ザクセン王国が栄華を極めた19世紀初め、ドレスデンの宮廷御用達の時計師であるフリードリッヒ・グートケスのもとで、時計師を目指して修業を重ねたフェルディナンド・アドルフ・ランゲ。この偉大なる賢人が、ドレスデン郊外に開設した時計工房から、同ブランドの歴史は始まった。 アドルフ・ランゲは、現代でもなお伝統的な技法として名高い4分の3プレートなどを考案する一方、部品製造に必要な工具を次々と開発。各部品の製造方法を彼のもとで働いていた徒弟たちに広く伝えることで、一代にして同ブランドの基礎を築き上げたのだった。 一族経営を継続しながら、宮廷時計師の製造技術を活かした懐中時計や腕時計を手掛け、20世紀初頭にはヨーロッパ時計界のトップブランドに成長したA.ランゲ&ゾーネ。しかし、第二次世界大戦により、その経営は一時中断。終戦後も、旧東ドイツ圏の国営企業として接収されたまま、栄えあるA.ランゲ&ゾーネの名は、歴史から一時休眠状態となってしまうのだった。 しかし、東西ドイツが統合された1990年、創業者のひ孫にあたるウォルター・ランゲが、かつての時計製造の技術を故郷の地に見事に再興させる。そしてザクセン王国時代から重ね続けてきた技術力と装飾技法を腕時計の分野に惜しみなく注ぎ込み、「ランゲ1」「ダトグラフ」のような、至極のマスターピースを次々と発表。 2枚のディスクにより大きく日付を表示させるアウトサイズデイトや、独自の秒針位置合わせメカニズムであるゼロリセット機構の開発で特許を取得するなど、ザクセン気質と言っても良い旺盛な開発精神をあますことなく発揮し続けている。こうして現代、時計界最高峰のステイタスを再び確立し、時計ファン憧れの高みとして21世紀にも君臨し続けている。 【創業年】1845年 【創業地】ドイツ、ザクセン州ドレスデン郊外 【主なシリーズ名】ランゲ1、ツァイトヴェルク、サクソニア、1815、リヒャルト・ランゲ 【問い合わせ先】A.ランゲ&ゾーネ 03-4461-8080 公式サイト:
A. LANGE & SÖHNE
特集「自分へのご褒美ギフト」OPENERSがおすすめする定番ウオッチウオッチメーカーが誇る定番の腕時計には、長年愛され続けるスタイルと風格がある。クリスマスギフトとして自身へ贈るなら、そんな定番ウオッチがいい。確かな性能と美しさを兼ね備えた一本は、人生をより鮮やかに刻んでくれることだろう。OPENERSが選んだ厳選ウオッチリストから、とっておきの時計を見つけてほしい。Text by OPENERS【メンズ編】A. Lange & Sohne|A.ランゲ&ゾーネ「ランゲ1」は、1994年にブランドの復興第1号モデルとなった歴史的なモデルだ。VACHERON CONSTANTIN| ヴァシュロン・コンスタンタンブランド初のスポーツモデル。 特にステンレスモデルは希少。HUBLOT|ウブロいま話題のウブロの日本限定モ デル。特にこの冬、ホワイトカ ラーにレッドステッチは人気。OMEGA|オメガ1957年に登場したオメガのダイバーズ「シーマスター 300」の忠実な復刻。Cartier|カル...
A. Lange & Söhne|A.ランゲ&ゾーネPRディレクター アーンド・アインホーン インタビューその“シンボル”と呼ばれる腕時計A.ランゲ&ゾーネは、ドイツのザクセン州、ドレスデンに居を構えるマニュファクチュール。ドイツの東西分裂とともに一時休眠するが、ドイツ統合を機に1994年に新生A.ランゲ&ゾーネとして復活を遂げる。昨年の2010年はブランドの創設165周年、かつ復活から20周年を記念した数々の名品を発表したが、この新作「リヒャルト・ランゲ・トゥールビヨン“プール・ル・メリット”」もまた、A.ランゲ&ゾーネの歩みを伝えるモデルとしての登場だ。Text by NOGAMI AkiPhotos by JAMANDFIXA.ランゲ&ゾーネの偉業を語る“プール・ル・メリット”「この時計は、『A.ランゲ&ゾーネ』を語るシンボルのひとつです」「リヒャルト・ランゲ・トゥールビヨン“プール・ル・メリット”」を手にそう語るのは、A.ランゲ&ゾーネのPRディレクターを務めるアーンド・ア...
Lange1 Daymatic|ランゲ1デイマティック自動巻きでレトログラード式曜日表示を搭載「ランゲ1」は懐中時計をルーツに時分ダイヤルとスモールセコンド、アウトサイズデイト表示を絶妙なアシンメトリック(非対称)のバランスで配置し、「A.ランゲ&ゾーネ」の復興を告げた記念すべきモデルだ。ブランドの顔として愛されてきたモデルが、ついに自動巻きへと進化した。一見すると従来通りの見た目だが、じつは文字盤の要素の配置が左右逆となり、またインジケーターの表示内容が、パワーリザーブ(ゼンマイの巻き上げ量)からレトログラード式曜日表示に変更されている。単なる自動巻化ではなく、デザインの要素や構成を根本から見直しているところはさすがだ。自動巻き、イエローゴールドケース、直径39.5mm、シースルーバック、384万3000円(予価)、7月発売予定。BRAND HISTORYザクセン王国が栄華を極めた19世紀初め、ドレスデンの宮廷御用達の時計師であるフリードリッヒ・グートケスのもとで、時計師を目指し...
F.A. Lange Hommage Collection Lange 1 TourbillonF.A. ランゲ オマージュ コレクション ランゲ1・トゥールビヨントゥールビヨンの軸受けにダイヤモンドを採用オマージュ コレクション3部作のひとつとして、従来の手巻きタイプの「ランゲ1」をベースに150本のみ限定製造されるランゲ1のトゥールビヨンモデル。1分間に1回転するトゥールビヨンケージを支える、ムーブメントとそれぞれの軸受けには、アドルフ・ランゲのポリシーに従って、最高級品を意味するダイヤモンド軸受けを採用。さらにアウトサイズデイトの1の位のディスクをサファイアクリスタル製にすることで、その動作のようすも見えるように工夫されている。またランゲ特許のストップセコンド機構も搭載して、秒単位までの正確な時刻合わせが可能だ。2005年に発表されたランゲの製品のなかでももっとも複雑で伝説的な逸品である「トゥールボグラフ“プール・ル・メリット”」の再登場モデル、1周期当たりの誤差がわずか6....
A. LANGE & SÖHNE|A.ランゲ & ゾーネLANGE1|ランゲ1Text by OPENERS1845年創業の老舗ブランド、A.ランゲ&ゾーネ。東西ドイツ分裂期には休眠状態を余儀なくされていたが、1990年、創業者のひ孫にあたる“ウォルター・ランゲ”の手によって見事に再興。その復活第一号モデルとして発表されたのが「ランゲ1」である。同モデルは、腕時計として初めて「アウトサイズデイト」を搭載したことでも有名。通常の日付表示とは異なり、2枚の日付ディスクを使用することで、視認性を格段にアップさせている。また、主ダイヤルをあえて9時方向にオフセットして、フェイスが非対称に仕上げられた、計算された文字盤デザインも特徴。古典的なドイツ時計の奥義を感じさせてくれる、伝統的な意匠である。文字盤の3時方向には、72時間までの巻き上げ残量が確認できるパワーリザーブ表示も装備。シースルーバックからは、伝統的な“3/4プレート”や“スワンネック緩急針”を装備した、自社製の手巻きムー...
A. LANGE & SÖHNE|A.ランゲ & ゾーネDOUBLE SPLIT|ダブルスプリットText by OPENERS2004年に登場し、世界中の関係者を仰天させたA.ランゲ&ゾーネの「ダブルスプリット」。傑作「ダトグラフ」をベースにした、スプリットセコンド・クロノグラフかと思いきや、そこには同社らしい1枚上手をゆく技術が搭載されていた。通常のスプリットセコンド・クロノグラフは、センターにクロノグラフ秒針が2本装備されている。しかし、同モデルには、なんと4時位置の30分積算計にも、針を2本搭載。つまり、“秒”だけではなく、“分”単位まで、中間時間の計測や、ふたつ以上の対象のタイム計測が可能になっているのだ。そして、シースルーバックからは、自社開発の手巻き「Cal.L001.1」の美しい姿を見ることができる。ふたつのコラムホイールによって、オペレイティングレバーが躍動する様子は、見るものを感動させるに十分な資質を備えている。なおかつ、洋銀を使ったブリッジや、ゴールド...
A. Lange & Sohne|A.ランゲ&ゾーネ最高峰モデル“プール・ル・メリット”第4弾モデルにくわえ、初のミュージカルウォッチ、初の超薄型シンプルモデルを発表!今年のS.I.H.H.で発表されたA.ランゲ&ゾーネの新作のうち、なんといっても注目すべきは、高度なメカニズムを搭載したふたつのあたらしいコンプリケーションだ。全面的にリニューアルされた「サクソニア」の全貌もあわせ、ここで紹介。文=渋谷康人曾祖父アドルフ・ランゲによる1845年のマニュファクチュール創業の伝統を継承すべく、東西ドイツ分割と会社の国有化による半世紀の空白を超えて、1990 年にウォルター・ランゲの手で復興。ドイツ・グラスヒュッテ伝統のスタイルと最高峰の職人技による究極の機械式時計づくりを追求しているA.ランゲ&ゾーネ。高い目標を掲げて一切の妥協を許さない姿勢、トレンドに影響されることなどない独自のペースでの製品づくりは2011年も変わらない。今年の新作は全部で6モデル。その内訳は、ふたつの複雑モデルと、...
A. Lange & Söhne|A.ランゲ&ゾーネ7年の時を経て、超複雑時計「グランド・コンプリケーション」が登場根強いファンの多い「1815」も新作続々A.ランゲ&ゾーネ2013年の新作で最大の注目作は、7年もの歳月をかけて開発されたという、メゾンの頂点に君臨する「グランド・コンプリケーション」。ミニッツリピーター、永久カレンダー、スプリットセコンドクロノグラフと3つの複雑機能を備えた、時計コレクターのためのスペシャルモデルだ。Text & Event Photographs by SHIBUYA Yasuhito1994年の劇的なブランド復活から現在まで、“ドイツ時計の最高峰”の歴史に恥じない、すばらしい機械式時計を自身のペースで着実に作りつづけ、時計愛好家から熱烈な支持を集めてきたA.ランゲ&ゾーネ。今年の新作で最大のトピックは、7年もの歳月をかけて開発されたという、すべてのモデルの頂点に君臨する「グランド・コンプリケーション」だ。レバーを動かした時に時刻を音で知ら...
A. LANGE & SÖHNE|A.ランゲ & ゾーネ創業165年目、復興20周年を記念して、限定3部作を筆頭とした圧巻の新作を披露文=渋谷康人ザクセン王国の宮廷時計師の伝統と技術を継承するフェルディナンド・アドルフ・ランゲがドレスデン郊外に1845年に創業した、A.ランゲ&ゾーネ。ドイツ時計の歴史と伝統を体現する名門は今年、創業から165年目、そして旧東ドイツ政権による国有化という数奇な運命を経て東西ドイツ統一を契機にした劇的な復興からちょうど20周年を迎えた。少数だが練りに練った製品づくりがこのブランドの信条であり、よってS.I.H.H.での新作も他のメゾンとくらべると少ないのが通例。だが今年はこの記念すべき年を迎えて、全部で13モデルというかつてない数の新作、それもとびきりの力作が揃えられた。いずれも既存のコレクションにはない魅力を備えているが、もっとも注目に値するのはやはり創業者へのオマージュとして発表された「トゥールボグラフ"プール・ル・メリット"」「ランゲ1・...
Saxonia Annual Calendar|サクソニア・アニュアルカレンダーブランド初のアニュアルカレンダー機構を搭載Text by OPENERS定評ある自動巻きムーブメント「SAX-0-MAT」にアウトサイズデイト、ムーンフェイズ表示、月表示、曜日表示を組み込んであらたに開発された、ランゲとしては初のアニュアルカレンダー(1年に1度、3月1日にのみカレンダーの修正を必要とするカレンダー機構)を搭載する新作。「サクソニア」コレクションならではの、多機能ながらスッキリとした端正な顔も素晴らしい。写真のホワイトゴールドケースモデルのほかに、ピンクゴールドのモデルもある。自動巻き、ホワイトゴールドケース、ケース径38.5mm、371万7000円(予価)、4月発売予定。BRAND HISTORYザクセン王国が栄華を極めた19世紀初め、ドレスデンの宮廷御用達の時計師であるフリードリッヒ・グートケスのもとで、時計師を目指して修業を重ねたフェルディナンド・アドルフ・ランゲ。この偉大なる賢人...
2013年新作、各国で栄誉ある賞を相次いで受賞ジュネーブ時計グランプリでブランドの2013年新作「1815ラトラパント・パーペチュアルカレンダー」が二冠を達成。さらに、創業者アドルフ・ランゲから数えて4代目のウォルター・ランゲ氏が「オマージュ・ア・ラ・パッシオン」を受賞するなど、今年A.ランゲ&ゾーネは合計19の賞を受賞。輝かしい成果を収めた一年となった。 Text by KUROMIYA Yuzu合計19賞を受賞、歴史に残る一年11月におこなわれたジュネーブ時計グランプリのグランド・コンプリケーション部門で、ブランドの人気モデル「1815ラトラパント・パーペチャルカレンダー」が最優秀賞を獲得。この部門が創設されて以来、スイス以外のブランドが制したのはこれがはじめて。さらに、一般人気投票部門でも第1位に選出され、見事2部門での表彰となった。2100年まで日付修正不要という高い精度をもつこの非凡なタイムピースは、ドイツ・ミュンヘンで開催された「ミュンヘンタイム」展の「4万ユーロ...
ラルフ・ローレン氏がヒストリックカーコンクールのウイナーに世界にただひとつの「ランゲ 1・タイムゾーン」が贈られる5月末にイタリア・コモ湖畔で開かれた世界でもっとも有名なヒストリックカーコンクール「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」を昨年からサポートしているA.ランゲ&ゾーネ。今年も審査員賞「ベスト・オブ・ショー」の受賞者のために世界でたったひとつのタイムピースを制作し、1938年製のブガッティで優勝したファッションデザイナーのラルフ・ローレン氏に贈られた。Text by YANAKA Tomomiベスト・オブ・ショーに輝いたのは、1938年製のブガッティ1929年に発足し、デザイン性とエレガンスに主眼を置きながらコンテストが競われる「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」。A.ランゲ&ゾーネが昨年からサポートしている世界屈指のヒストリックカーコンクールだ。今年も会場には、目の届かない細部にまで手入れがほどこされた往年の名車がずらりと並び、華やかな雰囲気の中に数多くのセ...
A. Lange & Sohne|A.ランゲ&ゾーネA.ランゲ&ゾーネ、1年で18もの賞を受賞Text by OPENERSドイツの高級時計ブランド「A. Lange & Söhne」(A.ランゲ&ゾーネ)が、2007年に受賞した賞の数が18にものぼった。1845年にドイツで創業したA.ランゲ&ゾーネ。東西ドイツ分裂期の一時休眠を経て、1990年に復活した名門ブランドにとって、2007年は記録的な1年だった。数々のアワードのうち、ウィーンで開催された「2007年ウォッチ・オブ・ザ・イヤー」では、「LANGE 31」(ランゲ31)が「複雑機構部門」、「GRAND SAXONIA AUTOMATIK」(グランド・サクソニア・オートマティック)が「クラシカルエレガンス部門」を受賞。さらにオーストリアの全国紙『Die Presse』の読者投票では、A.ランゲ&ゾーネの時計が通算11回目の1位に選ばれた。ブランド復活以来の入賞歴はすでに100を超え、う...
A.LANGE & SÖHNE|A.ランゲ&ゾーネ「ランゲ1」に待望のグランドコンプリケーションモデルが登場!定番として人気の「ランゲ1」に、トゥールビヨン&パーペチュアルカレンダー機構を搭載した複雑モデルが新登場。また大型ケースモデル「グランド・ランゲ1」は、ムーブメントから一新され薄型モデルに生まれ変わった。さらに定番の「ダトグラフ」も改良され、新モデルへと進化を果たしている。Text & Event Photographs by SHIBUYA Yasuhito1845年にドレスデン郊外のグラスヒュッテで創業した名門であり、スイスとは大きく異なるドイツ独得の伝統的なスタイルを継承、発展させてきた、芸術的な機械式時計の製造に取り組む「A.ランゲ&ゾーネ」。他のブランドでは考えられない画期的な発明も多く、1994年のブランド復興以来、技術的な面でも業界をリードしつづけている。大きな窓で日付を見やすく表示する「アウトサイズデイト機構(一般的な名称はビッグデイト機構)...
A. LANGE & SOHNE|A.ランゲ&ゾーネドイツ・ドレスデンで再興する世界屈指のオート・オルロジュリーA.ランゲ&ゾーネの故郷を訪ねてドイツ東端の都市、ザクセン州ドレスデンからクルマで約1時間。スイスと並ぶ時計の一大生産拠点、グラスヒュッテに「A.ランゲ&ゾーネ」の工房はある。1845年にフェルディナンド・アドルフ・ランゲが創業し、徹底した手仕事と類い希なる開発精神をもって、数少ない真のマニュファクチュールとなった名門の、その時計作りのルーツに迫った。 Text by AKIZUKI Shinichiro(OPENERS)Photographs by courtesy of A. LANGE & SOHNE / IKUO YAMASHITA時の君主たちの収蔵品今年5月、「A.ランゲ&ゾーネ」創業の地、ドレスデンを訪ねた。市内中心部は、右岸を旧市街、左岸を新市街と分けるようにエルベ川が走り、その側にはツヴィンガー宮殿やセンパーオペラ座など、ドレスデンを代表す...