連載・Yoko Ueno Lewis|暮らしノート・第13回 ベッドファーニシングブランド「SOVA」誕生
Design
2015年3月12日

連載・Yoko Ueno Lewis|暮らしノート・第13回 ベッドファーニシングブランド「SOVA」誕生

The Way We Live with “STYLE”

暮らしノート 第13回

「SOVA, Multi-Combination Bedding Linens」(1)

ベッドルームの世界を、インテリアデザインとしての遊びやチャレンジの世界へ解放したい!──「ベッドルームの自己実現開放宣言!?」。そのためのブレイクスルーの一つとなってほしい……そんな思いで提案型ベッドファーニシングブランド「SOVA」を立ち上げました。
「SOVA(ソーヴァ)」、Swedishで眠るという意味をもつワードをブランド名に採用、一点買いや衝動買い、さらにギフトにも適応し、かつ、マルチコンビネーションのインテリアワールドを楽しめる……そんな世界観をコンセプトにしました。

Text & Photographs by Yoko Ueno Lewis(July. 2013)

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「ベッドルーム」で表現する自分らしさは子どものころから鍛えられる

インテリアコーディネイションは、手軽な自己表現の現場として、欧米ではとくに「ベッドルーム」はキッチンとならんでその大きな舞台になります。好みはもちろん、季節によってリネンの色柄を変え、素材を変え、そのコーディネイションにかける予算やエネルギーは、もしかしたら洋服にかけるそれよりも、はるかに大きいかもしれません。

あふれるばかりのさまざまなサイズのピローやクッションに埋もれたいひともいれば、シャープでミニマムな感性で“究極”をスタイリッシュに追求するひともいます。

Yoko Ueno Lewis|SOVA 02

インテリアの世界は、自分自身が居心地良く暮らすために、若いころから経験や失敗を重ねて、さまざまなスタイリングにチャレンジしていく“快適な暮らしのための学習の場”ともいえるのです。理想的には、子どものころから独立した空間をもち、そのなかで自分自身の世界をクリエイトしていくトレーニングに、楽しみながら取り組むことができたら、日本のインテリアマーケットも、もっと豊かに層が厚くなっていくのではないでしょうか? アメリカ国内の空港にいると、よく自分のピローをそのまま荷物にくくり付けている若い人たちをみかけます。

Yoko Ueno Lewis|SOVA 04

Yoko Ueno Lewis|SOVA 06

「SOVA(ソーヴァ)」はベッドファーニシングのブランド

「SOVA(ソーヴァ)」は、カバーリングとブランケットとキルトカバーレット(ベッドスプレッド)とキルトクッション、そしてタオル、ニット、オーガニックコットンへと広がるマテリアルの世界──もちろんベッドもマットレスも掛けふとんもふくめ、すべてのアイテムを総動員して、オリジナルの世界観を伝えようとしている、ベッドファーニシングのブランドです。

Yoko Ueno Lewis|SOVA 08

ここで、もっともkeenな課題はいうまでもなく“色柄”となります。色柄は好みの世界で、ここで当たるか外れるかのちがいはブランドの行方を左右します。SOVAはまず、寝具そのものが商品としてマーケットに出る以上、まずはその舞台となる売場を、明るく、楽しく、パワフルにすることを、そのリスキーな目的の一つとしました。

「SOVA(ソーヴァ)」
www.sova-home.com

The Way We Live with “STYLE”

暮らしノート 第13回

「SOVA, Multi-Combination Bedding Linens」(2)

柄のモチーフは“アルファベット”“おりがみ”“ガーデンポップ”の3タイプ。この個性的なモチーフに対し、コーディネイションしやすいスタンダードパターンの“細かいドットと大きなドット”と“ストライプ”を用意しています。

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柄のモチーフは“アルファベット”“おりがみ”“ガーデンポップ”の3タイプ

多くの場合、無地と柄の組み合わせがほとんどでしたが、あえて無地をはずし、主張の強いモチーフパターンの個性を生かすために、キルトカバーレットやキルトクッションとブランケットに無地を用意して、組み合わせの可能性を広げました。リバーシブル使いを多くしたのも特徴です。掛けふとんカバーはリバーシブルなので、さらにコンビネーションの枠が広がります。組み合わせることの楽しさや新鮮さを味わうことで、日常の何気ないひとこまの豊かさも、増していくのではないでしょうか?──「目覚めたときには、いつでも晴れている……そんな朝への期待をこめて」

80年代の後半、衝撃的なベッドリネンのコーディネイションワールドを実現したのは、当時のポピュラーブランド「ESPRIT(エスプリ)」でした。当時headquarterがサンフランシスコに在ったESPRITは、その広告とグラフィックデザイン部門のポリシー、イタリア人の斬新性と日本人の繊細な感性の融合(※CEOはイタリア人、アートディレクターは八木 保氏)、そしてカリフォルニアという申し分のない自然環境、この3つの世界観の融合に恐いものなし……という極めてユニークな発想を背景としていたのです。(私の記憶が正しければアルミやステンレスを使った什器デザインは内田 繁氏によるものではなかったかと思います)

Yoko Ueno Lewis|SOVA 11

明日へのエネルギーを呼び込むパワーになるスーパーカラフルなハーモニー

実際、そのベディングデザインは、カリフォルニアの開放的で透明感のある光と風にシンクロナイズしたかのように新鮮で強烈な印象をもたらしてくれました。そのころから、おそらく、寝具は夜眠るために使うツールとしてのみではなく、昼間の明るい光の下で、色柄のハーモニーを楽しむインテリアの仕事でもあるということを実感したのだと思います。

Yoko Ueno Lewis|SOVA 13

Yoko Ueno Lewis|SOVA 14

よく、日本は住宅事情が欧米とちがうから……といわれますが、「立って半畳、寝て一畳」といわれた禅世界のミニマリズムを思うとき、真っ白な敷き布団を整然と3つ折りにたたんで部屋の片隅に置き、その上に枕を据えるという、洗いざらしたような無駄の無い美意識……そこでは他に類の無い圧倒的な世界観が静かに語られていたはずです。

禅とは対極のマテリアリズム(物質主義)の申し子である「SOVA」ですが、できればそのブライトでスーパーカラフルなハーモニーを、明日へのエネルギーを呼び込むパワーに変えて、気に入って使ってくださる人たちの、日常のさりげない背景となってほしい……デザイナーとして、ユーザーとして、そう思わずにはいられないこのごろです。

Yoko Ueno Lewis|SOVA 16

「SOVA(ソーヴァ)」
www.sova-home.com

デザイン&プランニング
Yoko Ueno Lewis(ヨウコ・ウエノ・ルイス)
ウェブ&ブログ|www.yokoueno.com
オンラインショッピング|http://kaunis.jp/handle_uenoyokolewis.php

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