Yoko Ueno Lewisの暮らしノート
「Yoko Ueno Lewisの暮らしノート」に関する記事
連載・Yoko Ueno Lewis|暮らしノート・第2回 「パンプキンオレンジの街」
The Way We Live with “STYLE”暮らしノート 第2回 「パンプキンオレンジの街」サンフランシスコからゴールデンゲイトブリッジを渡りきると、別荘や高級住宅地で知られるマリン・カウンティに入ります。プライベートなヨットハーバーも多く、静かな海岸とレッドウッドの森に挟まれた美しい町並みがつづきます。このあたりから少し山側に入ったところに、ミルバレー(Mill Valley)という小さな山間(やまあい)の街があります。写真と文=Yoko Ueno Lewis(Oct. 2010)まるでペイントしたような鮮やかな縞模様のパンプキンが告げる秋ミルバレーには、詩人や作家、アーティストや引退した知識人がたくさん住んでいて、独特の雰囲気を醸し出しています。澄みわたった青空を突くレッドウッドの大木がつくる木漏れ日の街も、ハロウィンのパンプキンオレンジに彩られ、すっかり秋を迎えていました。レッドウッドの木陰の通りこの時期にはインディアンサマーと呼ぶ乾いた晴天がつづき、日中は30度...
連載・Yoko Ueno Lewis|暮らしノート・第8回 スウェーデン直感紀行 Vol.1「スウェーデンのときめくシンプル“マグネティック・タウン Ystad(イスタ)”」
The Way We Live with “STYLE”暮らしノート 第8回 スウェーデン直感紀行 Vol.1「スウェーデンのときめくシンプル“マグネティック・タウン Ystad(イスタ)”」8月の終わりから9月はじめにかけての10日間、Copenhagen(コペンハーゲン)2泊、対岸のスウェーデンのMalmo(マルメ)とYstad(イスタ)に計2泊、そしてStockholm(ストックホルム)3泊の旅をしてきました。エネルギーシフトを考える『節電と省エネの知恵123』の執筆と出版を終えたばかりの箕輪弥生さんとのふたり旅でした。写真と文=Yoko Ueno Lewis(Oct. 2011)陸橋を渡ると、そこはスウェーデンでしたコペンハーゲンからオーレスン橋で対岸のマルメに渡り、さらに列車を乗り継いで1時間足らず、バルト海に面した小さな街イスタに着きます。BBCのTVドラマ『Wallander(ワレンダー)』(スウェーデンの国際的作家 ヘニング・マンケルのミステリー)の舞台として知られ...
連載・Yoko Ueno Lewis|暮らしノート・第15回 「レストン・ヴァージニアで考えたこと」(前編)
The Way We Live with “STYLE”暮らしノート 第15回進行する環境破壊と超高齢化社会における“Less is More”(前編)イースターウィークエンドをはさんだ4月、ワシントンDCに隣接するヴァージニア州Reston(レストン)で1週間を過ごしました。Text & Photographs by Yoko Ueno Lewis(Jun. 2014)大都市近郊型のモデルシティレストン・ヴァージニアは、ワシントンDCメトロポリタンエリアに含まれる合衆国統計局による国勢調査指定地域で、DC、Virginia、 Marylandの3つの州が隣接している、アメリカの代表的な大都市近郊型のモデルシティとして計画的に創られた、国際的にも知られた街です。住居と職場(Live and Work)の融合をコンセプトに、のちに主流となった、ニューアーバンニズムを踏襲するアメリカの都市近郊型シティのモデルケースとしての成功例です。住宅地からほぼ徒歩10分前後の距離内に、小売...
連載・Yoko Ueno Lewis|暮らしノート・第16回 「レストン・ヴァージニアで考えたこと」(中編)
The Way We Live with “STYLE”暮らしノート 第16回超高齢化社会(対エルダーズ)における“Less is More”(中編)“Less is More”とは、近代主義建築のコンセプトを確立したドイツの建築家であるミース・ファン・デル・ローエ(ファンズワース邸、バルセロナ・パビリオン、シーグラムBLDG(マンハッタン)などを設計)が提唱した美意識とスタイルを語るフレーズです。直訳すると、より少ないことこそ、より多くをもたらす ― つまり、もたないこと、足りないこと、ないことによって、逆に得ることの大きさや深さが在るのだということです。 進行する環境破壊と超高齢化社会における“Less is More”(前編)を読むText & Photographs by Yoko Ueno Lewis(Jun. 2014)アメリカ社会は完璧な大人社会である“Less is More”の考え方は、その後、ロンドンミニマムで知られる、ジョン・ポーソン(www.john...
連載・Yoko Ueno Lewis|暮らしノート・第17回 「レストン・ヴァージニアで考えたこと」(後編)
The Way We Live with “STYLE”暮らしノート 第17回進行する環境破壊(対アース)における“Less is More”(後編)もうひとつの“Less is More”は「もうこれ以上無駄なことは何一つしてはいけない」という環境に対する危機への対策です。配慮ではなく、すでに「禁止」という状況であるといえるところまで破壊は進行しているのです。レイチェル・カールソンの『沈黙の春』が出版されて、すでに半世紀以上が経過しているのです。超高齢化社会(対エルダーズ)における“Less is More”(中編)を読むText & Photographs by Yoko Ueno Lewis(Jun. 2014)有効な近未来都市のゴールとは無駄や無理を創るのは人間だけです。動物はしません。人間だけが地球の命を縮めています。巨大スクリーンに映し出される意味不明な映像やコマーシャル、それが大都会のシンボルである時代はもうとっくに終わっています。そんなことにシステムを使って...
連載・Yoko Ueno Lewis|暮らしノート・第10回 スウェーデン直感紀行 Vol.3「世界遺産“森の墓地 スクーグスチルコゴーデン”を歩く」
The Way We Live with “STYLE”暮らしノート 第10回 スウェーデン直感紀行 Vol.3「世界遺産“森の墓地 スクーグスチルコゴーデン”を歩く」前回につづいて、スウェーデンのハイライト、世界遺産の「森の墓地 スクーグスチルコゴーデン」へ向かいました。Text & Photographs by Yoko Ueno Lewis(Feb. 2012)宗教に関係なく、だれもがその魂を宇宙に返すことができますストックホルムの中央駅から電車で約20分足らず、小さな駅を降りて、長い塀に添って歩くと、すぐに門が見えてきます。建築家はスウェーデンのグンナール・アスプルンド、1940年に完成。1994年に世界遺産に登録され、20世紀以降の建築作品のなかで登録第1号ということです。森の自然な状態をそのままに、そのなかに溶け込むように墓地や火葬場、教会や祈りの場が設けられています。大切なひとを見送る……、その気持ちにやさしく閑かに寄り添うような墓地全体のコンセプトは、時間を...