連載|TANAKA Rei`s beauty monologue
「連載|TANAKA Rei`s beauty monologue」に関する記事
連載・田中 玲|其の六「柔らかい夜」
其の六「柔らかい夜」文=田中 玲写真=中川昌彦休日前の夜、愉しみにしている時間がゆっくりと静かに訪れる。ウイスキーを飲むひと時。私に寄り添う愛猫と本とウイスキー。ウイスキーには少しも詳しくないが、ひとに薦められて以来気に入ってよく口にしています。そもそもお酒というもの自体にそれほど興味も無かったのですが、味のわかりやすい梅味の梅酒からはじまり、ある時は甘いリキュールを少々、葡萄味のワイン(これもきっと奥が深いのであろう)、夏のビールの爽快さを知ったのもここ最近のことだし、私にとってお酒というものは雰囲気を出す小道具なのです。しかしこの一年くらいはウイスキーを好んで飲んでいます。まず、色が好い。琥珀の液体のやんわりとした香りと口当たり。シャンパンとはまたちがった、優しく愛おしい色合いと感触。基本的には冬でもハイボールで飲む事が多いですが、たまにロックでもいただく。余裕があれば大きめな氷を作って、ゆっくりと溶けるのを楽しみながら飲むのも味わい深い。少しのウイスキーとお気に入りの「SNY...
連載・田中 玲|其の五「卵冥利」
其の五「卵冥利」文=田中 玲写真=中川昌彦協力=PROPS NOW秋の夜長。私は時計の針を気にせず夜通し読書に興じている。夏の短夜の後なので、一層夜が長く感じ、ますます読書に身が入る。小説やエッセイなどの読み物のなかには、しばしば食べ物が描かれている。それらがあっさりとした描写であれば、どんなかたちでどんな食器で食べているのであろうか? と空想したり、余りにもきちんと描写されていると、途端に食欲が沸き、その大切に描写された食べ物を夜中に食べてみたくなるのだから、困ったものである。作家の森茉莉とは、『甘い蜜の部屋』(ちくま文庫)という小説ではじめて出会ったが、その小説のなかの独特な世界と匂いに飲み込まれ、飛び切りお気に入りの一冊になっている。世間的には森茉莉は「耽美派」に属するとされているが、彼女のエッセイを読むと、「飾り気の無い、自分が美しいと思ったものが好きな正直で可愛らしいひと」という印象を受ける。簡単に「耽美派」と括れない「森茉莉の世界」なのである。とりわけ彼女は食に対して数...
連載・田中玲|其の四「茸」
其の四「茸」文=田中 玲写真=中川昌彦椎茸、松茸、しめじ、えのき茸……、秋になると「茸のおいしい季節ですね」などの声をよく耳にします。今では一年中ほとんどの種類の茸を手に入れることが出来るけれど、古名は「菌(くさびら)」といって秋の季語でもあるので、秋の茸は特別なのでしょう。しかし私は椎茸があまり得意ではない。このようなひとは割と多いのではないでしょうか? 私はまったく食べられないのではなくて、丸ごと一つ食べるのはなるべく避けたい。という程度です。たまに撮影のお弁当に入っている椎茸の煮物を、克服したいと試しに口にしてみるが、少しの後悔。口内中に広がる椎茸の香りは、やはりなるべく避けたいと思う代物でした。更に、茸全般にある、僅かな弾力、人肌のような瑞々しい水気を孕んだしっとりとした感触も生物を思い起こせる刹那。手で触るのもなるべく指の触れる表面積が小さくなるようにして、茸を触ります。しかし、椎茸をはじめ茸類は、低カロリーでダイエットに適した食材。90%が水分で、食物繊維の種類と量は、...
連載・田中 玲|其の八「ボディクリームの誘惑」
其の八「ボディクリームの誘惑」モデル田中 玲の連載エッセイ、2009年の第二回。彼女ならではの感受性からこぼれ落ちてくる“言の葉”を紡いで、2月のテーマは「ボディクリーム」について。誘惑に負けてもらいたい、そのテクスチャー……。写真・文=田中 玲手に取ってからだぢゅうにいき渡らせる。というクリームならではの行為ボディクリームは蠱惑的(こわくてき)である。そのいでたち、その香り、その感触、がそう思わせるのでしょうか? 香水もおなじような魅力を放ってはいますが、香水とはちがう魅力をボディクリームに感じます。 香水と大きくちがうのは、感触。出会い方は両者ともちがいます。香水はさらりと通り過ぎますが、ボディクリームはそうはいかない纏わりつく留まりがあるのだと思います。香水より、もう少しの優しさ。手に取ってからだぢゅうにいき渡らせる。というクリームならではの行為のせいなのか、手を込めた安堵。外側だけでなく内側からも香る、まるで自分から発香しているようです。 見た目もひとを惹きつけます。淡い色...
連載・田中 玲|其の九「女の長髪」
其の九「女の長髪」モデル田中 玲の連載エッセイ、2009年・春・弥生。彼女ならではの感受性からこぼれ落ちてくる“言の葉”を紡いで、3月のテーマは「女の長髪」について。最近手に入れた「ピーターメイソン」のブラシは……。写真・文=田中 玲「髪は女の命」とはよく聞く言葉ですけれど、その通り私はここ20年くらい、髪の毛を長くしています。たまに2、3センチ切ったりもしますが、だいたい「ロング」と言われる長さにしています。もちろんボブやショートヘアにしているひとを見かけるといろいろ試したく思いましたけれど、いまだ髪の毛は長いままです。その理由のひとつには、まだなにも知らない小学生のころに、美容室で「段入れますか?」という問いかけに、私は「段」という意味が解らなかったので、なにはともあれ返事をしておけばよいと思い「はい」と答えてしまい、ばっさりショートカットにされたことがあります。そのころの自分のなりたいイメージとは真逆に。それ以降ショートヘアが、私にとってトラウマとなって今まで引きずっています...
連載・田中 玲|其の十「泡の妙」
其の十「泡の妙」モデル田中 玲の連載エッセイ、2009年・春・弥生。彼女ならではの感受性からこぼれ落ちてくる“言の葉”を紡いで、4月のテーマは「泡」について。スキンケアに「泡」は必須のもの……。写真・文=田中 玲心と体、すべてのケアを“泡”が包み込んでいる「泡」は日常のスキンケアにおいて大切なことです。 石鹸は泡をたててから使用しますし、泡で出てくる洗顔料も多々あります。それくらい「泡」は必要不可欠なものなのでしょう。生命の源も海の泡からはじまっているともいわれています。泡で力を入れすぎないように洗顔すると、泡が余分な角質や汚れを取り去ってくれ、しっとりとした肌に仕上がります。なにより、泡の感触はとても気持ちが良いですし、できたらすぐなくなるという姿も心惹かれます。おなじ泡でも炭酸の泡も美容に多く取り入られています。私は入浴の際には入浴剤、良い香りのする天然塩などを使用していましたが、最近は炭酸の入った、入浴剤を使用しています。身体の芯から暖まり、心地よい香りでとてもリラックスでき...
連載・田中 玲|其の十一「忙しい唇」
其の十一「忙しい唇」五月。緑の濃度がどんどん濃くなって行き、すらりと通り過ぎる初夏の匂いの夜。何故か私をわくわくさせてしまう。夏の香り。今年ももう、ちらほら香っています。写真・文=田中 玲五月の萌える緑の香りと共に、気をつけなくてはいけないのは、紫外線。心地よい風と空気に酔ってつい忘れがちな、侮れない五月の紫外線。気持の良い日差しについつい紫外線対策を忘れて終いそうだが、きちんと顔にも紫外線対策を。特に無防備な唇。日々普通のリップクリームでも塗っていると、気がつけば唇はかさかさに。この頃から、UVリップクリームを欠かさずに塗っていなければ。それでも、荒れてしまった唇には、やさしいゴマージュを。最近お気に入りのシャネルのリップゴマージュパレット、「レーブルドゥスール」は、とても優しく余分な皮を落としてくれる優れもの。見目麗しいシャネルのパレットにゴマージュ、リップクリーム、薄い色のグロスの唇ケアが詰まっています。唇は、乾ついていると、見た目にも気分的にも宜しくないものです。唇はいつも...
連載・田中 玲|其の十二 「手」
其の十二 「手」夏の夜風の香りは色々な記憶が、浮かんでは消え、消えてはまた浮かんでゆく。特別な時間です。雨の夜などは格別に。そのなかのひとつ、幼い頃のぼんやりとした記憶のなかで、父が私の頭を撫でてくれている、「いいこ いいこ」。その手はとても温かで、少しの重みももっている特別な手でした。写真・文=田中 玲「いいこ いいこ」だったり、マッサージだったり、手を繋いだり、手に包まれると安堵を覚えるのは、手からなにか特別なものが出ているからなのだろうか? ナノメートル単位の凹凸を手で判断できる「神の手」と呼ばれる職人さんがいるという話もあることですし、手には眼に見えない位の細かいヤスリが付いているのではないかと思うくらい、肌を撫でると肌には光が差し、その圧倒的な安堵に陶酔せずにはいられない。私は毎日肌の調子を確かめるために手で顔を撫でる。手のひらと指はどんな些細な凹凸も逃さない。毎日触れているとその日の調子の善し悪しが指を伝う感触で気がつくのです。そうして、その時々に合うスキンケアを選ぶ。...
新連載|モデル田中玲のビューティモノローグ 其の一「プロローグ」
新連載|其の一「プロローグ」連載開始から1年を迎え、新たなテーマでリニューアルさせて頂きます。テーマは「食」について。文=田中 玲写真=中川昌彦「食」といっても、幅広くさまざまな視点から「食」について書いていきたいと考えています。たとえば、自然食品、安全、添加物、朝食、夕食、器、水など。食べるもの、体内に入れるものは、血となり、肉となり、活力となり、美容においても欠かせない、美しさの源となるものとは認識していました。しかし外側からの美容ばかり重点をおいて「食」に対しての関心は薄く、「必要なものはサプリメントで補えばよし」というふうに、体内に摂取するものはあまり重要視していないときもありました。けれども、乳児が母乳を飲む必然性、子猫が母乳を飲む必要性は誰の目にも明らかです。「食」は、癒し、満足感、娯楽、だけではなく、明日への活力、そして美しさのために、欠かせないものです。甘いもの、嗜好品、お酒なども好きな私に「食=美」というテーマは難題ではないかとも考えましたが、それでも私なりにモデ...
連載・田中 玲|其の二「白い食卓」
其の二「白い食卓」夏が来た。建物も緑も夭夭(ようよう)に反射して街が白い。文=田中 玲写真=中川昌彦夏の飲み物と言えば、大抵のひとは「カルピス」と言うかも知れない。いや、ビールかも。ともかく私の夏の定番の飲み物は「カルピス」なのです。それも「カルピスウォーター」ではなくて、原液を薄めて飲むほうが夏らしい。「グラスに氷を入れて、原液を好みの濃さで水で割る」というこの手を込めた作業が、美味しさを深めている。私はカルピスもカルピスウォーターも好きだけれど、カルピス通の友人に言わせると、やはり、カルピスは原液を割って飲むものだそうです。カルピスのように、私は「白い食べ物」を好んでいた時期がありました。味云々より、ただ色が白いことのみ。という理由で、豆腐、牛乳、白い豆、ヨーグルト、白いパン、など全体的に白っぽい食べ物を選んで食していました。なぜなら、白い食べ物は、肌の色を白くしてくれるような気がしたからです。反対に、美白を心がけていた私は、チョコレートなど色の濃いお菓子を避けていました。私の...
連載・田中 玲|其の三「生ジュース」
其の三「生ジュース」文=田中 玲写真=中川昌彦夏も少しずつ姿を変えはじめてはいてもまだ残る夏。真夏への寂しさを横目で見送って、少しずつ季節が変わっていく。目にはさやかに見えない。この季節の変わり目はなにかと、身体や肌の調子が乱れがちになります。最近よく目にする買い物疲れ回復のデパ地下の果物ジューススタンド、新鮮な生ジュースを提供するお店も身近に増えています。私が日々の体調を保つために長年つづけている「ゴーヤジュース」は、季節の変わり目にはもちろん、ビタミンCが豊富なので、日に焼けてしまったときなどにもお薦めです。作り方はとても簡単で、生のゴーヤと、リンゴなどお好きな果物をブレンダーで混ぜて、柑橘系ジュースで割るというものです。柑橘系ジュースの代わりにオレンジやグレープフルーツなどを搾ったものでもおいしいです。ピーマン、ほうれん草など入れるのもよいです。少し罰ゲームのような色合いをしていますが、ゴーヤの苦みと柑橘系ジュースのおかげで見た目よりは飲み易いです。 ゴーヤは、水分が多く全...
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