ネオ・ヴィンテージウオッチの集大成

Raymond Weil｜レイモンドウェイルミレジム

スイスのウオッチブランド、レイモンドウェイル（Raymond Weil）から、新作腕時計「ミレジム」6型がリリースされた。この新作には、ブランドを象徴するムーンフェイズ表示が搭載され、「ハッピースマイリングムーンフェイズ」と名付けられた手描きの月の顔がフェイスを彩る。月の満ち欠けを表現するこのディテールは、レトロ感とともに現代的なアプローチが光る1本だ。

Text by WASEDA Kosaku

細かなディテールがクラシックなデザインを実現

レイモンドウェイルは、1976年にスイス・ジュネーブで創業された独立系時計ブランド。創業者レイモンド・ウェイル氏は、スイスの伝統的な機械式時計産業がクオーツショックに直面し、危機的な状況にあった時期に、このブランドを立ち上げた。その目的は、機械式時計の復興と伝統的な技術の継承であり、これを実現するために精緻な技術と革新的なデザインを融合させた時計を提供し続けている。

音楽一家に生まれたウェイル氏は、時計にアートや音楽を取り入れることをブランドの根幹に据え、「ミュージック＆アート」をコンセプトに、高品質な時計を手に届きやすい価格で具現する。

現在は3代目のエリー・ベルンハイム氏がCEOを務め、レイモンドウェイルは時計業界で確固たる地位を築いている。特に、代表的なコレクションである「フリーランサー」や「ミレジム」、「マエストロ」は、時計愛好家の間で高く評価され、さらにザ・ビートルズやボブ・マーリー、ジャン＝ミシェル・バスキアといった世界的アーティストとのコラボレーションで注目を集めている。2023年にはジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ（GPHG）の「チャレンジウォッチ部門」で『ミレジム』が受賞するなど、その革新性とデザインの完成度は、ますます多くの時計ファンから支持されている。

今回発表された『ミレジム』6型は、ブランドの歴史と伝統を受け継ぎながら、現代的な技術とデザインを巧みに融合させたモデルだ。その最大の特徴は、ダイアル6時位置に配置されたムーンフェイズ表示である。ムーンフェイズは、時計の中でも特に魅力的なディテールであり、月の満ち欠けを示す回転ディスクが、時計を眺める人に優雅な印象を与える。

このモデルでは、月の顔が手描きで描かれており、その表情は「ハッピースマイリングムーンフェイズ」として親しまれる。月がにっこりと笑っているデザインは、レトロ感を強調しつつも、見る人に幸せをもたらすというメッセージが込められている。

このモデルは、1930年代のアール・デコ様式にインスパイアされた「セクターダイアル」が採用されている。セクターダイアルは、時・分・秒の目盛りを異なるトラックに表示する構造を持ち、クラシックなルックスに仕上げられている。細部に目を向けると、表面の高さや仕上げに変化をつけることで、現代的なシャープさを持たせており、針のデザインもモダンで洗練されている。また、ダイアル中央からアワートラックに向けて段階的に高さが増す3D仕様で、最外周にあるミニッツトラックは外側に傾斜しており、立体感が強調されている。

ケースのサイズは、現代の時計トレンドを反映した直径39.5mmと、往年の小型モデルを彷彿とさせる直径35mmの2サイズがラインナップ。39.5mmのモデルはシンプルなバーインデックスが特徴的で、スタイリッシュな印象を与える一方、35mmのモデルはアラビア数字のインデックスを採用し、視認性を高めている。どちらのサイズも薄型設計（厚さ10mm程度）でありながら、5気圧防水性能を備えており、日常生活でも安心して使用できる実用性を持ち合わせている。

風防は、かつてのプラスチック製風防を彷彿とさせるボックス型サファイアクリスタルが採用されている。これは、現代の技術で作られた硬度の高いサファイアクリスタルを美しいボックス型に切削することで、ヴィンテージ感を損なうことなく、耐久性と美しさを両立させている。さらに、ケースラグは長めに設計され、丸みを帯びた先端がケースバック側に大きく曲がることで、腕にしっかりとフィットする装着感を実現した。

ストラップには、柔らかな手触りとヴィンテージ調の質感が特徴的なカーフレザーと、耐久性に優れたステンレススティールブレスレットの2種類が用意されている。カーフレザーのストラップは、コバ（側面）を均一で滑らかな面に仕上げ、エッジの美しさが際立っている。また、ステンレススティールブレスレットは5連仕様で、ケース同様にヘアライン仕上げとポリッシュ仕上げの2種類を組み合わせ、モダンでありながらもクラシカルな雰囲気をもつ。

ムーブメントには、信頼性の高いセリタ社製の自動巻きムーブメント「Cal.SW280」をベースにした、レイモンドウェイル専用の「Cal.RW4280」が搭載されている。このムーブメントは、トランスペアレントケースバックを通じて、その精緻な動きを鑑賞できる。レイモンドウェイルのイニシャル「W」を象ったローターが優雅に回転する様子が見え、精度と信頼性の高さはもちろん、機械的な美しさにもこだわりが感じられる仕上がりだ。

新作は、レイモンドウェイルの美意識と最新技術が見事に融合したネオ・ヴィンテージと呼ぶにふさわしい一品。ヴィンテージデザインを現代的にアレンジしたこのモデルは、アートや音楽を愛する人々にとっても魅力的に映るはずだ。ムーンフェイズ表示や細部にまでこだわり抜かれたデザイン、そして高精度なムーブメントが生み出す美しさは、まさに時を刻むアートと言えるだろう。

ミレジム 6型
ムーブメント｜RW4280（SW280）、自動巻き
ケースサイズ｜直径39.5mm×厚さ10.05mm、直径35mm×厚さ9.98mm
ケース素材｜ステンレススティール／ステンレススティール（ローズゴールドPVD）
ベゼル素材｜ステンレススティール／ステンレススティール（ローズゴールドPVD）
風防｜サファイアクリスタル（両面無反射コーティング）
防水｜5気圧
ストラップ素材｜カーフレザー／ステンレススティール／ステンレススティール（ローズゴールドPVD）
価格｜37万4000円～45万1000円

問い合わせ先

レイモンドウェイル
https://raymond-weil.jp/

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