特集|パテック フィリップ展~歴史の中のタイムピース~
「特集|パテック フィリップ展~歴史の中のタイムピース~」に関する記事
特集|パテック フィリップ展~歴史の中のタイムピース~
Patek Philippe|パテック フィリップ創業175周年特別企画特集|パテック フィリップ展~歴史の中のタイムピース~今年、創業175周年を迎えた世界最高峰時計ブランド『パテック フィリップ』。また2014年はスイスと日本の国交が樹立して150年という年でもあり、このふたつを記念した特別企画展が、去る1月17日より限定3日間、明治神宮外苑 聖徳記念絵画館で開催された。同展で展示された19世紀後半から20世紀初頭に製作された約100点のミュージアム・ピースのなかから、王侯貴族や偉人たちに愛されたモデル、複雑機構を備えたモデル、美しく繊細な伝統工芸が施されたモデルなど、珠玉の10点を紹介。伝統を継承しながらも技術革新を続ける同社の実力を見てほしい。Text by KOIZUMI Yoko創業175周年特別企画~歴史の中のタイムピース~2014年1月17日~19日 明治神宮外苑 聖徳記念絵画館2013年12月26日公開ヴィクトリア女王のペンダント・ウォッチとブローチ2013年12...
Patek Philippe|小型時計がはめ込まれた小鳥がさえずるオルゴール
Patek Philippe|パテック フィリップSinging Birdシンギング・バードヨーロッパの王侯貴族のみならず、中国の皇帝にも愛された鳥のオルゴール、シンギング・バード。鳥がさえずり、羽ばたきを見せるこのからくり時計をパテック フィリップも手掛けていた。Text by KOIZUMI Yoko小型時計がはめ込まれた小鳥がさえずるオルゴール1770年頃、ジュネーブを中心に著しい発展を見せたのが、オートマトン(自動仕掛人形)とシンギング・バードの技術。オブジェがまるで生きているかのような動きを見せるこの機構は、技術の小型化に伴い、懐中時計や嗅ぎ煙草入れなどに搭載されるようになり、ヨーロッパ大陸のみならず、中東や中国市場を席巻するほどの人気となった。なかでも世界の王侯貴族たちを魅了したのが、シンギング・バードだ。蓋を開けると鳥がちょんと姿を現すボックスタイプや、鳥かごタイプでは複数の鳥がそれぞれ違った鳴き声を発したり、また引き金を引くと銃口から鳥が登場するといったユニークなピ...
Patek Philippe|生涯を研究に費やしたキュリー夫人とともに過ごした時計
Patek Philippe|パテック フィリップMarie Curieキュリー夫人のペンダント・ウォッチポーランド出身の物理学者、化学者であるマリー・キュリーに贈られたのは、美しい花園をモチーフにしたペンダント・ウォッチであった。Text by KOIZUMI Yoko生涯を研究に費やしたキュリー夫人とともに過ごした時計1903年にノーベル物理学賞を、1911年にノーベル化学賞を受賞した現在のポーランド出身の物理学者、化学者のマリー・キュリー(旧姓スクロドウスカ 1867年11月7日~1934年7月4日)。女性初のノーベル受賞者であるだけでなく、初の二度の受賞者であり、また物理学、化学という異なる分野で授与された最初の人物である。彼女が手にしたパテック フィリップが、ジュネーブ芸術協会が購入し、同協会からキュリー夫人に贈呈したとされるペンダント・ウォッチである。これは1893年頃に製作されたもので、1894年2月24日に協会が購入したという記録が残っている。裏蓋のみならず、ベゼル...
Patek Philippe|ミニット・リピーターとプチ・ソヌリを備えたグランド・コンプリケーション・ウォッチ
Patek Philippe|パテック フィリップDuke of Reglaレグラ公の懐中時計メキシコの第3代レグラ公が求めた時鐘機構を備えた懐中時計は、パテック フィリップの高度な技術を伺い知ることができる最高級モデルだ。Text by KOIZUMI Yokoミニット・リピーターとプチ・ソヌリを備えたグランド・コンプリケーション・ウォッチクロノグラフやムーンフェイズ、年次カレンダーといった機能は、その構造や製作の難しさから複雑時計(コンプリケーション・ウォッチ)と呼ばれている。また永久カレンダー、トゥールビヨン、ミニット・リピーターなどの超複雑機構を備えている時計はグランド・コンプリケーション・ウォッチとされ、最上級の技術を搭載したモデルとなっている。これら複雑機構は単体でも高度な技術を持つ時計職人のみが製作できるものだが、なかでも製作が難しいとされているのが、時刻を鐘の音で知らせる時打ち機機能の『リピーター』と『ソヌリ』である。リピーターは任意の時間をレバー操作で知らせる機能...
Patek Philippe|貴婦人たちにとって、時計は自らを彩るアクセサリーだった
Patek Philippe|パテック フィリップPendant Watchペンダント・ウォッチパテック フィリップは19世紀中ごろから20世紀初頭にかけて、貴婦人たちを美しく飾るさまざまなペンダント・ウォッチを製作している。Text by KOIZUMI Yoko貴婦人たちにとって、時計は自らを彩るアクセサリーだった時計の着用方法はその時々のファッションと密接な関係があるが、19世紀中ごろの女性にとって、ペンダント・ウォッチはアクセサリーであり、欠かすことのできないファッションアイテムだった。多くの場合、胸元にアクセサリーで装着する。たとえば英国ヴィクトリア女王のペンダント・ウォッチ(2013年12月26日公開)も同様の使い方がされた。しかしここで紹介しているモデルは、ペンダント・ウォッチが隆盛の時代、1869年ごろに製作されたものにも関わらず、一般的なペンダント・ウォッチと趣を異にしたシャトレーヌ・スタイルが採用されている点が特徴だ。シャトレーヌとは、美しい装飾を施したメダルを...
Patek Philippe|レトログラード日付表示付永久カレンダー機構を搭載した懐中時計
Patek Philippe|パテック フィリップAntoine Marie Philippe Louis d'Orleansアントワーヌ・ドルレアンの懐中時計19世紀中ごろ、スイスからスペインに届けられたのは、グランド・コンプリケーション機構を搭載した懐中時計だった。Text by KOIZUMI Yokoレトログラード日付表示付永久カレンダー機構を搭載した懐中時計王侯貴族たちがパテック フィリップの時計を求めたいと思った場合、活躍するのが王族の御用達商人である。ここで紹介する懐中時計がつくられた1865年当時、スペイン王妃イザベラ2世付きおよびスペイン王室御用達商人は、マドリッドの時計師フェルナンド・デ・ラ・ペーニャであった。彼は1860年代、グランド・コンプリケーションをはじめとする、当時のパテック フィリップの重要なタイムピースを多数買い上げており、これも購入したグランド・コンプリケーションのうちのひとつである。持ち主はフランスの王族であるアントワーヌ・マリー・フィリップ・...
Patek Philippe|スイス初、パテック フィリップ初の腕時計
Patek Philippe|パテック フィリップFirst Swiss wristwatchスイス初の腕時計1868年、パテック フィリップは現代的な発想で時計を製作した。それがスイスのウオッチメーカー初となる腕時計である。Text by KOIZUMI Yokoスイス初、パテック フィリップ初の腕時計今回、紹介するのは、スイス初、そしてパテック フィリップ初の腕時計である。それまでも美しく宝飾が施されたブレスレットに時計が付属することはあったが、この時計のブレスレットは細く、シンプルに仕上げられており、あくまでも時計を主体としたデザインである。こうした点からも前者とは一線を画していることがわかる。現代に通じる腕時計の原点といってもいいだろう。パテック フィリップに残る販売台帳には、1876年11月13日にハンガリーのコスコヴィッチ伯爵夫人が購入したという記録が残っている。この腕時計は一見するとジュエリーのようだが、カバーを開けると時計が現れるというシークレット・ウォッチの一種だ...
Patek Philippe|1932年に誕生した、腕時計の歴史に残る永遠の名作
Patek Philippe|パテック フィリップCalatravaカラトラバ80年以上続く腕時計のロングセラー。パテック フィリップを代表するラウンド型タイムピースは、腕時計の傑作として君臨する。Text by KOIZUMI Yoko1932年に誕生した、腕時計の歴史に残る永遠の名作“機能がフォルムを決定する”というドイツで起こった建築・装飾運動バウハウスからインスピレーションを受けて誕生したとされているのが、「カラトラバ」である。ラウンドケースに立体的なインデックスとドフィーヌ型針を備えた意匠は、抜群の視認性を備えながらも、エレガントな雰囲気を漂わせている。誕生した時点ですでに完成を見たといえる不変のデザインは、ラウンド型腕時計の模範であり、永遠のクラシックとしてパテック フィリップの代表作のひとつとして数えられている。1932年、世に送り出されて以降、基本コンセプトはそのままに、こんにちまで続くロングセラー・シリーズとして、多くの時計ファンを魅了し続けるカラトラバ。80有余...
8 件