スイスで活躍する日本人時計師
「スイスで活躍する日本人時計師」に関する記事
連載|スイスで活躍する日本人時計師
ラ・ショー・ド・フォン国際時計博物館の時計修復師〜金澤真樹さん〜金曜日の昼下がり。訪れる人のほとんどいないひっそりとした博物館。 静けさの中響く時計のチクタクの音。数世紀の歴史を刻んできた音だ。ここはスイス ラ・ショー・ド・フォンの国際時計博物館。その一角にある工房で、金澤真樹さんは、4000点にのぼる館の収蔵品の修復、研究・調査に取り組んでいる。Text by SANO PERRET Tomoko有能な時計師は不足しないはずのスイスで日本人が抜擢ラ・ショー・ド・フォンは隣接するル・ロックルとともに、古くから計画的な都市計画がされた時計製造都市として、ユネスコの世界遺産として登録されるほど歴史ある街だ。そのラ・ショー・ド・フォンの国際時計博物館は、歴史的な時計の宝庫であり、スイス時計製造の歴史博物館のような役割も担っている。運営はラ・ショー・ド・フォンのコミューン(スイスの自治体)によって営まれており、金澤さんはスイスの公務員として働いている。有能な時計師には不足しないはずの機械式...
連載|スイスで活躍する日本人時計師 第3回「ジラール・ペルゴ」植松 純さん
連載第3回|植松 純さんスイスの複雑時計ブランド「ジラール・ペルゴ」の時計師(1)「ジラール・ペルゴ」社は、スイス時計産業の聖地、ラ・ショー=ド=フォンに本拠地を置くブランドだ。1791年の創業以来、スリーブリッジ トゥールビヨンなど複雑機械式モデルを数多く製作している。この老舗時計ブランドでも日本人の時計師が活躍していた。植松純さんは、2013年にジラール・ペルゴへ入社。複雑機械式時計の組み立てを任されている。彼はどんな経緯でこの地にたどり着いたのだろうか。Photographs & Text by SANO PERRET Tomoko時計師との出会いはTV番組だったスイスとフランスの国境付近に位置するラ・ショー=ド=フォンは、ユネスコの世界遺産に指定されている時計の街。時計製造都市として19世紀から都市計画がなされ、かつては陽当たりの良い北斜面に、工房が軒を連ねていたという。ジラール・ペルゴ社は、この北斜面を登ったところにある。社屋が大通りに面しているので、工房内のよう...
連載|スイスで活躍する日本人時計師 第2回〜関口陽介さん〜
連載第2回|関口陽介さん複雑機械式腕時計で知られる「クリストフ・クラーレ」の時計師(1)関口陽介さんは、腕時計ブランド「クリストフ・クラーレ」で複雑時計を組み立てる時計師として活躍している。驚くことに彼の時計作りの知識はすべて独学。「永遠に生き続ける価値のある逸品を作りたい」という信念とともにスイスで時計作りを続ける関口氏は、どんな道を歩んできたのだろうか。Text by SANO PERRET Tomokoきっかけは、友達から譲り受けた掛け時計関口さんが時計と出会ったのは高校生のとき。ある日、友達の祖父が所有していたという古い掛け時計を譲り受けることになった。とにかく古い物に興味をもっていた関口さんは、掛け時計の機械部分を見た瞬間「直してみたい」とおもった。その日から、関口さんの腕時計への探求の旅は、はじまる。腕時計に関する知識は、ほとんど書籍から得ることができたが、続けていくうちに時計作りに重要なことは、実践にあると覚る。それからは、古く壊れた時計を手に入れては、次々に直してい...
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