連載・田中 玲|其の六「柔らかい夜」
其の六「柔らかい夜」
文=田中 玲写真=中川昌彦
休日前の夜、愉しみにしている時間がゆっくりと静かに訪れる。
ウイスキーを飲むひと時。
私に寄り添う愛猫と本とウイスキー。
ウイスキーには少しも詳しくないが、ひとに薦められて以来気に入ってよく口にしています。
そもそもお酒というもの自体にそれほど興味も無かったのですが、味のわかりやすい梅味の梅酒からはじまり、ある時は甘いリキュールを少々、葡萄味のワイン(これもきっと奥が深いのであろう)、夏のビールの爽快さを知ったのもここ最近のことだし、私にとってお酒というものは雰囲気を出す小道具なのです。
しかしこの一年くらいはウイスキーを好んで飲んでいます。まず、色が好い。琥珀の液体のやんわりとした香りと口当たり。シャンパンとはまたちがった、優しく愛おしい色合いと感触。基本的には冬でもハイボールで飲む事が多いですが、たまにロックでもいただく。余裕があれば大きめな氷を作って、ゆっくりと溶けるのを楽しみながら飲むのも味わい深い。少しのウイスキーとお気に入りの「SNYDER`S」のプレツェルをおつまみにいただくのは満ち足りた時になります。
この程度の初心者ではあるが、今のところは近所で容易に手に入る「竹鶴12」をメインに楽しんでいます。知識は無いがウイスキーの好き嫌いも少しずつ分かるようになってきたので、いろいろ飲んで試しています。でも、海外のものは気に入っても名前が長過ぎて忘れてしまうのが困る。今のところの名のわかるお気に入りは「竹鶴」。
ワインもシャンパンも好きだけれど、ウイスキーは蒸溜酒のせいか、個々の体質にもよると思いますが、次の日に残らないし、むくみもしない。これもウイスキーを好む点です。
アルコール度数も40%と高く、がぶがぶ飲むことは無く、カロリーも適度に飲めば、糖分がほとんどゼロに近い分、太りにくいらしいです。しかも、ウイスキーにはメラニン色素抑制成分があり、美白効果もあることが日本薬学会で発表されているところもうれしい点です。
芳しいウイスキーの甘美さと温かい愛猫の寝息に手を引かれて眠りに導いてくれる、柔らかな夜。