江口宏志のレーベルで選ぶブックガイド

#01 『GAME』

#01 『GAME』

グッドブックは正直な出版社から生まれる。なぜなら彼は自分が好きな本しかつくらないから。よく考えればあたりまえの、そんなことを思い出させてくれたのは、スイスのパブリッシャー、Nievesだった。キム・ゴードン、マイク・ミルズ、ホンマタカシ、ダニエル・ジョンストンにラリー・クラーク……。そうそうたるアーティストの作品集を出しているこの出版社は、チューリヒに住む、ベンジャミン・ソマホルダーがほぼひとりで企画、編集、デザイン、販売までを行っている。本来は、コピーした作品をホッチキスで留めるだけの“zine”を作っていたNievesは、いまではついにハードカバー、フルカラーの写真集をつくるまでになったけれど、いまでも本をつくる基準は、売れるとか売れないとかじゃなくて、好きか嫌いか、その一点であるようにみえる。レコードにレーベルごとのカラーがあるように、出版社が本を選ぶ基準になるといいと思って、これから出版社ごとに紹介してみたい。一回目はもちろんNievesからだ。“GAME”Peter Su...
#02 Stefan Marx

#02 Stefan Marx

#03 Nieves(2)レコードにレーベルのカラーがあるように、出版社が本を選ぶ基準になってもいい。オルタナティブな視点で、良質な本をリリースする出版社と本を紹介していく『UTRECHT』代表・江口宏志の“レーベルで選ぶブックガイド”。スイスの出版社、Neives編2回目は、ドイツ人デザイナー、ステファン・マルクスを紹介します。【左】『I Wait Here For You Forever as Long as It Takes』Stefan Marx(Nieves刊)3990円【右】『Todenhausen』Stefan Marx(Nieves刊)840円ジン――創作のルーツをサラリと1979年生まれ、ドイツ・ハンブルグ在住。インディペンデントTシャツレーベル『THELOUSY LIVIN'COMPANY』のデザイナー兼イラストレーターとしても活動する、ステファン・マルクスによる最新作品集。軽い出版物を得意とするNievesの出版物としては異例の全96ページのヴォリュームながら...
#03 『Dog and Wolf』

#03 『Dog and Wolf』

#03 Nieves(3)レコードにレーベルのカラーがあるように、出版社が本を選ぶ基準になってもいい。オルタナティブな視点で、良質な本をリリースする出版社と本を紹介していく『UTRECHT』代表・江口宏志の“レーベルで選ぶブックガイド”。今週はニューヨークの新世代フォトグラファー、ニック・ハイムをフィーチャー。みずみずしい感性が、ファインダーの先に見据えるリアルとは?『Dog and Wolf』Nick Haymes(Nieves) 3360円普段のスケートボーダーたち1968年イギリスに生まれ、現在はニューヨークを拠点に活動する、写真家ニック・ハイム初の作品集。「犬とオオカミの間」という詩的なタイトルのとおり、いまどきのどうということもないスケートボーダーたちの、少年から青年になる彼ら独特な勢いと、精神的な未熟さや不安が、その32ページに収められている。一見ラフに撮っているようで、注意深く見てみると、構図を含め高い完成度をもっていることがわかる。tinyvices.comのティム...
#04 『here and there』

#04 『here and there』

#04 Nieves(4)レコードにレーベルのカラーがあるように、出版社が本を選ぶ基準になってもいい。オルタナティブな視点で、良質な本をリリースする出版社と本を紹介していく『UTRECHT』代表・江口宏志の“レーベルで選ぶブックガイド”。今週はファッションジャーナリスト、林央子をフィーチャー。Nievesに参加する日本人の先駆けとなった、彼女がもつ感性とは?here and thereNievesからは、いままでミヤギユカリ、長崎訓子、ホンマタカシなど多くの日本人アーティストのジンや作品集が発行されている。その先駆けとなったのが、ファッションジャーナリスト、林央子をゲストエディターに迎えた『ZOO MAGAZINE #4』だった。だから、彼女が関心のある人々やものごとを、雑誌形式で発行する『here and there』が、前号よりnievesの刊行物となったのは、とても自然に思える。そして、8月末に発売される最新号『here and there vol.7』では「Paris - ...
UTRECHT(ユトレヒト)×PAPER BACK 「ZINE'S MATE TOKYO 2009」を今夏開催

UTRECHT(ユトレヒト)×PAPER BACK 「ZINE'S MATE TOKYO 2009」を今夏開催

UTRECHT(ユトレヒト)×PAPER BACK「ZINE'S MATE TOKYO 2009」を今夏開催!本にまつわるユニークな活動で知られるUTRECHT(ユトレヒト)では、現在開催中のアートフェア「101 Tokyo Contemporary Art Fair 2009」とパートナーシップを結び、今夏開催予定の「ZINE'S MATE TOKYO 2009」のプロモーションを展開している。アートフェア「101 Tokyo Contemporary Art Fair 2009」でプロモーション中ユトレヒトでは、イギリス・ロンドンを中心に活動するPAPER BACK(オリヴァー・ワトソン代表)とともに、日本国内では初となるインディペンデントパブリッシャーによる出版物を中心にした大規模なブックフェア「ZINE’S MATE TOKYO(ジンズメイトトーキョー)2009」を、表参道のGYRE内ギャラリー「EYE OF GYRE」、原宿「Vacant」にて、7月10日(金)より開催す...
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