロデレール|Louis Roedererエレガンスを極めた華やかさと気品Photo&Cooperation by Kenichi SaitoEdit&Text by Yumiko Akitaルイ・ロデレールに惹かれる理由華やかさだけを追求するのは、それほど難しいことではない。しかし、そこに「気品」をくわえるとなると、一朝一夕では無理がある。生まれながらに備わったもの、経験を積み上げるなかで醸し出されるもの、逆に、時が与える試練や変化に耐えきれず、汚れ色褪せてしまうものもあって、生み出すのも維持するのも難しい。これは、ひとに限らずひとがかかわるすべてに共通することなのだ。ここ数年、失われつつある日本人の「品格」について語られることが多いので「品格」については考えさせられることもあるけれど、気品と言われても今イチピンとこない毎日を送っているのも事実で、じつのところよくわからない。だから余計に、「華やかさ」にくわえ「気品」を保っているルイ・ロデレールのシャンパーニュに惹かれ...
Chapter 6 クリュッグ|驚きに満ちたシャンパーニュ
KRUG|クリュッグ驚きに満ちたシャンパーニュこれは香水? テーブルに置かれたグラスにクリュッグ グランド・キュヴェが注がれると、まず、花束のような芳しい香りに、そして、グラスの底から立ちのぼるダイヤモンドダストのような繊細な泡にはっとする。鼻をかすめたはずの香りは、口にふくんだときには爆発し、つぎつぎと驚きがやってくる。クリュッグを飲めば、これが、シャンパーニュ以外の何ものでもないのに、明らかにちがう特別な存在感を放っていることに誰もが気づくのだ。Photo&Cooperation by Kenichi SaitoEdit&Text by Yumiko Akita一族の記憶で紡がれたスタイルクリュッグの初代当主、ヨハン・ヨーゼフ・クリュッグ氏は、ヴィンテージの出来、不出来によるバラツキがないシャンパーニュを求め、1843年にクリュッグを創立した。まだ、ランスにはセラーがなく、この場所が畑だったころの話である。以降クリュッグのスタイルには、シャンパーニュであることを凌駕する...
Chapter 7 ドン ペリニヨン|現在に受け継ぐインスピレーション
Dom Pérignon|ドン ペリニヨン現在に受け継ぐインスピレーション17世紀末、シャンパーニュ地方では、マルヌ西方の丘に建つオーヴィレール大修道院で盲目の修道士ドン・ピエール・ペリニヨンがセラーマスターを務めていた。彼は、後にシャンパーニュのメソッドとして知られる、アッサンブラージュ(ブレンド)の技術を約47年かけて開発していくことになる。その年の作柄に左右されることなく、良質な発泡酒をつくるため、品種、栽培地区、収穫年を混ぜ合わせるというメソッドだ。当時通常のワイン造りの4倍もの時間をかけてつくられたこの美酒の噂はすぐにフランス王ルイ14世の耳に届き、そのテーブルにも上ることになったと言われている。彼が受けたインスピレーション、飽くなき情熱と研ぎすまされた感性は、今も、ドン ペリニヨンに受け継がれている。Photo&Cooperation by Kenichi SaitoEdit&Text by Yumiko Akita最高級シャンパーニュのあるべき姿卓越した技術と...
フランスシャンパーニュ紀行|愉楽の泡を求めて
シャンパーニュは特別な飲み物である。そもそも、17世紀末に誕生して以来、時のフランス王を始め、何かにつけトレンドセッターだったと言われるポンパドール夫人や宮廷の貴族たちが歓喜して飲みたがった高級酒である。だからこそ、それがどうつくられているのかを知れば味わいが深まるに違いない。大切な人と飲む華やかなロゼ、特別な記憶をとどめたキュヴェ・プレステージ、ふくよかな芳香と豊穣な味わいにうちのめされる熟成ヴィンテージ……。この愉楽の泡の秘密を探りに、シャンパーニュ地方を旅し、訪ねたメゾンで出会った試飲記録をワインジャーナリストの斉藤研一氏の解説つきでご紹介する。次に味わう特別な時にふさわしい愉楽のシャンパーニュは、この中からチョイスしたい。Edit&Text by Yumiko AkitaPhoto&Cooperation by Kenichi Saito自然と人間の叡智で奇跡の泡づくりを行う7メゾンChapter 7Dom Pérignon ドン ペリニヨンシャンパーニュの帝王とい...
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