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第11回 京都の銭湯へおいでやす(2)「感動の銭湯、船岡温泉」

第11回 京都の銭湯へおいでやす(2)「感動の銭湯、船岡温泉」

第11回 京都の銭湯へおいでやす(2)「感動の銭湯、船岡温泉」独特の銭湯文化があるという京都。銭湯といっても、ただの銭湯ではない。じつに古都らしい、立派で高尚な雰囲気すら漂っている銭湯があるというのだ。文=矢貫 隆写真=有本真紀朱塗りの天井に、牛若丸と鞍馬天狗東京の下町で育ち、当たり前のように銭湯に親しんできたせいか、僕は狭い家の風呂は苦手で、いまも銭湯通いをしています。京都でもそれは同様でした。船岡温泉近所の山田湯に通い(1年ほど前に廃業)、山田湯の定休日にはあちこちの銭湯を巡り、そのたびに、京都の銭湯はじつに個性的だと感心したものです。京都の銭湯には、東京では当たり前の、ペンキで描いた富士山の絵はないのだと聞きました。ペンキ絵の部分はタイル貼りで、たいがいの場合、タイル絵になっています。いくつかの銭湯にはタイル絵の富士山があるそうです。僕が知っている「タイル絵の富士山の絵」がある銭湯「船岡温泉」。この銭湯を訪れたときは感動さえおぼえたものです。船岡温泉、とにかくすごいんです。建...
第5回 祇園祭の愉しみ方「唯一の、おすすめの穴場」

第5回 祇園祭の愉しみ方「唯一の、おすすめの穴場」

第5回 祇園祭の愉しみ方「唯一の、おすすめの穴場」京都の夏の風物詩、祇園祭がいま行われている。数10万人の観光客が訪れる四条通り近辺もいいいが、通ならこんな場所で見るのもいい。新町通りを巡行する北観音山。すべての鉾と大きな山がこの路地を通る。観光客の姿はほとんどない。1ヵ月の長丁場、祇園祭祇園祭が始まりました。観光客の多くは、祇園祭は7月16日の「宵山」と17日の「山鉾巡行」を思い浮かべますが、じつは、祭は7月1日から1ヶ月間にもわたる長丁場なのです。7月1日の「切符入(神事始め)」、長刀鉾町の人々が稚児を伴い八坂神社に神事の無事を祈る「お千度」。2日は山や鉾の巡行の順番を決める「くじ取り式」、10日からは「鉾建て」が、翌日からは「山建て」も始まります。祇園祭に関係する市内中心部の町々では、これ以外にもたくさんの神事があって、四条通りあたりを歩いていると、なにがしかの神事に遭遇したりするものです。昨年、僕は「稚児社参」に遭遇しました。巡行の先頭、長刀鉾に乗る稚児(長刀鉾以外は人形)...
第7回 京都の豆腐はうまい(1)「いわゆる豆腐料理の店ではなくて」

第7回 京都の豆腐はうまい(1)「いわゆる豆腐料理の店ではなくて」

第7回 京都の豆腐はうまい(1)「いわゆる豆腐料理の店ではなくて」京都で豆腐といえば……南禅寺?いやいや、もっとおいしい豆腐が食べられるんです。どこで?ほら、そこの豆腐屋の……。文=矢貫 隆写真=有本真紀毎日のように豆腐を食べてます「京都ってどうなんですか?」京都に移り住んだと聞くや、多くの知人は僕にこう訊ねたものです。どういうわけか、まるで具体性のない漠然とした質問のしかたをしてくるんですね。聞かれた僕は、決まっていつもおなじ答えを返します。「豆腐がうまい。毎日のように豆腐を食べてます」本当です。京都の豆腐は、とにかくうまい。東京で暮らしていたころはほとんど食べなかった僕が、いつもいつも豆腐を食べるようになりました。京都の豆腐はうまい。それは間違いありません。ですが、僕が言うところの「京都のうまい豆腐」とは、南禅寺や清水寺や嵯峨野あたりの、いわゆる豆腐料理の店のそれではありません。商店街の豆腐屋さんの豆腐のことです。東京から5人の古い友人が京都観光にやってきました。「きれいな庭を...
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